Newmarket2016

ケンブリッジで夜を明かしました。ここから、ニューマーケットに移動します。
 ケンブリッジのところでも書いたとおり、ニューマーケットに行くのは2001年以来。前回はこのケンブリッジ⇔ニューマーケットの電車のローカルっぷりに怯えに怯えて最悪野宿も覚悟とか言っておりましたが、15年経った今は多少お金も持っておりますし、なんとかできるだけの生活力は手元にあります。

Newmarket Station

 と、いうわけで、ケンブリッジからニューマーケットへ。
 2001年に乗った電車がどのくらいローカルな電車だったかは既に記憶にないのですが(2001年旅行で覚えているのはAscotに行くときに乗った電車のドアのことだけ)、とりあえず今回乗った電車は普通の電車でした。
 なお、駅名板を見て、駅名、というか地名が”New Market”ではなく”Newmarket”であることに2025年になって気付きました。いままで書いたものを修正する気力はありませんので、とりあえずこれから気をつけたいと思います。このページのファイル名もNewMarketとMが大文字のままです。

ケンブリッジ駅から出発 Newmarket駅

Newmarket街歩き

 色々と記憶が薄れておりますが、とりあえずこの日のNewmarketでの行動目標は
1 街歩きをして、前回写真がぶっ飛んだのを取り返す(+Newmarketの本屋を偵察)
2 National Studのツアーに参加(+トレーナーを更新)
という2つです。そのあと、ケンブリッジ大学の図書館に戻らないといけないのは前日のところで書いた通りです。

 まずはツアーの時間まで、市内を歩きます。市内まではもちろん徒歩。このあたり、徒歩移動できることは前回確認済みです(まあ前回は競馬場から徒歩で帰ってきてるのだが)。
 駅の目の前はタタソールズ。「英ダービー(G1)よりも古くから存在し、アメリカ合衆国よりも10年長い歴史を持つ」とされているようですが、何をやっているのかイマイチ分からないけれども人間みんな1回は聞いたことがある、そんな組織ですね。とりあえず、外から写真をパシャパシャ。セリが開催されていないときにこの敷地で何がおこなわれているか分からない以上、てきとーに撮った写真に何かが写ることを期待するほかありません。
 ちなみに、タタソールズゴールドカップがおこなわれるのはニューマーケットではなくアイルランドのカラです。白馬大学を受験する際には引っかけ問題に注意。

駅からの道 地図
何も考えずに外から撮った写真。どこかに未来の(これを書いている2025年時点では過去の)ダービー馬が
写ってないだろうかとおもったけど、そもそも馬が写っていない
入口まわり。NO DOGSということなので、犬は禁止です

 High Streetに出ました。ここでちょっと気になったのでPost Officeを探してみました。2001年、この郵便局で日本円を両替して貰ったのを覚えています。
 今となっては、「安全なイギリスで何をそんなに怖れていたのか」という感じではあるのだけれど、2001年時点では自分にとってはこれでも1つ1つが大変なことだったのです。ある程度英語を話せる自分でこれですから、英語を話せない学生さんなんかがACLで1人で海外に飛ぶのは本当に凄いと思う。ACLじゃなくて普通のバックパッカーでも同様。おじさんはそういう方々を生暖かく遠くから眺め、「これだから最近の若者は」という機会を求めてさまよっているのであります。

High Street Post Office

 そして、やってきましたJockey Club。ハイペリオン像をはさんで、横にはみんなの憧れ競馬博物館があります。この競馬博物館はリノベーションのために閉鎖中。この情報はもちろん事前リサーチ済み。むしろ、博物館を見ていく時間がないので願ったりともいえます。ただ、ショップも閉まってるのは残念でした。

Jockey Club ハイペリオン像
ショップはお休み 博物館もお休み

 もう少し進みます。目的地は風見馬。前回写真を撮ったのに消してしまったのでリベンジです。こうして人間は写真に行動を支配されていくのであります。
 ついでに、色々とウマの絵があったりするのでそのへんも確認していきます。「馬の街Newmarketにはあちこちに馬の意匠が!」と言われてる奴ですね。多分撮る人が撮ったらインスタ映えする写真になると思います。
 ちなみに、Newmarketの紋章、下にある”respice finem”の文字が気になったので検索。紋章を扱ったWikiも発見。肝心のrespice finemですが、どうもラテン語らしく、「終わりを考慮せよ」「自分の行動の結果を考慮しろ」的な意味を持つようです。なんかよく分からないけれど、「終わり」つながりで尾張の中京競馬なり名古屋競馬なりひあNewmarketと提携してはいかがでしょうか。


