浜の草競馬

 日本競馬の本質は賭け・ギャンブルであります。しかし,世の中には(少なくとも公式には)賭けをしていない競馬(「けいば」のこともあれば「くらべうま」のこともあると思われますが)も存在します。
 NPは基本的にレースが好きなので,ギャンブルの存在は事の本質ではないのです(あったらあったで当然楽しいのだけど)。というわけで,(公式には←以下略)賭けをしていない草競馬にも行きたくなる訳であります。馬文化が廃れかかって久しい日本ではありますが,今もなお生きる草競馬に突撃!

 というわけで,新幹線さくらに乗ります。先日熊本からの帰りに乗って以来。まさかこんな短期間に2度も乗るとはなぁ。それにしても,「さくら」の発音が一貫していない(寅さんに出てくる「さくら」的な発音と,花の「さくら」的発音)のがなんとなく楽しいです。
 そんなこんなでぐっと縮まった福岡と鹿児島。前回福岡から鹿児島に移動したのは,友人の結婚式の時でした。そのときは新八代乗り換えだったんだから,一本で行ける今の便利さといったらないですな。

新幹線川内駅 やけに「!」が目立ちます ぶれた 手作り御輿 甲冑生産日本一は川内なのかな?
新田神社御神灯 在来線川内駅表示 串木野は現在まぐろラーメンで
一旗揚げようとしております
駅前シャトルバス乗り場

 で,川内で乗り換えて串木野。いかにもJR九州といった綺麗な駅を出ると,目の前にシャトルバス乗り場。駅から見えたSLっぽい展示も気にはなりましたが,シャトルバスを1本逃すと何が起こるのか考えただけでもおそろしいので,寄り道せずにバスに乗ります。マイクロバスに乗ってレース場ってのはなかなかない経験ですね。しかも紳士淑女が乗ってるバスでレース場,なんて日本ではなかなか経験できません。


 そんなわけでバスは目的地に到着。バスを降り,流れに乗って坂を上がって進んでいくと,屋台が見えてきました。お祭り雰囲気,いいですねぇ。うれしくなってきますね。

 と,そんなこんなで浜辺に到着。浜辺の堤防が階段になっており,しかも「腰掛けてください」と言わんばかりの堤防なので,みんな腰掛けております。まだ開会式前なのですいていました。よかったよかった。どこに陣取るのが正解なのかイマイチよく分からないので,とりあえずゴールの近くに座ってみました。
 結論として,ゴール付近に陣取ったのはレースを見る観点からはやはりプラス。レースの見せ場はゴールというよりもゴールまでの紆余曲折にあるとはいえ,ゴールで人馬を拍手で出迎える喜びはやはり何物にも代え難いです。
 他方,屋台自体は堤防に広がっているため,お目当ての屋台にいくまではちょっと時間がかかります。あと,やっぱりたまにはスタート地点を見たいと思うわけで,曲線800メートルのレースのスタート地点までは当然800メートルあるので,ちょっと疲れます。まあ,そんなに暑くもないのでいい運動になると思えばよいかな。
 ただ,ゴール地点付近といっても,写真という観点からだとちょっと失敗したかな,と思わないでもないです。でもそんなの些細なことですね。

帰りのシャトルバス発着場 もともと健康作りの遊歩道コースらしい 歩いて行くと,前方に屋台が! 照島が見えます 会場案内図
堤防の様子 決勝線 レーシングプログラム 当日の予定 ご挨拶
レープロの会場案内図
こっちの方がわかりやすい
実施要領 並べられた優勝旗 優勝旗返還に来た人馬
前年(2010年)活躍したブエナビスタの勝負服です

 さて,大会は会長挨拶で幕を開けます。ゴール付近というもっとも本部に近い場所にいる僕にですら,どこで何をやってるのかが分かりませんでした。まあ観客としては会長挨拶に興味はないんですが,ここまでこぎ着けるのには1年間それなりに大変だったでしょうに,ゴール付近まで出てきてくれてもよかったのでは……。
 そして,開会に先立ち,東日本大震災の被災者に黙祷が捧げられました。
 それは当然のこととして,宮崎の新燃岳の被災者に一言,とかはないんですね。荒尾では宮崎支援レースもあったので,串木野も似た感じのことをやってもいいのかな,と思ってましたが,考えてみたら鹿児島は桜島で噴火慣れしてるんだろうな…。

