ロシア旅行記 その1

導入

 ロシアという国には以前から行きたいと思っておりました。
 なにしろ,涼しそう,あのテトリスで有名なワシリー寺院(注:名前はよく分かってなかった)の独特な姿,芸術的にも面白そう,今発展途上で面白そう,などなど,魅力にあふれております。

 前年は気付いたら競馬開催期間が終わっていたのと仕事が一杯で旅行そのものを断念してしまいましたが,2012年はなんとかかんとか休みをゲットしていざロシア。
 しかし,ロシアという国は調べるだけで面倒な国です。ビザがいるだけなら別に構わないのですが,バウチャー制なるシステムを採用して,入国前に全行程を定める必要あり。なんだそれは。「入念な準備に基づく行き当たりばったりな旅行」をモットーとするNPにとって,行き当たりばったりを封じられると単に「入念な準備をした旅行」しか残らず,それだったらパック旅行でもいいんじゃないか,とさえ思えてきます。しかし,パック旅行も魅力的なプランがない(なぜかフリータイムが少ないプランが多い。これじゃあ競馬に行けない)。
 とまあ,ぐだぐだと計画を立てていたのですが,仕事の関係で具体的に日程を決めたのが出発予定日から既に1ヶ月を切った状態。ここでユーラスツアーズという旅行代理店に申し訳なさそうに乗り込んで,旅行プランを組んでいただいたのでした。直前だったのでビザ取得に追加料金取られましたが,結論として2週間前であればビザとバウチャーをなんとかできるっぽいな。ネットで見る限り(旅行記を書く+ロシアに行くような旅行慣れした方で)1ヶ月切った状態ですべてを開始した人間はほとんどいないっぽいですが。
 お値段的には,東京→サンクトペテルブルク→カザン→モスクワと一筆書きするのが一番安いようで,そのプランを勧められました。しかし,こちとら競馬場に行かないと何をしに行くのか(特にカザン)よく分からないわけで,旅程を東京→モスクワ→サンクトペテルブルク→カザン→モスクワに変更していただきました。「競馬」などという理由はお伝えしていなかったので,旅行会社の方は不思議がったかもしれません。そもそも,カザンという町自体「地球の歩き方」で半ページしか取り扱われていないような状態で,いくらタタールの首都とはいっても初ロシアの日本人が何泊もして行く場所じゃないよな。

 合わせて,申込時に聞かれたのが「空港からホテルまでの足」について。とりあえず保留にして調べて決めることにしました。
 調べて見たところ,モスクワは現在進行形で整備が進んでいるけれど,サンクトペテルブルクは一般路線バスで一般人に不向き,カザンに至っては情報皆無,と判明。てなわけで,モスクワのみ中間移動は自力,その他は送迎付で申し込んでみました。

 すべてが終わった今となっては,↑を書いていて若干むなしくもなり,いい思い出だと思いつつもありという感じでありますな。

1日目

 そんなわけで,バタバタしつつ,旅行前に気合いで仕事を片付けていざロシアであります。
 その前に。
 びっくりしました,日暮里駅。なんですかこれは。日暮里といったらボロくさい下町駅だという認識しかなく,「京成上野に比べて乗換えが便利だから使う」程度の認識だったのに。5年間の間に,京成ともども大進化をとげておりました。興奮して写真撮っちゃいましたよ。いやー,びっくらこいた。

