ペナン旅行記その14


 続いて,古井戸と,山下氏の絞首台。解説を読むと,戦後"Yamashita took his last thirteen steps to the top of this gallows at Batman Philippines."とあります。自分の拙いWikipedia知識では,山下氏はマニラで亡くなったということしか分からないので,Batmanがどこなのかちょっとコメントしかねますが(Bataanと書こうとしてスペルを間違って,さらにそもそもそこで処刑されたんじゃないだろってことで上から消したのかな。なお,今ちょっと検索したところ,山下・本間両氏の終焉の地はロスバニョスらしい。ちょっと検索すりゃ分かるんだからもうちょっとなんとかすればいいのに)。
 それよりも……繰り返しますが,別に私人の博物館なので山下氏を恨むのは構わんのですが,山下氏を処刑した絞首台のレプリカをなぜこんなところに展示するのか。なんというか,もともとなかったものはそれとしてちゃんと別の場所にまとめておいてほしいものです。あと,"this"ってなんだ"this"って。この訳の分からんおっさんの看板が貼ってあるところで米軍が処刑するはずなかろうに。それ以外は正確だと信じたいところではありますが,本当に大丈夫なんでしょうか。


 あと,山下氏の絞首台にくっついているよく分からない看板もそうなんですが,このあたりからゲームゾーン色が強くなります。Paintballがなんなのかよく分かってませんが,なんかもういろいろとがっかりです。

Paintball Field Rules& Regulatiation War zone なんだこれ こういう一画に
突然真面目なものが現れる
Open Theatre
よく分からんのですが,解説を読む限り,
戦争犠牲者のために作られた建物のようです
そんな大事な建物になぜオートバイがぶら下がってるのか
(銀輪部隊を意識?)
まったくもってよく分かりませんが……
なんだこれ 抜け穴

 続いて,ギロチン。といっても,本物のギロチン台があるわけではなく,解説のみ。そして,この解説がよく分からん。"Suzuki"という固有名詞が唐突に登場します。山下氏であればちゃんと"Tomoyuki Yamashita"とフルネームで書かれているのに。誰やねん。"Japanese ancient samurai tradition"により剣についた血をワインボトルに入れたらしいですよ。自分の歴史知識が正しいというつもりはないですが,どこの侍文化がこういうことをしていたのか,気になるところであります。ここまで分かってるならSuzukiが誰なのかはっきりせいや,出典なんやねん,とエセ関西弁を使いたくなってしまいます。おそらく,鈴木宗作氏のことではないかと推測しますが,まさか「日本人に多い苗字を適当に入れてみた」ってわけじゃあないよねえ。
 いろいろ調べてみると(といいつつほぼWikipedia知識),どうもフランス軍はベトナムにギロチンを持ち込んでいたようです。フランス以外にどれほどギロチンが広まっていたのか,ちょっと気になりますね。日本軍が使っていたとなれば,その経緯も含めて論文書けるんじゃないかしらん。あと,ギロチンを作ったギロチン氏はギロチンで処刑された,というのはどうも俗説のようです。これは知らなかった!

 そして,ジェネレータルーム。機関室ですね。特に機関は残っておらず,中は日本軍による虐殺写真であります。ペナンのものというよりも,同時期の華僑虐殺事件等の写真ではないかと思いますが,あるのは日付のみで場所が書かれていないのでよく分かりません。ここまでやるならもっとしっかりと説明つければいいのに。

ギロチン
いまいちよく分からない
機関室 問題になってるものが
よく分からず
機関室 各種写真
各種写真 証言 拷問用具 どういう趣旨の展示であれ,
ここで"Jap"という言葉を
使うべきじゃないと思うんだよな

 さらにみていきます。続いて武器庫,Armoury。解説だとなぜかyが抜けてますが。
 あと,首つり台?のようなものがあったりします。まあ,これについても,みたところ往時のものを保存している,というわけではなさそう。

 
武器庫

換気口が見えます

 そして,ここから似たような建物が続きます。居住区ゾーンであります。まあ,居住区は細部の建築にこだわるよりも機能的なものを多数作る方が大事ですからね。
 最初の頃は楽しく見てましたが,途中から飽きます。ちなみに,博物館側も途中から説明することがなくなってきたため,用語解説を始めたりしてスペースを稼いでおります。余計なことしなくていいように思うんだけれど,まあそれは運営側の意向なので逆らっても仕方ない。
 それより,なぜか本間雅晴中将の展示が盛大に行われております。自分の拙い知識によると(というか今調べた知識がほとんどだけれど),本間氏はフィリピンでのいわゆるバターン死の行軍の指揮者として戦犯となって裁かれておりますが,ペナンとは特に関係ないはず。別に日本軍のことを悪く言いたいなら自由にすればいいとは思うんですが,なんで本間氏をとりあげたんだろうか。

