鎌倉十三仏めぐりその4

 鎌倉十三仏めぐりも4回目を迎えました。なんとか今日で終わらせたい,という固い決意をもって,本年5回目の鎌倉参戦であります。

 が。いきなり固い決意を鈍らせる,鎌倉駅の大混雑。なんだこれ。凄い凄い。この日は11月末の3連休の中日だったのですが,この日ってどこかでなんかあったんですかね?とにかく,駅の改札から外に出るのに一苦労でした。というか,鎌倉駅って改札が小さいんだな。北鎌倉もそうだけれど,基本的には観光客用の駅ではなく,地元民向けの駅の設計になってて,週末のこれはかなりのイレギュラーなんだろうなあ。交通整理してる駅員さんがのどを潰してて,ちょっとかわいそうでした。ちゃんと労災出してあげて下さい。

番外24.鶴岡八幡宮ぼたん苑

 さて,この日の目的地はまずは来迎寺。場所的に,鶴岡八幡宮を抜けていけばいい感じなので,とりあえず八幡宮にお参りしていくことにしました。
 非常に混雑しております。鳥居の下には「新嘗祭」の表示が。そりゃそうか。勤労感謝の日ってそういうもんだもんな。それにしても,七五三関係の混雑化という考えもちょっと浮かんだんだけれど,別に子連れがむちゃくちゃ多いってわけでもないんだよなあ。なんか鎌倉ブームになるような出来事ありましたっけ。

 で,この日はちょっと趣向を変えて,初回に行き損ねた牡丹庭園に入ってみました。池泉回遊式とあったので,中にも池があるのかと思ったら,そうではなく,源平池のまわりをまわるコースでした。普段なら別にいいんですが,せっかく来迎寺に向かおうと思って鶴岡八幡宮に入ったのに,スタート地点に戻ってしまってちょっと悲しくなりました。でも,石筍という奇岩を見られてよかったです。ぱっと見,人工的に作った石かとも思ったんですが,やっぱり天然物のようですね。「庭園 石筍」で検索すると,日本の庭園ではここのものが真っ先にヒットして,ほかは出てこないので,もしかしたら日本国内で大々的に石筍をおいている庭園はここだけなのかもしれません。
 ここだけなのに,やけに「石筍」という響きに覚えがあるな,と自分で不思議に思ってたんですが,そういえば鍾乳洞には石筍がたくさんありました。そりゃ聞いたことがあるはずだ。
 湖石の庭にしても,石筍にしても,奇岩を使った作庭は,どういう石組みにするか作庭者の美的感覚が垣間見られて興味深いですな。

鳥居 人混みが凄い 石筍 枯山水
なんかいい角度にならず
小径 湖石の庭 湖。冬の始まり,という空気感 三笠宮お手植えの牡丹があるらしい

その10.来迎寺

 さて,しばし歩いて来迎寺。
 来迎寺と名のつく有名なお寺は鎌倉に2カ所あり,西御門・材木座と地名で区分けしているようです。で,13仏でお世話になるのは西御門の方の来迎寺さんです。ここを間違うと精神的ショックがデカイから注意ですな。なぜ書くかというと,当時まだ使い勝手のよかったGoogleMapに13仏の場所を入れていたときに,間違えたからです。ほんと,馬鹿は困ります。というか,気付いてよかった。

 このお寺は非常にひっそりとしたお寺で,おそらく今は観光寺院ではなく檀家寺としての役割がメインなのだろうと思われます。というわけで,そそくさと退散。
 なお,太平寺跡の碑文がたっていて,来迎寺との関係が気になるところですが,珍しくYahoo知恵袋に勉強になる回答が載ってました。たまには役に立つんだな。


番外25.西御門八雲神社

 来迎寺のすぐそばに鎮座する八雲神社。
 せっかくなのでお参りしていきました。参道には庚申塔が3つたってました。意識してみると,鎌倉にはあちこちに庚申塔が立っていて,庚申信仰が結構盛んだったんではないかと推測するところです。


番外26.宝戒寺

 若干南下して,宝戒寺。
 後醍醐天皇が北条氏を弔うため,足利尊氏に命じて建立させたお寺とのこと。なお,寺院のページには,「国宝的人材を養成する道場として」とあります。「国宝的人材」ってのはどういう人材を想定していたのでしょうか。縁起を読むと,1538年に七堂伽藍焼失とさらっと書かれております。一体何があったのかな。
 白萩で有名なようですが,もちろんこの日は季節外れで特になにもなし。
 非常に落ち着いた雰囲気のお寺で(場所のわりに参拝者が少ない印象。入場有料のせいかな),また,本堂に上がることができたのでなかなかにお得感ありでした。本堂も雰囲気よかったです。
 あと,鳶職組合の慰霊碑があったり,いろいろなお堂があったりして,今の鎌倉で結構重要な地位にあるお寺だと推察するところであります。なお,徳祟大権現堂は,名前から完全に徳川家康関係だと思ってましたが,全然違っていて,北条高時の木像を祀っているとのことでした。なお,この名前の由来はここにありました。怨霊信仰の流れがあるんだな。でも,全国規模の祟り神にはならなかったようでなによりです。やはり菅原道真と崇徳上皇そして平将門は偉大だ。




