バースで羽を伸ば-その1

 題名をつけるセンスが無いんだから諦めて普通の題名をつけたらどうか,という突っ込みは不要です。

 さて。無事競馬場からバスで市内に戻ってきました。いや,競馬場も市内だったのかもしれないけど。
 このまま当初の予定地であるSpaに直行してもよかったのだけれど,まだ明るいので若干ぶらつくことにします。
 すでに競馬場に2つ行ってしまって,おそらく下手な駐在さんよりも競馬場に行ってる可能性がある状態ですが,地味にまだイギリス3日目。まだまだ全てが新鮮です。久々にヨーロッパの石造りの建物を眺めておりまして,この手の建物を見たときに毎度感じる「日本の建物は木と紙でできているってのはもっともだ」という感想を今回も抱くのでした。
 古くからある街にしては道が広めなのは,おそらく歴史保存と市街地化の綱引きを上手く突破したからなのでしょう。

駅から数分歩くとこんな広場に出ます Abbey きれいな建物ですが
特になんというわけでもなさそう

 で,ふと右を見下ろすと,きれいな公園というか庭園が見えました。ニワカ庭園マニアとして興味が湧きます。イマイチ「英国庭園」がなんなのか分かってませんが(イギリス遠征前に本を数冊買ったり借りたりしたのに,例によって1文字も読んでない),とりあえず「英国庭園」に行って見ればなにか分かるかもしれない。もちろん,これが「英国庭園」なのかは分かってないのだけれど。



 そんなわけで,お金を払って中に入ります。国際学生証で割り引きききました。出国当日に気合いで作った学生証が役に立つとは。尤も,なかなか社会人気分が抜けないので,このあとも学生証を使い忘れまくるわけなんだけど。
 表示を見てると午後5時で閉店ガラガラっぽく見えるんですが,6時までのようでした。よかったよかった。それにしても,この時期のイギリスは6時でも外が明るいから助かる。冬場は4時できつくなって6時なんて真っ暗だものなあ。

 入口から下に降りる階段の真ん中に彫刻があります。エドワード7世,Edward the Peacemakerの顕彰のようです。完全に世界史知識がぶっ飛んでおりますが,Wikipediaによると,このPeacemakerの名前がついた由来の一つに,日英同盟の締結が挙げられているようです。まさかこんなところで日本と縁のある人の彫刻に出会えるとは!!なお,Wikipediaさん曰く,競馬にも大変造詣の深い方だったようです。ふむ。さすが英国王。
 そして,この彫刻,見ての通りエドワード7世の顔があるのは台座部分(正確には3階建ての2階部分というべきか)でありまして,上に乗っかっているのはたぶん天使です。これをみて,以前NHKのカルチャーセンターか何かで聞いた,「銅像の本体は台座なのか彫刻なのか」という論点を思い出しました。ことこの彫刻に関しては,おそらく台座部分が本体だよなあ。

営業時間
入れたならなんでもいいのだ
RHSのBritain Bloom Competition
で入賞したことを自慢してるようです
Edward VII

 進みます。きれいに作られているのが,ラグビーワールドカップのための飾り。ここバースもワールドカップの会場となったようですね。ワールドカップが終わったらこれどうなるのだろうか……。記念にこのまま飾り続けるのかな。
 その他,いくつかの彫刻を眺め見ます。豚(イノシシではないらしい)と並ぶPrince Bladudの像がありまして,こんな人世界史で習った記憶ないぞと思って調べてみたところ,例によって登場するWikipedia先生によると,どうも神話上の人物で,バースの温泉を見つけた人のようであります。かなりの重要人物だな。この豚は,ブラドッドさんがハンセン病を治すきっかけ&温泉に気付くきっかけになった動物みたいですね。
 真ん中にあった四阿は,どうも演奏用のスペースのようでして,おそらくここで演奏がおこなわれることがあるのではないかと。この日はそういうイベントはありませんでしたが,周りにあった椅子に座って読書をされている方がおられました。日本だったら居場所をなくしたおっさんが椅子で爆睡する光景が見られるところではないかと思うんですが,イギリスではそんなことはないようです。

 で,芝生が青々としたきれいな庭園でありました。なんというか,自分が勝手にイメージしている「幾何学的なきりっとした花壇がある英国庭園」とはまたちょっと違った,どっちかというと公園に近い印象のある庭園でした。まあ学割で1ポンドせずに入れる場所としてはいい場所だったかな。ここでのんびり読書するだけの精神的時間的余裕を持てる人間になりたいものです。