日暮里駅 なんだこの綺麗なホームは スカイライナーも綺麗になってる ナリタクウコウ

 で,アエロフロートでチェックイン。開いている窓口が少ないために一部の旅慣れたツアーの方々が不満を漏らしておられました。まあこちとら乗り遅れさえしなければいいので(まだ1時間30分あったし),後ろの人に抜かれてもいいんだけれど,いろいろ文句を言われてた空港職員さんはご愁傷様でした。個人的には,いらついて追い抜いていったおじさまには競馬場等で締め切り前の列に並んで精神を鍛えていっていただきたいと思う所存であります。
 あと,人生で初めて国際線をe-ticketで飛びましたが,便利ですね,これ。あの赤いトレーシングペーパーが懐かしい。
 職場の人に「ロシアにアエロフロートで行く」と行ったら驚かれたのですが,アエロフロートってそういう扱いなんですかね?平和ボケして冷戦時代のアエロフロートのイメージが皆無であります。それにしても,モスクワ便って毎日飛んでるのに,思いのほかパックツアーに自由延泊プランがないような気がするんですが,これって僕の検索の仕方が悪かったせいかな?
 久々の国際線です。離陸直前にベルトサインを4回鳴らすのは全世界共通なんだろうな−。あと,ここは乗務員さんがシートベルトの確認のために歩き回っておりませんでした。
 そんなこんなで,10時間弱の航空機内は,睡眠不足のカバーと読書で終わり。座席は無事通路側がとれ,横は若い夫婦だったので非常に楽でした。
 今回,自分個人の旅行では初めてブックオフの105円本を持って行って現地で捨てる,という行動をとってみたのですが,やはりまだ読める本を捨てるというのは勇気がいるな。どこかに日本語に飢えてる人がいたなら本をいくらでも譲ってあげたんだけど,まあそんな人が簡単に見つかるわけもなく(ドミトリーに泊まれたならまた違ったのかもしれんけど)。

最近はどんな航空会社でもついてますね 料理 バスでターミナルへ お疲れ様でした

 「とんでもなくおんぼろ」という噂と,「最近とんでもなく綺麗になった」という噂が同居するモスクワシェレメチェボ空港。ボーディングブリッジではなくタラップだったので,「ああやっぱり」とか失礼なことを思っていたところ,着いてみたら,びっくりするくらい綺麗な空港が登場しました。およよ。
 この時点ではロシアの撮影危険度がよく分かってなかったので,とりあえず入国審査から遠い場所で数枚写真を撮って入国審査。
 事前に「ロシア国民の列は早く流れ,ロシア国民がはけると外国人もOKになる」という情報を掴んでいたのに,ロシア国民の窓口から遠目の場所に並んでしまったおいらは一体何のために事前情報収集をしていたのだろうか……。
 あと,モスクワ便に乗っておられた日本人の方は相当数が単なる乗り継ぎで,ここからスペインやらなんやらへと旅立って行かれるようでした。そして,そういう方は窓口が別らしく,延々並んだ結果別窓口を示されてはい残念,というような方もおられました。まあ,旅ってそういうもんだよね。

 あと,今回初めてやってみたことといえば,バックパックの機内持ち込み。そもそもバックパックを背負って海外に行ったのも過去4回くらいしかないわけですが(墨,豪,越南,中欧),いずれもバックパックは機内に預けてデイパックだけ持ち込んでました。今回は初めてバックパックを機内に持ち込んでみたのですが,機内に入れた方がやっぱり便利っすね。頭上の棚の空きスペース争奪戦がおこるのかと思ったらそんなこともなかったし。
 そんなわけで,荷物を待たずして外に出ます。さあいざおそロシア!

 一歩外に出ると,どこにでもいるネームカード持った送迎者と,タクシーの客引き。
 しかし,ここでまずやらないといけないことは,両替です。これも今回初めてやってみたのですが,今回はすべてキャッシングで両替してみました。これは単純に持ち込む日本円を減らしたかったのと,両替可能な銀行めぐりするのも面倒だったためです。で,さっそく空港でATMを探します。
 客引きは出口一カ所に集結しておりますので,そこをはずれると空港に人はまばら。まばらといっても空港内なのでそれなりの雰囲気の良さがあり,ATMを使っている背後から人がやってきてああ怖い,という雰囲気はありません。てなわけで,ゆっくり時間をかけてお金を出します。
 いやあ,人生初のキャッシングですが,怖いですね。ほんと,これ,慣れてきた人がキャッシングと預金の引き出しの区別がつかなくなる理由が分かる気がします。本当にこれは危険。業者が様々な手を使ってなんでもいいからカードを作らせようとする理由がよく分かります。

