大阪に五輪は必要か?

 常に話題が後手後手に回ってしまっています。これは大阪が2008年五輪の一次選考を通った時に書こうとしていたものですが、どんどん遅れてシドニー五輪直前として書こうと思っていたら、開幕してしまいました。とは言うものの、実際書くのは実はこの1次選考についてではなく、いつあったかも忘れてしまった、国内選考の方です。この2008年の五輪には日本では大阪と横浜が立候補していました。IOCに実際に立候補を届けられるのは1つの国に1都市だけなので国内選考が行われ、大方の予想通り大阪にきまったのですが、僕は横浜の案であった広域開催に非常に興味を持ちました。1つの都市で開催することが、オリンピック憲章かなんかに書いてあったと思うのですが、実際問題今それは無理であり、サッカーをはじめいくつかの都市で行われているわけですが、それを思いきって初めから広域開催としてしまうのはいい案だと思ったのです。1つの都市であれだけ巨大化した五輪を開催するためには、いろんな施設を作らなければなりません。その中には当然、五輪の後はほとんど使われないような施設もあるわけです。それまでは無かった、つまり必要無かったものですから、そうなることが多いのも仕方ないことでしょう。長野も、リュージュ、ボブスレーの会場となったスパイラルや、あのスピードスケート会場となったエムウェーブも、今は需要が無く維持にさえ苦しんでいるはずです。確かに一時的には五輪景気というのは生まれますが、こういった負の遺産も出してしまうのです。熱しやすく冷めやすい日本人には特に顕著になると思われます。また、交通の問題もあります。シドニーでも、1番大きな問題としてよく言われていますが、これだけの人が一度に集まれば、多かれ少なかれ交通の問題は起こります。シドニーは(土地があったため)いわゆる分村を作らずに、選手村を1ヶ所に作ったそうですが、やはり移動手段の問題は大きなものでした。なるべくマイカーを使わずに公共の交通手段を使うように勧めたりしているそうですが、その肝心の公共の交通手段がまともに動いていないのでは話になりません。施設が密集していると、こういった問題が悪化していくのです。大阪はシドニーよりは地下鉄などの交通手段は発達しているのだろうと勝手に考えていますが、そうだとしても、普段から人が集まっているところに世界中から人が集まってくるのですから、交通の乱れは避けられないでしょう。その点、広域開催はこの問題をかなり軽減できると思うのです。8年後、というよりこれからの五輪が今より巨大化していくことはほぼ間違いないので、それを1つの都市に押しこめるのは不可能になっていくと思います。だからもう開き直って、1つの都市という憲章の文句のこだわらず、あるいはこれを改正して、都市を中心とした地域で開催するとすればいいのです。今でもそうなっていますが、これを明文化することに意味があると思います。選手村もどうどうと分けてしまえばいいのです。これも、今回シドニーだから分村無しですんだだけであって、元からひとつに収めるのはかなり無理があったのですから、もっとはっきりと複数の選手村を作ればいいのです。こうすれば、選手も観客も分散するため、移動も楽になるでしょう。1つの五輪という感じがしないという反論もあるでしょうが、その時代時代に合わせていくことも必要だと思います。もともと、選手全員との交流があったわけでもないのですから、分かれた選手村でも十分オリンピックの雰囲気は味わえると思いますし、開会式だけでも集まればいいと思います。

 以上、広域開催の提案でした。

こういう題にしてしまった以上、大阪にも触れておいたほうがいいでしょう。この前、記者会見がありましたが、やはり大阪の売りは競技施設の充実です。しかし市民の盛り上がりには欠けます。やはりなんとなく、上に書いたように五輪など開いてもろくなことは無いと思っているのかもしれません。それでもまた上に書いたように、熱しやすく冷めやすい日本人のことですから、いざやるとなったら盛り上がるのでしょうが、わざわざ多額の税金を使ってまで大阪が五輪を開催して、景気を刺激する必要は無いと思います。開催能力さえあるのなら、2000年五輪でシドニーの前に涙を飲んだ北京でいいのではないでしょうか。