ブーメラン

さて、今日のSAMの日記で初めてSAMがブーメランの原理について気にしていることを知った。えっと、話すと長くなるので、明日以降に何回か分けて書きます。て、いうか、昔日記で書いてたのね。余裕で読み飛ばしてた。ちなみに、SinとCosはどう関係があるのだかはしらん。ジャイロの定理の原理は何となく分かってるつもり。ちなみにブーメランはジャイロだけじゃ全然説けない、流体力学と振動力学って奴ね(結構好きなジャンル)。ちなみに知ってる人いないかもしんないけど、去年のル・マン24時間レースでメルゼデスの車が勝手に宙を舞ったのはブーメランの原理に似通っている。詳しくは、明日以降に。
(2000年7月7日<金>03時22分)

ジャイロ

えー、SAMの言っているページに行ってみた。SinとCosがどう関係があるのかは分かるが、ジャイロの定理そのものやブーメランには関係ない気がする。他の文献に関係あるみたいな事書いてあったらごめんよ。でも少なくともあの話は別の話。
(2000年7月7日<金>03時34分)

連載第1回ージャイロ効果ー

さて、SAMのいっているサインカーブについては置いておくとして(というか、ジャイロ効果そのものには関係ない。プロペラ学でちょっと使うだけ)、まず、ジャイロ効果について説明しましょう。
まず、超高速で回転している結構質量のあるコマが台の上にあったとします。そこでこの台を斜めに傾けたらどうなるでしょうか?コマは、斜めにはならずに真っ直ぐなままずりずり落ちていくと思いませんか?このように、高速で回転する物にはこの回転軸(と回転している面)を変えまいとする力が働くのです。これがジャイロ効果の概要。具体的に理系的に説明すると、運動する物体には中学物理で習う運動量の他に、角運動量(=角速度×質量)というものがあって、これも立派な運動に対して働いている力の総計なのです。で、この角運動量が大きな物の軸の方向そのものを変えるのには大きな力が必要なのです。ちなみに、同様に、スピードが早い物の進行方向を変えるのにも大きな力が必要です。たとえば、僕らが歩いていて真っ直ぐ歩けないほどの風が吹いていたとしても、すごいスピードで走っているお馬さんは真っ直ぐはしれちゃうかもしれないと言うことです。
では、自転車の話に移りましょう。そこそこのスピードで走っている自転車の車輪はなかなか高速で回転しているので、当然ジャイロ効果の恩恵を受けることができます。この自転車が横に倒れるのをイメージしてみると、車輪の回転軸はどんどん水平方向から垂直方向へ変化していくのですが、先ほど言ったように、ジャイロ効果により、それを妨げるような力が働くのです。ですから、走っている自転車は容易なことでは倒れません。ちなみに、私たちの走っている自転車なんてのはどうせスピードが対したこと無いのですから、私たちが「安定しよう」という意志を持っていなければ倒れます。競輪選手がゴールした直後に手を離して喜べるのはひとえに速いからで、ジャイロ効果のために安定しているからです。えー、じゃあ、なぜ落車するのかとかそういうことは本筋からは外れるし語るのは無駄なような気がするので止めましょう。
ジャイロ効果の話はこんなもんで良いでしょうか?あ、言っておきますがこんな事が分かってもなぜブーメランはあんな飛び方をするのかは分かりません。ジャイロ効果はずーっと後に使います。
(2000年7月8日<土>03時05分)

調子に乗って第2回ー揚力ー

えーと、ブーメランの話はまだです。
今回はブーメランに働く重力以外の力、揚力について話しましょう。
ブーメランの翼の形は、旧式の飛行機の翼とそっくりです。底面がほぼ平らで、背面はわずかにふくらんだ曲面となっています。
 このような物体の周囲を気体や液体が通過する場合、どのような力が生じるでしょうか?。
 流れる物質を取り扱う場合、これを流体と言い、理解を助けるため流線と言うものを考えます。これは水の流れの中に一定の間隔を取って墨を流したり、空気の流れに煙をなびかせている状態です。
 流体の中に円柱形の障害物を置いてみましょう。
流れている物質は障害物を避けて流れなければなりません。流れが遅いうちは、流線はきれいに並んで流れています。−層流と言う状態です。
 流れをだんだんと速くなると、渦は乱雑になります。 −乱流と言います−
 いきなり乱流になるのではなく、渦が交互に現れる現象が観察できますが、本題とは関係ないので省きます。
 次に流れの中に、断面が変化する板状の物体をいれた場合を考えてみます。最初に物体を流れに平行に入れてみます。もちろん、流体は物体をよけて流れます。
 この状態で板の一方-上面-を少しずつ膨らませていきます。すると流体の流れるみちのり(道程)は長くなります。長くなると、そこを流れる流体の速度-流速-が速くなります。流速が大きくなればなるほど圧力が減少します。これは、なぜかといわれると、概念的な物しか説明ができないのですが、実際にベルヌーイの定理と言うていりによってこのことは証明されています。証明は知りません。
 この板の上面は下面にくらべ圧力が減少するため板は上に力を受けます。この力を揚力と言い、これがブーメランを持ち上げる力となっています。ですから、旧式の飛行機は浮くのです。
さて。次回からやっと実際のブーメランにかかる力の話ができそうです。では。
(2000年7月8日<土>03時16分)
 

