長老たるもの相撲も見る


 長老たるもの、相撲も見ます。近頃相撲がまた面白くなってきました。大阪以外の場所で、満員御礼が続かなくなって久しいですが、一時期よりは格段に楽しめるようになってきました。昔は見てたけど、最近は全然見てないよ、という方へ、あるいは相撲なんてまったく興味が無いよ、という方へ、読んで欲しいと思います。とは言っても、僕もあまり相撲に関する知識があるわけでもなく、そこまで見ているわけでもない(実を言うとあまり見ていない)ので、そんなに詳しいことは書けません。また、表現にも不安があります。そのへんはご容赦願います。

 まず僕のひいき力士の変遷から。変遷と書きましたが、ほぼ変わっていません。最初は、今からさかのぼること十ン年。「学研」かなんかで取り上げられていたことがきっかけで、小錦のファンでした。その頃はなんにしろ、なにかで取り上げられた人のファンになってました。辰吉丈一郎や、アイルトン・セナもです(たぶんちょっと時期が違います)。ファンというよりは応援する、勝ってほしいな、くらいですが。皆さんもそういうことはあるんではないでしょうか。あっ、あの時に見た人だ、応援しちゃお、ってのは少なからずあると思います。小錦は息の長い力士だったので、長い間応援していたんですが、そのうち、同部屋のつまり高砂部屋の力士、水戸泉も応援するようになりました。塩まきで有名な力士です。現在は2人とも引退し、高砂部屋の関取は闘牙1人です。この闘牙はもみ上げで有名ですが、最近は交通事故で話題になりました。こうしてみるとみんな相撲以外でも、話題になってますね。先場所は、その事故のため出場辞退ということになり、十両に落ちてしまいましたが、今場所復帰して10勝5敗。来場所は幕内に戻ると思います。奮起して十両でくらい優勝して欲しかったんですが、優勝決定戦で負けてました。負けてました、と書きましたが、今場所闘牙の相撲は1回も見ていません。どこがファンだ、と突っ込まれそうですが、十両のため時間が早すぎたということで勘弁してください。ちなみに、小錦のファンだったので、KONISHIKIのファンではありません。

 ファンとして応援しているのは高砂部屋の力士ですが、優勝争いしている力士にも好き嫌いが出てきます。例えば、昔の貴乃花はかなり嫌いでした。曙も一時期嫌いでした。でも、最近の上位陣では嫌いな力士はいませんね。貴乃花の四つ相撲、万全の寄り切りなんて好きですし。これは自分でも昔とかなり変わったと思います。やっぱり昔は派手な方が好きでしたから。そしてやはり一押しは魁皇です。

 魁皇・・・春場所優勝力士。現在最も横綱に近い大関であるのはもちろんだが、純粋に、現在一番強い力士である、といっても過言ではないはず。それほど今は充実している。早くからその器の大きさは認められていたが、ここ一番での精神的なもろさからこれまではチャンスを逸していた。しかし、今場所、常にトップに立ちつづけながら優勝したことで完全に吹っ切れたのではないか。来場所の相撲が楽しみである。
 かつてから右上手を取ったらまず負けない、強引な上手投げが有名であったが、今もそれは健在。持ち味である「力」を前面に押し出した相撲が多い。小手投げは危険なほど(相手の骨が折れたことが2回ほどあり、本人も気にしているようなので、触れないべきなんだろうが、一応)。ただ、今場所雅山戦から何度も見せた、立ち合い遅れ気味に立ってからのとったりはやり過ぎだろう。立ち合いにはまだ課題があるのか。

 琴光喜・・・九州場所で僕に、相撲面白いな、と思わせた力士。その九州場所では、実質新入幕ながら13勝をあげ、優勝争いを盛り上げた。特に武蔵川部屋の横綱大関陣を4連破したのは圧巻。一気に関脇まで昇進した初場所は負け越したが、今場所10勝で技能賞。また三役に戻るだろう。技能賞を取っているように、次に何をやってくれるか楽しみが持てる力士である。まだ幕内では3場所。まだまだこれからに期待が持てる。また、それに応えるだけのものを持っていると確信している。

 うう……。なんでこんな文体になったんでしょう。こんなふうに書いてみたかったんでしょうか。おかげで、上の九州場所について書きづらくなってしまいました。客観的に書いているのに、その中に個人的な感想は書きにくかった、ということです。改めて、その九州場所に話を戻します。僕にとって相撲は、その時間に家にいれば見ようかな(いたとしても見るとは限りませんが)、くらいであとはスポーツニュースでちょっと見るくらいです。貴乃花も弱くなっちゃって(強かったころは嫌いでした)、なんか面白くないなあ、と思っていたときにでてきたのが琴光喜でした。学生相撲のころから名前を聞いていた力士(このころは田宮といいました)で、どんどん上に上がっていくのでちょっと注目していた力士でした。それが面白いように勝っていくのです。勝ち越した後に上位陣とぶつけられますが、なんと横綱武蔵丸に勝ち、貴乃花には敗れますが、今度は大関出島を破ります。今ではさすがに覚えていませんが、決まり手が寄り切りなので、立ち合いから圧倒したんではないでしょうか。次は何をしてくれるんだろう、と興味をわかせてくれた記憶はあります。その、次の雅山戦、土俵中央付近で組み合って動きが止まって、どうなるんだろうと思った瞬間、雅山がひざから崩れ落ちました。なんだ、出し投げか(内無双でした)、とにかくまたも大関を破ったのはたしかでした。これだけ期待通りに、つまり僕が予想できないやり方で勝ってくれたので、かなり興奮しました。この場所は若の里の活躍もあり、僕には非常に面白く感じました。これでまた客が集まるんだったら本物だな、と思いましたが、そうは甘くありませんでした。その九州場所も、次の初場所もあまり客は入ってなかったはずです。まだまだ相撲離れは止まらないのでしょうか。

 最初に、一時期よりは格段に面白くなった、と書きましたが、八百長問題や無気力相撲の問題がありました。顕著なのは、7勝7敗で千秋楽を迎えた力士で、7勝7敗同士でぶつかる以外は面白いほどに勝ち越すのです。たしかに、相撲において勝ち越しと負け越しの差はあまりに大きいので、7勝7敗で千秋楽を迎えれば、負けられないと気合が入るでしょうが、あまりに極端過ぎるのです。だいたい、気合が入ったくらいで勝てるくらいなら、その前に勝っているはずです。このへんに星の貸し借り、自分もこういうことがあったときのためにここは貸しを作っておこう、と暗黙の了解にしろ、あったと勘ぐられても仕方ないと思います。それが、問題が表面化して、対策を打ち出した途端、変わりました。統計を取ったわけではないので、はっきりとは言えませんが、今は千秋楽で負け越す力士がいるのです(が、今場所の成績を調べたらいなかった)。千秋楽の取り組みの決定を遅らせて、できるだけ7勝7敗同士をぶつけて、盛り上げようともしました。これが効果が出るとき、それまでのは八百長だったのかといわれるのを承知でこの対策を打ち出したことは、価値があると思います。こうした対策(微々たるものではありますが)と、琴光喜などの新勢力と貴乃花などの役力士が相撲を盛り上げていって、人気の復活につながってくれれば、と考えています。