マイルに参る(高ボッチ高原草競馬)

 終電で塩尻に到着。駅のホームから競馬の宣伝が見えました。ここは信濃大町とは違って,草競馬に力を入れているのが伺えます。

 で,翌朝。すかっと晴れています。これぞ競馬日和ですね。
 駅前には,バス停への案内が出ており,バス停には塩尻市の案内の方がおられました。そして,バス待ち客にパンフレットを手渡し。かつてここまでサービスが行き届いた草競馬があったでしょうか。パンフレットがしっかりしていることも含め,塩尻市のやる気が強く伝わってまいります。





宣伝
但し,宣伝効果は多分ないかと

この手の高原にある駅にしては
風情がない外観だな
キツネの伝承があるらしい バス停

 バスが到着。バスは市役所→駅→駐車場と経由して馬場に向かいます。最初の便には満員で乗れず。市役所からなら問題なく乗れたようで,しかも市役所は駅から近いので,どっちかというとここで乗ればよかったかもな。
 満員のバスはひぃひぃいいながら高ボッチ高原へと向かう坂道を登っていきました。アルピコもこんな臨時路線に最新鋭のバスをだすわけにもいかんでしょうし,塩尻市もそれを求める財力はないでしょうからやむなし。
 そんなこんなで,高ボッチ高原に到着であります!!屋台村を抜けると……馬場!!


 いやぁ,まさしくこれぞ,高原競馬です。起伏のある土地に,美しい緑。そこを馬が走るのです!!初めて「草」競馬を見たような気がします(馬場はもちろん土だけど)。本当に素晴らしい!
 何が凄いって,地形です。これまで見てきた草競馬はいずれも平地でした。が,ここはアップダウンがあります。観客席のアップダウンほど馬場のアップダウンはきつくはありませんが,それにしたって一見して分かるレベルの高低差があります。しかも,コーナーにあります。無理に例えるなら京都みたいですね。

 さて,こうして馬場に感動していると,とんでもない事態が発生。カメラの電池メモリが残り1に。ああ,そういえばコンビニでエネループ買うの忘れてた…。さすがに屋台村でそんなもん売られてないしなあ。というわけで,若干節電モードに。ついでに,さすが山だけあって,見事にソフトバンクが圏外でした。

 さて,とりあえず屋台村出口にあった観光協会で,高ボッチ高原の散策ツアーに申し込み。散策ツアーは2回,10時30分と12時30分スタート。スタート時間が市のホームページに書かれてなかった気がしたのは気のせいだったでしょうか。まあいいや。
 で,適宜散策しつつ朝食。あまり朝食向きのメニューはなかったので,山賊焼を購入。朝っぱらから高カロリーであります。そして朝食といったら牛乳。最近は瓶牛乳でもあまり紙の蓋を使ってくれないので,紙の蓋を外すのはかなり久々。でも,最近の紙蓋は外しやすいように出っ張りがあるんだな。小学校の頃は一番上の層だけ外れて涙目になったりしたもんですが。
 ついでに,ブドウジュースも購入。横にはワインもありましたが,こちとら下戸なので眼中になし。


 さてさて。場内には動物ふれあいコーナーがありました。佐久望月の時とは違い,スペースは小さめ。普段はどこにいるのかな。ただ,通常の草競馬だとポニーに乗れるのは昼休みだけとか時間が限られておりますが,ここは基本的にいつでも乗馬が可能です。これはいいサービス。
 あわせて,右に年賀状用の撮影コーナーがありました。輓馬の前に「平成26年元旦」の看板。来年が午年ってことでこういうサービスになったようです。
 こういういろいろ楽しめる場所があるのはいいことです。できれば臨時場外馬券コーナーでもつくってほしいところですが,まあいろいろ無理でしょう。


 ところで。今回は60回記念大会でした。還暦です。
 そんなわけで,本部裏では,過去の歴史を振り返る展示も行われておりました。60回というと,日本における競輪や競艇の歴史とほぼ同じですな。
 昔の写真はそこそこ残っているようですが,たとえば市報や新聞に掲載された記事や写真は残ってないのかなあ。もうちょっといろいろ写真は出てきてほしいところですし,昔の写真を見てみたいところです。
 あと,すぐに気付くのが,以前は輓馬のレースも行われていた,ということ。まあ60年前であれば馬は農耕に土木に活躍していたでしょうし,輓馬を飼ってる方もそこそこ多くおられたんだろうなあ。輓馬を乗用馬として使うわけにもいかないでしょうし,今の時代には輓馬はなかなか生活しづらいんだろうな。

