ビゼンニシキ

皐月賞馬を超えた!

 今や、ビゼンニシキといったらシンボリルドルフ!!という具合に、ビゼンを語る際に、ルドルフを忘れるわけにはいかない。
 そして、ビゼンは必ず言われる。「ルドルフさえいなければ...」と。ルドルフさえいなけりゃ、皐月賞は4馬身差の圧勝だし、弥生賞→スプリングS→皐月賞→NHK杯→ダービーという、トライアル&本番全部使う必要なかっただろうし、ダービーも、あんな早仕掛けかまさずに、もっと上の着順狙えただろう。(それより、スズマッハがダービー勝ったら、って考えた方が怖いか。単勝何倍だ?しかも大崎ダービー3勝。)
 が、ルドルフがいなければ、ビゼンは単なる皐月賞馬で終わってたはずだ。秋に故障せずに、ニホンピロウィナーと名勝負を繰り広げ、秋天(ギャロップダイナの)までも勝った、ってんなら、今ごろ、「史上最強マイラー」として、崇拝されてるだろうが。
 考えてみよう。最近の有名な皐月賞馬。パッと思い浮かぶのは、ブルボンやら、テイオーやら、サニブーやらで、後にGT勝ってないハクタイセイやダイナコスモス、ドクタースパートらは、マイナーなことこの上ない。イシノサンデーなんて現役のくせに忘れられかけてる。
 GT1勝馬なんて、所詮そんなものだ。ダイナコスモスは、トロットサンダのお陰でちょっと有名になったが、ドクタースパートなんて、初の道営出身のJRAGT馬なのに、はっきりいって、ビゼンニシキの方が有名だ。
 ビゼンニシキはGT勝ってないけど、そこらのGT馬より、はるかに有名だ。
 そりゃそうだ。GT勝つより、ルドルフに冷や汗かかせる方がはるかに大変なことだ。
 ここまでくれば、何が書きたいか分かるだろう。ビゼンニシキは、ルドルフがいたからこそ、ビゼンニシキなのだ。
 ビゼンは、ダイタクヘリオスという、希代のマイラーを生んだ。そして、ヘリオスはルドルフ産駒、トウカイテイオーと対決した。そして、ヘリオスは2戦2敗。が、初対決となった秋天では、テイオーを乱ペースに巻き込み、大波乱を演出した。ビゼンの密かな(密かすぎるが)抵抗だ。
 ヘリオスはマイルCSを連覇。産駒は97年にデビューした。
 そして、ビゼンのもう一方の代表産駒、リターンエース。皮肉なことに(そうか?)テイオーと同期。障害8戦全勝。60kgを超す斤量を背負って、レコードを連発。が、グランドスラムを目前にして、脚部不安を発症。引退した。古馬マイル戦線に挑む前に引退した父を思わせるようなエンディング。
 そうこうしているうちに、ビゼンは九州へ。
 九州には、他に、宝塚記念を驚異的なレコード(あまりに驚異的すぎて、2着馬と8着馬以外、全部後に故障した)で勝った、ダンツシアトルがいる。他にも、種牡馬を引退したグリーングラスもいる。(場所は違うけど)
 九州産馬がテイオー産駒を負かす...いかにもビゼンニシキらしい、と思いません?
 備前錦っていう名前も九州的だし。(備前は九州じゃないけど)

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