わくわくばんば〜三景松島杯その6

 そんなわけで,涌谷に向かいます。
 部外者的に難しいのが,どうやって涌谷に行くか。最初に悩んだ仙石線と東北本線の問題であります。一度仙台に戻るのはあまりに馬鹿らしいですし,(睡眠)時間も勿体ないし,なにより面白くない。
 で,当然東北本線と仙石線の接続で悩まれた先人は数多くおられますので,インターネットというものを使えばある程度の推奨ルートは得られます。結論として,仙石線高城町と東北本線松島が徒歩圏内であることが判明。よって,高城町から松島に移動することにしました。いやぁ,ネットって便利だ。

 ところで,自分は当然このあたりの現状については無知です。震災の被害状況もネットでしか知りません。ネットは便利ですが,所詮ネットです。
 仙石線は,この高城町で止まっており,この先はバス代行です。いやはや,震災から3年経ってますが,まだまだ爪痕は大きいです。3年経ってこれだけ爪痕が大きいんだから,直後なんかは本当に大変だったんだろうな……。まあ,今自分ができるのはここにお金を落とすことだけ。ですが,お金を落とすまもなく涌谷に向かってしまうのでした。

 なお,自分の記憶が正しければ徒歩何分だったかとか全てメモした記憶があります。が,データは消失済であります。うぇ〜ん。

バス代行について 松島海岸駅
観光地なのにホームが狭い
高城町駅。終点扱いになっております 高城町駅 町役場
松島駅 小牛田にも震災の爪痕

 松島駅から東北本線,小牛田で乗り換えて涌谷に向かいます。「小牛田」って読めないですね。あと,JRの路線図と睨めっこし続けたので,涌谷はSuica非対応であることはチェック済であります。えっへん。

 そんなわけで,涌谷で降車。居並ぶSuica組を横目に,輓馬会場へ向かいます。降りたのは十数名といったところでしょうか,メモった記憶がありますが,はてさて。
 交通手段は徒歩ですが,まあ丁度いい散歩コースって感じですね。おおよそ徒歩10分程度で橋まで,それから10分弱で会場まで,といったところかな。
 それにしても。橋から遠くに会場と涌谷城がみえるわけですが,これがなんとも美しい!素晴らしい。桜と城と馬。まあ,日本各地,城跡に桜(ソメイヨシノ)を植えたところはたくさんあり,城オタ的には眉をひそめたりもするわけなんですが,でもやっぱり城と桜って美しいですね。しかも涌谷はそこに馬が加わるんだから素晴らしいですね。
 橋を渡って涌谷城の方に向かうと,とりあえず城っぽい雰囲気を出すための白壁が続きます。まあそれはともかくとして,桜が綺麗です。

涌谷駅 駅名由来
まさかのアイヌ語
川岸ではなにやら
盛り上がっております
さくらまつりの一環かな?
素晴らしい景色!!

 そして,見えてきました!ばんえい競馬のための2つの山。そして,どうやら開会式が行われております。
 開会式の詳細は不明ですが,とりあえず自分が着いたときには安全を祈願して神主さんがお清め中。祝詞を読んだりされておりました。
 そして,それを横目に自分はとりあえず朝食。まだ開会したばかりで露店も本格稼働しておりませんでしたが,とりあえず開いてる店で焼きそば購入。

見えてきました
カメラ軍団がスタンバってます
カメラが趣味の人って朝が早いですね…
僕には一生無理だ
安全祈願 開会挨拶 朝の屋台 焼きそば

 そんなわけで,レースが始まります。
 レースの基本ルールは,北海道のばんえい競馬と同じ。山は2つあり,2つめの方が高いです。何メートルかをメモしたデータは既に消去されておりますので不明です。もう泣きたい。
 レースはクラス分けされており,最初は若い馬。これは負担重量が最も軽い。それからクラスがだんだん上がっていき,最終レースではとっても重い重量のそりを背負うことになります。もちろん当時は重さをメモっておりますが,残念ながらデータは既に以下略。
 なお,同クラスの馬が多い場合,レースは2つに分かれ,タイムキーパーが時間を計って順位付けすることになります。また,1レースの完走制限時間も定められており,制限時間オーバーするとレースはそこで終わります。もちろん何分で制限時間になるかは……。
 とまあ,心の中で涙があふれる旅行記になってしまいました。これはリベンジせねば!!