 また,ここも信濃大町と同様に,出馬表には馬主さんの名前しか書かれておりません。もちろん放送では馬名も流れますが,この日はメモ帳もペンも忘れてきたため,メモすることもほぼ放棄。未だにスマホを使い慣れないのでありました。

 協賛企業を見て,あるいはレースプログラムを見てすぐに気付くのは,マスコミが入っていること。ここまでマスコミが賞典レースを出してる草競馬ってあったかな。同じ長野県の草競馬で,こぢんまりしていた信濃大町と大々的な高ボッチと,なんでこんなに差があるんだろうか。
 そんなわけで,テレビ松本もちゃんと取材に来てました。朝からラストまでいたんじゃなかろうか。皆様のNHKは見かけなかったような気がしますが,まさか皆様のNHKがこんな地域の一大イベントの60周年記念大会を見逃すとも思えないので(嫌みでなく),多分ちょろっと来てちょろっと取材して去っていったんじゃなかろうかと思います。
 あと,今気付きましたが,読売は賞典レース出してるのに,後援・協賛企業に名前がないな。どういうことだろうか。ジョッキーベイビースの方に協賛してるってことか。


 本当は散策ツアーが始まる前に一周しておきたかったのですが,時間的に無理そうなので,しばし予選レースを観戦していました。客の入りはそこそこで,すくなくとも屋台村周辺部については,柵の周りは客で埋まっておりました。まあ,こんな高原競馬,カメラ愛好家の皆様からしたら格好の被写体でしょうね。コンデジ片手にうろうろして申し訳ない気分になります。

 さて,そんなこんなで散策ツアースタート。およそ30人ほどが申し込み,二手に分かれてのツアーとなります。
 そもそもこういう高原をガイド付であることなど人生初です。それどころか,こうしてちゃんとした山の中を歩くことも初めてです。なんせ山といったら山城か,あるいは金比羅や久能といった場所にしか縁が無かったからな(高尾山を除く)。早い話が,文化施設としての山には縁があっても,生物学的な視点から山を見たことなんてないんですよね。
 そんなわけで,高山植物の特徴や,そもそも高山植物がなんなのかなんてのもよく分かってません。山は紫外線が強いから,高山植物は身を守るために色が濃い,なんてことはおそらくその道の人からしたらノーザンポラリスが3000mの日本レコードを出したことと同じくらいの一般常識なんだろうと推察しますが,そういう基本知識レベルでいちいちへぇへぇ言ってるのでスマホメモが追いつきません。そんなわけで,いくつか備忘録的に。
 なお,このあたりは近年草花が枯れたりなんだりで大変らしく,最近は原因究明のためにロープで区画を設けて何が生えてくるのか調査したりといろいろ手を尽くしているようです。昔はこれよりも綺麗に咲き誇ってたんですね。登山が趣味になる人の気持ちも分かる気がします。でも,さらに登ると草花がなくなるんだよな…。

真弓の木
最近は雪が少ないせいで,
鹿が皮を食べてしまうらしい
弟切草
某ゲームで存在は認知してましたが
現物を見るのもその由来を聞くのも
もちろん初めてでした
丸葉岳蕗
あちこちに咲いておりました
牧場風景
この牧場のどこかに牛がいるようですが,とりあえず視界には入らず
この牧場の池の水は常に水位が一定になっているらしいです。自然って凄い!

ちなみに,牧場といったら馬を思い浮かべる人って少数派らしいですね
競馬風景を見下ろす 牛が食べたスイカの残骸
茶色の煉瓦みたいなものは
塩だとのことです
畜魂碑 進む 山蛍袋 コガネムシが葉っぱを
食い散らかしている図
結構な被害が出ているようです
ナンバンハコベ 天気がよければ富士山も見られたようですが,
昨日に引き続きダメでした……残念
山登りに慣れてる方からしたら2日続けて富士山を見られないのなんて
当然のようなのですが,都会っこが2日続けて山を登って
富士山を見られないってのはちょっとショック
パノラマ展望台 地図 野小菊
ようやく山頂 山頂からの眺め

