まわる静岡その3

自転車に囲まれる東照宮の石塔

 そんなわけで,静岡駅に復帰。久能山を目指すべく,バス乗り場を探します。
 久能山への行き方はどうも2通りあるらしく,ロープウェールートと,下からの徒歩ルート。静岡駅よりも南側にあるんだから当然バスも南から出るんだろう,と思って南口へ。すると,東照宮の文字の入った石塔を発見。周囲は自転車に囲まれて,特段観光客の注目も集めておりません。そこそこ歴史のある塔なのではないかと思うのですが……。

 で,それはいいとしても久能山に向かうっぽいバス停が見当たりません。というか,バス乗り場案内図も見当たりません。これは困った。
 というわけで,駅構内に戻って静岡市の観光協会へ。ここで久能山への行き方を伺い,さらに乗るべきバスの時間も教わりました。次のバスまで20分少々。ううむ,田中城下屋敷まで歩いていたら危なかったな。時間もそんなに無いので,駅ビル内でパンを買って立ち食い。

 バスはSuica全国対応により小銭を使わずに済みます。便利な世の中になったものです。

 で,ここにきて初めて知った事実。日本平は平地にない!
 正直,かなりびっくりしました。日本平なんて名前からして,さらにサッカー場があることからしても当然駿河湾を望む広々とした平野のことだと思っていたのです。ところが。バスは山の中に入っていきます。ちゃんとした「日本平」の定義は分かってませんが,とりあえず駿河の平地のことではないことだけは明白。いやぁ,やっぱり現地に行ってみないと分からないことがありますな。バスが途中で寄った日本平ホテルの雰囲気をみるに,おそらく一大保養地なのではなかろうかと思います。
 そして,日本平ロープウェー。行く前は名前からして平地である日本平から久能山に登山するロープウェーだと思っていたのでありますが,なんのことはない,まさかの日本平から久能山に下っていくロープウェーでした。イヤー,驚きですね。
 ロープウェーの割引券は静岡駅の観光協会でもらっていたので100円引き。まあそれでも900円は高いなー。その代わり,といってはなんですが,ロープウェーのガイドさんの語り口調がなんともいえず風情と趣がありました。これは一聴の価値あり(そんな言葉はないのか)。それと,ロープウェーから見下ろす屏風谷の景色が絶景。天然の要害とはまさしくこのこと。久能山城の要害っぷりがよくわかります。でも,日本平側には特に城なりなんなりの軍事施設は造らなかったのでしょうか?こっち側の方がそこそこ平坦な部分もあっていろいろt発展可能性がありそうな気もするのだが。

恋人の聖地らしい キズナのカギ。
ダービーではどこで仕掛けるべきか,というような話ではありません
駿河湾方向
ロープウェーからの眺め 屏風谷の天然の要害っぷりがたまりません 駿河湾が見えてきた

 さて,そんなこんなで5分間の空中散歩を終えてロープウェーは目的地の久能山側に到着。
 帰りのバスを逃すと大惨事になるので,とりあえず拝観料を払って中に進みます。なお,ここでも割引券を使えたようですが,使えるってことを観光協会で聞いてなかったので使いませんでした。無念。

 久能山東照宮は山の中にあるだけに,楼門を超えてだんだん上に登っていくといろいろ登場するスタイル。あたりまえとも言えるかもしれませんが,日光東照宮に似た印象を受けます。ただ,装飾は日光ほどには華美ではないな。
 解説によると,もともと久能山には久能忠仁が建てたお堂に由来する久能寺があったとのこと。この久能寺は行基に縁があるようです。で,それが天台宗になり,武田氏が久能城を建立するに当たって移動し,静岡市清水区に移動。その後,明治期になって山岡鉄舟の関係で鉄舟寺になった,とのこと。
 戦国当時京都大阪方面の寺院はかなり武力を蓄えていたようですが,久能寺はそうでもなかったのかな。それともなにか武田氏と取引があったのか。

解説 甕割り
甕割りというと柴田が浮かびますが
多分こっちがもとになったんだろうな
面白い手水
あまりにも一般的な手水のイメージから離れているためか,特に誰も使わず
楼門
彫刻
なんか龍の表情が楽しげにみえる
逆方向から 上を見る 手水鉢は重要文化財
オオデマリ。白くてきれいでした 神厩舎
なんとなくメリーゴーランド的な馬です
家康梅 鳥居 五重塔跡
ソテツがなんとなくヒドラか八岐大蛇みたいに見える
鐘楼

 同じ東照宮でも,日光の方は五重塔が残ったようですが,ここの五重塔は破却されたようです。こんな場所の五重塔まで壊しに来るってんだから,どれだけ恨みを買ってたのか,それともそれだけ一部の廃仏毀釈勢力が強かったのか……。

