名古屋Again and Again
2023年8月2日の天皇杯名古屋戦。ここで、浦和サポがグラウンドに乱入、暴行行為、柵の破壊、弾幕の破壊などをおこないました。そして、それが、SNSで拡散されるに至りました。
翌8月3日に浦和から出たリリースがこちら
浦和レッズサポーターによる違反行為について
ここでは、「違反行為」という謎単語が登場。なにに違反したのかが書かれていません。そして、立ち入り禁止エリアへの侵入に関し、サポーターが処分されました。
この時点では大暴れの中身の動画が既に出回っており、いろいろな人の頭の中にはてなマークが飛び交っていたと思われます。
そんな流れの中で、8月5日にオンライン会見が開かれました。当日の記録も浦和側から公表されております。
浦和レッズサポーターによる違反行為に関するオンライン会見
相変わらず、「違反行為」という言葉が出ているものの、なにに対する違反行為なのかが明示されていません。
そして、田口代表より、
「『把握できている事実』や『適切な判断基準』とは、我々の主観だけに頼ったものではありません。日本サッカー協会様やJリーグ様との連携を通じて把握した事実でありまして、両団体様の定めるガイドラインを判断基準としております。」
ということが語られました。
さらに、須藤マーケティング本部長から、経過として、
具体的にどのような発言があったかは確認できておりませんが、バックスタンドに横断幕の撤去に来ていた名古屋グランパス様のサポーターから、浦和ゴール裏に向けた言葉が発せられました。この言葉を挑発と受け取り、約20名の浦和レッズサポーターが憤慨してバックスタンド側へ移動しました。
この際、複数名の浦和レッズサポーターが制止に入りましたが止められず、移動が続き、バックスタンド中央部が緩衝エリアとなっていて行き止まりになっていたことから、約50名の浦和レッズサポーターがピッチに降り、バックスタンド側、名古屋エリアに侵入しました。浦和、名古屋両クラブのスタッフや警備員が制止を試みましたがかなわず、結果的に約100名の浦和レッズサポーターがバックスタンドやコーナー付近まで侵入することになりました。
という経過が語られました。この経過の時点で動画との違いがありますが(行き止まりを確認して50名がピッチに降りた、という様子には見えない)、それもそのはず。今回の事実認定は、以下の流れでなされたと説明されております。
収束後にスタジアム内で日本サッカー協会様、Jリーグ様、愛知県サッカー協会様、名古屋グランパス様、浦和レッズ、そして両クラブサポーターの代表者が集まり、事実確認が行われました。先ほど田口が申し上げました『把握できている事実』とは、この事実確認をおいて共有した認識を差しております。この中で認識された主な事項としてはただいまご説明した事案発生に至る経緯および経過に加え、双方暴力は振るっていないという事実でした。横断幕や着用物に損傷が生じたことは確認されましたが、両サポーター間の和解がこの場で成立しております。ただし、和解が成立したとはいえ、後日被害届が出るなどした場合には、個別に対応していくという方針は確認しています。
はい、ヤクザの抗争でよく見られる流れです。明らかに何かがあったのに、なにもなかったと説明される、あれです。まあ、サポーターというのは背負ってるのが組の代紋かクラブのエンブレムかの違いしかない、一種のヤクザですからサポーター同士の抗争で当人同士に事実認定をさせたらこうなります。
あらためてこの説明を見ていて、横断幕に損傷が出たことが確認されてるんだな、ということにちょっとびっくりしました。理由は後述。
ところで、ここで浦和が依拠したガイドライン、これまたよく分からない代物です。
これはJFAなりJリーグなりが、自己の処罰のために設けたガイドラインなのか、各クラブに対し、各クラブのサポーター処罰基準を設けるにあたって参照させるために設けたガイドラインなのか。そもそも、主体としてJFAとJリーグの2者が出てきますが、ガイドラインの中身が同じなのか違うのかも分かりません。
そして、横浜Fマリノス戦を経て、8月16日に次のリリース。
浦和レッズサポーターによる違反行為について(第二報)
事案発生後からJFA様が行ってこられた、映像を用いた事実確認の結果報告をお受けすると共に、JFA様主導にて細部の確認を双方で実施いたしました。
つきましては、当該映像確認の結果を含め、事案発生後から本第二報発信までの経緯を報告させていただきます。
という流れでスタート。
「暴力行為がなかった」かのように記者会見で述べたことが思わぬ反響を呼んだため、「あれは映像を見ずに当事者間で認定した事実にすぎない」ことをアピールしてリリースが始まります。いくら当事者間での認定とはいえ、映像と違ってることは明白だったんだからあの会見の須藤本部長発言はやらかしたよなあ、というのはまあいろんな人が思っていたところでしょうから、とりあえず消火作業にいそしむ必要があります。
そして、リリースでは、「■映像確認の結果判明した違反行為」として、以下の行為が列挙されています。
暴力行為(警備員を押し倒したり、相手サポーターの胸倉を掴むなどの行為) :12件
