菊の季節に薔薇

 菊花賞の行われる10月半ば,東京の旧古河庭園ではバラフェスティバルが開かれるとのことで,とりあえずいってみることにしました。

 都立庭園全般にいえるのかどうかは分かりませんが,ここも,入場口に入場券を確認する係員がおりません。
 普通の人は窓口で入場券を買えばいいんでしょうが,NPは年間パスを持っているので,入場券を購入しなくていいことになります。しかし,かといって窓口に寄らずに入場しようとするのは,他人から見てどうなんだろうか,という気もするわけです。とはいえ,この日はバラフェスティバルで窓口に行列。時間がもったいないので,そのまま入ってしまいました。特段誰からも何も言われず。うむ,これでいいのだろうか。

案内 入口

 さて,入場すると(正確にはしなくても,だけれど),奥から美しいアコーディオンの音が聞こえてきます。はい,美しいという形容詞をつけてはみたものの,当然のように音色を評価できる耳は持ち合わせておりません。
 つまらないいいわけはさておくとして,芝生ではアコーディオンに耳を傾ける多くの聴衆。みんなのんびりと,ゆったりと,うっとりと聞き入っております。これってとてもいい雰囲気ですね。芝生というとすぐに馬が上を走るものと思い込んでいるアホどもにも見せてやりたいものです。

芝生の上に座って演奏に耳を傾ける 伊藤ちか子さん バックには洋館


 さて。この旧古河庭園。基本的に庭園部分は2段階構造になっており,上の段は欧風庭園。下段は回遊式の日本庭園です。
 で,日本庭園というとなんとなくイメージが湧きますが,「欧風庭園」といわれてもあまりイメージが湧きません。なんとなく,ぴちっと手入れされた植木があってまっすぐ道が延びてアーチがありそうな感じなのですが,とりあえずここにはアーチはありません。

 まあ,細かいことはさておき,きれいに飾られている薔薇を見ていきます。
 そういえば,整然と花が並ぶのも日本庭園ではあまりみられない光景ですね。そういえば,「特定の花を目指して日本庭園を狭い視野で見る」ことに違和感を抱く人も多いようですね。

 それはともかくとして,ここまで薔薇をしっかり見たのはおそらく徳島城に行ったとき以来人生で2回目だと思います。そのときは特に何も考えずに見ていたのですが,今思うに,とにかく薔薇は種類が多い。それだけ一輪の花として美しく,開発しがいがあるんでしょうね。それにしても,ドイツでうまれた品種が多いです。チューリップといえばトルコとオランダですが,薔薇はドイツなのかな。
 しかし,名前は「○○さんのために作った」ってあたりを根拠にしているものが多そうで,名前と花のイメージがとくに一致しないなあ。特に,美智子皇后に赤い色のイメージが全くないのですが……。

迷路のように見えなくもない 黒くたたずむ洋館 ロイヤルプリンセス バニラパフューム
特にバニラの匂いはしなかったのですが…
桃香
桃香 インカ
南米産かと思ったらドイツで作られたんですね
名付けの理由がよく分かりません
プリンセスミチコ
当然美智子皇后の名前からきているわけですが,
なんとなく馬名に見えてしまったNPは誰かに刺されそうだな
ゴールデンメダイヨン
芳純 ヨハネパウロ2世 初恋 朝雲


 さて,続いては心字池を中心とした池泉回遊式庭園。特別な庭園の名前はなさそうです。
 入口の解説によれば,作庭は「植治」。誰やねん,と検索してみると,7代目小川治兵衛さんの屋号がこれのようです。Wikipediaでみると,かなり高名な作庭師さんのようであります。庭園に興味が無かったころは作庭師なんて仕事を意識したことさえありませんでしたが,作庭師さんの仕事って感性と理論が高次元で折り合って成り立つものだと思うので,まさしく職人芸だよなあ。

 この庭園はなぜかあちこちに灯籠が配置され,その解説もついていたりしました。どういう経緯があって灯籠が多く配置されているのかはよく分かりません。植治さんの庭園全般の特徴なのかどうかも分かりません。
 あと,ここ最近ISO感度の設定を忘れるんだよな……まあ写真には過度にこだわりを持たないように細心の注意を払っているのですが(このままいくと嵌りそうで本当に怖い),それにしてもいかんなあ。

奥の院型灯籠 渓谷 泰平型灯籠 池を望む
そこまでマンションは気にならないけど(少なくとも
芝離宮よりは)でもやっぱりない方がいいな
橋と鯉 春日型灯籠 池のまわりの雰囲気
この角度だと建物が入らない
鴨が休憩中
亀もいます 枯滝 雪見灯籠のある風景
雪見灯籠ってインパクトがありすぎて,近くから見ると主張が強すぎることがありますね(六義園とかそんな感じがした)
奥の院型灯籠
春日大社奥の院と同じものらしい
崩れ石積。小川治兵衛の力作であります 大滝
小川氏がもっとも力を入れた場所の1つらしい
彼の作風からはこういう景観は異例とのこと
……庭師の作風比較なんかはどこかで
見られたりしないのかな
黒ボク石積

 そこまで大きくない庭園で,さくっとまわれていい運動になります。入場料150円なので,お散歩がてらにきてもいいかもしれませんね。

 そんなわけで,庭園をあとにするのでありました。普段,基本的に花には全く興味を示さないわけでありますが,こうやってバラを眺めるのも悪くはありませんな。
 とりあえずローズSの時期とバラの時期が1ヶ月ずれていることが分かっただけでも収穫だと理解したいと思うところです。

西からの日を浴びる洋館 バラと洋館
なかなかうまく撮れない
旧古河庭園

 ちなみに,西ヶ原駅に戻る途中,平塚城趾の平塚神社を発見。思わぬ発見でありました。



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