馬なき旅をする猿

 鳥無き島のコウモリ,と評されたことで有名な長宗我部元親。秀吉と対峙したときは国力の差が明らかだったので,実際に蝙蝠だったのかはよく分からないところであります。黒田官兵衛の大河ドラマでは四国がらみはカットされたとの噂を耳にしました(あとでDVDで一気に見るのでナマで見てない)が,どうだったんでしょうか。
 そんな長宗我部,既に岡豊城は訪問済でありますが,それ以外の長宗我部がらみの史跡は未踏なので,適宜まわってみることにしました。

雪蹊寺

 まずは,長宗我部元親の菩提寺,雪蹊寺です。まずは,と書きつつ,実はこの前に同じく四国八十八カ所の1つである青龍寺に行こうとしたんですが,車でどこまで進入できるのかよく分からなかったので引き返しており,無駄な時間とガソリンを消費しております。
 この日は3連休の最終日ということもあり,お寺の前にはバスが停まっていて,はっきりいって邪魔でした。まあ,2014年は霊場開創1200年という記念すべき年なので仕方なかろう。
 考えてみたら,四国八十八カ所のお寺を参拝するのってかなり久々だなあ。いつ&どこ以来なんだろうか。

 で,一応きちんと本堂と大師堂にお参りして,境内奥にある信親のお墓へ。とりあえず自分がいたときはここまで来る人は皆無でした。バスの参拝ツアーとかだと時間が迫ってて寄り道する時間とか与えられてないんだろうな。よく分からんのですが,光栄のなんかのゲームで長宗我部元親ブームが起きたやに耳にしてたのだけれど,そのブームは信親には到達してないのかな。
 ところで,山本玄峰老師の解説とその胸像があるのはよいのですが,解説を読んでも,なぜその像がここにあるのかさっぱり分かりません。てことで,Wikipediaをみたところ,どうも失明してからお遍路を始め,ここ雪蹊寺前で行き倒れていたところを救出されたという過去があるようです。それにしても,耐え難きを耐え、忍び難きを忍びの一句がこの方に由来するものだとは知らなかった。勉強になるなあ。

山門 バス 案内 本堂 大師堂 観音堂
馬頭観音のようです
地蔵様 解説 奥まった場所にあります 戸次川戦没者供養塔 信親の墓 月峰和尚の墓
稲荷神社 太玄塔と土居氏の墓碑 山本玄峰老師と終戦 山本玄峰老師と
鈴木宗忠老師
鈴木氏龍澤寺のご住職だった様子

秦神社&西宮神社

 そして,雪蹊寺の横にある秦神社。神仏分離とその前後の廃仏毀釈で,このあたりでもいろいろあったんだろうと推察されます。で,この秦神社は創建明治4年。御由緒を読むに(なんか御由緒の一部の文章が変なことになってますが……),雪蹊寺の仏像等を保護するためにここに神社を創建したようです。それで廃仏毀釈運動から逃れられたのは,島弥九郎氏等が頑張ったからなのでしょう。神社内にあっても仏像が壊されたって話もどこかで聞いたような気がするしな(←完全に曖昧)。
 いずれにしても,今雪蹊寺が復興したのも,このときに秦神社というかたちで長宗我部氏の歴史を守ったからなんだろうなあ。

鳥居 御由緒 長宗我部親先生彰徳碑
「親」と書いて「ちかし」と読むようです
境内 拝殿 長宗我部元親年表 長浜城址案内板 多分裏の山が
旧長浜城だと思われます

 長浜城址に関しては,案内板が1つ立っているだけでそれ以上のものはなし。かつては竪堀が2本あったけれど,現在ではこれも既に風化しているようです。
 せめて縄張りの案内とかどっちにあって大手口がどっちで,という案内くらいはあってもいいかと。あと,現地案内板でたびたび思うことなのだけれど,旅行者はどっちが北でどっちが南かあまりよく分かってないことが多いので,南北表記を書くときには本当に見てわかりやすいかのチェックは必須だと思う次第です。