威嚇行為(相手ゴール裏付近で罵声を浴びせたり、挑発するなどの行為) :6件
危険行為(ペットボトルの投げ込みや、相手ゴール裏に侵入するなどの行為) :8件
破壊行為(緩衝柵を破壊するなどの行為) :12件
その他違反行為(相手サポーターの横断幕を破損させようとする行為) :2件
そう、ここだと、「横断幕を破損させようとする行為」であって、「緩衝柵を破壊するなどの行為」という行為と明確に違いが出ています。いうなれば、ここだけ認定が後退しています。別に大事な部分じゃないのかもしれませんが、個人的にはこの認定が興味深かったところです。おそらくですが、横断幕破損については画像に写っていなかったんでしょう。
なお、相変わらず「違反行為」がなにに違反したのかは語られていません。
そして、8月31日。
JFA理事会にて、サポーターに対する処分が出ました。
【臨時理事会】2023年8月31日付 公表
理由は、「本協会の定める試合運営管理規定第4条(禁止行為)に該当する複数の禁止行為が確認されたため。」ということで、ようやく違反行為というのが本協会の定める試合運営管理規定に違反した行為であると分かりました。長かったですね。
認定事実は以下の通り。
禁止行為@フィールドへの侵入行為(試合運営管理規定第4条第14号)
禁止行為A暴力行為(同第6号)
禁止行為B迷惑危険行為(同第28号)
禁止行為C破壊行為(同第16号)
禁止行為D横断幕に係る問題行為(同第27号)
これを受けて、浦和からもリリース。
浦和レッズサポーターによる違反行為について(第三報)
9月19日、今度はクラブへの処分が発表されました。サポーターへの処分が先行し、クラブへの処分があとから続くのはFC東京の花火と同じ流れです。
【規律委員会】 2023年9月19日付 公表
懲罰内容は以下の通り。
(1)2024年度天皇杯(天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会)の参加資格の剥奪
(2)譴責(始末書の提出)
浦和レッズは、
(以下の行為)に及んだことを防止できなかったほか、本件サポーターらを即刻退去させるなど、観客や選手その他の試合に関わる人の安全を確保するために適切な措置を講じなかった。
ことが問題であるとされています。本件サポーターらを即刻退去させなかったことというのが付け加わりました。即刻退去させていたとして、公道上でもっと大きな問題が起きてたんじゃないかという気がしなくもないですが、まあそれは想像上の話なので分かりません。
この中で、サポーターの行為として認定されたのは以下の行為。
<本件サポーターらによる本件管理規定違反行為>
1. フィールドへの飛び降り
2. 相手チームのサポーター及び警備運営スタッフに対する暴力
3. 相手チームのサポーターに対する威嚇
4. 相手チームのサポーターエリアへの集団での押し寄せ
5. 相手チームのサポーターの横断幕やスタジアム内の設置物の損壊
6. 立ち入り禁止区域(券種外の入場可能エリア、関係者エリア、相手チームのサポーターエリア等)への不正侵入
7. スタジアム内を走り回る行為
8. 掲出不可エリアへの横断幕の設置
掲出不可エリアへの横断幕の設置という、些細なことすぎてみんな放置してた事象も入ってきました。まあ、割れ窓理論的にはこういうところから、というのも理解は出来ます。そして、「横断幕やスタジアム内の設置物の損壊」として、あらためて横断幕の損壊が既遂行為として挙がりました。なんか、こんなところで事実認定がフラフラしているのが見ていて疲れますね。
そして。根拠条項ですが、
懲罰規程 第4条第2項(2)及び(15)、第27条、〔別紙1〕3-7
天皇杯試合運営要項 第30条
とされています。
懲罰規定はいいとして、問題は「天皇杯試合運営要項」。検索しても出てきません。いや、もちろんクラブが見られていれば手続的には問題ないんですが、これを公開しない理由が分からんぞ。
これが分からないせいで、毎度おなじみのスタジアム管理責任を問う規定(浦和からすると極めて印象の悪い2008年ガンバ戦水風船事件の浦和側2000万円罰金)があるのかないのかが分かりません。分からないと、愛知県サッカー協会を不問とした今回の裁定の当不当も分かりません。いいのかこれで。
これを受けて、数時間後(思ったよりも遅かったのは、当日ACL武漢戦があってスタッフがいなかったせいなのか)に浦和からリリース。
浦和レッズサポーターによる違反行為について(第四報)
9月21日、60クラブ共同メッセージなるものが出ました。
日本サッカー協会(JFA)、Jリーグ、Jリーグ全60クラブ共同メッセージ
これが出たきっかけは浦和の事象であることは明らかなのですが、メッセージ内容を浦和のものとするのが妥当なのかどうか、特に「天皇杯の試合だけではくJリーグの主催試合の全てを含めても、我が国のサッカー史上でも類を見ない極めて危険な重大な行為」(【規律委員会】 2023年9月1日付 公表 )があった直後でこの「類を見ない極めて危険な重大な行為」をスルーするのが妥当なのか、なんというか、このメッセージはいったい誰の主導で誰に向けられているのか、よく分からないメッセージになっています。そして、こんな重要なメッセージを出したんだったら、Jリーグの理念としてトップページからアクセスしやすい場所にどん!と掲出すればいいのに。