お店案内
上に市の紋章
respice finem High Street ゴミ箱 パブ・ホテル的な建物
時計塔 四方には文字が
1837Jubilate Victoria 1887
Clock presented by C Blanton
1837Jubilate Victoria 1887
Erected by Voluntary Contribution
風見馬

 ちなみに、時計塔に書かれた文字が気になって「newmarket 時計塔」で検索したら、AIさんは「「ニューマーケット 時計塔」という名称で特に有名な場所は、新橋駅近くの「新橋時計塔」です。」と出してきました。newしか合ってないだろ、bridgeとmarketの区別もつかないのか最近のAIは。

 閑話休題。
 「1837Jubilate Victoria 1887」というのは、1837年に始まったヴィクトリア女王のゴールデンジュビリーを1887年に祝って建てられた時計塔であることを意味しているようです。Jubilee Clockというのですな。Wikipedia参照
 これを建てた”C Blanton”というのは、Charles Blanton調教師。名前で検索すると、Robert the Devil(例によって日本語版Wikipediaもあります)という、パリ大賞典、セントレジャー、Cesarewitch、アスコットゴールドカップなどを制した名馬の調教師であることが判明しました。フランス(と、Cesarewitch Handicapはレース名的にはロシア)を制覇して時計塔を建てるというのはさぞ気持ちのいいものだったのではないでしょうか。デビルにふさわしいですな(馬名の由来は知らない)。

AIによる概要

 で、High Streetを戻ります。間違いなく本屋には寄ったはずなんだけれど、写真が全く残されておりません。ううむ、何故だ。自分の記憶としては、Newmarketの本屋であってもそこまでマニアックな競馬本があるわけでは無いことが分かった、という感じなのだが。

High Street

National Stud

 タクシーでナショナルスタッドまで移動して、ツアーを待ちます。私のメモによると、タクシー代は6.8ポンド。タクシー代は日本より安いんだよな。
 今過去のメールを探したところ、AM TourにRewards4racing経由で申し込んで11ポンドだったようです。今Discover Newmarketのサイトを見たところ、16.5ポンド。rewards4racingでどの程度割り引けてたかは不明ですが、思ったよりも値上がりしてないと思います。
 とはいえ、奇跡的にメモを残していた2001年の旅行記を見ると、当時は3.5ポンドだったようなので、10ポンド、2000円程度は値上がりしてますね。まあ仕方ない。

 ツアーまで売店を見て過ごします。既に書いたとおり、ここでトレーナーを更新するという裏目的がありました。が、一応売られてはいたものの、自分が持っているものとは異なりイギリス国旗も入っておらず、なんかイマイチだったので買わずじまいでした。

トレーナーとポロシャツ ジャンパー その他諸々 どうやらオレンジジュースを買ったようです

 さて、ここからツアースタート。私が残しているメモは以下の通り。
20人くらい
目の前のyardは検疫用。今年フランスからの馬に病気があったらしい
今年101年目
アイリッシュナショナルスタッドから始まり、ドーセット経由でここへ
2008にジョッキークラブtook over
ローリーマイルはチャールズ二世のhackに由来
3300頭がトレーニングしている
1664から始まるニューマーケットヒースなんとか。アマチュア騎手のみ。
マックス300頭、現在70頭
きれいにしてからスタリオンへ
夜に子を産む
きょねんは98頭生んだ。最高は168
トレーニングは6ヶ月。
ギニー。オーナーがパウンドをとり、トレーナーがシリングをとる
当て馬は英語でteaser
1255ころ終了
 このメモを、自分が撮った写真に合わせていくと旅行記が完成するわけですが、合わせようにも何を言いたいのか分からないものが多すぎて、合わせきれません。というわけで、メモはそのまま載せておきます。よい子の皆さんは分かりやすいメモを残すか、行ったあとは9年も寝かせることなくすぐに旅行記を書きましょう。