長老 投稿日:2000年7月9日<日>04時01分

はなう先生に質問。ジャイロ効果って、慣性の法則と関係あるの?

SAM 投稿日:2000年7月10日<月>00時41分

さっさとブーメランを説明しよう。

3日ぶり第3回ー本題の前にブーメランの基本ー

まずはじめに、ここんとこ書かなかったのは単におっくうだからなのと、長老の質問に迷ったのがあいまったからです。
えー結構考えたのですがおそらくジャイロ効果と慣性の法則は関係ないのではないかと思います。どちらも動かないでじっと安定しているときに下の台を動かすと逆方向に力がかかるので同じように思えるのですが、ジャイロ効果はあくまでも動かないことに力が使われるのに対し、慣性の法則はかかる加速度の逆方向に力がかかる、言ってしまえばジャイロ効果は自分勝手な効果で慣性の法則は周りあっての効果なので(そもそも発生原理も大違いですし)関係はないのではないのかと思います。

では、本題に入る前にブーメランはどのように飛ぶのかについて意志の疎通がなされていないと意味がないので、その辺から書きます。

 ブーメランは、フリスビーなどの投げ方とは異なります。ブーメランの裏面(腹側)を外側、ふくらんだ表面(背面)側を投げ手側に向けて構えます。刀を握るようにしっかりと持ちます。なお、表から見て“く"の字の上側を持つ事になります。

 ブーメランは、垂直面からわずか(5〜30度程度)外に傾けて構えます。ブーメランは、フリスビーのように水平にして投げる物ではありません。水平に近くまで傾けて投げるとブーメランは急激に上昇し、やがて地面に猛烈な勢いで衝突してしまいます。こうなると多くの場合ブーメランはふたつ以上に分裂(数は増えますがね)して、2度と投げる事ができなくなります。もちろん、悪いことばかりではなく、分裂した物を投げてみると、あの“く"の字でなければ、飛ばないことの確証にはなりますがね。

 このブーメランを、刀を振り下ろす前のように手首を後ろ(背中側)に倒してから、前方にほぼ地平線方向に投げます。手から離れる瞬間に手首のスナップを利かせてブーメランに前回転を与えてください。

 実際に投げるとわかりますが、投げる強さよりもブーメランの回転の方がはるかに重要です。投げる強さで飛行半径は変わりません。

 強く回転させるとフラッフラッとして失速して墜落する場合、翼の迎え角が大きすぎ失速することがおおいので、もっと垂直の近くにして投げます。

ちなみに。風が強い時は避けましょう、かなり思わぬ方向に旋回して危険です。

 ブーメランが途中で旋回をやめてしまう場合は、揚力、回転モーメントのいずれか、または両方の不足や、投げ出し時の角度が寝過ぎているなどが考えられます。


 では、ブーメランの飛び方を良く観察しましょう。最初はほぼ垂直面で回転しながら前方に向かって飛行していますが、やがてブーメランの表(背面)を投げ手の方に見せるように左に旋回をはじめます(右手投げの場合。以下同じ)。やがてブーメランの回転もスピードも落ちているのに、ほとんど高度を一定に保ちながら投げ手の方へ戻って来ます。ブーメランの回転も最初は、垂直に回転しているものが、飛行の最終時点ではほとんど水平になっています。調子の良いブーメランは出発点に戻り、その付近でヘリコプターのようにホバリングを続けながらゆっくりと降下をはじめます。

と、まあ、こんなかんじなのです。では(ああ、やっとだ)、なぜ、こうなるのでしょうか。それは次回に。

第4回ーなぜブーメランは戻るのかー

さて、ついに本題に来た気がします、なぜ、ブーメランはあんな動きをするのかという事です!

