ユキノリンリン

 2011年1月30日,四万十を自転車で下ることにしました。理由は特にあるわけではないのですが,昔からそれなりにサイクリングは好きで,四国にいてしまなみ海道以外にもサイクリングの名所があるということで以前から目をつけていたのであります。で,せっかく休みが取れたので突撃することと相成りました。四万十川に沿って下っていくのでへたれNPでも体力的に大丈夫だろう,というのが最大の理由ですが。

 さて,四万十川りんりんサイクル。カヌー館のホームページに案内があるわけですが,四万十川のカヌー下りって,昔野田知佑氏の本で読んだなぁと小学校時代の記憶に思いをはせることになります。それはさておき,観光協会のホームページを見てもカヌー館に飛ばされるので,おそらくこのサイクリングは行政主導ではなく民間主導で行われてるのだと思います。いいことですな。

 で,基本的にサイクリングは江川崎〜中村間を想定しております。中村はいいとして,問題は江川崎です。
 江川崎というのは予土線の駅です。昔ならいざ知らず,インターネット全盛の現代,これを調べるのは簡単。が。容易に想像つくと思いますが,本数は少ないです。他方,りんりんサイクルは江川崎→中村に最低4時間を見積もるように指示しております。おそらくこれはサイクリング単体の時間であり,NPがヘタレであること+途中寄り道をするであろう事から5〜6時間は確保したい。となると,宇和島9時38分発の電車ではなく,その1本前の宇和島6時11分発の電車に乗るべきという結論に達しました。ちなみに電車じゃなくてディーゼルだろとかいうツッコミは無視。
 そんなわけで,宇和島に6時11分につくためには……当日松山を出たのでは遅く,宇和島前泊を余儀なくされたのでした。
 この夜,日本代表はアジアカップ決勝で大盛り上がりしていたのですが,非国民NPはこれを見ずに宇和島のビジネスホテル前泊という訳の分からない行動をしていたのでした。

 さて,早朝6時。6時からパン屋さんが空いていたので朝食ゲットできたのはよかったよかった。朝の暗い宇和島駅ホームに目指す予土線の電車が止まっておりました。

朝の宇和島駅。人気の少ない朝のホームって好きです。早起きは死ぬほど辛いけど。

 電車にはNPのほかに数人のお客様。この電車を逃すと次は3時間後なのだから(近永を超える場合)万が一にも逃すわけにはいけません。
 人気の少ない電車ではありますが,暖房は効いていて問題なし。このへん,朝っぱらの中央線よりも優秀なのではないでしょうか。

 で,電車はとことこ進んでいきます。外もだんだん明るくなってきます。朝早いですが,寝過ごすわけにはいかないので必死に目を開けて外を見ます。
 そして,電車は宇和島市を抜け,トンネルに入り,鬼北町へ。トンネルを抜けると,そこは……一面の雪景色。

 えっ。雪!?

 一応天気は気にしていて,前日に天気予報を見たら高知県は曇り時々晴れでした。雪なんて想定外にもほどがあります。電車はさらにトンネルを抜けつつ松野町へ。トンネルを抜けると……そこはやはり雪景色でした。
 これはやばい。頼む,もう1回トンネルを抜けて晴れてくれ。トンネルを抜けると雪国になるなら逆もあっていいはずだ…!!
 という願いもむなしく,高知県に入っても雪景色に変化なし。

 そして,雪景色に変化のないまま,江川崎に到着。

乗ってきた窪川行の電車 反対側には宇和島行の電車 ようこそ四万十の里へ 江川崎駅

 江川崎で降りたのはNP1人でした。まあ,無理もないですね。
 それにしても,いったいこんな雪景色を見るのはいつ以来だろう,という雪景色。この時点で自転車で川沿いを下るなどということはあり得ない状況なのですが,せっかくなので半家まで歩いて,沈下橋を見て,半家で電車に乗って帰ろう,と思い,歩き出しました。もともと,レンタサイクルは8時30分貸出し開始なので,しばらく駅で待たないとダメだったんですが。

むらの灯を消すな

 駅を出て,半家方面に向かう道は若干の下り坂。転ばないように気をつけるのが精一杯。こりゃあ自転車なんて無理にもほどがあります。
 絶望的な気分になりながら歩きます。
 気分は絶望的なんですが,景色はとても綺麗。「サイクリングをしに来た」のでなければこれ以上楽しく癒されることもないのではないか,という感じです。鉄橋と雪と山と河。見ていてほっこりします。
 ほんと,これでサイクリングをしに来てなければ……。