 そんなわけで,戻ってきました。昼は子ども向けの馬車体験。馬車を引くのはやはりさっきまで正月用記念撮影に応じていた輓馬です。それにしても,よくぞこんなに重いものを曳くよなあ。
 最後に来賓を乗せての場内一周もありました。これは望月でもあったな。来賓の皆様に置かれましては,お金を賭ける方の競馬にもご理解とご協力をいただきたいものであります。

 そして,昼休み最大のイベントが谷中公一元JRA騎手によるデモンストレーション。「なんだ谷中か」などと言ってはいけません。谷中騎手は小学校時代にこの高ボッチ草競馬を見て騎手を志したとのことであります。まさに地元が生んだスターであります。谷中氏は調教助手だから馬に乗るのも手慣れたもんだろう,とか思っていたら,どうもこの日のために結構減量してきていたようです。
 そして,現役ばりばりの騎手も2名!金沢のリーディングジョッキー,吉原騎手と,川崎の佐藤騎手であります(内から吉原佐藤谷中ですな)。
 3人で1周は並足,残り2周はキャンター。
 それにしても,谷中さんは地元だからいいとして,吉原騎手と佐藤騎手はどういう流れで参加することになったのだろうか…。せっかく参加するのに全然宣伝されてないし。

馬車 牛カルビ 馬場整備は高橋工務店 午前の結果

 さて,午後のレースが始まります。あわせて例によって場内を1周してみることにしました。
 午後の最初のレースはジョッキーベイビースの長野地区予選です。昨年は長野地区から本戦優勝者がでており(小林騎手),当地としても期待がかかるところです。昨年の結果の報告会のようなものが行われたのかどうかは,この日の序盤にいなかったので不明ですが,優勝旗や優勝カップ,あるいは昨年の本戦の様子の写真を借りてどこかで展示してもよかったんじゃなかろうか。
 このレースを勝ったのは大野木騎手。アナウンスだけ聞いてたら大貫かと思ってました。レース中に本部桟敷の上から大きな声援(怒号?)が飛んでいたのが印象的でした。
 昨年はここ長野から優勝者を出しているだけに,連覇に期待したいところであります。
 昨年優勝の小林騎手は,ほかのレースに騎乗しており,その素晴らしいテクニックを遺憾なく披露しておられました。小林姓の騎手というと,ジュンもキューもテツももうちょっといまいちブレイクしなかった印象なので(キューはちょっとじゃないかもしれんけど),是非このまま騎手を目指して頑張ってほしいものであります。


 さて。この日,2つのレースを対象として勝馬当てクイズが行われておりました。具体的に何をするかというと,読んで字の如く,勝つであろう馬を予想して数字を書いて投票するだけです。もちろんお金は賭けません。で,的中者の中から抽選で50名様に商品がでる,という仕組みです(現実的には正解すればほぼ全部出てる印象。2レース目は的中者全員と明言されてました)。投票方法は,配布されている応募用紙を受け取って箱に入れるだけ。最初の19レース分については事実上一人で何枚も持っていってた人がいたようで,続く23レースでは厳格に用紙が配布されることとなり,代理で用紙を受け取ることが禁止されておりました。まあ,最初からそうしたほうが不公平感がなくてよいですね。

勝馬投票券 群がる人々

 そんなわけで,午後のレースが進んでいきます。谷中騎手が表彰式に登場したのはジョッキーベイビースのときだけでした。そのあとは桟敷にのぼって解説。吉原騎手はこのあとも実際に騎乗されておられました。実際のところ,谷中騎手の全盛期よりも今の吉原騎手の方が上手いんじゃないかという気がしなくもないのでので,もうちょっと吉原騎手に話題を振ってほしかったなあ。あわせて金沢競馬や今年金沢で行われるJBCの宣伝までしてもよかったのでは……。

木々につながれている馬 何ともいえない景色
決勝点 フライングゲット 決勝点の看板 馬場の様子
砂自体はそこまで深くなかったです
本部桟敷
臨時トイレ&臨時蛇口
あまり詳しくトイレの状況を見てませんでしたが
やはり女性はそれなりに並んでいたかと思います
別角度から開放感ある馬場の様子を 柵の上に虫がいた

 で,適宜買い食いしながらレースを見ます。カロリーなんか気にしてられるか!


