シンボリルドルフ イヤ味な馬シリーズ その1
怠慢
史上最強馬である。「GTTなんてめじゃねーよ」とイバるマルゼンスキーファンでさえ一目置くルドルフである。
そもそも、ルドルフは期待されてなかった。ちょっと語弊があるか。あまり、それほど、後の活躍からみれば、って事である。
さて、ルドルフデビュー。岡部絶賛。野平絶賛。和田オーナーも、ルドルフのすごさを知る。ちなみに、新馬戦でルドルフと岡部に野平がいったこと。「マイルの競馬をしろ」どうやらほかの馬は眼中になかったようである。
2戦めも快勝し、3戦め…「オープン」。JCの週である。
和田が、野平に「海外の人に、日本にもこんなにすごい3歳馬がいるって見せてやろうよ」と言ったのが事の発端。野平が、「でも、それだと朝日杯出られなくなるよ」と言ったところ、「うん、別にいいよ」だそうだ。
おいおい、よくねーよ。朝日杯だよ朝日杯。来年からGTだよ(グレード制は昭和59年から)。…まあつまり、ルドルフ陣営は朝日杯なんか眼中になかったのだ。朝日杯勝ったハーディービジョンの身にもなってやれっての。(ちなみに、海外の人が、「この3歳馬すげー」って言ったという記録は全く残っていない)
で、春。+18、−22というムチャクチャな馬体重で日本中をあせらせたが、皐月では、自分より54キロも重いビゼンニシキをふっとばして審議になってさらにあせらせた。
そして、ダービー。もちろん1番人気。
が、ルドルフの動きが悪い。岡部が押しても引いても反応しない。関係者はマジであせる。何といっても野平は騎手時代ついにダービーを勝てなかった男だ。「やっぱりダービーは勝てないのか…」
3コーナー、相変わらずルドルフは馬群の中。おそらく岡部は言い訳を考えてたんではなかろうか。(やべーよ。下ろされたらどーしよー)とか思いながら。
そんなことはどうでもいい。4コーナーにさしかかる。すると、ルドルフが勝手に動き出す。岡部も、野平もびっくり。なんてったて、いきなり馬が自分の意志で動き出しちまったのだ。直線に入ると、後は余裕。粘る大崎スズマッハ(超人気薄)を楽にかわしてゴールイン。
結局、ルドルフは、ほかの馬ばかりか、岡部までも無視して、ダービーを勝ってしまったのだ。ちったー岡部の身にもなってやれよ。
その後、和田は高松宮杯出走を要求したが(2冠馬のとるローテじゃねえ)、野平が和田に大嘘をついて回避。
秋、「菊を無視してJCに専念」という3冠を無視したローテをとるうわさが飛んだが、一応菊へ。ゴール通過と同時に力を抜くという余裕ぶりで(そんなことやってるからギャロップダイナに負けるんだよ)、あっけなく3冠達成。
で、中1週でJC(今は中2週)。ルドルフは下痢がとまらない。が、んなことおかまいなしで出走。叩きあった2頭は下したが、スローで逃げたカツラギエースと、内にいたベッドタイムに負けて3着。
続く有馬。一時期、「本気でカツラギエースをつぶす(=逃げつぶす)」と言う案もあったが、そんなことやったら他の(後続の)陣営に悪いので、素直に好位抜け出しで圧勝。つまらん。
翌春は宝塚取り消し、というアクシデントがあったものの、出たレースはつまらない岡部乗りで圧勝。
秋、ギャロップダイナに負ける。涙を流したと流さなかったとか。
JCは圧勝。またしてもヒモに変な馬を連れてきて、連複はけっこうついた。
有馬。
野平「今日は日本で最後のレースだから、思い切りやってよ」
岡部、肯く。
ちなみに、この年の有馬は、あまりにもつまらない(結果が見えている)ため、売り上げが例年の2/3に激減している。(ルドルフ記念レースができないのは、このことにJRAが腹を立てたからだ、という噂があったりもする)
で、レース。ルドルフは真面目に…やってない。だってムチ2発だよ2発。何が思いっきりだよ。ナリブーみたいにできないの?しかも、それで4馬身もちぎるなよ、2冠馬を。
ここからは、和田と野平の対立のお話になっちゃうので、ここでおしまい。
岡部は、後に、サンルイレイSについて、「完調だったらあの程度の馬に負けるわけがない」とまで言っており、現地の調教師も、完調なら、「95%勝てる」とまで言っております。