マツノシロヤマ前編

12 伊予松山城

 時間があいたので松山城です。前のページにも書いたとおり、私は友人が来るたびに友人を松山城に案内はしておりましたが、自分でしっかりと松山城を見るのは実は初めて松山城を訪れた2008年以来13年ぶりになるかもしれません。これはわくわくしますね。

 と思いながら、勇躍乗り込んだところ、なんとでっかく「天守休館」の案内が出ておりました。なに。天守に休館とかあるのか。


 まあ、コロナ禍でもありますし、ちゃんとロープウェイとリフトが動いていて、人力で登らなくて済むだけありがたいと思わねばなりません。持ち時間が1時間半なので、歩いて登ってたらちょっときつかったですね。
 コインロッカーにお菓子等を預けて、リフトに乗り込みます。

昭和47年につくられた模型 待ち時間表示 禁煙です 12月でしたが、リフトでも
そこまで寒くなかったです
言葉の落とし物。前回乗ったときはこの企画はなかったはず 到着
こういう駅構造を
見るのは好きです

 そんなわけで、到着です。
 あらためて松山城のパンフレットを眺めながら行動計画を練ります。今回は下のロープウェイ乗り場のコインロッカーに荷物を預けてしまったので、定例ルートである二の丸庭園経由の徒歩下山ルートはとりません(往復券買いました)。あとはまあ、道なりに天守前までいって折り返せばいいのかな。
 松山城のパンフレットも、以前のものとはバージョンが変わっております。マニア向けに、大手と搦手の構造が説明されていていい感じですね。


 さて、松山城ではスマホユーザー向けにアプリが導入されており、私もダウンロードして見ました。なにより、夏に行った岡城のアプリがかなり秀逸だったので期待大でした。
 ……という過去形からも分かるとおり、期待外れでした。もしかしたら、天守ゾーンならばまた違ったものが見られたのかもしれませんが……。

12.1 長者ヶ平

 ロープウェイ・リフト降り場を出ると平坦な地域に到着します。ここは長者ヶ平と呼ばれているようなんですが、そこそこ大きな曲輪でして、あまり注目されないのがもったいないような気がします。建物の礎石なんかも出てきていないのでしょうか?
 名前からすると、金持の家臣の屋敷があったか、金銭管理をする蔵があったか、というところなのでしょうか。それとも、この名前がついたのはわりと最近なんでしょうか。
 そして、ここ長者ヶ平にアプリのARスポットがあります。スマホを向けてみると……期待外れでした。

長者ヶ平 ARアプリを向けてみたけれど
よしあきくんは何も教えてくれません

12.2 本丸南東の石垣

 続いてのARアプリスポットは、石垣です。
 石垣は本丸を囲うように雄大に配置されておりますので、実際には本丸南東部の石垣、ということになります。
 松山城というと、どうしても本丸西側の石垣が有名で、実際にパンフレットでもそっち側を推しているのですが、ここらへんの石垣も美しいですね。ちょっと逆光だったのできつかったですが。それにしても、アプリは役に立ちません。

長者ヶ平から本丸方向へ 工事中ですが、
鉄の骨組みがあるのが
要塞感があっていいですね
ARアプリスポット
よしあきくんが使い物になりません
解説 ここの石垣が、本丸で一番高いとされる17mの石垣のはずです
上に見える建物は、隠門続櫓だと思われます

12.3 揚木戸門跡〜待合番所跡

 高石垣を抜けたところの石垣が直角や鋭角でなく鈍角になっていて、今まで全く意識したことがなかったんですが、改めて見てみるとたいへん美しいですね。
 鈍角の石垣が出てくるというと五角形の岡山城の印象が強いですが、ここにもこんなものがあったとは。
 そして、その先に登場するのが揚木戸門跡です。揚木戸門で詰まっている敵を、上の隠門続櫓から射落とすということになるのでしょうね。
 で、揚木戸門を守備するための待合番所跡がその先にある、という設計になっております。

鈍角の石垣 そこからの石垣 揚木戸門跡 揚木戸門から待合番所跡 ここが待合番所跡

12.4 大手門&中ノ門

 大手門というのは、一般的にどの城跡でも花形の扱いを受けており、「門を復元する」となると、真っ先に候補に挙がるのが大手門です。
 ところが、ここ松山城においては大手門というのは極めて存在感が薄く、今回行った限りでは案内板すら発見できませんでした。もちろん、パンフレットの「大手」でも、戸無門〜隠門までの流れは詳しく出ていますが、大手門は扱われていません。大手門がこんな扱いを受けているということは、資料があまり出ていないのかもしれません。二の丸庭園を整備したときにもついでに大手を、ということにもならなかったんだろうしなあ。大手門が整備されてないと、なかなか二の丸庭園方向に足が向かないですよね。

