越前の平泉

 勝山というと,なにはなくとも超A級B級スポットである勝山城史料館と越前大仏があまりにも有名で,さらに大野城にいたおっちゃんもお勧めの超A級A級スポットである恐竜博物館も有名です。
 この勝山に,もう一つ,平泉寺白山神社という観光地があるようなので,せっかくなので寄ってみました。そもそも寺なのか神社なのか,という名前でありますが,とりあえず今は神社のようです。結論から言うと,参道にいくつか石仏があったり塔頭があったりしましたが,基本的には神社90%という雰囲気でした。もうちょっと神仏習合的空気が出てるとよかったんだけれど。

 それはさておき,カーナビさんの言うがままに駐車場に停めたところ,どうもこれは下の方の駐車場だったようで,ここからえっちらおっちらと歩いて行くことになりました。
 歩いて行くと,まず登城するのがまほろば館。民間の建物なら勝手にやってもらえばいいんですが,これが公設だとしたら果たしてどれだけペイできてるのか不思議な建物でありました。ちょっと公営なのか民営なのか分からないのでコメントできません。なんとなく公営っぽいんだよな。


市営駐車場にあった地図
神社まで思ったよりも遠かった
そして,神社の近くにも
駐車場がありました

まほろばが必死の集客

まほろば

 続いて,参道を歩いて行きます。そして,見えてくるのは長く続く階段。この脇に駐車場があるので,歩行距離を最短にするにはここに停めるのが正解ですね。このへんはカーナビ業界にいかに食い込むかが勝負なのではなかろうか。

 ところで,この平泉寺白山神社。白山信仰にまつわる神社であり,どうも白山参詣の際に泰澄大師が創建したということです。由緒を読むと,「後世一般に平泉寺の名で知られたために寺院であるかのように思われてきたが本来神社である」と,なかなか強気な書きぶり。そこまで寺院と神社を強く区別せんでもいいように思うんだけれど。さらに由緒を読んでいくと,義経が立ち寄ったり,後醍醐天皇に呼応して鎌倉幕府軍と戦ったりと,なかなか僧兵軍団として華麗な歴史を誇るようです。
 また,由緒とは別に説明文も掲げられておりましたが(おそらく作った人が違うんだろうな),こっちはどちらかというと寺院色が強い説明。「平泉寺は……尚白山を管理していましたが,明治4年に白山は,加賀に編入され,同時に神仏分離の命令にて寺号を捨てて白山神社となって今日に至っています」と,どちらかというと母体は寺院であることを強調しています。
 なお,朝倉義景の墓を越前大野で見たので関係するWikipediaを見ていたところ,この平泉寺は朝倉再末期において,信長方と内通して朝倉にとどめを刺しているようでありました。このあたりのことを書かずに秀吉の庇護を受けていたところまで話を飛ばすのは,やはり朝倉を裏切ったという後ろめたさがあるのでしょうか。でも,朝倉との関係は主従でもなければ裏切っちゃいけない関係でもなかっただろうし,ちょっとよく分からないところです。もしかしたら当地には朝倉恩顧の方々が多く,また朝倉人気が高く,反朝倉的なことを書けない事情があるのかもしれません。このあたりはいかんせんにわかWikipedia知識をもとにしていることもあり,よく分からんところです。ですがまあ,朝倉側からしたら「この直後に一向一揆に焼き討ちされてざまあみろ」てな感じでしょうな。


北谷六地蔵
見たところ新しそう

常夜灯
上から木が生えてます

解説その1。寺院寄り

由緒。神社寄り
  
塔頭の顕海寺。こんな内陸なのに「海」の字が入るんだな

 さて。まずは旧玄成院庭園であります。
 どうも造園時はここまで苔に覆われていなかったようで,今この苔むした庭園をみているのは歴史の偶然の産物のようです。簡単な解説板がありましたが,解説板に書かれている「築山」がいったいどれなのか,理解するのに若干の時間を要します。
 拝観通路はL字型に曲がっていて,行き止まっています。もともとはどこにどういう建物があってどういう角度で眺めていたのかはちょっとはっきりしないところですが,現代においては苔庭に拝観路が突き出ている形。ですが,この苔庭はもともとあるものではないので,昔の雰囲気というのはよく分からんですね。
 最初は通路の突き当たりの先に築山があったりするのかと思ってたんですが,どうもそうではなく,L字に折れてるあたりの先にありました。まあ細かいことはどうでもいいですし,ここまで苔庭になった今,作庭師の思いよりも現代の姿をあるがままに眺めるのがいいのではないかと思う次第であります。


倒れてて読めない

 そんな旧玄成院庭園,てっきりメジャースポットかと思ったら,なんか自分が見ている間はほかに拝観者がいないくらい,人が入ってこない静かなスペースでした。庭園区域と外は木戸で区切られていて,完全に自分だけの空間で庭を見られたのはよかったな。

 さて,さらに登っていきます。飼葉猟,八幡神社などを横目にみつつ,御手洗池。そこからさらに苔で一杯のなかを進んでいくと,摂社・末社が並ぶ一体に入ります。


池尾明神

今宮神社

 そして,拝殿。かつては我が国最大の拝殿であったようですが,今もなお大きな拝殿としてどどんと構えております。パッと見たところ,寺院色が強いですね。詳しいことは分からんですが。
 そして,その裏にあるのが本殿と摂社。本殿は彫刻が見事であります。

 
拝殿裏の石垣
実質的には城趾とみてもいいんだろうと思われます

 暑いし疲れてきたのでここで折り返そうかとも思ったんですが,やはりここまで来て奥まで行かないのも勿体ない。というわけで,さらに奥まで進んでいきます。
 納められたお経がどこに行ったのか心配になる納経所を経て,最後は三之宮と楠木正成公墓塔。なぜここに楠木公の墓塔が?と思ったのですが,どうもご親戚が楠木公の市を聞き及んで弔うために立てたもののようであります。

   
納経所

 あとは下るだけ。下りの道も,いい感じで日がさしてきれいです。これで暑くなければいいんですがね…。


 そんなわけで,平泉寺白山神社拝観終了。もう少し僧兵がたくさんいた頃の雰囲気が出るものがあったらよかったんですが。でも,全盛期は数多くの塔頭とともに権勢を誇っていたようなので,まさにこの辺一帯で大人数の僧とともに一大拠点を築いていたのではないかと思う次第であります。

 さて,帰りは西念寺に寄りつつ,駐車場脇の店でソフトクリームを食べて体力補充。いよいよ,A級B級スポットとして名高い勝山城に向かいます。


脇の石屋に飾られていた
巨大狛犬

西念寺

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