 ブーメランは、最初にはほとんど垂直な状態で回転しています。そのブーメランには2回目に説明した揚力がかかっているのですが、ほとんど垂直なので、揚力の大部分は横向きの力(水平方向)で、上向きの力(垂直方向)はごくわずかですが、このごくわずかの力でブーメランを空中に支えています。

 ブーメランが回転しながら飛行している場合、重心から上の翼は飛行速度に回転が加わり、翼の表面の風速は速いはずです。しかし、下部の翼は進行方向と逆方向に回転しているので、当然風速は遅くなります。そのためいつも上部の翼の揚力が大きいはずです。もっとも、あまり大差ないですが。

さて、ようやっとジャイロ効果の登場でございます。と、言っても少しですが。さて、ちょっと外側に傾いているブーメランにそのような水平方向(しかも上と下で力に強弱あり)の力がかかると、本来ならブーメランの回転軸はどんどん傾いたりしていきます。しかし、ジャイロ効果という物のために、かたくなに抵抗をしてきます。では、どうなるかというと、結局回転軸はまったく動かず、そのかわりブーメランそのものが旋回を始めるのです。どういうことでしょう?

 理系の人は、ただの力の合成と円運動なのでこんなの必要ないと思いますが、SAM用に丁寧に始めます。まず、サッカーボールがあるとしましょう。この球を手前側から向こう側に蹴ります。当然前に飛んでいきますよね。では、つぎに、このボールが左斜め前方にあるげっちゅうにひもでつながれているとします。また同じように、鉄柱とは関係なく、ただ手前から向こうに蹴ります。すると、ボールはひもにつながれているので鉄柱を中心に円を描くようにぐるぐる回ると思いませんか?これは、なぜかというと、ひもがピンと張っているときにはひもを介して鉄柱側が引っ張っているのです。

 で、ブーメランはこれとまったく同じ原理なのです。ブーメランは向こう側に投げたらただ真っ直ぐ行きたいのですが先ほどの水平方向の力がよこからずんずんかかります。で、真っ直ぐ行くのと内側に引っ張るのとが相まって、円を描くようになるのです。ちなみにしつこいですが、ジャイロ効果のために軸は投げたときの角度のままです。で、結局円を描くように回ってくるのです。
(2000年7月11日<火>02時34分)

第5回ー最終的に水平になるんですよー

実はこの文章は第4回後半なのですが「文字数が多すぎます」というエラーが出たため分割しました。ははは。


さて、概ねはこのような感じなのですが、いろいろな疑問があります。一つ考えます。

 なぜ、最後ほとんど水平に飛行を続けるのか?

 飛行中空気抵抗でブーメランの回転も飛行速度も遅くなり、結果としてブーメランの重量を支える上向き揚力はどんどん少なくなるはずです。実際に回転面の地面との角度が投げられた時のままの角度ではブーメランは高度を下げて地上におりてしまうはずですが、不思議な事にブーメランは、あたかも上向きの揚力成分を増すため、意志があるように回転面を徐々に上に向けて揚力の低下を防ぎます。そのため元の位置に帰って来たときには、ほとんど水平に回転しています。

 細かい説明は省きますが、進行方向の後方にまわった翼は気流の乱れのため、常に前方にあるときよりも揚力は低くなっています。そのため、ブーメランの前側は揚力が常に大きく、角運動ベクトル(まあ、要は回転軸です)を後方に押す力が働き、結果的に角運動ベクトルを上方に回転させる原因となります。
 飛行中、空気抵抗のため回転数が減少してくると、ブーメランの翼上下の揚力差(これは、どちらかといえば、回転面が垂直になるような方向に力がかかっている)よりも、ブーメランの前後の揚力差が顕著になってきます。同時に角運動量も減少するため、容易に回転軸が上向きに変わってしまいます。とまあ、そうなるのです。ちなみに、最終的に真っ平らになるまでは円運動をしていますが、完全に水平になると、先ほどの横向きの揚力はゼロになってしまいますので、後は真っ直ぐ来るのみです(完全に水平というのもあり得ないと思いますが)。

えーと、これで、どうしてブーメランは戻ってくるのかは説明できてるはずです。疲れてきたので、終わりにしましょう。
(2000年7月11日<火>02時36分)

第6回ー補足とお詫びー(多分最終回)

さて、さきほど、長老の質問に、慣性の法則とは関係ないと返しましたが、
実は思いっきり関係があることが実験のテキストとかいうマニアックな物で分かりました。

それによると、なんと、「物体の回転を考える場合、慣性モーメント(慣性能率)という物を考えます。このモーメントとは、直線運動の慣性と同じく、回転体における慣性と思ってください。」で始まりどうやらジャイロ効果を含む回転運動そのものは回転体における慣性を元にした力で成り立っていることが判明しました。完全に逆でした。すいません。ちなみに理系チックに行くと、ベクトル量にして角運動量=(慣性モーメント)×(角速度の2乗) らしいです。(ちなみに×はかけ算ではなく外積です)
そんなことはどうでもいいでしょうね。まあ、そういうことです。では。
(2000年7月11日<火>02時46分)