ビワハヤヒデ

偉大なる岡部新記録

 岡部幸雄。日本を代表する騎手である。
 好き嫌いの問題はかなりあるだろうが、一応時代を代表する(代表してしまった)騎手である。
 そんな岡部の代名詞は「馬優先主義」である。仕事や家族よりも馬を優先させよう!という運動ではない(当たり前か)。
 とにかく馬優先。レースは調教代わり、途中で追うのをやめるなんて日常茶飯事。デビュー戦なんてまずこない。
 こんなことをやるもんだから、一部の人々の強烈なる理解を受けつつも、他方でかなり反発を受けまくっている。
 こんな岡部騎手、当然のことながら圧勝できるならかる〜く勝って、最後まで追う、なんてことはしない。典型例がシンボリルドルフ。日本でのラストレースとなった有馬記念。「日本で最後のレースだから思い切りやる」を合言葉に臨んだこのレース、岡部が使ったムチは2発。これが彼の思い切りである。開いた着差は4馬身。
 この4馬身がシンボリルドルフ生涯つけた最大着差である。G2以下を見ても、日経賞で同じく4馬身をつけているが、それでもそれが最大。まったく人を馬鹿にしている(笑)。
 さて、そんな岡部騎手がG1でつけた最大着差は?というと、5馬身である。ま、まだ現役なので、今後どうなるかわからないが、最近は関東馬不振もあってろくなお手馬が集まってないので(ウイングアローが目下の強敵だなあ。でも、あの馬は好きなので、そのくらい勝ってほしい気もする)、多分超えることはないだろう(超えちゃったら素直に謝ります)。
 G1で5馬身つけたのはこれまでに4回。最初がケイキロクのオークス(この頃はG1はなかったが。ま、8大競走なんでいいでしょう)。最新が皆様も記憶に新しいタイキシャトルの2回目(というか、1回目は横山典騎手だった)のマイルCS(1600G1で5馬身ちぎったこの馬もすごいが)。そして、残り2回はこのビワハヤヒデ(やっと出てきた)の菊花賞と宝塚記念。
 どうだ、すごいだろ。岡部騎手を乗せて2回も5馬身差でG1勝ってるんだぞ。岡部記録ホルダーなのだ。ルドルフよりも上だ。どーだ、まいったか。
 いや、これはほんとにすごいことだと思う。誰だ!?宝塚は2着アイルトンシンボリの低レベルレースじゃないか、って言ってるのは。そんなこと関係ないんだ、岡部には。そう言えばアイルトンシンボリはルドルフ産駒ではないか。だから岡部騎手もがんばったのか。関係ないか。
 そして、菊花賞。弟ナリタブライアンが(ノーザンポラリス不在ながらも・・笑)7馬身差で勝ってしまったためにあまり目立ってない気がするが、ステージチャンプ、ウイニングチケット以下、そうそうたるメンバー(この世代はかなりハイレベルだったと思う)に5馬身差圧勝だ。はっはっは。

 しかし、ビワハヤヒデを考えるにおいて、触れなきゃいけないことが2つある。
 まず、騎手問題。ご存知、ビワハヤヒデの最初の主戦騎手は岸騎手である。彼は朝日杯、共同通信杯の連続2着で降板した(させられた)のだけれど、その後の岸騎手の落ちぶれ振りは皆さんご存知の通り。この時期に同期のライバル、岡騎手が落馬死亡する、というアクシデントの影響もあった。
 そして、代わりに選ばれたのが岡部騎手。ヤマトダマシイ、クエストフォベストの2頭が故障したから乗った、というG12着のクラシック候補に対する扱いとは思えない扱いをするのが岡部騎手らしいといえばらしいのだが。ま、代打が岡部騎手なら岸騎手のプライドもさほど傷つけずにすむ、というのもあったのだろう。(ちなみに、浜田調教師はファレノプシスで再び騎手変更問題に直面するが、このとき、ビワのことに触れて「昔、私のせいで一人の有望な若手騎手をだめにしてしまった」という趣旨のことを言っていた。だったら乗せてくれたっていいではないか(笑))
 その岡部騎手だが、期待通りの活躍をしていない。皐月賞・ダービー連続2着敗退。これでは何のために乗り替わったのか分からない。ま、菊花賞の5馬身差勝利は、そういうことが影響していたのかもしれない。

 もうひとつは引退レースと、JC回避問題。
 「JC回避は連続連対記録更新のための逃げ」という批判が続出した天皇賞→有馬記念ローテ。そして、天皇賞での故障には「当然の報い」的な発言も多かった気がする。
 で、これは陣営の戦略ミスではないのかな、という気がする。だって、別にJC回避はマスコミに言う必要がないのだから。何食わぬ顔して天皇賞に出て、一応JCにも登録して、その上で「調子が万全でないから回避」といってしまえばみんな納得する(オペラオーがなんかすごいことをやってしまった今ならまだしも、当時なら確実に。ウイニングチケットはその前年菊→JC→有馬ローテで有馬で惨敗したし)はずだ。古馬のチャンピオンとして、JCに勝っても有馬でブライアンに負けたら(ブライアンは当時は菊のあと全休といっていたので、天皇賞→有馬ローテに打倒ブライアンの意識があったかどうかは分からないが)その勝利の価値は半減どころかゼロになってしまうのだから、そういう発想をもったこと自体、賛成、とまではいかないが、理解はできる。
 なんといっても岡部。岡部なんだから。これだけで理由になってしまう。凄い騎手だ、岡部騎手は(笑)。
 そんなこんなで、天皇賞は残念なことになってしまったわけだが、ここでも岡部騎手がビワに違和感を感じたときに少し追うのをやめたことについて非難がでてきた。「最後まで追っていれば勝ってたはずだ」という人もいた。
 ネーハイシーザーファンの僕としてはビワが完調で走りきっていても負けてないと思うのだが、まあ、そういうたらればはおいておく。こういうことを言わせるあたりがビワハヤヒデの強さである、という点については僕も認める。ネーハイと逆だったら100%そんなことは言われてないから。

 話がまとまらなくなってしまったので強制的にまとめる。
 ビワハヤヒデは凄い馬だ。岡部レコードホルダーだ。ただ、なんかちょっとマイナス面の話題が多かったのが残念な気がする。でも、繰り返して言うが、ほんとに凄い馬だと思う。
 あと、冠号使った馬の中ではトップクラスにいい名前の持ち主だと思う。

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