味な草競馬〜2011年望月駒の里草競馬〜

 11月3日。言わずとしれた文化の日です。文化の教え開きたる我が先人を思うとき次代を背負う健児の胸血が高鳴ってたぎつのであります。

 さて,文化の日であるからには,次代を背負わない健児も文化的なことをしなければなりません。というわけで,歴史ある望月駒の里草競馬を観戦してきました。だれですか,ギャンブル依存症じゃないことを示すためのアリバイ作りだろ,とか言ってるのは。
佐久平 待合室にあった駅の紹介
駅外観 草競馬案内

 望月駒の里草競馬,一般には「信州の菊花賞」として知られているようです。
 草競馬が開催されていることはこのインターネット全盛時代,簡単に分かるのですが,問題は行き方です。アホなNPは前日まで新幹線佐久平駅からバスが出ているものだとばっかり思っていたのですが,前日によくよくホームページを見てみると,そんなことは一言も書いておらず,「望月バスターミナルからシャトルバス」と書かれておりました。東京に住む田舎者には,「望月バスターミナル」がどこにあって,どうやったらそこにたどり着けるのかさっぱり分かりません。しかも,知ったのが前日夜なので,翌日(正確には知った時点で0時を回ってたような気がしなくもない)の早起きに備えて早めに寝なければなりません。まして,市役所に電話で問い合わせなんて当然不可能です。
 一応,突貫的事前調査の結果,佐久平駅から千曲バス中仙道線に乗っていくと到達するらしいですが,千曲バスの時刻表が高等テクニックを使っているせいでスマホからも時刻表が閲覧不能。シャトルバスを使わない最寄りバス停はるるぶによると「瓜生坂」であるらしいのですが,そのバス停がどこにあるのかなんて分かりません。そもそも「瓜生」からは福岡しか思い浮かびません。

 と,いうわけで,行きはタクシーを使っていくことにしました。
 それにしても,ここまで県外者の電車での来訪を想定してないってのはびっくりです。まあ,車の利用者が圧倒的に多い地域であるのは言うまでもないですし,実際問題県外から電車で来た人はたぶんいない(いて一桁)ので,ここに金をかけないのは正しいのですが。これって新幹線が開通した年は県外客のために予算使って大失敗した,みたいな過去がありそうですね。

 続いて問題になるのは新幹線。長野新幹線なんてオリンピックでもない限り空いてるんだろうとか田舎ものがなめたことを思っていたら,指定席が前日満席でした。自由席がないという青森新幹線の痛い記憶があるので調べてみたところ,半分くらい自由席らしいことが判明。なにがしたいんだJR。

 はい,無事早起きできまして,新幹線も無事座れて,佐久平。高崎で結構降りるのではないかという予想は裏切られ(そういえば高崎競馬はずいぶん前になくなってたな),それなりの乗車率のまま佐久平に。佐久平では,何かよく分からないけれど,背中に「JAPAN」の文字の入ったジャージを着ている高校生の団体がどかっと降りておりました。なるほど,指定席が満席になるわけだ。しかしですね,この何か分からない日本代表高校生たち,駅の改札を出ると拍手で迎え入れられているのです。日本代表として戦ってきたのか,これから日本を代表して戦うのかどっちか知りませんが,とりあえずこういう空気の中改札を出るのは嫌なので待合室で数分高校生をやり過ごしました。

 最近できた新幹線駅の場合,改札を出ると観光案内所が待ち受けていることが少なくないですが,佐久平はそんなことがありませんでした。が,駅ビル?の中にお土産コーナー兼観光案内所があり,さらに壁際に草競馬の紹介パネルがありました。紹介していただけるのは助かるのですが,紹介ついでに現地への行き方も紹介していただけると助かるんだよなー。

入場門

 駅の外に出ると,高校生たちが整列していました。見てみると,他国代表もいるようで,どうやら文化の日に国を代表して高校生たちが火花を散らすようでありました。こっちも負けてはいられません。早く火花散る草競馬を見に行かねば。

 というわけで,タクシーに乗車。望月総合グラウンドを目指します。ところで,長野県のタクシー。そもそも初乗り700円ってことにびっくりしたのですが,さらに100円ずつ値上がりしていくことにびっくり。何かの間違いじゃないかと思って失礼ながら長野県のタクシーの料金を検索してしまいました。これって全国でも屈指の値段じゃないのでしょうか??
 まあ,そんなわけで,いきなり3翻30符(3900円)を持って行かれるという展開にへこみつつ,しかし今まで行ったことのない競走場に足を踏み入れる瞬間というのは,やはりわくわくするものであります。