 この串木野浜草競馬。もともとは荷馬車組合の花見の余興だったらしいです。どうも3万人入場らしいですが,まあ眉につばを塗りたくっておくのがよいかと思います。それでも,3桁しか入場者がいない佐世保競輪とかと比べたらびっくりするほどの大盛況であります。まあ,年齢層は比較的高めで,JRAの発売もある荒尾と大差ないような気がしなくもありません。女性比率はこっちの方が圧倒的に高いですが。それにしても,なんで草競馬はよくて荒尾競馬はダメなのか……。

 そんなわけで,お待ちかねのレースが始まります。初めて見る草競馬。初めて見るポニーレース(←本当にポニーレースを見るのが初めてなのかについてはちょっと自信がありませんが)。

 基本的に距離は800m。こちとらゴール前におりますので,スタートは800m先になります。はっきりいって,何が起こっているのかよく分かりません。しかも,スタートまでけっこう待たされます。おそらく,全馬がきちんとスタートよりも後ろに並ばないんだと思います。まあ,調教された競走馬でさえうまくいかないんだからしかたないですな。
 ファンファーレはJRAのものの使い回しです。アナウンサーが出走馬の紹介をしますが,そんなのお構いなしにレースは始まります。
 レース中はBGMとして走れコータローが流れ続けます。BGMがなかった望月に比べると,こっちの方が余興感が強いです。
 ちなみにゴールは「竿と竿の間」なので,竿と竿の外を通ってもいったん下がって竿と竿の間をくぐらないといけません。何が言いたいかというと,大外一気は不可能だということです。小島太はここではやってられませんな。シンザンもダメです。

遠くで何かが起きている 横に広がってます 綺麗な馬だなー 併せ馬 サラブレッドを見慣れてると
ポニーの上に人が乗るのが
アンバランスに見えてしまう
がんばってゴールを目指します ゴール! ゴール!! わんさか登場 ゴール後は休んだりしてたまってます

 という感じに1レース終了。
 ポニーレースは見慣れないので,新鮮でした。スタート後に馬が横にばらけます。ばらけたまま放馬落馬なんでもありです。もちろんまっすぐ走ってくる馬もいます。形はいろいろですが,みんなゴールを目指して走ってきます。いや,走ることを放棄して歩いてくる人馬もいます。しかし,この800メートル,楽しい!素直に全人馬を応援できるのはお金がかかってないからかもしれませんが。

やはり遠くで何が起きてるのか分からない だんだん現れる馬たち
続々ゴールへ がんばれ!
仲良くゴール 引っ張る大人 追う子供
追いついてゴールへ お疲れ様!


 しかしまあ,スタート後遠くてよく分からない間に落馬したりしてるので,ちょっと心配になってしまいますし,見えないところで戦いが起きてるのはちょっと欲求不満になってしまいます。ですが,だんだんアップになってくるのは嬉しいもの。早く来い〜と思いながら遠くの馬を見ているのであります。
 ただ,1つのレースを見ながら,速い馬と時間とコースと人を存分に使う馬がいるのは見応えたっぷりともいえます。

 3レースは輓馬。輓馬というと,北海道のばんえい競馬が思い浮かぶわけですが,こうして浜で輓馬の姿を見るのは新鮮です。それにしても,こんな巨大な馬をよく操りますね。素晴らしいです。
 砂浜,という観点からは軽種やポニーよりも輓馬がパワフルに砂をかき分ける方が似合っている気がします。

輓馬と仲間たち

 さて,第3レースまで終わって,一通り流れが分かったので,ここいらで席を立って場内探索に向かいます。

 馬たちの待機場所は堤防からちょっと上に上がった駐車場の辺りらしく,馬や騎手たちが上から降りてくる仕組みになっています。
 また,堤防には地域の方々主催のお店が多数出ていて,まさしくお祭り!!という賑わいでありました。一応せっかく遠くから鹿児島に来たので,(屋台のお好み焼きやら焼きそばやらではなく)なにか特徴的なものを……と思い,炭火焼鳥と薩摩揚げを購入。どっちも油っこいものですが,できたてほかほかということもあり,おいしくいただきました。