 とりあえずロシアルーブルを入手したので,続いて送迎サービスの利用であります。
 使ったのはアカデムサービスという業者で(こっちが選んだわけでなく旅行代理店が選んだのだが),とりあえずカウンターへ。
 すると,「席を空けてるからちょっと待ってろ,なんかあったら携帯へ」という表示が。しばらく待ってもなかなか担当者が戻ってこず,結構不安にさせられましたが(確か到着から2時間超えると追加料金か何かだったはず),結局無事お姉さんが戻ってきました。システムとしては,お姉さんが携帯で運転手の携帯に電話し,空港の一時停車地帯で待っていると車がやってくるというもの。ドライバー氏はロシア人で,英語はナッシング。
 事前情報ではなにかにつけてバウチャーを処理することになってたのですが,ドライバー氏は全くバウチャーをチェックせずに出発しました。というか,最終的にバウチャーは全くチェックされずに終わりました。まあ,現実の運用はこんなもんなんだろうな……。

到着直後 電話 ロシアのトイレ ATM 多分現場で頼める送迎サービス
料金は地域で分かれてるんだろうな
出口に群がる人々 到着案内
液晶はLGだらけでした…
ここで車を待つ

 そんなこんなで道路をかっ飛ばしてホテルへ。
 マニュアル車で,加速時に大きな音がするので結構事故が怖かったですが,イメージほどスピードは出てなかったのかもな。
 ただ,そこそこ事故車両はおり,しかも道路の真ん中(片側3車線だとしたら真ん中の車線)で止まっている車なんかもおりました。こんなんだから渋滞するんだよな……。

 で,ホテルに到着であります。
 フロントは英語OK。パスポートは写しを渡すだけでした。なんかパスポートを渡してレジストレーションが必要云々言われてた気がするのですが,大丈夫なのか……?(結果的に全く問題ありませんでした)

 鍵はカードキー方式。エレベーターホール入口でごついおっさんがにらみをきかせておりますが,最初間違ったホールに入ったNPが何か注意された,ということもないので,もしかしたらKGBをクビになった単なる穀潰しの可能性もあります。エレベーターを降りると,カードを入れてドアを開けて部屋部分へ……と思ったら,どうも電気錠が呼称していたようで,カードを入れなくても部屋への廊下に立ち入り可能でした。

VEGA 18度くらいで,ちょうどいい 廊下


 さて,部屋に荷物を置き,とりあえず食事と地下鉄回数券を求めて外出。
 地下鉄の駅が至近距離にあることは事前情報で入手済でしたが,地下鉄の入口を見つけるのにちょっと時間がかかりました。この辺はモスクワの地下鉄に慣れてないから勘が働かないのもやむなし。駅は基本的に一方通行で,入口用のドアと出口用のドアが分かれております。バッタンバッタンするドアで,下手すると頭を打ちかねません(打たなかったけど)。この手のドアって見覚えあるな。どこの国だろうか…?
 で,階段を下りたところにカッサ発見。事前に10を指すロシア語は暗記しておきましたが,結局紙に「10」と書いて見せたら無事10回分の回数券をゲットできました。ロシアでの初買い物は無事完了。お釣りがあってるかどうかなんてそもそもどの小銭がなにを指してるか分からないNPには分かりっこありません。ただ,その後もロシアでは露骨なお釣りごまかしには気付きませんでした。露骨じゃないごまかしの存在は不明ですが,こういうのは気付かないのが吉であります。

 続いての買物は夕食。
 地下鉄への道中サブウェイが目につきましたが,サブウェイといえば生野菜がセットになってついてきそうなので却下。
 地下鉄駅のまわりにはいくつかデリカテッセン(ロシアではこういう呼び方をしてないっぽいですが)がありました。ここで適宜指さして注文可能。適度に火が通ってて肉と野菜が混じってそうなブツを注文すると,計算機で値段を表示してくれました。買物に言葉など不要なのです。しかし,なんかよく分からん食べ物だったな。でも自力で注文して食べられたので満足であります。

パルチザン 回数券 サブウェイ よく分からない食べ物

 そんなわけで,爆睡。2日目へ。

旅行記ロシアTOPその2