9/21(モンマルトル)


 この日の夜、ミラノまで夜行で行こうと思いその予約をしにリヨン駅まで行きました。リヨン駅をさまよい、何回か場所を聞いてようやく国際線のチケット売場に到着。しかし、ミラノまでの時刻表が見つからず…。でも、よく考えれば寝台車なんて1日に何本もあるわけではなくしかも自分にはなんの予定もないのだからわざわざ時間を調べる必要がないことに気がつきました。ということで、そのまま窓口に並びます。
 窓口の人は幸いなことに英語が使え(その前に窓口の場所を聞いた人の中に英語が使えない人がいた)予約をしようとすると、僕が取ろうとした2等のクシェット(簡易寝台。ようするに最下級の寝台)は満席。1等なら空いてるといわれました。そんな1等に乗る金なんてあるわけありません。そもそもユーレイスパスも2等用ですし。というわけで、断ってその場を去りました。
 どうしようかここで考えました。選択肢としては昼間の電車で向かうか、明日の夜行で行くかです。夜行の方が1泊分宿泊費も浮くし時間の効率もいいということで、夜行に決定。もう1回並んで、翌日のクシェットを1枚予約しました。
 用も終わり、リヨン駅内をぷらぷら歩いてくると10代後半と思われる女の子に声をかけられました。1ユーロのコインを持って、フランス語でなにやら言ってます。これが、浮浪者だったら迷うことなく無視して通りすぎるのですが、相手は女の子。僕は1ユーロを両替して欲しいのかと思い親切なことに財布を出し、50セント2枚と交換しようとしました。しかし、どうも様子が変です。「ドゥ・ユーロ」と言ってます。僕のわずかなフランス語の知識で2ユーロくれと解釈しました。で、気がつくとその女の子は少し離れていたところにいる仲間の女の子らしき人に目配せをしていました。その瞬間、僕は計られたと思い日本語で「金は持ってない」と告げ、あわててその場を離れました。思うに彼女達はジプシーです。もう少しで金をすられていたかもしれません。以後、女の子といえども気をつけようと思いました。
 その後、予定では1日がかりでパリ郊外のシャンティーに行く予定だったのですが、今晩の宿を取らなくてはいけない都合で予定変更。夜にパリ発の予定だったので泊まっていたユースから荷物を持ってきてしまったのです。パリの中心に近いユースに泊まろうと思い、そこは14時から受付だったのでパリ市内観光をすることにしました。
 というわけで、むかったのはモンマルトル。ここは丘になっていて、サクレ・クール聖堂という白亜の教会が建っているのです。日曜だったのでちょうどミサが行われていました。それを眺めつつ、観光客は側廊を見学します。
 中を見学後は回りを散策。たくさんの絵描きがいました。画板を首から提げながら似顔絵を描く人もいれば、道に椅子と絵を置く台をおいて本格的に描く人もいます。広場があって、そこが画家であふれていました。いやーみんなうまく描くものです。今まで画家のことをなめていました。じっとその絵を描く様子を見ているだけでもあきません。真っ白な紙に、人の顔が描かれていく様子はすごいです。みんなここにいるのは画家の卵なんだろうなと思いました。
 回りをぶらぶらしつつ、丘をくだります。そこには赤い風車をもつムーランルージュというキャバレーなどがありました。さらに歩くとストリップなどが増え、いかにもいかがわしい街になってきました。まだ昼間なのにです。客引きの手を振り払いつつ(文字通りお姉ちゃんが腕をつかんでくるので固い意志を持って進まないといけない)、時間が余っていたのでガイドブックに載っていたエロチズム博物館を見学。ここは何かというと、古今東西の性に関するものが集められている博物館です。例えば、縄文時代の石棒みたいなやつやいかがわしい絵が描かれた古代ローマの瓶やら中国の性交してる人形とか…。日本の浮世絵コーナーも非常に充実していました。だんだん時代が進み、初期のビデオやわけのわからないピカソっぽい卑猥な絵があったりして、なぜか最後には日本のAV女優と渋谷の女子高生の写真がありました。この博物館に来た理由の1つにいったいここにはどういう客層がどんな顔をして見学しているのか知りたいということがありました。予想では中年のオヤジの3,4人組、もしくは20代の男が1人で見学をしていると考えてみました。実際に行って、驚いたのは意外に西洋人のカップルが多かったこと。やつらはカップルで見学をするのです。そのほかには中東系と思われる、オヤジ1人、西洋系の30代女性1人、日本人と思われる20代の男1人がいました。日本人と思われる人とすれ違うのはかなり恥ずかしかったです。
 見学終了後、メトロでユースまで。今度のユースは昨日までよりはこじんまりしていて市の中心部にあります。受付をして、荷物を置きました。これまでパリでインターネットカフェを探していたのに見つからなかったので、ユースの受付のお兄ちゃんに聞いて見ました。すると、地図を持ってきて指差し「この通りのどこかにあった」と非常にアバウトな答えをもらいました。その通りと言っても1キロくらいあります。それでも、闇雲に探すよりましだと思い探し始めました。そして10分ほどで発見。国際電話用の電話ボックスとインターネットを兼ねている店です。入ると店番のおかみさんとその息子(2歳くらい)が1人。おかみさんが英語を話せなく、僕はフランス語を話せないため会話は難航。いったい、1時間いくらなのかがわかりません。それを聞きたいということは通じているのですが…。最後に紙を持ち出し、筆談でようやく1ユーロ15分ということが判明。なんとかネットをすることができました。
 ネットを1時間ほど楽しんだ後、ソルボンヌ大学周辺へ。日曜なので学校がやっていなかったのが残念。もぐろうと思ったのですが。その周辺の観光スポットをちょろちょろ見て、近くの店で夕食用にフランス風ホットドッグ(アメリカより高級)を購入し、公園へ。公園にはテニスコートがあったので、テニスを見ながら食べました。4面あってすべてハードコート。1組だけ結構うまい人がやっていました。そういえばみんなバックはシングルハンドでした。フランスではシングルバックハンドがはやっているようです。それをしばらく見た後に帰りました。そういえば、ネットカフェをソルボンヌ大学周辺でたくさん発見。よく考えれば当たり前です。今までは観光地ばかりを歩いていました。東京でいえば銀座とか浅草とか。そんなところにネットカフェはありません。見つけたいなら学生街です。と、1つ勉強をしました。