犬のプール〜Poole Greyhound

 今これを書いているのは2025年7月。Pooleに行ったのが2016年7月ですから、9年前です。光陰矢のごとし。正直、覚えている部分と覚えていない部分、両方あります。あたりまえか。

 せっかくFarnboroughまで出て、このまま家に戻るのもしゃくなのでどこかに行こう、と思った結果、Pooleのグレイハウンドがヒットしました。
 そこで、急遽Pooleのグレイハウンド行きを決めた次第です。
 ……なのはいいのだけれど、電車の切符を予約した形跡がない。当日券とはいえ、カードで切符を買ったのではないかと思うのだけれど、出てこないのであります。ううむ、謎だ。
 FarnboroughまではSouthamptonから往復切符を買った記録を発券できたのですが、Pooleが出てこない。いったいどうやっていったのか。私のメモを見ると、

- サウスウエストは冷房きいててよい
- が、一つ早く降りて時間を失う

という、謎の言葉が残されており、Micheldever駅の写真が1枚だけありました。おそらく、Winchesterで乗り換えるべきところ、Micheldeverで降りてしまったのだと思います。それはよいとして、Micheldeverで降りるなどというわけのわからない謎行動をしたのであれば、なおさらチケットをどうやって買ったのか、おそらくSouthamptonで一旦降りて券売機で買うということはしていないと思われ、完全に自分の行動が謎です。

Micheldever駅 Farnboroughで検索した結果出てきた
チケット購入履歴
Southamptonまでの往復は買ってます

 まあ、こういうのは気にしたら負けなのかもしれません。気にしなかったら勝ちなのか、というと、よく分からないですが。
 そんな一悶着あって、Poole駅に到着した私のメモは、
- poole は降りたら潮のにおい
というものでした。これ、おそらくですが(自分のことなのに推定なのがアホらしいけど)、私が住むSouthamptonあるいはこれまでに訪れたイギリスの港町では、「潮の匂い」(磯の匂いとどう違うのか、意図的に使い分けたのか当時の私の語彙力の限界かは不明)を感じることが少なかったので、懐かしく思ったのではないかと思います。

駅の跨線橋から海方向 跨線橋からホームを見る Stadium Way
2025年時点でも道路名に変更は無いようです

 Stadium Wayを通って、スタジアムに到着です。
 スタンドは、道路から遠い側、西側にあります。東側にもバックスタンド風の建物がありますが、そこはCuddles Childcareという託児施設か保育園か的なものがあります。グレイハウンドスタジアムのバックスタンドに保育所。ギャンブル場の向かいに保育所。凄い英才教育ですね。これぞギャンブル大国、紳士の国イギリスです。

スタジアムに接近 保育所は右 保育所のある建物
バックスタンドに見えます
POOLE STADIUM
スタンドに近付きます スタンドに到着 注意事項

 グレイハウンド観戦は、自分の記憶と記録が正しければ、前年のドンカスターと、アイルランドのHarold's Cross以来、3回目。その後も数カ所訪れて記憶が上書きされてます。
 とりあえず、記憶が飛んでいますが、ここPooleでは入場料はおそらくかかっていなかったんじゃないかと思います。もしかしたら有料だったかもしれません。
 そして、レープロ。私は白いやつを受け取っているのですが、場内にはカラフルな表紙のレープロを持っている方もおられました。もしかして日本人差別か、と思ったりもしますが(しません)、単に品切れかと思います。

配布されていたもの カラフル版 並べてみた
カラー版。白黒版に、カラフルな表紙ページが1枚付け加わっている方式です
レープロの抜粋

 ところで。この旅行記を書くにあたり、念のためこの日のPooleグレイハウンドの結果を確認しようと思って、適当なワードで検索をかけたものの、特に結果がヒットしませんでした。
 そこで私が助けを求めたのが、今をときめくChat GPT。訪問した2016年にはなかった代物です。Back to the Future。さあ助けてくれたまえ。なんで偉そうなのか分からんけど。
 すると……結果が分かるページをを教えてくれなかったのはまあ仕方がないとして、もっと衝撃的な情報を教えてくれました。Pooleグレイハウンドが、2020年に閉鎖されている!!