堤防の様子 上から降りてくる騎手 レースの準備中
 
馬の横断中は馬優先
これは競馬場近くの道路でも見られる光景ですね
炭火焼鳥
身がひきしまってておいしい!
薩摩揚げ
いろいろ種類があったので一人でもOK

 そうこうしているうちに次のレースのスタート。スタートがどういうルールに基づいているのか,一応注目してたのですが,結局よく分からん感じでした。旗を持ってる人が旗を降ろしたらスタートなのは確実なところですが,どういうタイミングで旗を降ろすことになっているのかがちょっとよく分からん感じなのであります。まあ,見ている分にはそこはどうでもいいんですがねー。

旗を降ろしてスタート! 疾走 疾走 疾…走

 さて,席に戻って第6レースはポニーレース。相変わらずの多頭数での楽しいレースが繰り広げられます。
 この広い浜辺を使っての多頭数がここの特徴といっていいんじゃないでしょうか。望月みたいなせまいオーバルコースでの少頭数レースも魅力的ではありますが。

6R 遠くからやってくる 華麗に 仲良く
えっさほいさ ゴール ゴールした馬は戻っていき どんどん入線 落ち着いて進む
サラブレッド競馬を見慣れてると
アンバランスに見えますね
4人で力を合わせてゴール

 7レースもポニーレース。
 ここまでくると,1着争いよりもハプニングに期待してしまう自分がおります。まあ,みなさん怪我無く頑張っておられているようなのでなによりです。

綺麗に疾走 歩く 追いつかれる ゴール ゴールに向かう馬たち
大外一気 と思ったら放馬 ダッシュで追いかけます 逃げます 最後は無事ゴール
なかなか落ち着きません 併走 最後は歩いてゴール 歩く いい表情

 8レースは中半血種。普段サラブレッドとアングロアラブと輓馬にしか縁がないので,「中半血種」という言葉は初耳です。馬の種類って知っているようで全然知りません。
 この中半血種レース,騎手の方々がウエスタンな格好をされていて,レースを楽しんでいるのが伝わってきます。こういう楽しさがある競馬ってのはいわゆる競走競馬と違って楽しいですね。


 そして,午前中最後の2レースは軽種のレースです。
 主催者側としては,「スピード感あふれるメインレース!」という触れ込みで盛り上がっているところなのでありますが,普段サラブレッド競馬を見慣れている人間としては,別に特別なものではなく,普段見慣れないポニーレース等に興味津々なのであります。ですが,普段競馬場などという卑賤な場所に縁が無い方々はこの軽種レースで盛り上がっておられました。こんなに軽種レースが好きならもっと荒尾や佐賀,小倉に行ってください。

9レース
10レース 遠くから馬の影が 坂になって浮かび上がる馬の姿が美しい 1頭抜け出す 最後まで走る

 そんなわけで,午前中の予選レースは終了。午後は,午前中のレース結果を踏まえてレースが組まれることになります。
 で,ここから昼休み。
 
 今年は,被災者支援ということで,予定にない昼休みレースが行われ,レースの間募金箱を持った主催者の方が客席を歩いておられました。

昼間レースの様子

 さて,そんなわけで本格的に昼休み。
 とりあえず,腹ごしらえは済ませてあるので,近隣観光であります。近隣観光,といっても,浜の右手に見えていて気になっていた照島神社への散歩であります。
 当然同じようなことを考えている人は多いので,人の流れに沿っていけば道に迷うことはありません。それよりなによりずっと島が見えてるから迷いようがありません。
 てなわけで,10分程度歩いて到着。左手に見える海の駅も気になりますが,それは帰りに寄るとして,まずはまっすぐ進みます。

ずっと見えてた気になるアイツ 鳥居が見えてきます 解説 赤い欄干が印象的
橋から浜の方角を見る 薩摩焼開祖着船上陸記念碑 海に向かう鳥居
橋がない時代は
ここから上陸したんでしょうか
参道
馬頭観音 馬頭観音…って馬じゃないですよね 平成17年選抜甲子園準優勝の神村学園寄贈の灯籠 境内
緑が気持ちよいです
由緒書 鳥居 手水舎 水はありませんでしたが,
面白い造形
拝殿
狛犬 鳥居と橋