 タクシーを降りると,簡素な,いかにもその日限りという入場門。どことなく小学校の運動会を思い出しますね。そして,中に入ると……見えてきました,競馬コース。嬉しくなりますね。


 で,レースを見つつ,場内探検。
 てっきり入り口でレープロを配ってる(または売ってる)のだと思っていましたが,着いた時間が悪かった(9時開始のところ,到着が10時前)のか,配られていませんでした。しかし,レープロらしきものを持って観戦されている方がいらっしゃる以上,どこかにあるはず,というわけで,本部席を目指します。

 そもそもどっちがホームでどっちがバックか,という問題があるわけですが(即席コースであるために),入場口があるのがバック側,向かって正面に紅白の本部席がありました。入場して左側に商工会等の白テント。これも運動会っぽいですね。そして,動物とふれあえるコーナーがありました。

 この動物コーナー,事前に告知されてたので当然あることは知ってましたが,せいぜい小学校の生き物小屋から借り出した鶏,ウサギにハムスター程度だろうと思っておりました。が,スエトシ牧場さんという業者さんが来ており,ミニチュアホースやラマなんかがいる,なかなかに本格的なふれあいコーナーでありました。
 で,スエトシ牧場のトラックが止まっていたのでてっきり日本中を回っている県外の牧場かと思ったら,佐久の牧場でした。しかも,どうもこの牧場さん,メジロデュレンが最期を迎えたり(メジロの馬ってオーシアンファームなイメージだったのに),今もオグリワンやワールドクリークがいたりと,JRAファンにも対応可能な素晴らしい牧場さんのようです。しかし,ワールドクリークの説明(「デビュー以来惨敗続きのワールドクリークだが、休養後のトパーズSでコンメンダトーレと争い、「ハナ差」でワールドクリークに凱歌が上がった。」)はいくらなんでももうちょっとどこかからいいコピペが出来たんではなかろうか。メジロデュレンの説明(「1986年の菊花賞でダービー馬、ダイナガリバーとゴールまで続いた激しい競り合いの末、半馬身差でメジロデュレンが優勝した。」)をみても本当にJRAの競馬には興味がなくて,コピペ以上のことをする気がないんだろうな,というのは強く伝わってきます。

 いや〜,それにしても,これは楽しい。30代の男が1人で楽しんでいると怪しさ満点ですが,でもやっぱり見てて癒されます。ハムスターやウサギは霊長類に囲まれてストレスたまってるのではないかちょっと不安になりますが。

こんな感じ テレビにも出たらしい ミニチュアホース
ミニチュアホース
草無き草を食べようとするのはサラブレッドもミニチュアホースも同じようです
ラマ!!眠そうな表情がよいですね。
←子供たちにいじられて顔に藁がかかっている牛くん
眠そうです。
←そんなホルスタインくんに構うジャージーくん
うしくん。かえるくんはいませんでした。
ジャージー種とホルスタイン種の2種類。お疲れの様子でした。食用だったり牛乳用だったりするともっと肥えてるんでしょうか?
それにしても,親子連れってのは卑怯ですね。嫌でもかわいくみえてしまう。
かめさん 隅っこに固まるウサギさん 中央に固まるハムスター
マーラ アップにするとウサギみたいですね しかし,案外つま先が鋭い リチャードソンジリス
やはりゲージの端っこで丸まってます
多くの人間の目にさらされるのが
ストレスなのかな?
それとも単に暗いところが好きなだけ?

 さて,場内探索は続きます(正確には探索後に動物を見て,レースの合間にさらに癒されて…という流れだったのですが,時系列にすると見づらいのでパス)。

待機中の各馬

 本部方向に向かうと,馬が多数つながれておりました。ポニーもいればサラブレッドもおり,中間種もいるという,まさに馬の宝石箱。彦麻呂さんならずとも,競馬ファンならずとも興奮すること間違いなしであります。
 本部側のテント下では,おそらく馬主さんや関係者さんたちが,慣れた雰囲気で宴会モードでした(とはいえ,馬や車に乗らないとダメだからお酒はほとんど入ってない)。大きなお鍋で味噌汁?豚汁?を作っておられる方,焼き肉パーティーをされてる方,まさに(望月では)1年に1度のお祭りを皆さん楽しんでおられました。いいですね,こういう雰囲気。運動会というと殺伐とブットバセだのなんだのと言ってばかりいる自称健児たちもおりますが,運動しつつ宴会しつつ,というのもまた楽しいものであります。