 とまあ,リベンジを堅く心に誓いつつ,以下進めていきます。
 レースは上の通り基本的に北海道ばんえい競馬と同じですが,みなさん基本的に定点観測しておられ,ばんばを応援しながら一緒に歩いていく,という応援スタイルはとられておりません。まあ,コース沿いにはカメラ撮影の方々が多く陣取られていて,一緒に歩いて行っても見づらいってのがあります。あと,平地部は割と進みが早い。


城と桜。美しい 第2障害 馬運車溜まり コース全景

 そんなこんなで,1レースがスタートします。スタート前に軽く準備運動的返し馬。荷物を背負わずにコースを歩きます。障害でやるようなコース見せ的な意味合いがあるのか,単に準備運動なだけなのかは不明。
 そして,それからそりを装着して,スタートです。負担重量が軽いということもあるんでしょうが,第1障害は割と軽々と抜けていきます。ですが,第2障害はやはり本場ばんえい競馬同様に力を溜めて乗り越えます。ただ,これは先頭を走る4番の馬だけの話で,ほかの馬は第2障害で苦戦。この障害を越える際の奮闘こそがばんえいの醍醐味ですね。

返し馬 第1障害を越えて第2障害へ進む 第2障害。あと一息
越えた! ゴール ほかの馬も第2障害へ 苦戦中 その横を悠々と戻っていく
あと少し! 抜けた ゴール そりはトラクターで曳いて戻ります
トラクターって凄いな。何馬力出るんだろうか

 とまあ,こんな感じにレースが流れていくことになります。
 同クラスの順位は走破タイムでつけることになりますので,各コースごとにタイムキーパーがいて,タイムを計っていきます。
 また,ここのばんえいの特徴は,「馬には常に2人ついている」ことと,「そりの上に人は乗らない」ことであります。北海道ばんえい競馬は言うまでもなく1頭に騎手が1人ついていて,そりの上から馬を操ります。ですが,ここではそりの上に乗らずに,横からムチを振るったりしております。また,もう1人が馬の口元を支えて,勢いをつけるときは前と後ろの両方から一気に馬に気合いを入れることになります。また,馬が障害途中で完全に行き詰まると,ほかの方々も助けにきて,一緒になってみんなで馬に気合いを入れます。敵味方関係ない,この共同作業こそが草競馬の醍醐味なのであります。
 そんなわけで,いやぁ,本州でもこんな立派なばんえいのレースが見られるなんて,なんて素晴らしいんでしょう。しかも,桜満開の中で,(模擬ですが)城をバックにばんえい競馬ですよ。なんと贅沢な。

待機するタイムキーパー 報告するタイムキーパー 気合いを入れて障害を乗り越えていきます そして障害を越えて ゴール!

 さて,せっかくなので涌谷城にも登ってみます。どこからどう見ても模擬天守な涌谷城ですが,そうはいっても桜と石垣と城ってのは極めて相性がよく,馬も含めてその眺めは美しい。
 この涌谷城,当然無知無学なNPは今回の旅行まで知らなかったんですが,どうもこの涌谷地域を治めていたのが亘理氏のようです。亘理氏であれば知っております。が,無知無学なNPは,ここが伊達騒動の主人公の1人,伊達宗重の領地だったとはもちろん知りません。というか,「伊達騒動」という四文字熟語は当然知ってますが,どういう騒動だったのかはよく分かってません。例によってWikipedia先生に教えを乞いますと,「三大お家騒動」の1つとして名高いようです。誰がこの「三大」を名付けたのだろうか。そして,この伊達騒動は「樅の木は残った」という大河ドラマにもなってるんですな。よくもまあ東北の一地方大名の内部紛争を大河ドラマにしたもんだ。今ほど大河ドラマの地位が(自治体的に)高くなかったということだろうな。この大河は総集編が出ているようですが,とりあえず山本周五郎氏の原作を読んでみたいところ。どうでもいいけど,山本周五郎氏の「赤ひげ診療譚」を買ってからはや数年,まだ1行も読んでません。あと,伊達騒動の主役の一人,柴田朝意って長宗我部家臣の出なのか。なんと。
 てことで,涌谷城の遺構は正直よく分からなかったんですが(多分ステージ裏に堀があるんだろうと思って裏に回ったりしたんですが,よく分からんかった),伊達騒動について学ぶいいきっかけになったのでよかったです。

馬と石垣と桜と城 涌谷神社入口でもあります 桜越しに石垣を見上げる 涌谷横町観音講,とあります
村田石
裏に解説がありましたが,
読みづらかったので読まず
上から眺めるばんば競走 桜祭り行事予定
まだまだ続く祭りのようです
丘の上の公園にも
屋台が出てます
これらは常設店舗のようです
涌谷城について これは現存。太鼓堂(隅櫓) 模擬天守
涌谷伊達氏について 伊達家二十四将図
黒田でも見たけれど,
これは武田の真似ってことで
いいんでしょうか??
政宗書状 町割り
縄張り 伊達騒動について 伊達宗重書状 宗重公座像の写真の写真 伊達騒動に関する書籍 伊達騒動実録
天平産金について 万葉北限の地 戊辰戦争と涌谷
ありがちな展望台です 上からの眺め 反り立つ石垣
右側は現存遺構?
裏側
一応人工の崖なのか?