 じゃっかん交差点で進む道に悩みつつも,四万十川を半家に向けて上流に向かって歩きます。
 歩道は広いです。そこまでサイクリング前提で作られた道でもないとは思うんですが,なぜなんでしょう?よく分かりませんが,とにかく歩道が広いため,雪道でも生命の危険は感じません。これは大事なことであります。
 そして,歩道には自転車の跡が数本と,足跡が1人分。この雪の中,NP以外にも歩いた人がいるんですね。どういう目的で,誰が歩いたんでしょうか。気になるところであります。でも,自分以外にもここを歩いた人がいる,と思うと勇気づけられます。これで足跡が獣の足跡とかだったら泣きたくなったと思いますが。
 そんなわけでひたすら歩きます。いや〜,綺麗な景色。今写真を見てると,白黒写真なんじゃないかと思えるような雪と山のコントラストであります。歩いていると,そんなに寒くはないですね。

雪景色。写真で見るとけっこう雪が強く降ってますな。
鉄橋 山と河
白黒写真じゃないかと不安になる 自転車の跡と足跡

 しばらく歩いていると,沈下橋が見えてきました。せっかくここまで来たのだから沈下橋を1つくらい見ていかないと。
 沈下橋の名前は「長生沈下橋」といいます。「ちょうせい」と読んでいましたが,「ながおい」と読むらしいです。「ながいき」だったら縁起がいいのに。ハゲで長生き!長生きしてハゲ!

 そんなわけで,沈下橋に向けて降りていきます。
 まあ,なんてことない橋なのですが,わくわくしますね!
 橋に向けて車の轍が数本。運転下手なNPからしたら雪の中,この細い橋を渡っていく車に感服してしまいます。滑って落ちる車が1年に1台くらいいそうな気がするのですが,どうなんでしょうか。とにもかくにも,みなさん無事橋を渡りきっているようです。

見えてきました 印象に残った看板 奥に 四万十川と親しむ安全の心得10箇条
看板の内容を守りましょう,という看板です
坂を下って近づきます
ながおい沈下橋
昭和35年からある歴史ある橋なんですね
近づく そして,橋へ
上流方向 水はきれい! 下流方向 一直線に車の跡が なんとなく幻想的な雰囲気
道路方向 観光客向け沈下橋通行についてのお願い
市町村合併の爪痕が生々しい
トイレとキャンプ場運営費箱
確かに,夏にはキャンプしたくなる場所ですね!
反対側から沈下橋を見る いかにもキャンプできそうな河原 上流から見る沈下橋

 さて,沈下橋の見学を終えると,あとは半家駅に向けて歩くのみ。特段のイベントはありません。なんのイベントもないので,適宜写真を撮りつつ歩きます。
 いやぁ,ほんとモノクロの世界ですな。

 そんなわけで,ひたすら歩きます。ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。川の水は流れ,よどんだ心のNPは上流に向かって雪を踏みしめながら歩きます。


長生沈下橋が名残惜しい 上流方向 再度沈下橋

 しばらく歩くと,いかにも,な集落に到達。民宿の看板なんかもありますが,本当に営業してるのかな?
 そして,犬に吠えられ,地元の方から不審な目で見られつつ,半家駅到達。

 「半家」という場所は,知り合いに鉄オタがいると確実に聞かされる駅名でありまして,NPも例に漏れず小学校の頃通っていた塾の同級生からこの駅名については聞かされていたのでした。いやぁ,それだけの場所なのに,まさかこんな年になって訪問する日がくるとはねぇ。感無量であります。

駅が見えてきた! 民宿雪の宿
なぜ四万十の民宿で「雪の宿」という
名前をつけたのか気になるところですが,
今の天気にぴったりであります
駅への道 階段 駅から下を見下ろす 駅からの眺め
ホーム 逆側 駅名表示 時刻表
あと2時間あります…。
なぜか鶴 再度沈下橋まで降りて来ました

 さて。駅に到達したのは8時40分頃。次の電車は10時58分。あと2時間。
 当初の予定では,ここでゆっくり本でも読もうかと思っていたのであります。が。駅の待合所が全く防寒に適しておらず,風が思いっきり吹き込んできます。はっきりいって,とても耐えられる状況ではありません。それでも風が比較的入ってこない場所で縮こまっていたのでありますが,もう限界。
 とりあえず電車に乗って太平洋を目指すことにしました。そして,須崎に出て土佐黒潮牧場に突然乗り込むか,中村城を見るか,高知でうろうろするか,それ以外の場所で時間をつぶすかは電車の中で考えることに。
 いずれにせよ次の電車に乗るのであれば,とるべき手段は2つ。1つはさらに上流の十川駅に向けて歩くこと。もう1つは江川崎に戻って待合室(こっちは確実に防寒できる)で電車を待つこと。
 ここで問題となるのが半家と十川の距離で,どうも8キロ程度ある様子。2時間8キロということは,平地なら問題ないですが,雪道+登り+ぐねぐね道ということを考えると若干のリスクがあります。これで失敗すると次の電車までさらに2時間。さらに2時間待つわけにはいきません。
 てなわけで,再度江川崎に向かうことにしたのでした。

その2へ

旅行記