 さらに進むと本部裏。ありました,レープロ。
 パンフレットはA4両面コピー数枚のもの。表紙が緑の紙のものを持ってる方もおられたので,もしかしたら来賓や馬主さんたちはもう少し違うものを持っておられるのかもしれませんが,とにかく費用のかかっていないパンフレットでした。串木野のレープロはしっかりと製本された数十枚にも及ぶ冊子でしたが,こちらは真逆路線。広告も載ってないですし,会場案内図もありません。そもそも,レープロが無料配布,ってところからして違いますね。一応商工会が後援してはいるようですが,あえて特定企業のイロをつけないのも,のんびりとしたイベントとしてはいいものであります。

 というわけで,場内1周。じゃあどこでレースを見ようか,という話になるわけですが,串木野と異なり周回コースということもあって,みなさん朝早くから場所取りをされていて,10時前にきたNPに最前列のスペースはほとんど残されていませんでした。最前列に立ったところで疲れるだけで,歩き回ってるうちに場所をとられるのは目に見えてますので,場所は気にせずに見ることに決定。

コース 入って左側のスペース
野球場のホーム側
祝!! 本部席
アナウンサーもここにいます
コース
レープロ! 年が入ってないので
毎年使い回すことが可能です
実際使い回してるのかは知りませんが
優勝旗! このグラウンドは国民年金還元融資による
施設らしいです
このおんぼろ看板,おそらく撤去する費用すら
出てこないんだろうな

 この運動場,野球場としての利用がメインなんでしょう,ホームベースなどが埋まってました。
 と,いうことは,馬場の砂は本来もっとかたくなっているはずです。この砂はこの競馬大会のためだけに持ってきて馬場整備されたのでしょうか??だとしたらかなり大変な作業だよな−。
 あと,馬場といえば,馬場整備のトラックはおおよそ3レースに1回入ります。そのとき,アナウンサー氏が「竹花組,おねがいします」とおっしゃってました。レープロが無料かつ広告無しであることからして基本的にこの大会は特定の企業色ゼロなんですが,もしかしたら馬場整備のときに「竹花組」の名前を呼ぶことを条件に竹花組が無料かそれに近い出血大サービス価格でお手伝いしてるのかもしれません。東京モノのNPは竹花組を知りませんでしたが,帰りがけに望月の宿に向かう交差点に竹花組の本社がで〜んとあったので,地元ではかなり有名な建設会社なんでしょうね。こういう会社の協力があってこその大会。いや〜競馬ってすばらしいですね。

アルクマくん
よく見ると寄り目ですね

 さて,場内をぶらついていると,「アルクマくん」なるキャラクターが登場していました。
 リンゴの帽子をかぶり,赤いリュックを背負った緑のクマ。
 PRしたいのはリンゴなのかなんなのか……。よくわかりませんが,とにかく長野県の観光PRキャラクターであります。
 と,ここで,「長野の名産といえば?」という疑問にぶち当たったのでありました。アルクマくんは見るからにリンゴをPRしようとしています。が,「長野」というと,なんとなく高原野菜のイメージが強く,少なくともあまりリンゴのイメージはありませんでした。単におまえが勉強不足なだけだろ,と言われそうですが,イメージがないものはないのです。まあ,あまり信州リンゴが知られていないからこそのリンゴ帽子なのかもしれません。
 とりあえず,子供たち(但し幼稚園前後)からはそれなりの人気を得て記念撮影されているようではありました。もっとも,女子高生人気は得られていないような雰囲気でしたので,中の人がもし男性だったらがっかりですな(身長的に女性なのではないかとは思うけど)。横の人もがっかりなのではないでしょうか。
 しかしですね,こうして長野県のゆるキャラがやってくるのですから,もう少し長野県としてこの草競馬を盛り上げようとしてもいいのではないでしょうか。


 さてさて。
 競馬と旅とくれば,もちろん食事です。最近は「グルメ」などという横文字で呼ばれておりますが,早い話が「メシ」です。
 こうして地域興しイベントの性格も兼ねている以上,当然商工会テントでは地域の食べ物が売られておりました。長野県も福島からそれなりに近く,いろいろな報道がなされており,地域の皆様におかれましてはいろいろな苦労があるのではないかと思います。そんななかのイベントですから,テントは非常にやる気に満ちあふれておりました。

 イワナの塩焼きやキノコの汁なんかはまさに山の幸という感じで大満足であります。しかし,何より印象に残ったのは巨大セロリ。馬鹿売れしておりまして(確かにこれで200円は安いな),セロリを抱えた方があちこちに……。まあ,1人暮らしかつ電車来訪のNPが買っても仕方のないものではありますが。

テント村 イワナの塩焼き! きのこ汁
これで150円!
売られていたセロリ
五平餅。ちょっと冷めてて残念。タイミングが大事ですね ジンギスカン500円 この日が賞味期限だったのでお土産にできませんでした

 そんなわけで,ようやくレースについて触れたいと思う次第であります。続く。

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