 で,いよいよ拝殿が見えてきます。が,正面唐門から入るのではなく脇からまわっていく構造は日光と同じ。紀州東照宮はそうではなかったので,東照宮一般と言うよりもこれは単に観光客処理的な問題なんだろうな。
 日光の東照宮は(輪王寺も含めて)なにかと商売熱心でありましたが,ここはそんなことはありませんでした。これだけの施設を維持して宝物館を改修とかしているのに,どこからともなく収入があるのだろうか。氏子組織がしっかりしてるのかな。
 東照宮というと無条件に「赤色!」というイメージなのですが,ここの拝殿は黒を基調としております。あまり黒塗りの神社ってイメージないですね。他宗教だと先日行った湯島聖堂なんかがまさに黒漆塗りでしたが。

こういう燈籠の配置って面白い 天女? 唐門 日枝神社
もともとは薬師堂だったようです。そう簡単に衣替えしてしまってよいのだろうか
静岡浅間神社や久能山東照宮の建設の際に集まった職人さん達がやがてプラモデル等の製作を行うに至ったようです
ほかにも宮大工等が集まっている場所はたくさんありそうなもんですが,結局どうして静岡なのかはっきりしないような気がする
塀と門 拝殿 彫刻 どことなくかわいらしい 漆塗りの工程について
これは凄いな…
 
拝殿 絵が鮮やか。さすがに塗り直してるだろうな 逆側
金と黒のコントラストが鮮やか
お手植えのみかん
家康がからむと
あちこちにありますね
ここにもソテツ
山下より1159段
上まで+40段

 さらに奥があり,奥に進むと神廟。この構造も日光と同じです。同じですが,日光よりも段数が少ない。これはここまで(ロープウェーという文明の利器を使わずに)登ってこられた方々への最後の配慮と受け止めるのがよろしいかと思うのであります。
 ところで,久能山の本来の参拝ルートは下からの登山です。ちょっとはっきりしないのではありますが,下から登ってきたと思われる参拝者は相当数おられたように思います。そういう方々は段数の書かれたソテツ前で記念撮影されておりました。階段をのぼって神社参拝というとどうしても香川の金比羅山が有名ですが(純粋な山登りだと富士山を筆頭に多々浮かぶけれど),ここも負けず劣らずの段数をもち,しかも駿河湾を望む風光明媚な神社なので,もっと有名になってもいいような気がします。また,歩いて思ったのですが,1段1段が金比羅よりも圧倒的にきついです。正直,50段程度の登りもちょっとつらかったです。子どもやご高齢の方も登られているようでしたが,これはかなり大変なのではないかと思います。もちろん,下の方は段差が低い可能性はありますが。その意味で,下から上まで登るのはこんぴらよりもここの方がきついような気がします。

解説 階段 下を見おろす 金の成る木について
ちょっとよく分からん
神廟と燈籠 愛馬の霊所

 そんなわけで,なんとか時間に余裕がありそうだったので,今度は逆方向に進んでとりあえず勘助井戸だけ拝んでおきました。まあ,言われなかったら普通の井戸であります。
 本当は大手門跡まで見て行きたかったところですが,時間が怖かったので戻りました。
 現代的な石垣ではありますが,下の方から見上げた姿はなかなか壮観。紀三井寺をちょっと思い出しました。

手形 史跡久能山 植物について 勘助井戸 駿河湾の眺め

 そんなわけで,ロープウェーで日本平に戻ります。ここのガイドさんが皆あのようなしゃべり方をするのか気になっており,できれば行きと違うガイドさんだったらいいな,と思っていたのですが,行きと同じ方でした。とはいえ,またあの流れるような素晴らしいガイドを聞けるのでこれはこれでよかったです。
 が。出発後,衝撃のアナウンスが。なんと,ロープウェー乗り場から久能山城の石垣遺構を見ることが出来るとのこと。なななななんと。そういう大事なことは行きに教えてくださいまし……。てなわけで,武田期の石垣がどんなもんだったのかは不明なままでありました。

日本平方向 これに乗る 要害です 駿河湾 全景 ラッピングロープウェー 顔出し 聖なる3本のライン

 で,ガイドさんから富士山が見えると教えてもらったので,日本平の展望台まで走って見に行きました。春霞のせいか,この距離でもあまりしっかり見えないものなんですね。

名勝 日本平 赤い靴はいてた女の子 富士山 駿河湾 いちご生ジュース。これはおいしくないわけがない

 帰りは動物園まわりが渋滞しておりましたが,そこまで時間もかからずに静岡に戻りました。
 夕食はホテル近くの蕎麦屋でカレー南蛮。とろみがかったカレーでした。ごちそうさまです。


 そんなわけで,旅行にしては珍しく早めにチェックインして体力回復できたのでありました。

田中城その2相良草競馬

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