ツアーバス bunbury yard 馬房と、おそらく検疫用の広場 解説中

 続いて放牧地。

放牧地 真っ直ぐな道路 放牧地 移動する一行
放牧地 立ってる2頭 寝てる馬 起きた と思ったら2頭寝た
Roderic O'Connor
アイルランド2000ギニー馬。この年供用開始
Gregorian1976年生まれの方ではなく、2009年生まれの方です
Racing PostNational Stud
Bahamian Bounty。ニューマーケットのG1 Middle Park Sなどを勝利。2020年に亡くなっています

 歩きながらだったのでぶれてますがお墓。そして、ミルリーフの馬像。
 ミルリーフはミルジョージ、マグニテュードあたりのお父さんとして日本でも非常になじみが深いですね。

お墓 スワーヴダンサー ミルリーフ像

 種牡馬の馬房と、種付け場。
 ミルリーフ、ネヴァーセイダイ、テューダーメロディというレジェンドになると、かつてこの馬房にいたことを示すプレートが掲げられることになります。活躍するとプレートが貼られるというのはほかのスポーツでも見られますが、いいですね。

馬房 ここにも風見馬 種付け場 この棒も何かに使うはず
馬房 Toronadoの馬房です かつてミルリーフがここに 反対側 ネヴァーセイダイ Tudor Melody

 写真を見る限り、そんな感じでツアーは終わったようです。メモによると終わったのは12時55分、ツアーの開始時間はよく分かりませんが(メールに書いてなかった)2001年と変わらなければ11時15分(車内の写真の時間が11時20分頃だったので多分変わってない)なので、1時間30分以上にわたって見せて貰ったようです。そのわりにメモも写真も少ない気がしますが、気にしてはいけません。多分今ならもうちょっと動画を残してるはずだけど、そういう時代じゃなかった。

車内から馬場っぽいのを撮った図
おそらくですが、タウンプレートはここを走るのではないかと

 そして、タクシーを呼んで帰ります。
 が。私の語学力の限界か、呼んだのにタクシーが来ない。なんか呼んだタクシーに別の人が乗ったんじゃないか疑惑があるんですが、とりあえず待ってもタクシーは来ません。Studの方に心配されて「来ないなら競馬場に行ったらタクシーがいるよ」と教えて貰ったので、大人しく競馬場からタクシーに乗ったのでした。

競馬場の駐車場と、スタンド方向 この馬像は名もなき馬
Art Exhibition用の建物。2001年もあったかは不明
パンフレットによると、Chris Winchさんの画廊のようです
レセプションの建物 Thank you for Visiting

 思い出したように、ここにこの日入手したパンフレットを。

3つ折りのパンフレット 2016年に供用開始されたRoderic O'Connorのパンフ
もっとしっかりしたナショナルスタッドのパンフレット

 以下、ちょっとだけメモをベースに駄文。

 メモにもありますが、ナショナルスタッドは今年(2016年)で101年目。つまり、オープンは1916年です。このあたりはWikipedia参照
 元々はアイルランドのナショナルスタッドで、その資産がイギリス政府に寄贈されたようです。なお、例によってナショナルスタッドのWikipediaは英語版と日本語しかありません。
 日本語版には脚注が皆無なので英語版に飛ぶと、Seth-Smith, Michael (1973). The National Stud Newmarketが引用されているのが分かります。この本、気になったのでAmazonで調べてみましたが、Amazon UKで見つかったものの本日時点で品切れAmazon JPにはありませんでした。残念。
 そして、2008年(英語のWikipediaでは2007年とあったので、法的に権限が移ったタイミングと現場が変わったタイミングのずれだと思う。sevenとeightは聞き間違えないはず)、Horserace Betting Levy BoardからJockey Clubへ。前回私が訪問した2001年から、経営母体が変わっていたのですな。このHorserace Betting Levy Board、残念ながら英語のWikipediaしかありません。
 JAIRSの過去のニュース記事を見ると、「競馬賭事賦課公社」と訳されていますね。イギリスの競馬を統轄する団体の1つです。JAIRSのニュース記事を探しても、移管されたことになんとなく触れられた記事はあったものの、しっかりと移管について触れた記事はなし。結構なニュースな気がしますが、Racing Post側の問題だろうか。