なお、浦和からは処分対象者の追加に関して
浦和レッズサポーターによる違反行為について(第五報)
が出ています。
これを書いている10月8日時点で、これが状況かと思われます。
普段は「文句があるならゴール裏まで来い」をモットーとしているはずのゴール裏の人たちが、なにゆえあんな安い挑発(普段動画禁止してるせいでこれが残っていないのも痛すぎる)に乗って相手のところまで出ていったのか、いったい彼らのプライドはどこへ向かっているのか、本当に残念かつ悲しい出来事でした。そして、「挑発した方が悪い」という内輪にしか通用しない理論と、内輪での事実認定をもって「なにもなかった」ことにしようとするヤクザ理論を振りかざすあたり、周りが見えていなさすぎというか、そういうやくざな抗争をしたいならスタジアム内ではなく組事務所の中でやってくれ、という感想しかありません。
さて。
10月8日までのことを書きましたが、以下の名古屋戦がおこなわれたのは2023年8月18日金曜日であります。それでは本編。
とりあえず、いつも通り埼スタへの道で1枚。そして、マッチデーでは本日の主役が予告されておりました。
名古屋サポとの緩衝帯はいつもより厳重になっておりました。まあ、ぶっちゃけこの日何かが起こると思ってた人はいないと思うんですが、こういうポーズが大事なのです。そして、前年の2000万円はこういうポーズすら取らなかった不思議な浦和運営のために科されたものでした。1年経ってようやくポーズのとり方を覚えたのか……。
そんなわけで、名古屋スタメン。もちろん、この試合にはユンカーはいません。そして、なんといってもマテウスがいません。海外で頑張って下さい。二度と選手として日本に現れないで下さい。他クラブが迷惑します。
ちょっとした練習風景。選手紹介はこんな感じ。
そして、若干黒色が減ったような気がしなくも無い浦和の北ゴール裏にはPRIDE OF URAWAの大ゲーフラ。今日はそういう日です。なお、最初PとIが苦戦していて、ホーム側からは応援する声が飛んでました。いや、これ掲げる皆さん本当に凄いです。選手入場も撮ってみてます
さて、試合は、前半早々にカンテが理不尽ゴール!
そして、そのあとはかなり厳しい時間も長かったですが、この試合は負けられない、サポーターが足を引っ張るわけにはいかない、そういう覚悟はスタジアム全体から伝わってきました。そして、虎の子の1点を守り切り、PRIDE
OF URAWAを見せつけるかたちで試合終了。
本当に、よく守った。早川に向かっていろんな声が飛んでたのも、みんなの気持ちの表れ。試合後の西川の表情が全てを物語ってますね。
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後半開始(動画) |
金曜日の試合なのに、3万2000人 |
試合終了 |
Nice Shut Out!! |
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緊張から解放された西川 |
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前田直輝と中島翔哉 |
明本 |
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本日の立役者、理不尽ゴールのカンテ |
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そんなわけで、本当に負けられない戦いを制して、優勝戦線に留まりました。穏当によく守り切りました。我々で出来るのです。
ちなみに、帰りがけに気付きましたが、入場ゲートからホーム・アウェイの通り道は分断されていたようです。こういう分断はACLの決勝以来じゃなかろうか。来年以降も名古屋戦はこんな感じになるのだろうか。それにしても、本当に最後はACLの決勝みたいな雰囲気でした。いや、本当によくやった!!
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勝ったー |
アウェイゴール裏から、道が区切られておりました |
警備員も多い |
そして、案内板には新たな戦いへ向けた案内が出ておりました。
ACL連覇へ。そしてWEリーグカップ連覇へ。
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ありがとうございました |
連覇へ! |
連覇へ! |
次は理文戦です |
とにかく、絶対に負けるわけにいかない相手に勝ったこと、最後の選手達の奮闘、本当にいいゲームでした!!
前年はサポーター(ゴール裏)とクラブ・選手間の関係が非常によろしくなかったのですが(選手と監督の関係も色々あったようですが)、今年は関係性も壊れること無く、新たな戦いへと向かうことになるのでした。
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