参道脇には庚申塔

本堂

聖天堂

とび職組合の慰霊碑

聖徳太子堂

徳崇大権現堂

宝篋印塔

宝篋印塔縁起

いまいちどういう石碑か
よく分からなかった

この風車が特徴的

特徴的な石仏

番外27.東勝寺橋

 さて。太平記を見た者として,東勝寺を目指さないわけにはいきません。あの歴史的にも名高い太平記の北条氏の最期の場面を是非訪れなければ。いやもちろん,撮影地と現場は違うんでしょうが,東勝寺腹切りやぐらはやっぱり見ておきたいっすよね。

 てことで,向かう途中に現れた東勝寺橋。

東勝寺橋(トウショウジバシ,という馬は多分いない) 橋からの眺め
紅葉開始期でした
青砥藤綱の碑
初めて聞いた名前でしたが
Wikipediaでは案外扱い大きい
壊れかけ石標

番外28.東勝寺跡地

 東勝寺橋を越えると,東勝寺跡地。フェンスで閉ざされた野原でした。これ,東勝寺跡という史跡ゆえ開発できずに荒れ地になっているのかそれとも公有地で準公園的な存在なのか,なんなんでしょうか?東勝寺は宝戒寺と異なり,焼失後も再建されなかったようですね。このあたりの扱いの悪さは,どういう理由なのだろうか。


番外29.東勝寺腹切りやぐら

 そして,東勝寺腹切りやぐらです。大河ドラマ太平記では,広々としたお堂で自害されておりましたが,やぐらであるがゆえに当然狭っ苦しい場所になります。で,やぐらの前もあまり開けておらず,なんというか,追い詰められて自害した雰囲気が強いですね。
 それにしても,お線香の煙がもくもくとしていて,今でも参拝者が多く崇敬されていることがよくわかりました。あるいは,それだけ祟りを恐れる人が多いのか……。
 ちなみに,ここを訪れる方が皆口々の高倉健さんの名前を発しており,なにかと思ったら,高倉健さんの名前のある塔婆がずらっとありました。高倉健さんが亡くなったのは11月10日で,発表はそれから約1週間後。そして,この日は発表から約1週間後でした。そのこともあって,皆口々に高倉健さんの名前を出していたのでありました。どうも,高倉健さんは北条氏の血を引いているようですね。これは知らなかった。それにしても,ほかの人々も塔婆を奉納しているだろうに,なぜ高倉健さんの塔婆だけがここに並んでいるのかは不明です。「亡くなった直後だから表に出したんじゃないの?」とおっしゃっている方もおられましたが……。


番外30.日蓮聖人辻説法跡

 そして,再び表通りをあるきます。現れたのは,日蓮聖人辻説法跡。日蓮宗系は今も昔も民間人経由の政治介入が好きですね。このあたり,日蓮氏のおいたちとかから調べていくと興味深いことが分かるんでしょうが,例によって残念ながらそこまでの気力はないのでありました。
 しかしこの時代,日蓮さん以外に民間人相手に説法をした仏教僧ってのはいなかったのでしょうか??それとも,日蓮だけ有名になるなにかがあったってことなのかな。


○に正のマークはなんだろうか

番外31.蛭子神社

 鳥居が見えたので寄道。ところで,えびすの漢字って恵比須・恵比寿・蛭子・戎・夷と何通りかありますが,これは地域差とかあるんでしょうか。多分調査結果がありそうですが,調査結果の存在を調べる気力もなく……。というわけで,簡単に参拝を済ませてしまったので,特にコメントもなく。


その11.本覚寺

 番外ばかり積み重なっていっておりますが,久々に霊場です。これで11番目。鎌倉駅近辺の霊場寺院はこれで終わりですね。
 ここは昔夜遅めの時間に訪れたことがあります。
 立派な山門をくぐると,広々とした境内。そして,この時期は本堂が改修工事中でした。残念。仮本堂に参拝して,あわせて六角堂こと夷堂へ。ここのえびすは夷という字をあてるんだな。難しい。
 ここは日蓮宗のお寺です。説法跡地に近いってことは,このあたりが日蓮の活動圏だったから日蓮宗のお寺が多い,っていう流れで合ってるんでしょうかね。


本堂工事中

仮本堂
 
にぎり福というのが名産?のようです

番外32.妙本寺

 てことで,ここで素直に駅の方向に足を向ければこの日で十三仏を全てクリアできるんでしょうが,残念ながら寄道癖はいっこうになおらず,続いて妙本寺です。ここも日蓮宗。しかも,日蓮宗の中でもかなり重要な部類に入るお寺っぽいです。
 あわせて,ここは比企能員邸の跡地でもあり,比企氏が敗れたのはこのあたりのようであります。鎌倉の御家人っていろいろいますが,出ては潰され出ては潰されという印象で,いまいち誰が誰だか覚えられません。
 なお,思ったよりも大きな寺院で,坂を登らねばならないと分かった瞬間に引き返そうか迷ったのはここだけの秘密です。でも,その分本堂まわりは静かでいい雰囲気でした。