 そして、大手門を越えたところで登城するのが中ノ門跡。こちらも現存・復元されておらず、扱いは寂しいです。ただ、ロープウェイ乗り場から歩いてくると中ノ門跡地の前は通過するので、大手門よりは存在感があるといえるかもしれません。
 ……という程度の生半可な知識でいたのですが、あらためて検索してみると、中ノ門の形状については、元々は「囮の門」であったという説があり、中ノ門方向が天守方向に見えることから、囮として誤った方向に敵を呼び込むための門だったのではないか、とされていたようです。……が、どうやらその説も覆ったようで、中ノ門もやはり裏表は逆になっておらず(北側が表で南側が裏)、普通の門の形式だった、という説が強くなったようです。こういう議論は非常に楽しいですね。
 こちらのブログには、掘り起こした際の現地説明会の様子が書かれております。2013年か。行きたかったなあ。

コーナーを曲がると、大手門方向です 大手門を内側から そこから見上げる石垣 大手門を外側から
大手門石垣 大手門から下る道 あらためて、
内側から大手
そこから本丸方向を見上げる Google Photoが
ちょっとしたパノラマを
つくってくれました
石垣 大手登城道をすすみます 右手には石垣 振り返る
上に見えるのは太鼓櫓 中ノ門方向 その先の素晴らしい石垣 太鼓櫓を見上げる 中ノ門跡から
大手口方向

12.5 戸無門

 さあ、やってまいりました。松山城の見所といえばここです。戸無門から筒井門、隠門と続く3つの門とその櫓の構成は、他では見られない松山城独自の素晴らしいものです。興奮してここを案内すればするほど、「城=天守」な友人たちに白い目で見られるという定番スポットであります。

戸無門への道 解説 脇の石垣が中が見えてたので撮ってみた
戸無門 門から内側を見る 戸無門を抜けて
すぐ左を見た図
内側から戸無門を見る

12.6 筒井門&隠門

 そして、実戦で使われていたとしたらどうなっていたのか、本当に興味が尽きない筒井門&隠門。
 何度来ても素晴らしい技巧です。

筒井門 解説 相変わらず
アプリが使えない
隠門方向
今回は筒井門を抜ける 再建工事概要 筒井門を内側から 筒井門続櫓 隠門続櫓
内側から隠門に接近
隠門の扉 外側から見る隠門 隠門側から見る筒井門



12.7 太鼓門&巽櫓〜太鼓櫓

 続いて、太鼓門を抜けます。
 太鼓門の向かいに金亀城の名前の解説があることを何故か覚えていました。なんでこれだけ覚えてるんだろうか。

 あらためて、太鼓門櫓〜太鼓門の流れを見上げると、想像以上に素晴らしい眺めですね。みんな本丸・天守が近いからあまり見てないだろうけど、この景色は素晴らしいですね。

太鼓櫓〜太鼓門西塀〜太鼓門続櫓 太鼓門続櫓 巽櫓は工事中 何故か覚えてた解説 太鼓門解説
太鼓門 太鼓門を抜けていく 再建工事概要
内側から見る太鼓門 太鼓門西塀 太鼓櫓

12.8 屏風折りの石垣−馬具櫓まわりの眺め

 パンフレットを見ても、松山城はインスタ映えポイントとして屏風折りの石垣を猛プッシュしています。みなさんすぐに天守を目指したくなってしまうところですが、ここで足を止めて石垣美を眺めるのが正しい登城方法なのです。
 あらためて自分の写真を見てみたら、馬具櫓の写真がなかった。まあ、馬具櫓は現代の物置っぽさが前面に出てる建物なのでまあいいや。

本丸の眺め 馬具櫓の手前側からの眺め
素晴らしい石垣美ですね 馬具櫓の先から見る石垣美
上の桜の枝が邪魔ですね……
本丸〜天守の眺め

 いつもならばここで本壇〜天守に入っていくのですが、すでに警告されていたとおり、この日は天守休館になります。正確には、休館なのは本壇全体であります。


 ここで左をまわって行くことになります。天守は休館ですが、こちら側は見られるようです。というわけで、後半へ続く。

マツノハルヤマツノシロヤマ後編


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