 さて,島を出ると,続いてさっき飛ばしてきた海の駅。ここで地元名産というマグロまんを買ってみました。

鳥居と大漁旗 まぐろまん

 まぐろまんはあつあつでしたが,シーチキンっぽい食感ではなく,ジューシーでした。もっと流行ってもいいような気がします。
 そのあと,浜を歩いて戻ります。

砂浜に蹄鉄の跡 浜辺 上から見下ろす ゴミは各自お持ち帰りください
ガムテープで貼り付けた
実行委員会の文字が美しい
優勝旗 優勝カップ 優勝旗 とりあえず花を撮ってみた

 そんなわけで,午後のレーススタート。
 午後のレースは決勝レース。午前中のレース結果に基づいて走るレースが決められます。
 個人的に気になっていたのが,「逸走する馬は決まっているのか」ということ。つまり,午前レースの結果が悪い馬=午前レースで好き勝手に楽しんだ馬,なので,午後の序盤に走る馬は午前に好き放題やった馬な訳です。そして,午後の後半に走る馬は午前中はまじめに走った馬です。さあ午後はどうなるのか。

 結論から先に書くと,午後の序盤はやはりレースは荒れ,午後の後半レースはやはりサクサク進みました。というわけで,やっぱり馬の個性が強いようです。
 午後は,勝った馬に優勝旗またはトロフィーが授与されますので,優勝した騎手の誇らしげな姿が見ていて凛々しく素晴らしいです。JRA・NAR競馬なんかだとウイニングランであってもトロフィーとか旗を持って走ることなんてないですからね。
 それと,ここの名物は「ばふ〜ん饅頭」。聞くところによると,10年前に発明された串木野浜競馬の名物で,JRAに持ち込んで販売したりしているらしいです。よくテントが出ているやつですね。……やはり地方自治体が運営主体の荒尾や佐賀じゃ売るわけにいかないんだろうなあ。

ばふ〜ん饅頭娘 ばふ〜ん饅頭 暑かったので買ってしまったかき氷
まだ4月なのに…
実況席
はるか遠くでおこるレースの変化を
落ち着いて実況されておられました
午後の客席
パワフルな輓馬
ポニー疾走 あれ? 誇らしげ
相変わらず輓馬はパワフル 表彰 おめでとう!
ポニーA級
地元馬決勝レース(ポニー・輓馬混合)
カテゴリーとして地元馬を分ける必要があるのかどうかはおそらく歴史的な経緯があるんでしょう。
中半血種。これもパワフル&スピーディー

 さて,宴もたけなわとなってきたので,今度は馬の待機場を見学に行ってみました。
 広場に馬運車が止まり,木などに馬を結びつける簡易厩舎村ができあがっておりました。


馬!! 馬運車と馬 馬運車 馬!
ここにも馬頭観音 韓国窯の火上陸記念碑
韓国からの上陸なのでハングルが2番手なんでしょうが,
情報量として本当に同じなのでしょうか…
記念碑

 そして,ラスト2レースは軽種。やはり軽種のレースはメインイベントなのであります。

走る! 走る走る! お疲れ様 おめでとう!
遠くから どんどん どんどんどんどん 走る!
レース後の凛々しい馬の姿 表彰へ おめでとう!


もらったさつま揚げ


 そんなわけで,この日の全プログラム終了。

 実は,この間にお楽しみ抽選会の発表があり,NPは見事地元の特産品(まぐろラーメンと薩摩揚げ)をゲットしたのでした。薩摩揚げは中身がぎっしりと詰まってて(たぶんつなぎの割合が低いんでしょうね)おいしい!!

 で,シャトルバスに乗って駅に戻りました。シャトルバスに乗った人は少なかった(確か全員座れてた)ので,遠方から電車で来る人は少ないんでしょう。まあ,車が圧倒的に強い地域でしょうからね。








 最後に串木野駅のまわりを写真に撮っておしまい。

市街地図
こんどは思いっきりマグロを食べたい
記念碑 串木野駅 駅前 駅構内
駅表示 名所案内 プリマハムの工場があります 電車 線路は続く

 そんなわけで,浜競馬終了!!このあとは鹿児島に向かいます。
 それにしても,大規模な草競馬は初めて見ましたが,こうやって街の人が楽しく見られる競馬ってのはいいですね。
 特にポニーレースは放馬あり落馬ありなんでもありで,見ていて楽しかったです。皆さん怪我無く無事でなにより。
 それにしても,なぜここにこれだけの人が集まるのに,荒尾にはあんなに人が少ないのか……。


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