舟に釣られて善通寺

 車を持たない人間にとって,松山から西讃〜中讃に行くのは結構大変です。高松だったらバスがあるのですが,バスは当然高速を通ってるので,途中下車しても市街地から離れたところに置いてけぼりを食らいます。
 そして,バス会社もそういう交通弱者(車を変えない貧乏人・車を買わない強情な奴を含む)のことを少しは考えてくれており,それなりに駅の近くに高速バス停を置いてくれることもあります。典型は高速舞子。それなりに駅が近いとバス停に駅までの交通図を置いてくれます。自分が使ったことのある例だと鷲羽山北(但し下津井電鉄は既に絶滅してるので意味がない)や高速日野。
高速善通寺バス停
 で,あまり有名ではないけど実は駅まで徒歩圏内,というバス停も存在します。それが今回使った高速善通寺。徒歩20分程度ではありますが,まあお遍路さんに比べたらそれくらい屁みたいなものです。しかしながら,バス会社はあまりその屁の臭いをかぎ取ってくれず,四国高速も伊予鉄も高知県交通もバス停が比較的駅に近いことをアピールしてくれてません。というか,バス会社はともかく,善通寺市もアピールしてません。もうちょっとなんとかしてもいいんじゃないかと思うわけです。
 まあ,そんなわけですから,バス停には善通寺・金蔵寺までの地図もありません。まあ走ってない下津井電鉄の地図を置いたままにしておくのとどっちがいいのかは難しいところではありますが,でも少しは手当したら?と思うのです。

 まあ,愚痴はさておき。
 高速善通寺で降りて善通寺駅に向かうのは,1年前の琴平+丸亀オーシャンカップ以来2回目です。
 まあ,今回もバタバタと出発したので,今回は香川県のガイドブックを忘れました。手元にあるのは携帯のみ。記憶と勘で歩きます。
 前回はいったん逆方向に進んだのですが(東に進んだのに西の方に歩いて戻るってのが何か違和感があるんだよなぁ),今回は学習したので間違いませんでした。で,途中のコンビニで立ち読み休憩+コーヒー購入。出ようと思ったら丸亀の出走表が置かれておりました。ちゃんと宣伝しているようで,感心感心。どれだけの人が読んでるのかは怪しいですが。
 基本的に,おおまかに進むコースを決めたら広い道ではなく狭めの道を進みます。で,歩いていると,前回歩いたような記憶のある景色が出てきます。人間ってのは決まった道を歩く悲しい生き物なのですね。
 ということで,前回同様神社によって,前回同様こがね製麺を目指します。本当はうどん屋くらいは違うところに行きたかったんですが,日曜の朝に空いてるうどん屋さんってなかなか無いんですよねぇ。

神櫛神社 何かと注文が多い
ということは,何かと悩まされてるんでしょうね
逆立ちスタイルの狛犬
石灯籠 拝殿 摂社の祇園神社拝殿 こがね製麺 ぶっかけの小

 はい,というわけで,ここからは前回とは違います。今回の目的地は善通寺。弘法大師サマ誕生の地ですね。
 四国に来るまで,空海さんというと,「歴史の授業で最澄さんと一緒に出てきてどっちが天台宗でどっちが真言宗なのかテストで迷わせるお方」「基本的には筆の誤りはない達筆な人」,というイメージしかありませんでした。
 が,四国に来ると,まあ観光にせよ何にせよ,嫌でも八十八霊場の存在が目に入ってきます。で,八十八か所の話を読むにつけ,弘法大師様という人が現代に与えてる影響力の大きさを意識するわけです。なんというか,こういう形容詞はあまり使いたくないんですが,本当に凄い・偉大な人なんだなあ。
(弘法大師がいなかったら四国に来る観光客(お遍路さんを観光客と呼んでいいかはさておき)は1割くらい減るんじゃなかろうか。)

 てことで,善通寺……の前に,乃木神社と護国神社に立ち寄ります。

乃木神社鳥居 軍馬慰霊碑 軍馬の絵 建碑趣意 手水。空。
乃木神社拝殿 監視カメラ
こういうものが不要な社会になるといいなぁ
母の像 護国神社鳥居
ここにも軍馬の碑 軍馬
コイノボリ 拝殿 讃岐宮 宝物殿の前のうさぎ

 そして,善通寺。外からも五重塔が目立ちます。
 他方で,案外目立たなかったのが南大門。目立たない,というよりも,思っていた以上に善通寺が市街地にあったので,普通に街中に登場して,ちょっと個人的インパクトに欠けてました。あと,電柱と電線があるとイマイチですね。

電柱と電線が… 南大門と五重塔 南大門 注意書き 境内案内


 まあ,そんなわけでいざ境内。さすが善通寺だけあって,多くのお遍路さんがお参りされています。こちとらいち観光客にすぎないので,なぜか負い目を感じてしまいます。
 そして,境内が広く,かつきれいです。さすがですね。維持費は相当かかってるんじゃないでしょうか。これだけの維持費を掛けてもお遍路さんがいれば大丈夫なんでしょうか。それとも,善通寺も檀家を抱えてるのかな。