 メモにある「ローリーマイルはチャールズ二世のhackに由来」というのは、「ローリー」がチャールズ2世の愛称であるオールド・ローリーに由来することをメモったのだと思うのですが、hackってなんのことだろう。まあ自分のメモを気にしても仕方がないのだが。
 なお、JRA-VANはチャールズ2世の愛称がオールド・ローリーであることしか説明してくれてませんが、ニューマーケット競馬場のWikipedia(英語版のほかは日本語とフラ語のみ)によると、元々オールドローリーというのはチャールズ2世の愛馬の名前で、オールドローリーの産駒の多さと美しさから子供の多かったチャールズ2世のニックネームになった、という流れのようです。そして、競馬場のローリーマイル自体は、イギリス的(Wikipedia的)には、チャールズ2世の愛称ではなく、馬の方のオールドローリーが語源であるようです。

 「1664から始まるニューマーケットヒースなんとか。アマチュア騎手のみ」というメモから検索したところ、1666年に始まったNewmarket Town Plateというレースがヒットしました。
 → https://www.thejockeyclub.co.uk/newmarket/events-tickets/newmarket-town-plate/
   https://www.thejockeyclub.co.uk/newmarket/about/history/
 このNewmarket Town Plate,Wikipedia上では1665年または1666年開始となっていますね。1664年というのはどこから出てきたのでしょうか……fourとsix/fiveを聞き間違えたお馬鹿さんがいるのかもしれません。あれ、滞在してるのは留学ビザでいいんだよね?
 このレースはニューマーケット競馬場の周回コースでおこなわれるのですが、年1回このレースのためにしかつかわれていないらしく、イマイチどこを走っているのかはっきりしません。とりあえず、2024年のレースが公式に空撮されていたのでこれを眺めておきます。



 YouTubeの題名にある世界最長の平地レースというのが正しいのかは私には分かりませんが(モンゴルのナーダムは眼中にはないはず)、とにもかくにもこのレースは3マイル6ハロン。約6000mです。
 検索して出てきたのでPDFですが、このレースに騎乗するためには以下のいずれかの条件を満たす必要があるようです。
To be eligible to ride in the Town Plate riders must;
(A) Have ridden in the Town Plate in the previous three years and completed the course;
(B) Hold an Amateur Riders Permit, issued by any recognised Turf Authority;
(C) Have ridden in a GB or Irish point-to-point in the previous 3 years and completed the course; Or
(D) Provide a certificate (attached), which must be signed by a Licensed Trainer or Permit Holder, proving competence to ride thoroughbreds at racing pace over 3 miles 6 Furlongs (APPENDIX i)

 どうやら、3年以内にPTP(Point to Point)に騎乗していればOKのようですね。
 エントリーは30ポンド。1着賞金はオーナーに200ポンド、騎手に125ポンド。副賞としてPowters Celebrated Newmarket sausagesがつくようです。このソーセージ、ニューマーケット名物なのかな?あまり意識したことないけど。ホームページを見る限り、馬肉でなく豚肉っぽいですね。ソーセージなのでお土産として日本に持ち込めるかは微妙ですが……

 「ギニー。オーナーがパウンドをとり、トレーナーがシリングをとる」
というのは、通貨のギニーのことですね。1ギニーは1ポンド1シリングで、馬が1ギニーで売れた場合、オーナーに1パウンド、トレーナーに1シリング入るかたちになるようです。ギニーのWikipediaも参照。


 はい、そんなわけでニューマーケット駅に戻ってきました。
 駅前にあったNewmarket Timelineを撮影。
 あれ、Newmarket Town Plateについて解説した部分をアップで撮ってるぞ(これしかアップで撮ってない)。もしかしてTown Plateの存在をしっかり理解してたのか。それならなぜメモを残さないのだろうか。まったくもう。

左から右に新しくなっていくタイムライン Town Plateだけアップで撮ってた

 電車は無事動いておりました。

電車から撮った写真。多分調教場。
ハードルが見えたので気になったようです

 そして、ケンブリッジ大学図書館へ。カードが出来たので、中に入ることが出来ます。


 そんな感じで、ケンブリッジ&ニューマーケット1泊旅行終了。
 今回の1年間のイギリス滞在中はニューマーケット競馬場には行けませんでした。2001年の写真ぶっ飛び事件のリベンジは半分しか果たせておらず、若干心残りであります。

アスカクリスチャン〜Cambridge2016


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