ドンカスターセントレジャー

 そして,いよいよセントレジャーです。馬券はすでにtotepoolで購入済み。あとはただレースの発走を待つのみであります。それにしても,第239回目となる今年のセントレジャ−。239回っていったいなんなんでしょうかね。第1回は1776年。アメリカの独立宣言の年ですね。日本では,この頃に平賀源内がエレキテルを完成させたようです。う〜ん,もう古すぎて訳が分からない。

 さて。パドックには,出走馬の書かれたボードを持った人が並びます。なんか似たものを去年の岸和田で見た気がする。あれは風船だったか。それにしても,お高くとまってるイメージのあったイギリス競馬が,こんなことするんだなあ。
 そして,それぞれのボードの前に騎手が登場。競輪だと昼に選手紹介やりますが,レース直前にこんな感じで並ぶのもなかなかいいですね。レース前に集中したい騎手にしてみればたまったもんじゃないだろうけど。

ボードが並ぶ 人人人 騎手が登場 人人人人 騎手撤収 人人人人人

 さて。後付け知識で各馬を紹介。まずはアイルランドのオブライエン厩舎が3頭登録からの2頭出し。うち一角を占めるのが1番人気3倍のBondiBeach。ボンダイビーチってのはオーストラリアの観光地のようです。カラーカップを勝ち,グレートヴォルディジュールS2着でここに参戦。そのグレートヴォルディジュールSを勝ったのが同じく3倍のStormTheStars。アイルランドダービー2着,パリ大賞典3着の実績。続くのがオブライエン厩舎のもう1頭,Fields of Athenry。レパーズタウンのバリーローンS(G3)勝ちの実績あり。4番人気がリリーラングトリーフィリーズS(G3)を勝って参戦のSimpleVerse。ここから単勝2桁倍。Vengeur Masqueはドーヴィルのリュー賞(G3)4着からの参戦。このリュー賞も僕のWiningPost知識にはないレースなんですが,やはり2013年にG3格上げになったようです。続く26倍がグレートヴォルディジュールS5着のMedrano,最低人気67倍がゴードンS6着からニューマーケットClass2で10着ときたProposed。
 もう,見て明らかなとおり,G1馬がおらず,「セントレジャーは地位が低下している」という風の噂を如実に示しているメンバー構成であります。
 グレートヴォルディジュールSってのはセントレジャーのステップレースとして著名な歴史あるレースのようなんですが,やはりWiningPostで記憶がない……。なんかまたWiningPostをやりたくなってきた。

 そんなわけで,各馬パドックを回ります。そして,本馬場入場。

1 Bondi Beach (IRE)
2 Fields of Athenry (IRE)
3 Medrano (GB)
5 Proposed (GB)

カメラマン同行
6 Storm The Stars (USA)
7 Vengeur Masque (IRE)
8 Simple Verse (IRE)

 メンバーはさておくとしても,まさに華やかな舞台に馬が登場する,なんともいえない空気感であります。観客が多いのがまた素晴らしいですね。もちろん,本馬場入場時にBGMは流れないので(サッカーでも選手紹介が割とシンプルだし,イギリス全体が主催者が過度に盛り上げないようにしてる感はあるな。酔っ払いが暴れるのを防ぐためかもしれんけど),この緊張感はなんというか個々人がそれぞれ抱いているもので,それが競馬場全体をなんとなく包んでいる,とまあそんな空気感です。日本語が下手すぎて嫌になる。

がんばれカメラマン スタンド前で各馬がいったん滞留
ほかのレースでは見ない現象で
ちょっとよく分からない
一斉にスタート地点へ ゲート付近 ゲート脇にも人がいますね
馬主か調教師か
単なる客か
続々ゲートイン
レースは最後の直線へ
激しいたたき合いの末,SimpleVerseが優勝!!

 さて,レースは直線に入り,SimpleVerseとBondiBeach.が激しいたたき合い。そして,SimpleVerseが見事優勝!!アッゼニ騎手はセントレジャー連覇!
 写真にはありませんが,戻ってくる際,アッゼニ騎手が馬上で感無量という感じで馬の首をポンポンしていたのが非常に印象に残っております。そして,戻ってきてからウイナーズサークルでうれしそうに両手でガッツポーズ的なことをしていたのもとてもいい光景でした。こういうシーンを撮り逃す自分の写真センスを疑う。

1着馬の場所に
SimpleVerseのボードが
各馬が戻ってきます マスコミがSimpleVerseのもとへ 誘導馬登場
馬上インタビュー 誘導馬の後を追うSimpleVerse
中に入ってきます 誘導馬(右)も
なかなかの顔ですね
SimpleVerse到着 下馬
Ladbrokesの馬服を着る この時点で
Steward Enquiry
の文字に気付いていなかった
祝福の時を待つ
おっさんが話している先は
もしかしたら裁決だったのかな
水を飲むSimpleVerse

