長老のベストレース集

１９９７年

　第115回　天皇賞

　競馬を見てて初めて、戦慄がはしったと言いましょうか、ゾクゾクっと来たのを覚えています。それほどの末脚でした。
　買っていた馬券（当時にしても遊び程度の額ですが）はマーベラスサンデーの単勝。サクラローレルに差し返された時点でその目はなくなったわけですが、それを外からまとめて風のように交わしていったのがマヤノトップガンでした。ライスシャワーのタイムを２秒４塗り替えたレコードタイム。レコードというのはコンマ数秒ごとに塗り替えるものだと思っていただけに、それも衝撃でした。あまり行われない長距離ならでは、という事情もあったことはそのうちにわかりましたが、あの脚を見せつけられているだけに、その場では驚きと同時に納得してしまいました。マヤノトップガンは嫌いな馬ですが、衝撃のレースとして挙げないわけにはいかないレースです。

第115回　天皇賞・春(G1)　５歳上オープン　牡・牝○指(定量)　芝3200　良
着順 枠 馬 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 通過 上り 人気 体重 厩舎
1 2 4 マヤノトップガン 牡6 58.0 田原 3:14.4 --- 11-11-12-08 34.2 2 458 坂口正
2 4 8 サクラローレル 牡7 58.0 横山典 3:14.6 1.1/4 08-08-02-02 35.0 1 488 小島
3 7 14 マーベラスサンデー 牡6 58.0 武豊 3:14.7 1/2 10-10-03-02 35.0 3 500 大沢
4 8 16 ステージチャンプ 牡8 58.0 蛯名正 3:15.4 4 14-13-08-06 35.5 8 472 矢野進
5 5 9 ローゼンカバリー 牡5 58.0 藤田 3:15.6 1.1/2 11-11-05-04 35.9 6 480 鈴木康
単勝　４　370円
複勝　４　130円、　８　120円、　１４　130円
枠連　２−４　420円
馬連　４−８　440円

決め手＝外強襲　　　前半４Ｆ＝49.7（Ｓ）　　　上がり＝46.5−34.8


１９９８年

　第33回　京都大賞典

　このレースの５分前に東では毎日王冠が行われ、サイレンススズカが、無敗の４歳（旧表記）２騎エルコンドルパサーとグラスワンダーを下していました。このレースは後々にこの３頭が走ったレースとして話題となるレースですが、僕はこのレースが伝説のＧ２みたいに語られることには不満があります。それは３頭とも休み明けで、特にグラスは、たまたまこのレースに出てた、くらいだからです。とまあ、今回このレースの話ではないんでこれくらいにして、背景として必要なのは、僕を含めた逃げ馬ファンにとって、毎日王冠のサイレンススズカの逃げは期待外れだったということです。タイム的にはかなりのペースで行ってますし、世間的にどう思われたのかは知りませんが、少なくとも僕には、「無難に勝っちゃった」ように思えたのです。まだ競馬場にざわめきが残る中、京都大賞典のファンファーレが鳴ります。

　京都大賞典。もちろん僕の注目は新馬から追いかけている（という表現が正しいかはともかく）セイウンスカイ。当時京都に行くという選択肢はなく、テレビ観戦でした。今回は、休み明けで初の古馬相手、５７キロと条件は厳しいもので、４番人気。僕は他の馬はなんとかなるだろうが、メジロブライトはわからないと思い、ブライトとの連複のみを買っていました。スタートが切られ、メンバーからいって自然とハナに立つセイウンスカイ。僕の記憶では１コーナーまでは今までどおりの普通の逃げだったはずです。が、カメラが隊列全体を写すと先頭の馬が離れている。ざわめくスタンド。２番手の馬にカメラが移動するまでの長い間。どよめきと歓声。このどよめきと歓声が僕は大好きなんです。サイレンススズカならともかく、意外にもセイウンスカイがここまでの大逃げをしたことがこのどよめきと歓声になったのでしょう。自分の好きな馬がここまで魅せてくれたことも、僕にはうれしいことでした。そして大写しになるたびにまた後続を引き離し、歓声があがります。この差が３コーナーから４コーナーにかけて一気に詰まります。またわきあがる歓声。４番人気という微妙な人気なので、残って欲しい人もそうでない人も、このまま全くつかまらないんじゃないだろうかと思っていた人も、単なる暴走だと思っていた人も、ここで歓声を上げてしまうのは自然なことです。僕はまさかここでもう垂れてしまうのかと心配しましたが、典の手がまだ手綱をがっしりと絞っていたので安心しました。ここから大歓声の中、天皇賞馬と直線みっちり叩き合い、完封するのです。自分の好きな馬がこれからに期待できる強い勝ち方をし、これだけの歓声があがり、馬券も１点でとった（実は手違いでこの馬券は頼めていなかったんですが）という最高のレースでした。
第33回　京都大賞典(G2)　４歳上オープン　○混○指(別定)　芝2400　良
着順 枠 馬 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 通過 上り 人気 体重 厩舎
1 1 1 セイウンスカイ 牡4 57.0 横山典 2:25.6 --- 01-01-01-01 34.8 4 476 保田
2 3 3 メジロブライト 牡5 59.0 河内 2:25.7 クビ 04-04-04-04 34.5 1 456 浅見
3 7 7 シルクジャスティス 牡5 59.0 藤田 2:26.0 2 07-06-06-07 34.7 3 464 大久保正
4 6 6 ステイゴールド 牡5 57.0 熊沢 2:26.2 1.1/2 04-04-04-04 35.1 2 434 池江
5 4 4 ローゼンカバリー 牡6 58.0 吉田 2:27.0 5 06-06-06-04 35.8 5 484 鈴木康
単勝　１　600円
複勝　１　280円、　３　150円
枠連　１−３　840円

決め手＝逃切る　　　前半４Ｆ＝47.6（Ｍ）　　　上がり＝47.0−34.8