クレノソウカイ

 JR呉駅からゆめタウンへの歩道橋を進んでいくと,左手に現れるのがボートピア&ダッシュ呉です。意地でも一般人とギャンブルオヤジとを混線させないぞ,という呉市の意気込みが感じられる導線であります。
 てことで,歩道橋からいったん下に降りて,ボートピア呉に侵入。ついでに,脇にあるダッシュ呉にも入って,ちょっとだけ舟券と馬券を買います。こうやって地道な納税作業を続ける私の心意気を汲んで,誰か私だけの減税措置とか適用してくれないでしょうか。

ボートピア呉
狭いので全景映らず
まだKYOTEIの文字があります 岩田杯です
康成とは無関係
脇の入口


DASH呉 内部 老眼鏡が
常設されてます
馬券機 カレンダー
持って帰るひとは
どれだけいるのか
この日は金沢と高知
逃げ差しの有利不利情報は
参考になります
 納税を済ませたので,続いてはてつのくじら館です。大和ミュージアムには行ったことがあるんですが,こっちは初めてであります。
 この年は,この直前に浜松に行ってたので,海と空を制覇したことになります。


 さてさて,てつのくじら館は,どうしても外から見えるあのどでかい潜水艦に目が行ってしまうのですが,ここの展示は潜水艦だけではありません。
 2階には,掃海艇に関する展示がこれでもか,というくらい詳しくおこなわれております。今回,このてつのくじら館を訪れたのは,やはり潜水艦に入ってみたかったという気持ちがあったんですが,この掃海艇に関する展示は本当にいい意味で期待を裏切ってきました。

 というわけで,お勉強です。掃海艇が生まれたのは,言うまでもなく機雷が生まれたからです。というわけで機雷についてのお勉強も欠かせません。

 以下,自分用リンク。まずはおきまりのWikipedia先生日本の掃海艇掃海隊群という項目もありました。あと,機雷のWikipedia。競馬オタ城オタ鉄オタと並んで(というかそれ以上に)オタの文章量が過ごそうなイメージのあるミリオタさんたちはWikipedia以外にもきっとなにか書いてるはずなんですが,そこをうまく検索するだけの知識が私にはありません。Googleさん頼りだとそのへんはやっぱり限界があります。なにか見つかったと思ったらGeocitiesだったりするし。

 まずは機雷についての基礎知識。そして,殉死者の慰霊という悲しくも重要なお話。
 平和ボケ人間として,平成20年代になっても機雷の処理が続いているということを知り,大変驚いたのでありました。

 ちなみに,2010年に佐世保に行った際に乗せていただいたのも掃海艇でした。そのとき乗せていただいたのは「やくしま」でありました。

機雷設置数 近年処分実績 顕彰碑建立と追悼式の経緯 航路啓開

 機雷というと,我々世代はWindowsについてきたマインスイーパというゲームで慣れ親しんできたわけなのですが,当たり前のことながら,現実の機雷はゲームとは大きく異なるのであります。極めて効果的かつ極めて危険な兵器であり,失敗したらリセットしてやり直し,なんて甘い世界のものではありません。

攻守自在の海洋兵器 各種機雷 LUGM145機雷
ペルシャ湾に設置されていた
もののようです
55式2型機雷 発火方式による機雷の分類
沈黙の機雷戦 Manta機雷(イタリア) Udm機雷(ロシア) 3式2号航空機雷2型 70式機雷 ペルシャ湾において掃海中に発見した機雷を
パイプライン付近からこれに吊下して移動した後に処分し,
その際に爆発の被害を受けた,とのこと
掃海艇の装備の変遷 係維掃海 複合掃海 無人掃海具SAM
白馬のSAMさんとは無関係
係維掃海用切断器
磁気測定器 機雷掃討 水中処分員の活躍と装備 三式掃海 磁かん棒

 最後にさらっと出てきた水中処分員の方々って死と隣り合わせとかいうレベルじゃ無く死と隣り合わせですよね……これ書いてて怖くなってくる。

 で,海中ロボットの登場であります。

機雷処分具の変遷 数字の順序が逆ですが…
水中ロボットの解説です
ペルシャ湾で活躍した
処分具S-4
ヘリコプターによる航空掃海

 それから,掃海艇のモデル等。佐世保で乗せていただいたやくしまのものはありませんでした。

はやとり ひめしま 掃海艇7号 あわしま ゆうちどりに搭載されていた羅針儀 係維機雷掃海の模型
ははじまとはつしま 木造船になった理由 中央部 外板部分 キール部分 あわしま進水記念斧
掃海艇の変遷


 そして,戦争直後に旧日本海軍がおこなった掃海作業に関する資料の展示。
 見る人が見たら面白いんでしょうが,いかんせんNPにはこれを面白がるだけの知識量がない……。ただ,これまでに78人もの方が掃海作業で亡くなっていた,というのは今回初めて知ったことでありまして,とにかく衝撃でありました。今回,これを知ることができただけでも行った甲斐がありました。
 そして,驚かされるのが関門海峡まわりのやばさ。そりゃ確かに日本の造船を握ってるのが瀬戸内海だから,ここを潰すわなあ。いやはや,恐ろしい。ここ抑えられたら平時も日本の商業活動がぶっ潰れるわけで,戦後ここが問題になったのもよく分かります。



はじめに 安全宣言伝達式について 天覧閲艇式記念 触雷船舶関係一覧表 ゆうちどり試航掃海経過報告綴 昭和21年
若草丸試航掃海経過報告
宇部・小野田間
磁気掃海について
磁気掃海参考資料 三式掃海具 五式掃海具単船曳航法案 解説
掃海殉職者
発生状況図
米国機雷敷設図 日本近海における
触雷位置
瀬戸内海機雷敷設図 関門海峡 機雷敷設表 成果報告書
水中防備計画の件照会 ポツダム宣言受諾後の掃海作業 関門方面掃海促進対策打合覚書

 そして,「湾岸の夜明け作戦」についての展示です。Wikipediaの記事は非常に簡潔(本文には「湾岸の夜明け作戦」という名称は出てこない)。一般向けに,この作戦を記録した本も出ているようなので,詳しくはそちらを,という感じでしょうか。


 その他,様々な器具。最後に気付きましたが,この展示の一部は掃海艇の甲板を模してつくられているようでして,甲板の上はこうなってますよ,という展示なのでありました。いわゆるインスタ映えスポットはこのあたりであります。
 機雷処分のダメージで折れ曲がったフロートの姿はリアルなんですが,これって何メートル下の機雷が爆発した結果のものなんでしょうかね?素人的にはそこが分かるともっと機雷の恐ろしさのイメージが湧いたな,と。

水面に浮上した機雷を銃撃で処分する機関砲 音響掃海具 展開器 フロート(浮き)
掃海艇後甲板 破損したフロートを上から

 ここでは,機雷という兵器の恐ろしさ,掃海艇にまつわる人の活動・戦後掃海作業で多くの方々が亡くなっていること,ペルシャ湾での活躍等,ここではいろいろなことを学ぶことができました。
 初心者向けの機雷・掃海解説として次はどうしたらいいのか,なんかミリオタさんのいい感じのページが見つからないのが残念で,なにかいい本探すしかないんだろうけど,何がいいのだろうか。ざっと検索した限りでは,桜林美佐さんという人が書いてる「海をひらく」という本が色々と触れているようで興味深い。あと,このサイトが充実してるな。自分用にリンク貼っておこう。
 いずれにしても,潜水艦を見に来たと思ったら掃海艇に興味が湧いた,というのが今日の大収穫でありました。

入船山記念館潜水艦見学


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