 そして,時間が流れます。正直,この時点で自分は何も知らなかった。おそらく英語力があれば「審議してるから待ってろ」的なことに気付けたのでしょうが,このとき自分が思っていたのは「確定遅いな」程度でした。
 そして,このアナウンスは理解できた。"Winner Revealed"
 場内にどよめき。ここは紳士の国イギリスなので,暴動的なことが起きるわけでもなく,金返せコールが出るわけでもなく,とりあえず自分が知覚できたのはアナウンス直後の"Oh〜"というどよめきだけでした。

 それにしても,旅打ち好きとはいえ,たかがしれてますから,海外G1なんて10個も見てないわけです。そんなおいらがベルモントの111回フューチュリティS以来,2回目のG1・1着降着目撃ですよ。なんだこれ。どういう巡り合わせだ。

 アナウンスがかかってから,ちょっと手元のスマホでTwitterをチェックしまして,日本語でも降着を確認。そして,どうも裁決の様子がテレビ放送されていたらしい。凄い国だなイギリス。なお,この様子はYoutubeにも残っておりました。At The Racesがアップしてるのでそう簡単には消えないだろ。レースそれ自体もAt The Racesがアップしております(これ)。正直,横から見てる限りではなんとも思わなかった(写真にかまけてレースしっかり見てないせいだろ,と言われると返す言葉がない)んですが,まあ正面映像だと確かにそれなりにアタックしてます。これ,道中3番手から直線で内に押し込まれて行き場をなくしたのが原因なんでしょうが,(その後抜け出すところで無理したのはさておき)こうなったことについてアッゼニ騎手はどう語ってるのだろうか。いかんせん英語を読む気にならないのでアッゼニコメントを探す気力がわかないし,裁決のYoutubeも音声を聞く気力がない。

 というわけで,1着降着で,優勝はBondiBeach。今までボード持ってきたり馬服着せたりして完全にSimpleVerse優勝モードだったのが一気にひっくり返るわけです。勘弁してくれ。





慰められるアッゼニ騎手 迎えられるオドノヒュー 表彰式 なぜかGrandNationalNews
でも降着情報が
プレートを掲げる
オドノヒュー
帽子が若干ださい


 そして。
 皆さんもうご存じですね。2段オチがつきます。
 その後,裁決がひっくり返り,SimpleVerseが優勝!

THE LADBROKES ST LEGER STAKES
1 8 Simple Verse (IRE) Andrea Atzeni Ralph Beckett 8/1 £3.00
2 1 Bondi Beach (IRE) Colm O'Donoghue Aidan O'Brien Head 2/1 £2.90 £1.50
3 2 Fields of Athenry (IRE) Silvestre De Sousa Aidan O'Brien 1 3/4 Length 10/3
4 6 Storm The Stars (USA) Pat Cosgrave William Haggas Nose 2/1
5 7 Vengeur Masque (IRE) Umberto Rispoli M. Delzangles 9 Lengths 16/1
6 3 Medrano (GB) Fergal Lynch David Brown 3/4 Length 25/1
7 5 Proposed (GB) Pat Dobbs Richard Hannon 7 Lengths 66/1
NR 4 Order of St George (IRE) Aidan O'Brien (Ireland) -- --

 とまあ,出入りの激しいセントレジャーでしたが,このイギリス最古のクラシックレース,しかも降着があったりなかったりという激しいレースを生で見られて本当によかった。ここに来た甲斐がありました。
 結果を見ると,やはり当日の裁決ベースで払い戻しをしているようであります。他方,ブックメーカーがどういう扱いをしてるのかはちょっとよく分からない。

 なお,SimpleVerseは次走アスコットのG1,ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークスにも勝利し,G1を連勝して2015年シーズンを締めくくっております。
 また,2着になったかと思ったら1着になって,結局2着になったBondiBeachは,この次のレースに同じく長距離戦,オーストラリアのメルボルンSを選択。フェイムゲーム・ホッコーブレーヴと対決し,ホッコーブレーヴの1つ上の16着に終わっております。フェイムゲームは13着,2015年のジャパンカップに登場したTripToParisが4着だったレースでありました。
 3着以下の各馬はこのレースが2015年最終のようです。

 そんなわけで,気付いたら5レースだ(表彰式の後ろでパドックに5R出走馬が回ってるのが分かりますね)。


ドンカスター競馬その3その5


イギリス第1週旅行記TOP旅打ち