 さて,なにかあるかと期待して,境内社の西宮神社にも登ってみました。結論として,期待してたものはなにもなし。


長宗我部元親初陣の像

 続いて,長宗我部元親初陣の像と若宮八幡宮。鎮守の森公園前に駐車場があることは事前にGoogleMapで調査済です。ストリートビューって凄いですね。
 到着すると,とってつけたような馬防柵と,「あったかどうか分からない」と明言しつつも物見櫓の案内板。まあ,あったかなかったか分からないことを伏して案内板を出すよりはよっぽどか良心的ではある。しかし,どういう経緯でできた看板なのかな。ここを県有地?として維持するためになにか理由が必要だったとか,そんな感じだろうか。
 銅像は,元親が四国を鷲づかみにするような格好になっております。手にしている槍が折れないか心配でなりません。



馬防柵 物見櫓 銅像案内 お手紙コーナー 初陣像由来 四国を鷲づかみにする
元親公初陣像
地面には当時の大名家


若宮八幡宮

 続いて,そのまま徒歩で若宮八幡宮へ。
 ここは,元親が初陣前に参拝し,その後も出陣前に立ち寄ったという由緒正しき神社とのことです。
 そして,戸次川の合戦前には軍旗がここの鳥居にかかって墜落し,その後のこともあって鳥居は取り壊されたとか。このあたり,元親公の宗教観が若干垣間見られて面白い。
 そして,もう1つ面白いのが隼人社。穴の開いた石を奉納してお礼参りとするようです。勝負事の神様ということで,できれば競馬場をまわる前に参拝しておきたかったところですな。でも,みたところ奉納されている石は綺麗に穴があいたものばかりなので,おそらくここに奉納するための穴あき石を作ってる業者さんなり,ここに奉納するために石に穴を開ける業者さんなりがありそうな感じ。もしかしたら社務所で売ってたのかもな。

神田がありました 境内へ 鳥居のいわれ 御由緒 拝殿
境内案内
なかなか奥が深い神社です
三社神社 三座神社 隼人社
隼人社に奉納されている石 若宮霊廟 霊廟は一応神域外 竈戸神社

長宗我部元親の墓

 続いて,長宗我部元親公のお墓にお参り。GoogleMap情報だと,奥まった場所にあって駐車場があるかも分からなかったので(結論として,ちゃんとありました),近くのマルナカに停めて歩いて行くことにしました。なお,ここで昼食用のカツオを購入しました。駐車場内で食べようかとも思ってたんですが,せっかくだから桂浜で食べることにしました。

 そんなわけで,徒歩数分で元親のお墓。お墓の手前に咲いている白い彼岸花がなんとももの悲しい雰囲気を演出しております。
 で,墓地自体は綺麗に整えられており,地元ではやはり元親は尊重されていることが分かりました。ただ,なぜ雪蹊寺で無くここに葬られたのかはよく分からないところ。盛親的に,元親と信親を同じ場所に葬りたくないというなにかがあったりしたんですかね。







マルナカ 入口前の彼岸花 一帯の整備は
和住工業の社長さんの
尽力による要です
兵士の塚 解説 お墓

桂浜

 引き続き,桂浜へ向かいます。お目当ては浦戸城。
 前回桂浜に行ったのは白馬10周年記念特別の前日,トリと2人旅で闘犬を見たりしました。前回は浦戸城を完全にスルーしたので,今回は100%浦戸城目的です。

 さて,桂浜は駐車するのにもお金がかかることは,駐車場に入るときに知りました。そして,結論から先に書くと,国民宿舎の駐車場に車を停めるのは無料です。で,浦戸城は国民宿舎の近くにあります。つまり,浦戸城に登城するのであれば,国民宿舎の駐車場に停めないと大損するということになります。次回が訪れる可能性は限りなくゼロですが,とりあえず次回が訪れた際には注意したいところです。

 さて。桂浜の駐車場から,桂浜方向を目指します。とりあえず龍馬像をさくっとスルーして(そういえば,前回は龍馬像の横から龍馬像を眺める台みたいなのがあったような記憶なんですが,なくなったんでしょうか?),桂浜のあずまやの中で昼食。マルナカで買ったカツオとたこ焼き。そして,ここで「箸がない」という大惨事に気づき,たこ焼きの爪楊枝でカツオを食すハメになりました。炭水化物をたこ焼きにしておいてよかった……。
 このあずまやにはゴミ箱も設置されていたので助かりました。また,ここにくるにあたって財布を車の中に忘れてきたことに気付きました。よって,このあと訪れる神社ではお賽銭入れてません。