 というわけで,涌谷城を見終えたので再度ばんば競技会場に戻ります。
 昼にはポニーのばんえい競走が行われます。ポニーの定義は輓馬であっても体高147cm以下,でいいんだと思いますが,輓馬だとなんとなく伸張が高く見えます。ポニーは軽めの砂袋を曳きますが,それでも200キロレベルの重さです。そして,ポニーはこの200キロレベルのそりを楽々と曳いて走って行きます。なんというか,ポニー競走というよりも横を走る人間がどこまでポニーに追いつけるか競走の様相を呈しておりました。

玉こんにゃく 馬運車駐車場 大人しく待機しております トイレはこの手の臨時トイレのほか
丘の上にも常設のものがあります
ショベルカーで重量物をそりに乗せる
ポニーと子ども達 コース見せ ポニーレース

 そんなこんなで,昼休みを挟んで,午後のレースも滞りなく行われました。
 もうメモがなくなったのでこれ以上詳細は書けません。最終レース,チャンピオン決定戦は,とにかく重いそりを引いていたのだけ覚えております。そして,レース前も実況の方が出走馬に拍手を!とか,非常に盛り上げていたのも覚えております。本当に自分の過失でメモを消したのが悔しい。
 最後にちょっと思ったことを。やっぱり出走馬の名前とかは観客にも分かるようにしてほしい(アナウンスはしてましたが,やっぱり書き出しておいてほしい)。ここに出ていた馬が,ほかの東北のレースを転戦してるのかどうかは分かりかねますが,やっぱり信州・中部を転戦して何回も見てる馬ってのは愛着わきますし(一緒に転戦する暇人が少ないであろうことは想像つきますが……),愛着もたれることでオーナーさんにもデメリットはないと思うんだよな。※と思っていろいろ調べてたら,とりあえず平成25年の結果はここにアップされてました。平成26年もどこかにありそうだな。
 あと,これは是非やってほしいんですが(聞き落としでなくなかったはず),ばんえい競技についてちゃんと解説してほしい。障害を乗り越える際,馬と人が一体なにをやってるのか,どういうことをすると効果があるのか,単に「勢いをつけるために呼吸を整えてる」だけでなく,多分鼻面を押さえて押さえて一気に爆発させるようにしてるんだと思うんだけれど,どういう行為が効果があるのかなんかをアピールしていただけると,観客ももっと楽しめたかと。また,NPの近くにいた写真愛好家と思しき方々がムチでびしばしやるのを見て嫌悪感を示しておられました。自分の記憶が正しければ,少なくともサラブレッドとアングロアラブに関しては(ばんばは知らんですが,多分一緒ではなかろうかと)ムチは見た目と音ほどには馬に痛みを与えていないはずなんですが,そのへんについてもちゃんと解説してもらえるとよかったなー。


昼食のお好み焼き
 
優勝馬の記念撮影と勇姿
 
倒れ込むシーンも
自分は北海道ばんえい競馬で見慣れてますが,
初めて見たらびっくりしますよね
これもちょっと解説ほしかった
 
立ち上がって障害を乗り越える

無事ゴールへ!

お疲れ様でした
    
頑張ったけれど,時間切れ

決勝戦馬場入り

発走直前

スタート!

第2障害へ!

第2障害を越えた!!

ゴールへ一直線
 
優勝おめでとうございます!!


 てことで,上に生意気なことも書きましたが,実況はしっかりと場を盛り上げる実況で聞いてて飽きませんでしたし,場の空気も非常に盛り上がっておりました。なんかいろいろ見てると(こことか),前年(2013年)は雪の中で行われていたようで,なんとも不思議な感じがあります。とにかく,目の前でこんな立派なばんえい競走を見られるなんて素晴らしい!是非ともこれからも続いていってもらいたいものです。
 なお,Wikipediaには,「宮城県における花競馬」というページが存在し,なかなか詳細に語られております。こういうのを書いた人に感謝感謝。また,今回の涌谷草輓馬の情報はこちらから入手しました。かなりしっかり情報収集されており,非常に助かります。おそらく同じ方がやっておられるブログがこちらですね。

 てことで,無事輓馬大会も終わったので,町歩きへ。

仙台東北歴史博物館多賀城跡松島瑞巌寺東北輓馬大会涌谷天平

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