ラグビーW杯記念 川を眺める 川沿いには花が咲く ブラドッド王子と豚
(台座にはPrinceとあったので王子にしておく)
庭園内から周囲の建築物を見上げる きれいな花壇 四阿とその周りの椅子 庭園内には道があるのはいいのだけれど,
この門はいったいなんなのだろうか。
向かって左側はたぶん上の彫刻落ちてるし
Mozart in memory of Me
ここに解説
足下に兎と鳩がいますね
これはよく分からず 四阿
Band Personel Onlyとのことです
最後に上から見下ろす 奥にラグビー場(多分)が見える

 そんなわけで,ParadeGardenはいい庭園でした。
 町歩きを続けます。

 庭園脇を流れ,バースの街をぶった切るこの川,Avon川と言うようです。アヴォンでなくエイヴォンと読むみたい。
 地図を見ると,バースの街がこの川に三方を囲まれていて,ある意味要塞として極めて優れたかたちになっているのを確認できると共に,いままで洪水被害に遭わなかったのか不安になります。
 このエイヴォン川にかかる印象的な橋が,プルトニー橋。庭園からも目立っておりました。そして,もう一つ印象的なのが馬蹄形というかつの字というか,とにかく三段になってる奴です。これ,何というのだろうと考えてみたところ全く浮かばなかったので探してみたところ,「落差工」というみたいです。ATOKが変換できなかったので徳島みたいな田舎にはないのかもしれません。河川の流れを安定させたり,川がえぐれるのを防いだりする目的で設置されるみたいですね。とにもかくにも、また一つ賢くなりました。
 で,プルトニー橋自体は,橋の上に店が並ぶ普通の橋でして(なお,勢い余って「普通の橋」とか書いたけど,橋の上に,両側に店が並ぶのは,Wikipedia英語版によると世界で4つしかないらしい),外から見て窓が見えていたのはすべてお店の窓でした。よって,すでに店仕舞いモードの時間帯には入ることはできません。若干,彦根城の太鼓門櫓的なものを期待したのですが残念。
 それにしても,こんな橋の上に店を構えるなんて,地震国の日本じゃ危なすぎるな。本当にこの川は洪水とか起こさないのだろうか。
 この橋の脇から,RiversideWalkといって下に降りることができます。ので,降りてみました。なかなかの水量。本当に洪水とか起こさないのだろうか。そして,観光船が落差工のせいで狭くなった川の中でうま〜くUターンしておりました。凄いな。
 この橋ができたのは1774年とのことです。日本では解体新書が出版された年にあたるとのこと。こんな時代の建築物が現役なのか……。

プルトニー橋 落差工 橋の上の商店街
ここから降りる 出口 下からの眺め
Uターンする船 近くから見る橋 再度落差工を見下ろす

 それから,Bath Abbey(人によって大僧院と訳してたり寺院と訳してたり様々)を眺め見て,本日の最終目的地であるThermae Bath Spaに向かいます。
 それにしても,きれいな街です。少なくとも観光地として名高い地域を歩いている限り,どの部分を切り取っても絵になりますな。美しい。住む分には大変かもしれんけど,観光地として訪れる分には申し分ないです。

 
町歩き Abbeyが見えてきた 近づく 見上げる Water is Best ゴミ箱
中国人観光客が多いことが
うかがい知れます
 
別角度から 広場の出口はこんな感じ
地震がないからこその
美しい建築ですな
温泉入口 こんなアーチも
地震国じゃまず無理だ
町歩き

 そんなわけで,Thermae Bath Spaに到着しました。
 BathSpa駅もそうでしたが,こういう街の景観が極めて重要な場所でどうやって新しい施設を建築するかというのは町づくりの専門家と建築家の腕の見せ所ですな。
 ここに関しては,ガラス張りの部分はそれなりに見えはするものの,ガラス張りなだけにそこまで目立ちもせず,とりあえず何も知らない日本人がぷらぷらする分には強い違和感を覚えませんでした。

 そんなわけで,みなさんカップルや友達同士で楽しんでおられるとこに,アラフォーおじさんが一人で突撃です。日曜なので35ポンド。7000円です。こんなの到着3日目のテンションじゃないとやってられません。日本でも基本的に1000円を超えるスーパー銭湯なんて行かんのに。こんなところに7000円払うなら日本の銭湯に15回行った方がよっぽどかいいのはこちとら百も承知であります。ビバ銭湯大国日本。ビバ温泉大国日本。
 とはいえ,こういうのは一度行って見ないとどうしようもないので,乗り込みます。

