National Slate Museumその2

 そんなわけで、中に入ります。とりあえずパンフレットゲット。


Chief Engineer's House

 入口のあった建物がChief Engineer's House。読んで字のごとしであります。写真の順番が逆転しててはっきりしないのだけれど、室内写真はここで撮ったものだと思うのでここに掲載。分からないならアップしなければいいのだが。

Chief Engineer's House 入った先には荷積み荷下ろし設備 自分の写真に何の記録も記憶も無いのだけれど、おそらくChief Engineerの部屋か何かだと思う

Washhouse and Coal Shed

 どこにあったかも記憶から飛んでますが、WashhouseとCoal Shedであります。


中庭・トロッコなどの運搬具

 中庭には二羽ニワトリはいませんでしたが、トロッコの展示があります。ここからこうやってSlateを積んで運搬していた、ということなのでしょう。
 こういうトロッコ運搬を見ると、いわきの石炭・化石館を思い出しますね。あきらかに人が坑内に入っていくために使うであろうトロッコも展示されてるけれど、ここから坑夫さんたちが出発していったりもしたのかな。


The Caban

 Cabanは直訳すると脱衣所ですが、要するに食堂であります。ただ、実際には単なる食堂よりも大きな意味を持っており、1885年〜86年の「ロックアウト」においては情報交換の場として大きな意味を持っていたとのことです。
 さあ、ここで出てきました新しいキーワード。「1885年〜86年の『ロックアウト』」とはなんぞや。もしかしたら優秀な皆様におかれましてはどこかでこれを習ったのかもしれませんが、少なくとも私はこんな情報知りません。さあ検索。

 先ほど見たSlate Industry in WalesというWikipedia項目には、Labour disputesという項目があります。
 これによると、1879年からスレート産業が不況になり、経営者側は労働条件を絞ることで対抗しようとしたようです。いつのどの国でも同じことが起きますね。
 さらに、英語を話し、英国国教会派でトーリー派であった経営者側と、ウェールズ語を話し、主に非改宗派でリベラル派であった労働者側という、いかにもイギリスな対立構造がここに加わったようです。

 WikipediaではPenrhyn Quarryという採石場での労働争議の大きさが目立ちます。
 ここLlanberisの採石場はPenrhynほどは大きくなかったのかも知れませんが、2地点は直線距離にして6キロですから、当時の感覚としてほぼ同じ採石場という感じだったのではないでしょうか(このへんの肌感覚は部外者には分からんところ)。

 ちなみに。
“Llanberis strike”で検索したら、”National Slate Museum strike in Llanberis ends after nine week stand-off”という記事が見つかりました。
いつの記事かと思ったら、2016年6月28日。自分がここを訪れてから約半年です。自分が訪問してから半年足らずの間に9週間ストライキしてたんか!

 詳細は記事を読んでいただくとして(=面倒なので私は読み飛ばしました)、1日ストライキが上手くいかずに、9週間ストライキに至ったようです。なお、文中に出てくるPCSというのは、Public and Commercial Services Unionという労組ですね。勉強になります。

 もう1つ。
 こちらのサイトにも”The Dinorwig Strike Of 1885-86”という項目があります。

 というわけで、日本でも炭鉱というと労働争議問題がついて回るのと同様に、ここWalesでも採石場の労働問題がついて回るようであります。

The Caban。歴史的に果たした役割は重要なのかもしれませんが、今となっては単なる食堂であります

Temporary Exhibition

 続いて、展示室。入口に"peris""padarn"という表示が出ておりますが、検索しても意味は分かりませんでした。まずはリクルートまわりの展示品からスタート。ただ、見てみたら坑夫のリクルートでは無く、第一次大戦の兵隊のリクルートでした。坑夫から兵士をリクルートしていた、ということなんでしょうかね?
 それにしても、イギリスではこういう場面で出てくるのはやはり第一次大戦ですね。1914年は5ft6inの身長が必要だったのが、1916年には5ftに緩和されたとのことです。それだけ戦況がきつかったのでしょうね……。
 なお、当時の私はこんな展示まともに読まずにスルーしてるのかとおもいきや、ある展示では身長制限が5ft6inなのに、別の展示では5ft3inであることに気付いていたようです。こういうところだけちゃんと読んで、本質を理解してないからダメなんですよね……。



入ります リクルートオフィス 視力検査に使った? 身長制限 要件 違いの分かる男 対独開戦を
知らせる新聞

 続いては、採石場に関する一般的な展示です。quarryが採石場の意味である、ということはおそらく訪問時は知らなかったと思う(今調べた)ので、このあたりの説明はスルーしてたのでは無かろうか。自分の英語力に自信が持てないので説明は基本的に「らしい」で終わってますが、気にしないように。