桂浜の案内。特に浦戸城の解説無し 浦戸砲台跡。「浦戸」という名前は出てくるのだが… 龍馬像 桂浜 たこやきとカツオ

海津見神社(龍王宮)・早高神社

 そして,桂浜の先にある龍王宮へ。若干登りますが,これは浦戸城への登りとは別の上り階段になるため,浦戸城に行くにはいったん登って降りてまた登ることになります。バンケットを走る馬の気持ちを味わうことができるわけですね。
 そして,その龍王宮を見下ろす位置にあるのが早高神社。いまいちこの神社がどういう神社なのか,解説が無いので分かりません。

解説 太平洋 龍王宮を見下ろす 早高神社 太平洋 桂浜を見下ろす

浦戸城

 さて。浦戸城へ向かいます。といっても,解説地図には浦戸城の名前がなく,ひたすら矢印を追いかけるのみです。階段をのぼっていき,気付いたら,国民宿舎脇に到達していました。ここで,最初の駐車料金ネタに繋がるわけであります。

 そして,浦戸城を探して駐車場内を調べまくります。このあたりに何かがあることは間違いないのですが……で,ようやく見つけました。まさか,駐車してる車の裏に隠れていたとは。浦戸城碑,浦戸城址への階段。
 そして,階段をのぼって旧本丸へ。まあ,小さなお社しかないのは事前情報からも分かっておりました。もう少し堀切とか竪堀とかの様子が分かるかな,と期待してたんですが,少なくともニワカのNPの眼力でこれが竪堀だ!と明言できるような遺構は特段発見できず。
 というわけで,なんか大騒ぎした割に得られるものの少なかった浦戸城登城でありましたとさ。







高浜虚子の句碑 公園案内図
浦戸城の文字はなく…
龍馬像 アナレンマ 国民宿舎と記念館
なんか無駄に豪華な建物ですが
元は取れてるのでしょうか
船中八策と日本




井戸跡 車の後ろに隠れる
浦戸城址碑
天守跡への上り階段 鳥居 天守跡解説 天守内


山祗神社 この微妙な石垣は
往時のものなのか…
なんとなく竪堀のように
みえなくもなかったので
写真撮ってみましたが,
写真にしたらやはり意味不明に
下から天守方向を見上げる アイスクリン

 そして,最後に,昨日高知競馬場で食べ損ねたアイスクリンを求めて,いったん駐車場に戻って車の中の財布を取り出してアイスクリンを購入。17時前で桂浜の土産屋全体が店じまいモードでしたが,なんとかアイスクリンは売られてて助かりました。

ながおか温泉

 最後に,風呂で旅の汗を流していきます。空港までの道中に手頃な銭湯はなく,若干ルートから外れはするものの,「ながおか温泉」というスーパー銭湯があるようなので,寄ってみました。なお,時間的には飛行機までかなりぎりぎりになりつつあり,若干急ぎ目です。

 道中,すこし細い道を走らされましたが,無事到着。西側の看板が日焼けしていて,「ながおか温泉」という文字が判読不能になっていたのにはまいりましたが……。反対側がやけに綺麗に残ってるので改装費を出す気にならないんでしょうが,旅行者NPはいったんスルーしたので,できればなんとかしていただけると助かります。

 このながおか温泉は,プールも併設したりして,地元の方々の楽しい遊び場となっておりました。僕はさくっとお風呂に入っただけです。でもまあ,気持ちのいいお風呂でした。

日焼けして「くろしお亭」しか見えなかった
逆側はしっかりしてるのに
入口 なかなか凝った意匠 注意書きあれこれ
 
お風呂は2階 休憩コーナー 今日の牛乳 物販 物販で大々的に売られてた飲むヨーグルト
地元のものかと思ったら,
岩手の製品でありました

 その後,高知空港へ。ごめんなはり線を越えるのが若干怖かったり,ナビに従ったら商店街を走らされて若干怖かったり,空港廻りはナビ&事前にもらっていたレンタカー会社の地図と異なっていてガソリンスタンドにたどり着けないかと思って若干びびったり,とにかく若干いろいろあったラストでありましたが,最後はレンタカー営業所から空港までさくっと送り届けていただいて,無事飛行機に間に合いました。よかったよかった。
 そんなわけで,もうちょっといろいろなお寺とかをまわりたかったんですが,最低限の長宗我部関係遺構は見られたのでなかなか充実した旅でありましたとさ。


土佐黒潮牧場へ


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