菊間のお供

 愛媛県は菊間町。今は今治市の一部となっておりますが,地元の方に聞くと菊間が今治だというのは違和感がある,ということなので,菊間は菊間なのでしょう。
 この菊間は瓦の産地として有名ですが,競馬にしか興味のない健康優良児の皆様にとっては耐震性と視認性重視の競馬場で使われることのない菊間瓦になかなか興味は抱かないのではないでしょうか。

 さてさて。この菊間にて,年に1回,馬を使ったお祭りが開かれます。その名も加茂神社のお供馬。
 賀茂神社+馬,とくると,良識ある皆様は京都上賀茂神社の競馬絵神事や,近江八幡賀茂神社の足伏走馬神事が思い浮かぶのではないでしょうか。ここ四国の片隅にも「かもじんじゃ」があって,そこで馬を使った神事がおこなわれているとは,日本という国の奥深さを感じますな。
 ちなみに,Wikipedia師匠は祭典競馬で菊間のお供馬をトップに挙げています。

 実は,この日,思いっきり雨予報でして,行くかどうか最後まで迷っていたんですが(なんせ早起きは敵だと信じているのです),「雨の方が客が少なくていいのではなかろうか」という思いで乗り込むことにしました。朝倉で買ったポンチョを鞄に詰め込んで出発です。
 てことで,菊間。朝から眠い中,鈍行で到着です。雨の中松山から鈍行電車で乗り込む物好きはおらず,それっぽい人は皆無でした。

電車 菊間駅 観光マップ


 街には,お祭りであることを示す飾りがあります。祭礼案内のポスターなんかもあります。が,まあ朝早いこともあって,人の気配がなく,浮ついた雰囲気はありません。しばらくして,駐車場近くまでいくと,ようやく交通整理の方がおられたり,見物客とおぼしき方がおられたりと,「何かがある」空気になってきます。

街の様子
金光教も祭礼日が同じなんでしょうか?
案内 交通案内には,「お供馬」の文字が


 そして,ようやく神社の入口に到達です。そして……馬場です!
 とりあえず,馬場を進むわけに行かないので,右か左かどっちの歩道を進むかを決めねばなりません。「柵内横断禁止」「柵右側鳥居の右行き止り」などという看板が目に入ります。右を行けば行き止りなんだから,善良な皆さんは当然左に行きますよね。
 てことで,不良なNPは右に行きました。天邪鬼も大概にせい,って感じですな。いやまあ,右に行く人の方が多かったしね……。

到着! 立派な社号標 寄進の跡 スケジュール 鳥居と注意書き 右へ!


 てことで,奥に到達。
 奥にはいかにも馬がとまりそうな場所。当然,立入禁止のサインが出てます。
 そして,向いには神社へとのぼる階段。つまり,神社に行くためにはいったん入口まで戻ってから左の道を通って行かねばならないわけです。ドラクエだとこっち側に宝箱があるわけですな。

 そうこうしていると,神社から人がおりてきました。白いのはレインコートで会って,白装束ではありません。
 この人たちが一斉にトラックに乗ってどこかへと向かいます。どこに向かうのかは不明です。

奥に到達 立入禁止 馬を繋ぐと思われる場所 居並ぶカメラマン
朝何時から来てるんですかね
神社
立派な木が立ってます
上から人がおりてきました トラックへ


 しばらくすると(カメラの時間見たら8時頃),馬が登場。いよっ,まってました!馬は基本的に2人引きで,上に子どもを乗せております(2人引きなのは,馬の制御のためと,いざというときに騎手を守る人と馬を動かす人の2人いる,という目的もあるのでしょう)。2人引きなだけでなく,2人乗りの馬もおります。ペアボートならぬペアホースであります。皆さんレインコート(ポンチョ)を着ておられます。負担重量増やしたくないですからね。
 そして,皆さん,神社への石段の下でお辞儀して,神様にお祈りしていきます。見たところ,塩を撒いたりとかはしてなかったように思います。
 こういう本馬場入場(という表現でいいのかは知らんけど)は神事らしくてよいですな。馬も人も落ち着いており,厳かに本馬場入場が進みます。


 そして,馬場整備。岡田建設さんのご担当であります。


 そして,神楽集団の入場。
 参道の向かい側(左側)では,ほぼ常時獅子舞等の踊りが披露されておりました。なんというか,そこだけ別世界。なんでこんな狭いスペースでやってるのかもよく分からなかったんですが,とにかくマイペースに,神楽が披露されておりました。