採石場には種類があるなどなど Rock Drill
穴を開けてそこに爆薬を入れるらしい
Gunpowder bagやFuseなどの道具
Quarrying 木槌
これをつかってスレートを小さくするらしい
Plug and feathers
岩に裂け目を作る為に
用いられたらしい
Steward's stick
偉い人の証らしい
Drill bit Moses KellowさんがKellow Drillを発明したらしい
ドリルにアルミニウムを使った先駆者でもあり、
ドリルの軽量化にも成功してたらしいですね
Dinorwic Railwayの規則 Train Tokens
1841年〜43年にPadarn Railwayがつくられ、
Felinheli港にSlateを運ぶとともに、労働者も乗っていたらしい
1895年には毎日1000人以上が利用していたらしい
皆、ベテランと若い人のセットで毎日同じ座席に座っていたらしい
Velinheli 中はHigh carbon steel
外はDiamond
mwrw
坑夫さんはスレートを3枚ごとに数えていたとのこと
これは漁師さんの魚の数え方と同じで、
かつてはスレートを漁船で運んでいたことと関係するのかもしれないらしい
法令の変遷 静かな殺し屋:Slate dust
この手の現場にはつきものの、肺への粉塵吸入問題です
死亡診断書だと思われます

 下のSplitting the Slateの模型と順番が前後しますが、採石場(Blaenau Ffestiniog)の模型。そして、吹き飛ばされないように身体を固定するロープ。


Splitting the Slate

 展示室の中のことではあるのだけれど、テーマ的にちょっとここで分けます。
 スレートを薄く切っている場面の模型です。


 そして、次の部屋ではスレートを薄く切る現場再現など。


Saw Mill(Saw shed)

 ここで取り扱うのはスレートだけでは無く、枕木を作ったり、建物を作ったりと、木を加工する作業もおこなっていたらしいです。そのためののこぎり置き場がSaw shedですね。

The Saw Mill 狭軌の電車用の枕木を
作っていた、のかな?
Saw shed内部

 続いて、Vertical saw shed。

Slateは各国に輸出されております Vertical saw shedへ
木が水平に切断されております

Powering the Workshops

 続いて、発電システムの解説であります。1870年当時、既に蒸気機関が存在していたにもかかわらず、水力を使っていた、と解説されています。ここでの水力利用があってこその、Electric Mountainでの水力発電なのだろうと思いますが、どこまで関連があるのかは私には分かりません。

Powering the Workshops 進んだ先の中庭 水車を見るためにこっちへ進む

 解説によると、1870年につくられた、イギリス本土最大の水車が使われているとのことです。あえて”Mainland Britain”と書かれているからには、おそらくメインランド以外のどこかでここよりも大きな水車が使われているのだろうと思いますが、どこかは分かりません。北アイルランドなのか、場合によっては洋上のどこかでなにか作ってる可能性もあるのかな。

ここを登ります The Waterwheel Water Power The Inclines
歯車の仕組み
水車。大きいのでカメラに収まりません
The Foundry(鋳造所) 鋳造所もクリスマスムードであります

Machine Workshops

 中庭にはなにか役に立ちそうなでっかい機械が置いてあります。こういう機械ってロマンがありますよね。


 というわけで、Machine Workshopであります。機械を使ってなにかつくるのでしょう。個別の機械についての情報はリーフレットを見るように、という注意書きがあることには今気付きました。そんなのあったのか。


 まずはWorking with Slateという案内板とともに、色々加工したりなんかしてる場所であります。


 続いて、blacksmith's forge。直訳すると、鍛冶屋の鍛冶場。forgeの所有者としてBlacksmith以外に誰があり得るのか、というのが問われています。


 そのあと、Repair shopとMachine shop。特にコメントをつけられるような何かはありません。


 そんなわけで、National Slate Museum見学終了であります。当地も世界遺産になって、もうちょっと観光客も増えるでしょうし、今はガイドブックとかも充実しているのかもしれません。

 売店でアイスクリームを買い食いしてカロリーを補充して、再度歩いてバス停へと向かいます。

さらばMuseum ちょっと引いた写真 線路の様子 駅舎 売店 アイスを買いました
列車が動いておりました さようなら

 なお、思ったよりも見所の多い博物館であったため、時間を10分超過し、1本(1時間)遅いバスで次なる目的地、カーナヴォンへと向かうことになります。



スレートミュージアムその1 / カーナヴォン城

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