参道

総門



凄い威風堂々とした幼稚園だな

方丈門

参道

二天門

本堂から境内を見る

比企氏一族の墓
 
霊寶殿改修工事中

日蓮上人像
案外丸顔なんだな

まだ葉は緑

番外33.常栄寺

 それから道を進んでいくと,左手に現れるのが常栄寺。通称ぼた餅寺とのことで,てっきりぼた餅でも売られてるのかと腹減り人間は期待したわけですが,残念ながらぼた餅寺と呼ばれているのは処刑場にむかう日蓮上人にぼた餅を振る舞った老婆さんに由来する名前とのことで,今も尚ここでぼた餅が振る舞われるのは年1回だけのようです。
 こういう歴史あるお寺ではありますが,境内は非常に狭く,ちょっとびっくり。それでいて,境内に稲荷神社があるのにもびっくりでした。まあ,考えてみたら解説上「日蓮にぼた餅が振る舞われた場所」というだけで,別にここに寺院をつくるなにかがあるわけじゃ無いんだから,仕方ないんだろうな。老婆さんはあくまで老婆さんであって僧侶じゃないんだし。


番外34.八雲神社

 続いては神社です。八雲神社。ここはなかなか広い境内でした。参拝者も多かったです。
 宝蔵殿もありましたが,今回はパス。


番外35.安養院田代寺

 そして,坂東観音霊場の札所である安養院。杉本観音が本堂に上がれるタイプだったので,勝手に坂東の札所は全て本堂にあがれると期待してたんですが,世の中はそんなに甘くありませんでした。一介の観光客が期待するのもおこがましい。
 そして,境内も狭く,参拝者も少なく,いろいろと予想外。でもまあ,そのぶん落ち着いて参拝できるのはよいですな。
 あと,地蔵様がなかなか見かけない意匠で,しかも修復せいか顔がブラックジャックみたいになっていてちょっと印象的でした。


番外36.上行寺

 安養院の向かいにあったのが上行寺。せっかくなので寄ってみたところ……本堂から漏れ伝わるB級臭。おお,鎌倉にこんな面白いお寺があったのか。
 そして,ここにも現れる左甚五郎作の彫刻。ほんと日本中に現れるな。
 さらに,鬼子母神堂がそれ以上のすごさ。なんか本当に異世界です。鎌倉とは思えない雰囲気。でも,いくら鎌倉が気取った町でも,やっぱりこういう民間宗教的雰囲気のあるお寺は1つはあってもいいよね。いやぁ,素晴らしい。

 で,気になったのでやっぱり検索してみました。すると,素晴らしい住職の下に人が集まり,このお寺を作り上げていっている様子がわかり,なんともほっこりしたのでした。(こことかこことか)


 で,急いで鎌倉駅に戻り,江ノ電で残り2寺院を攻めようと思ったら……とんでもないアナウンスが聞こえてきました。江ノ電待ち時間40分。なんだそれ。
 というわけで,戦意を喪失し,駅構内の狭い蕎麦屋で遅めの昼食を摂取し,鎌倉をあとにしたのでありました。

番外37.野田の湯

 鎌倉市の銭湯は残り2つ。まずは野田の湯です。大船駅から歩くことも不可能ではなさそうですが(いやまあ陸続きなんだから可能は可能なのは当たり前として),せっかくなのでモノレールに乗ってみることにしました。往復券があったので買ってみましたが,特に割り引き無し。でもまあ,富士見町駅は無人駅で改札を意識する手間が省けたのでよかったと思うことにします。
 そういえば,いまいち「湘南」ってのがどこなのか分かってないんですが,鎌倉とか大船とかって湘南なんでしょうか。特に海に憧れもないんで,湘南ってのがなんなのかよく分からんのよね。ショウナンパントルとかはもちろんよく存じ上げておりますが。

 そんな富士見町駅から徒歩1分程度で野田の湯。手前にスーパーがあって,広い駐車場があります。この時点で,マイルCSの発走が迫っていたので,ここでレースを見ることにしました。ワンセグのエリア設定では神奈川は横浜と平塚の2択です。大船はどっちなんでしょうか。てことで,どっちも試してみたんですが,ワンセグ電波はかなりイマイチでした。
 というわけで,結果が分からないまま野田の湯に入ると……待合室で競馬が流れており,番頭さんとお客さんとで,「ダノンだ」という会話が流れておりました。……ワンセグ見ずに最初からここに入ってればよかったのか。無念。



 というわけで,最後にお風呂に入れて満足な1日でした。しっかし,その2で「次回で終わらせたい」とか書いてたのに,5日目に突入するハメになるとは。
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