Chat GPT様のご神託

 いやはや、びっくり。まさか閉鎖されていたとは。そのあたりについては、Wikipediaに記載されています。まーたARCが出てくるのか、とARC嫌いな私としては閉鎖の責任もARCになすりつけたくなってしまいますが、まあそれはおそらくやりすぎでしょうね。
 とにもかくにも、このPoole Greyhoundは既にグレイハウンドの事業を終えているということであります。Wikipediaを読む限り、モーターサイクルスタジアムとしての機能はまだ維持しているようであり、どうも先ほど見たバックスタンドは、二輪競技の際にスタンドとして使われているようです。
 他方、グレイハウンド用のスタンドは取り壊されることなくスタンドとして残っており、現時点でスタンドのホームページ上で、スタンドの貸し出しもおこなわれております。

 とまあ、こんな具合に、Pooleグレイハウンドが閉鎖されたことが分かりました。したがって、「この写真のあそこの部分がよく分からないから再訪して確認してみよう」などということは出来ないのであります。まあ200%そんなことしないけど。

 そんなわけで、スタンド。スタンドは走路側が一段高くなっており、低い部分に飲食店があり、ブックメーカーもいます。走路側は完全ガラス張りで、高い部分から観戦可能。そして、TOTEも高い部分にいます。
 スタンドは2階建てで、2階からも観戦可能なようですが、なぜか私は2階に立ち入った形跡がありません。なぜだろうと思っていたら、どうも色々見る限り、2階はレストランになっているようです。これなら立ち入らなかったのは納得です。
 スタンドが小さいのもありますが、とにかく人口密度も高く、非常に活気があります。
 そして、私のメモによると、

- 飲んだくれてるのを見ると安心する

とあります。このメモを見て思い出しました。ファーンボロの航空ショーの現場でも酒の発売はあったはずですが、競馬場で見かける英国紳士のように「競馬そっちのけで飲んだくれ」ということはなく、皆様航空機に注意を払い、どんちゃん騒ぎをしたり喧嘩したりする人はおりません。
 他方、ここは勝手知ったる英国紳士の集まるギャンブル場。皆様元気に飲んで騒いでます。こういうのを見るとやはり紳士の国英国は健在であると認識でき、安心しますね。

コンコース側 コンコース側から下を見下ろす TOTE コンコースの様子
コンコースからコースが見えます ゴールも見えます ドアはありますが馬場には出られません
低い部分
ブックメーカーがいます
低い部分の様子 飲食店

 ちなみに、私が買ったのは安かったSausage and Chips。4.1ポンドです。それにしても、商品名は対等にandで繋がってるのにソーセージとポテトのバランスがおかしくないですかね。Chips with sausageくらいじゃないでしょうか。


 スタンドの走路側がガラス張りになっていて、スタンド内からの観戦が前提となっていることもあり、スタンドの前には立ち入り不可です。
 そのため、走路側での観戦はスタンドの左右のスペースからになります。

スタンド脇から走路方向 ぐるりと走路側を見る
スタンド前は立ち入れません スタンド前の様子 犬舎側の様子 スタンバイする犬たち

 スタンドの右側、1コーナーまわりには、屋根付き屋外観戦スペースがあります。競輪場やオートレース場にありがちなやつですね。競輪やオートと異なり、グレイハウンドはフェンスが低いので非常に見やすいです。

屋根付き観戦スペース 1コーナーからの眺め

 ちなみに、↑の1コーナーからレース中に撮った写真を見ると分かりますが、レース中はスタンドの電気が消えます。演出の問題なのか、犬の気が散らないためか、実況中継上の問題か、理由は不明。

