桑名の諸々その2(コンドルを追ってその3)

 そんなわけで,六華苑に向かいます。当地には,諸戸氏が作庭を依頼した庭園が大きく2つ存在し,うち1つがこの六華苑。もう1つが期間限定公開の諸戸氏庭園と呼ばれているものです。で,この日はたまたま旧諸戸氏庭園の公開日でもありました。まあそれは先の話。

 まずは六華苑。ここは洋館和館が国重文,庭園が国名勝に指定されているという,なんとも豪勢な場所です。それにしても,「諸戸氏」って,現代では全然耳にしない方です。こういうときに頼りになるWikipedia先生によると,諸戸氏自体は長島一揆のころから名前のある庄屋のようで,塩問屋に失敗した先代から店を引き継いで見事復興させたようであります。この手のパワフルな商人さんたちの話はよく耳にしますが,ほんと自分には想像つかないくらいいろいろ働いたんだろうなあ。少なくともこんなもん打ってる自分には一生届かない場所だ。なお,諸戸氏の系譜をひくのはこの諸戸ホールディングスだろうと思います。やはり今日日問屋業は流行らず,不動産業とかそういう方面で頑張っておられるようですね。

 そして,六華苑の洋館はコンドルさん設計によります。Wikipediaにも「なぜこの地にコンドルの作品があるのか?」などという項目が作られてしまうくらい,予想外なコンドル建築の登場です。まあ,つい先日旧岩崎邸を見てきた身としては,「ああ,確かに旧岩崎邸っぽくて,これはコンドル建築だねえ」などと知ったかぶってみたい場面であります……が,もちろん,「昔のカッコイイ洋館」を区別する能力など持ち合わせておらず,コンドル建築の特徴を語り,他の洋館と区別するような知見は持ち合わせておりません。

いろいろと工事中 入口(長屋門) 解説 結婚式前撮に大人気 共通チケットがありました

 そんなわけで,まずは洋館・和館の内部を見学です。
 和館と洋館が繋がってるってのは旧岩崎邸もそうでしたが,当時のはやりなんでしょうかね。まあ,いきなり洋館に住めと言われてもなかなか落ち着かなかっただろうから,普段使いの和室+接待用の洋室ってのは分からんでもない。で,しばらくしたら同じ屋根の下に和室と洋室が一緒に入るようになるわけか……。

洋館 玄関 トイレ。おしゃれです
電話室&階段。階段は10人以上の利用禁止。
玄関 解説
塔屋1階応接室
塔の下部を応接に使うのはコンドルの特徴とか
これは試験に出ますね
客間
食堂 女中室。今は女中って言葉を使ってはいかんのか
書斎 諸戸氏について 寝室と居間は室内写真うまくいかなかった
(ほかのが上手くいってるかは別問題)
サンルームと,そこからの庭園風景
この部屋は気持ちいいですね!和洋折衷感もあって素晴らしい!
和館への道(こっちは現在通行不可)
和館へ
板張りの廊下の内に,畳張りの細長い部屋
和館〜二の間〜一の間へ
便所。和館なのでトイレではなく和名になってます。
当時区別して呼んでたのかは不明ですが……
一番蔵 内庭へ 内庭

 さて,外に出ます。天気が悪くなり,雨が降ってきました。う〜ん,当時傘を携帯してなかったんですが,何でだっけか。多度では折りたたみ傘を持ってたので,傘を持っていかなかったわけではないはず。……なんとなく,桑名駅のロッカーに折りたたみ傘を突っ込んだような遠い記憶があります。
 雨は脇に置くとして,建物の外観を眺めつつ,庭園を歩きます。改めて見てみると,建物2階がベランダではなくサンルーム構造になってるのは大変興味深いですね。台風が多い地域だから雨よけにした,ってわけでもないでしょうし,なんでこういう構造にしたんだろうか。


 そんなわけで,六華苑をぐるっと回り終えました。ニワカ庭園マニアとしては,せっかく共通券を手に入れた以上,旧諸戸氏庭園にも行かないわけにはいきません。なお,今写真を見ると雨がけっこう強いです。傘がなくて涙目だった当時の記憶がよみがえってきました。ううん,馬鹿だ……。

 さて,そんなこんなで,雨の中諸戸氏庭園へ。六華苑と区別する際には,六華苑を「東諸戸邸」,こっちを「西諸戸邸」と呼ぶようです。
 で,ここでは,この雨の中傘もささずに登場したNPを慮って,園内散策のために傘を貸していただきました。どうもここの従業員さんはNPが「駐車場から傘をささずにやってきたアホ」だと認識したようですが,残念ながら真実は「駅に傘をおいてきたアホ」であります。

 公式ページにあるとおり,ここの庭は2つに分かれていて,第1庭が菖蒲池を中心とした回遊式庭園部分,第2庭が御殿とその池庭とのこと。なぜか菖蒲池は水が抜かれておりました。もしかしたら菖蒲をきれいに咲かせるために毎年植え替えてるのかもしれません。このあたりは菖蒲の知識が皆無なのでコメントできず。後楽園の菖蒲池ってオフシーズンどうなってたっけ。
 まあ,雨もあったり,御殿が改修工事中だったりとなかなか十分に庭園を楽しめる状況にはありませんでしたが,とりあえず庭園めぐりをできたので満足です。なにより,傘を貸していただいたここの受付の方の優しさに感謝感謝です。

入口となっている本邸。いきなり国重文 本邸裏 煉瓦蔵
枯山水……ではなく,季節を外した菖蒲池です 藤茶屋
もちろん秋にはなにもなし
菖蒲池
これはこれで風情があるといえるかも
   
金刀比羅神社

織部灯籠


 そんなわけで,小走りに桑名駅に戻り,養老鉄道で雨の中多度草競馬を目指します。
 なお,自分の記憶ではこのとき帰りに桑名宗社に寄ったことになってたんですが,そのことを示す写真が1枚もないことに衝撃を受けております。もしかして寄ったのって長島城にいったときだっけか。人間の記憶とはかくも不完全なものなり。

桑名その1多度草競馬へ

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コンドルを追って
その1(旧岩崎邸)その2(ニコライ堂)