 17Rはサラブレッドが5周。1周400メートルなので,このあたりの馬でも2000m走ることになります。1日2レースってことを考えると大変だよなあ。


 続いて18Rポニー。このレースでは先ほど登場した小林騎手と大野木騎手が再度騎乗しており,今度は小林騎手騎乗のポニーが圧勝ムード。としたところ,小林騎手のポニーが完全にマルゼンスキー状態でおいでおいで。これに対し,落馬再騎乗の馬が奮起して猛追したものの届かず,という結果に終わりました。やはりスターは盛り上げ方をよく知ってますな。


 19Rは2頭落馬があったものの人馬ともに無事だったようで何より。そして,勝馬投票は当然外れでありました。1つ飛ばして21Rもサラ。周りを見ていると,やはり写真的にはポニーよりもサラブレッドの方が人気あるようです。


勝馬の後ろにカラ馬

 ところで,このコースは他の草競馬場とは大きく異なり,コースにアップダウンが激しいのが特徴です。特にコーナーに上がって下がってがあるので,見ていても難しそうですから,乗っている方々からしてみたら難しいなんてもんじゃないんじゃないかと思います。
 で,谷中氏によると,1コーナーの登りは4コーナー〜直線で下ってきてからの登りなのである程度勢いでのぼれるようなのですが,3〜4コーナーのアップダウンは勢いだけでのぼるわけにはいかず,なかなか難しいようです。このあたりを解説してもらえるのは嬉しいですね。

 22Rを制したのはシナノグランパ。聞き覚えのある名前です。
 さらに聞き覚えがあったのは23Rのイツカオレダッテ。以前多度でミハルカスをしていた馬です。馬名さえ分かってれば勝馬投票で単勝勝負したのに……。悔やまれます。このレースはアサヒスコルピオンと終始マッチレースでありました。


 24Rはポニー。8頭も出走しているのに,すんなりスタートが決まります。これが凄い。サラブレッドはともかく,ポニーにここの急坂はきつそうです。がんばれー。


 25Rは最後にヤスキロードが凄いスピードでぶっちぎり。26Rは中間種。
 そんなわけで,どんどん決勝レースが進んでいきます。


スタート前の輪乗り

スタート!

1頭スタートできずに逸走

 そんなわけで,いよいよ最終。ミナミノスターが最終周回向正面で逆転して優勝!2着にホワイトソックス,マツカゼオリュウとオシノビッグマン(馬名は違うかも)が続きました。ホワイトソックスはいなべで競走中止したので覚えてます。いなべのことがあったので勝ってほしかったですが…。
 ちなみに,川崎のブログによると,ミナミノスターに乗っていたのは古川元騎手だったようです。ハルウララの元主戦。ここでもやっぱりNARの宣伝とかしてほしいものだけれど,やっぱりできないんだろうなあ……。勿体ない。


返し馬

輪乗り

スタート後

逆転!!

 そんなわけで,草競馬は無事終了。
 一部報道では「8000人が観戦」と出ておりましたが,確実にさばを読んでいると思います。それでも,海抜1600m(1マイル)という高地で行われる競馬は,非常に盛り上がっておりました。今回は60回記念大会でしたが,是非これからも70回,80回,そして100回に向けて毎年盛り上がっていってほしいものです。
 あと,毎年どこかで天気が崩れているようですが,今年は最後まで天気が崩れることはありませんでした。涼しいので油断して日焼け止めを塗らなかったところ,やはり日焼けしました。このへん,大町草競馬の教訓を全く生かせておりませんな。

 ちなみに,最終レース終了後の表彰式までじっくり観戦していったところ,バスは既に第1陣が山の下に降りていっておりました。そのため,20分程度待つことになりましたが,それでも下から上がってきた第2陣のバスに乗ることはできたので,そこまでの混乱はありませんでした。おそらく塩尻市が気合いを入れているイベントなので,積めなかった客を取り残すようなポカはしないようにできていると思われます。
 とはいえ,高ボッチ高原はSoftBank圏外で,現地からJRの予約ができずに指定席が満席の憂き目に。自由席も松本で満席になって塩尻にやってくるので,結局塩尻から立って新宿まで戻る大惨事になったのでした。これはさすがに本気で疲れた……。


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