 レースの進行ですが、この日は合計13レース。第1レースが19時37分におこなわれ、そこから15分刻みです。但し、私のメモによると、

- 6Rで機械が故障、発走が五分遅れるが混乱なし
- その後も遅れたまま

 ということなので、15分刻みのスケジュールが途中で狂ったようです。グレイハウンドは世界各地に中継されて世界中で発売されているはずですが、発走時間が遅れる分には皆様気にしないのでしょう。15分というのは時間的にタイトで短く出来ないんでしょうね。
 そのほか、

- 8R,アナウンサーが誰かの60歳の誕生日を祝っている。レープロ見ても冠ついてないが。トロフィーレース、リトルビットオブプライ図フォアウィナーとのこと
- 中で表彰式やってたのを見逃した取り逃した

 というメモも。どなたか存じ上げませんが、おめでとうございます。イギリスには赤いちゃんちゃんこ文化はなく、60歳をグレイハウンドで祝う文化があるのでしょうかね。どなたか是非比較文化論の論文を書いてください。
 そして、第10レースのみ640mで、残りは全て450mです。私は自信満々に「この国にきて初めての640m戦」というメモを残しているのですが、果たしてドンカスターで見たグレイハウンドのレース距離を覚えていたのでしょうか。そんなに記憶力がよかったとも思えません。

 なお、10レースはS1クラス。そもそもグレイハウンドのクラス分けを理解していないのですが、今調べたところ、Oxford Stadiumが解説しており、通常距離のレースはA1〜A10でA1が最もハイレベル、長距離はS1〜S6と分けられているようです。つまり、10レースは長距離レースの最高レベルということですな。

スタートゲート設営の様子
ゲート 馬場整備車 スタート待ち 奥に犬がいた

 レースの進行については、以下の1行メモのみ残っていました。動画に残せば良かった。

- ファンファーレで本馬場入場。ゴール前で少し止まる。このとき厩務員は基本的に犬の頭をなでている。ただ、みんなこれを見て予想して不訳ではなさそう

本犬場入場 一旦ゴール付近へ
ゴールで止まる そこで折り返して、犬場内へ
ゲートに犬を入れます 最終確認 立ち退くカンパイ係 スタート
ゲート撤収 4コーナーをまわる! ゴール後、向正面で
犬を捕まえております
別のタイミングで撮った本走路入場時ゴール前で
犬を撫でている様子
10レース、640mのスタートは向正面です 10Rのゴール

 今回に限った話ではないですが、グレイハウンドは皆さんどうやって予想しているのか、本当に謎です。レープロに載っている、過去5走の成績だけなのでしょうか。
 このあたり、しっかりとグレイハウンドについての初心者向けの解説書がほしいところなのですが、AmazonUKで検索してもそれっぽい初心者向け解説書は見つからなかったのですよね。まあほかの趣味もおざなりになっている中でグレイハウンドにはまっても仕方がないので、とりあえずはこれ以上深く足を踏み入れるつもりはないのだけれど、どなたか「サルでも分かるグレイハウンド」という本を書いてくれないでしょうか。

 以下、残された写真。

ユーロの賭けでもしてた? 犬のセリの案内 フラッシュ焚かなければ写真OK TOTEで買った犬券 お疲れ様でした

 Chat GPTが参考にならないので、この日のレース結果は別途検索し、ここ(https://www.gbgb.org.uk/racing/results/?trackName=Poole&raceDate=2016-07-16&raceType=race)で発見しました。これを見ると、私が見なかった第12レースがA1級の最高格レースだったようです。ただ、10レースを勝ったMustang Taboo、12レースを勝ったNodrog Paddyともに出走レースはほぼ全て(Nodrog Paddyが1走だけRomfordで走っている)Pooleであり、別に高レベルレースを走る犬がより強い敵を求めて国内を巡回する、ということはそこまで一般的ではないのかもしれません。そのあたりも含め、やはりグレイハウンドの文化について語った本が欲しいですな。

 とにもかくにも、現存しないPoole Greyhoundを観戦できたのは非常に良い経験でした。


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