司会



 そして,いよいよ馬が動き出します。カメラの時間見たら9時前。1時間,雨の中待ってたのか。我ながら好きよのぅ。

 もちろん,事前にネットでいくつか情報収集していったわけなのですが,事前に写真等で見るのと実際にナマで見るのとではやはり違います。
 思ってたのと若干違った点
・ 馬は単走が基本で,併走しない。但し,2〜3頭が続けて走ることはある。
・ 同じ馬が繰り返し複数回走る。上まで駆け上がって,おりてきて,再度駆け上がる,という方式。回数に決まりがあるのかはよく分からない。
・ もちろん,騎手も同じ。
・ というわけで,シャッターチャンス自体は何回もある
・ 鞍の代わりに座布団みたいなものがあり,足はブーツではなく足袋。
・ 子どもが乗っているとはいえ,当然スピードは出ます。こりゃ凄い。
・ のぼり切った先のスペースが案外狭い。正直,事故が起きないのが不思議。見た目以上に皆さんの技術が高いのではなかろうか。
・ 地元の子が走ってるんだと思うんですが,思ったより「地元の応援団」的なのはない。クラス総出で応援,的なのはない。

戦場に向かう馬 来ました! 駆け上がります! おりてくる
↑見た目危ない感じですが
落馬せずにすみ,
事故にならず
こんな感じで,
基本的に単走です
開会のあいさつ 開会の挨拶中も,全く気にせず神楽が続いておりました
挨拶が終わって,再開 今度は獅子舞


 カメラの時計にして9時40分。御神輿到着です。待ってました。
 ここ菊間の特徴は,牛鬼がいることです。牛鬼というと宇和島のイメージですが,なぜかここ菊間にもいるのであります。どういう歴史的経緯なのかは特に不快興味があるわけでないので調べてません。牛鬼の首が伸びる仕組みはここで見て初めて分かりました。あと,愛媛FCのチャントでおなじみのもてこーいってかけ声はお祭りからきてたんですね。どーりで雰囲気のいいチャントになるわけだ。
 そして,御神輿は神社への階段をのぼっていき,牛鬼も上に消えていきます。
 よく分からんのだけれど,各地の摂社から神様が神輿に乗って加茂神社に乗り込んでいる,ってことでいいのでしょうかね?


こっちはマイペース

おりてきた

やはりマイペース

神輿に乗るのも
大変だと思う


 御神輿タイムも終わったところで,再びお供馬。だいたいの流れは分かったので,ちょっと場所も移動してみます。

  
牛鬼が展示されておりました

馬場!

左にカーブしております

獅子舞とひょっとこ


 さて,考えてみたら神社のお祭りに来たのにお参りがまだでした。我ながら罰当たりです。てことで,遅まきながらお参り。
 上には,大勢の氏子さんたちがおられました。大混雑であります。



さすがに寄付が多い 拝殿 神輿についていて
気になってた日の丸っぽいもの
神馬 拝殿内でも舞いの披露が 拝殿内の絵馬


 ここまでのぼると,今度は馬を見下ろすかたちになります。いろいろな角度で馬を見られるのはいいですね!
 そして,坂が非常に急であることがよく分かります。多度やいなべの断崖絶壁と比べるのは酷であるとしても,それでも凄いっす。しかも馬はここを何回も上り下りするわけで,下手な競走馬より体力消耗するんじゃなかろうか。足腰強いなあ。


このあとの宮出しの
準備かと思われます


 そんなわけで,雨の中,重馬場コンディションでありましたが,特に事故もなく人馬無事にお供馬終了。
 馬に興味がある人は,本来のお祭りのメインである御神輿にはあまり興味がないようで,皆さんばらばらに帰って行きました。

 それにしても,愛媛の菊間でこんなイベントがおこなわれていたとは……日本にはまだまだ自分が知らない馬のイベントが多いんだろうな。
 第13回全国市町村ホースサミットの開催記念石碑もたっておりました。こんなのがあるんだ,と思って検索してみたら,参加市町村が減り,20回で解散しておりました。
 加茂神社のホームページによると,サトウハチローさんの詩は,NHKの番組で作られたものみたいですね。

第13回全国市町村ホースサミット開催記念 お疲れさまでした 東京ケーキの由来はこれらしい
ラッパの音が響く 御神輿がおりてきました


 そんなわけで,自分も退散します。お疲れ様でした。
 帰りに,鬼瓦もなかを買って帰りました。そういえば,ここの出張販売くらいしててもおかしくないのに,してなかったな。お祭りは開くまで神社のお祭りであって,変に観光化してないんだろうな。


 で,厳島神社へ。
 厳島神社の神様は御神輿の中にいるはずなので,このタイミングで厳島神社を参拝するのは留守宅に上がり込むようなもんな気がしますが,気にしないことにします。


道中のお地蔵さん


 厳島神社のお庭が地味に石橋が架かってたりして趣のあるものでした。

 このあとは,せっかくここまできたのでもうちょっと菊間を探索します。雨で精神力と体力を削られておりますが,頑張ります。

菊間探索へ


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