 正面の金堂の前に,左手にある大楠に目が行きます。お寺や神社にど〜ん!とそびえ立つ大きな楠っていいですね。大きすぎてカメラに上手く納まらないのが個人的難点なのではありますが。
 そして,五重塔。正直,五重塔には詳しくないので,五重塔にはどういう種類があって歴史的にどう変遷したのか,とか仏教宗派によって違いがあるのか,とかは全然知りません(伽藍配置の話は昔習ったけど)。ただ(逆光を恨めしく思いつつ)ボケ〜っと五重塔を眺めて写真を撮るだけなのでありました。
 その他の建物を見て回りつつ,金堂であります。ご本尊は薬師如来坐像。観光客的には,金堂の中まで入られるのが嬉しい限り。観光客としては特段何かを意識する必要はないのかもしれないのですが,せっかくなので般若心経を読んでみました。どう抑揚つけたらいいのか分かってないのですが。

記念写真用 楠。樹齢千数百年……?
東西24m,南北29m,高さ30m!!凄い!
ちなみに,説明書きには英語もついていたのですが,英語の説明だと
広さ・高さの単位がfeetだけでした。
メートル法使う外人さんもいるような気がするのですが…。
社殿は五社明神社といい,善通寺の氏神様だそうです。
三帝御廟
後嵯峨・亀山・後宇多3天皇の
御遺言により御爪髪を
納めているようです。
鐘楼
五重塔 金堂 釈迦宮
金堂脇の薬師如来 赤門 赤門から外に出たところにある神社 拝殿
なんとなく幼めの狛犬に見えるのはなんででしょう?
佐伯祖廟 中門 華蔵院 観智院 子安観音 大師の修業像
お店 カタパン屋さん


 さて,善通寺は東西に別れております。というわけで,続いて西へ。
 東西は普通の道ですが,お店が出ておりました。人が集まるお寺だと店も集まるわけですな。
 で,橋を渡って仁王門……の前に,ふと右手を見ると,カタパンのお店が目に入りました。いろいろな旅行記を読んでるとここでカタパンを買ってる方が大勢おられたので,僕も寄ってみることに。
 お店は「古き良き日本のお店」という雰囲気。近所の人が大量に購入しておりました。こういうカタパンを毎日食べてたらさぞかし顎が強くなることでしょう。現代っ子な顎関節症予備軍NPは顎が弱いので,カタパンには苦労させられるのでした。このカタパン,もともとは軍用らしいですね。今も自衛隊に入れてるのかなぁ。

 さて,カタパンを買ったわけですが,ふと疑問。お寺の境内の中って食べ物OKなんだっけ。
 冷静に考えると,お寺でも縁日やってるわけで,ダメだとしたら縁日はなんなんだ,ということになるわけですが,冷静に考える余裕などない観光客なのでした。そういえば座禅中にたくわんならぬ梅しば食べてるCMもあったな。

仁王門 橋の上から 仁王門 逆側から 廻廊

 仁王門をくぐり抜けると,目の前に廻廊。そして,廻廊を突き進むと,目の前に現われるのが御影堂であります。
 ここでは戒壇巡りができるということで,観光客としてはいかないわけにはいきません。お遍路さん的にも,善通寺といえば空海さんの誕生地なのでもっと巡られてる方が多いのかと思いましたが,思いの外そういう方は少なく,皆さんお参りだけで帰られているようでした。まあ,88か所も回らないといけないのだから,どうしても1つのお寺に充てられる時間は短くなるよなぁ。基本的に無計画な旅を好むので,多分NPがお遍路をしたら寄り道しまくって時間がかかりまくるか終わらなくなるかのどちらかになるだろうな。
 で,実はちょっと前に福岡東長寺福岡大仏でも地獄極楽めぐりという真っ暗な道を歩いていたので,ちょっと楽しみにしてました。
 が。なんというか,場所的な限界なんだと思いますが,真に真っ暗じゃない(光がうっすらと漏れてきてる)ような気がしたんだよな。テーマパーク的発想で乗り込んだ観光客としてはちょっと残念でした。ただ,善通寺という立派なお寺で,弘法大師さんの声?を聞いて仏壇でゆっくり手を合わせられるのはなかなかに嬉しいものです。

 ところで。「弘法大師」って,「こう『ぼ』う『だ』いし」と濁るって知ってました?知ってますよね。知らなかった(正確にはあまり意識してこなかった)のは僕だけですよね(「ぼ」はともかく「だ」は「た」だと思ってた)。「『南無大師遍照金剛』と唱えながら戒壇巡りしてくれ」という指示のフリガナを見て,初めて「だ」だと知ったのでした。はい,お遍路には100年早いですな。

御影堂 梵鐘
善通寺で2番目の古さの鐘らしい…
御影池
大師堂 国鉄四国総局殉職者慰霊碑 パコダ供養塔 正覚門


 そんなわけで,善通寺へのお参りを済ませて,次の目標は丸亀です。

清水屋
こがね製麺
伸びる前に写真を…と思ったらぶれた
善通寺駅
 その前に,もう一杯うどんを食べよう,というわけで,清水屋へ。日曜は休みのうどん屋が多くて観光客としては困りますな。
 清水屋は商店街の中にあるうどん屋さんです。日曜の12時前ということで,全く混んでおらず,観光客的には助かりました。とりあえず四国新聞で勧められていた肉玉ぶっかけを注文。見たところ,自分の好きそうなぶっかけの雰囲気で期待大!……という具合に,見た目で期待値が5割増しくらいになってしまったので,想定してた味と違った時のショックが必要以上に大きかったのでした…。
 さて,ちょっとショックが大きすぎ(期待値が上がりさえしなかったらよかったんですよ,ほんとに),仕方がないので再度こがね製麺で口直し……のつもりが,どうもタイミングが悪く,これまたイマイチで,無駄に腹がふくれる結果に。なにやってんだか。

旅行記丸亀へ