 結論として。
 1 温度は温水プール程度で,よく言えば長湯してものぼせない。悪く言えば日本人にとって風呂に入った気にならない。
 2 いわゆるホモな方々が普通に仲良くされていて,こういうのが普通の国なんだな,と認識できました。
 3 温度が温水プール低度なことからも明らかなとおり,露天風呂は中に入ってるぶんにはいいけど一歩外に出たら地獄です。
 4 寒いので,露天風呂から外に出て夜景を眺める,なんて無理無理。寒くて外になんていられない
 5 場内はバスローブで歩くんだけれど,せめて露天風呂用の更衣室兼水ふき場所を作ってくれたらまだマシなのに
 6 水深は基本的に1メートル以上。どこかで1.35mという表記を見た。よって,日本の風呂的に横になるのは不可能。浮き具があって,それをつかって横になって浮くことは可能だけれど,流れますからね……。
 7 やはり35ポンドは高い。本当は感想として12が高くて34が無くて5も高い,としたかったくらいに高い。
 8 アラフォーおじさんが一人で行くべき場所では無く,友達同士で行くべき場所です。イメージはやはり温水プール。但しもちろん泳げません。
 9 温泉的なにおいは特になし。多分硫黄的な温泉だったら外国人(非日本人)寄りつかないだろうな。建物の劣化も早いだろうし
てな具合です。経験としてはまあ悪くないけど,35ポンドの使い道としてどうなのよ,という気はする。でも,その後話した知り合いなんかは「バースはローマ浴場はなんてことないけど温泉はすげーよかった」と言ってたりもして,まあ日本の温泉・銭湯になれた日本人と,そういうのがない人とではやっぱり感想は違うよな,と認識。そういえば,またハンガリーの温泉に行きたくなってきた。

こちらがお店 これがスーパー銭湯 そこまで悪目立ちしてないと思う
右側のガラス部分が露天風呂部分ですね
値段表 注意 出たらこんな感じ

 最後に,町歩き。
 夕食はSainsburyで購入。このスーパーがイギリスでどのレベルなのかはこの時点ではよく分かってなかった。なお,地球の歩き方を見て,「サリーランズ」というのが有名だと知りましたが,値段を見てあっさりと撤退しております。イギリス全般と比較すると,観光地にあって知名度の高い店にしてはそんなに値段は高くないとは思うんだけれど,日本と比較するとどうしてもね……。ここのパンが有名みたいです。まあ,有名といったところでたかがしれてるんだろう,と自分の無知を棚に上げて言ってみたくもありますが,こういうところで競馬以外の知識と教養のなさを露呈して恥じ入るのでした。知識と教養と名刺を武器に日本を支えてる人もいるというのにねえ。まあ独身なので娘が学校ふけてデートクラブにいく心配はありません。
 あと,当地で有名なのがジェーンオースティン。騎手の名前じゃ無いですよ。横文字見たら競馬を思い浮かべるのは悪い癖です。作家です。サッカー選手じゃありません。……なとどくだらないことを書いてお茶を濁していることカラも明らかなとおり,わたしゃ知りませんでした,この方。なんとなく聞いたことがある気がするのはなんとなくどこにでもありそうな名前だからであって,それ以上のことはないと思われます。だってこの名前を見て「作家」であることすら分からなかったんだからな。自慢げに書くことでは無いが。将来の自分のためにWikipedia。サウサンプトンに住まわれたこともあるんですね。

町並み ライトアップされるAbbey
サリーランズ

 で,この日もバスで宿に向かいます。GoogleMapさんが教えてくれたバス停名が間違っていて,バスの運転手にバス停名を伝えてもまったく反応してもらえませんでした。普通に「YHA」と言ったら一発で通じる始末です。んもう,Googleさんたら,信じすぎるとこれだから。ちなみに,GoogleMapさんはバス停もなぜか1つ早いところで降りるよう指示してきましたが,無視してGoogleMapのバス停マークを信じたところ,バスの運転手からも「ここでいいよ」と言われました。
 それにしても,GoogleMapの道案内機能とバス停マークのおかげで,路線バスを使った海外旅行の難易度が30ランクぐらい低下しましたね。ほんと文明の利器って素晴らしい。
 バス停を降りてからのYhaは入口に明かりも無く,真っ暗でありました。これ,GoogleMapなかったらこのままここに突っ込むのもかなり勇気いるな。

Sainsbury これを運転手に見せたところ
まったく反応されなかった
まっくら 画像の明るさをいじってみたら
yhaの文字が浮かんできた
この道を進む

 なお,このYhaに泊まることにしたのは,このYhaが昔の田舎の民家をリフォームした建物で興味深かったからです。同ランクの値段の店は市街地にもう1つあったんだけど(バス代考えたらほぼ値段変わらない)。
 ただ,今時のホステルのくせにコンセントの数がすくない。というか,足りてない。これは困る……。

 なお,橋の上に店がある4つのうち,残り3つがどこなのか,気になったのでしらべてみたところ,HISさんによるとフィレンツェのベッキオ橋とヴェニスのリアルト橋。もう1つは不明とのこと。そして,やっぱり洪水被害に遭ってるじゃないか。まったくもう。


バース競馬場その2バース観光2日目


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