居住区 1930年代前半にイギリスで多く用いられていたバケツ利用のトイレとのことです
どこまで信じていいのか分かりませんが,とりあえずこれがバケツ利用のトイレであることは間違いないかと
手前がWashroon,奥がBathroom Bathroom往時はシャワーがあったようですが,特に水道管もなさそう 入口を振り返る
11人用の建物らしい 唐突に現れる
博物館スタート時の新聞
内部 中国人について
日本人から敵視されていたことを
中国人目線で書いております
この博物館が華僑の影響が強い
ことはここ以外でもなんとなく想像できます

それにしても,説明は一カ所にまとめてほしい
次の建物 こんな感じに用語解説が始まります 本間雅晴中将の記事
日焼けして読みづらい……
ところで(死の行軍の存否はさておき)
なんでフィリピンの話が
とりあげられてるんでしょう?
日本によるペナン攻略について
出典が気になるな
日本軍のペナン攻略 字が日焼けして
読む気にならない
ひたすら本間氏関連の写真が続きます

本間氏関係の写真。初めて見た写真ばかりですが,奥様は綺麗な方ですな 光の反射で読みづらい

 ネタ切れすると日本軍のことを展示するというのがこのあたりの流れでして,本間中将の次は山下氏です。まあこっちはマレーの虎ですから,取り上げるのも一応理解できます。

 
肝心の銀輪部隊についての説明がない

この虎の絵は
どこから持ってきたんだろう
  
当時の有刺鉄線。案外保存が利くんですね





 飽きてきたところで,ちょっと変わって懲罰部屋。まあ,建物の構造自体は大きく異なりません。


 続いて,マレー人居住区。例によって本当か嘘か分からん解説もありますが……。


コブラ

 ここらへんまでくると,こっちも時間的に(なんせ時間が進めば進むほど雨が降ってくる危険が高まる)あせってきており,写真も雑になってます。まあ,似たようなものが続いて飽きてるってのもあるんだけれど。そんなわけで,適宜抜粋。さらっとSexSlaveryの話が出てたりしますが,これもさらっとスルーしておきます。


あまり使用感があるように見えない
機具ですが……

 ようやく居住区終了。時間が無いので先を急ぎます。続いてIntelligenceOfficer。落書きが気になりますが,見たところ新しいですな。


 そして,地下室へのトンネル。最後に来ました。これは興奮します。
 なお,入口に叩くとトンネル内のライトが光るという触れ込みのドラムがあり,叩いてみましたが特に何も起こりませんでした。


コウモリに注意
  
最初のトンネルと異なり,左右に溝がないな

 そんなわけで,一応全体を見終わりました。最後に救護室とかもあったけど,基本構造は同じです。
 5時を過ぎていたので出口は封鎖されていて,適当に道無き道を突破して外に出ました。受付のおばちゃんが残ってたらタクシーを使うことも考えなくもなかったんですが,いないようなので坂道を下っていくことにします。

なにがしたいんだ
あと,マレー攻略は
ニイタカヤマではなく
ヒノデハヤマガタですな
トーチカその1 トーチカその2 道ばたに祀られておりました 振り返る

 最後に。Tripadvisorのこの戦争博物館の項を見ていると,まあ当然ここの展示のうさんくささにケチをつけてる人が多いんですが,それと同じくらい多いのが外国人料金の設定に対する文句。個人的には東南アジアなんかでは外国人料金の設定はありがちなのかと勝手に思い込んでいたので,もしかしたら自分の物わかりがよすぎたのかもしれませんな。こういうのは声をあげていかないと改善されないから,過度に物わかりがよすぎるのもよくない。で,その中で興味深かったのが,「我々は日本からここを解放するために戦ったのに,多めの値段を取るとは何事か」という指摘。どの国の方が書いたのかはここでは触れませんし,指摘の当否についても特に触れません。でも,日本人って少なくとも海外の観光サイトでこういうことを書く人少ないっすよね。海外だとどうなんでしょ。
 ここの展示内容についてはうさんくさいというか,特に日本人的には明らかに悪意をもたれてる感もあり,首をひねりすぎて痛めてしまいそうになりますが……でも,当時のものがそのまま残っているものも多数有り,まあこれを機にマレー作戦について調べるきっかけになればいいのかな,と肯定的に考えたいと思う次第であります。


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