ペナン旅行記その10

 いよいよ最終日です。無事ゲストハウスをチェックアウト。大きな荷物はもちろん預かってもらいます。

観音寺

 てことで,最後の町歩きに出発。まずは,観音寺。いままでの○○コンシーとは異なり,正真正銘の仏教寺院であります。残念ながらその事実に気付いたのが帰国後なんだよな……ちゃんとコンシーについて予習していければよかったんだけれど。まあ,あとからでも分かったからよかったとすべきか。

 この観音寺,観光ガイド的なものにはそれなりの掲載率を誇っている寺院だろうと思われるところ,観光客を受け入れる雰囲気が一切存在せず(台北龍山寺なんかとは全然雰囲気が違う),脳天気な日本人観光客が脳天気に写真撮っていられるような雰囲気がありません。競馬場に雰囲気が近いと言うべきか。てことで,その他のコンシー軍団(キョンシーみたいな響きだな)とは異なり,中でのんびり写真パシャパシャとはいきません。
 台北龍山寺あたりとの比較でいくと,基本的に線香を立ててお祈りするのは同じですが,お経を読んでる人が皆無ですね。座ったり膝を立てたりする場所はなかったように思います。

昼のKingStreet 観音寺
なぜか鉄柵で囲われております
屋根の下だから,
なお熱気がこもって独特の雰囲気に
さらに奥
正直,チ○コがついているか屈んで確認する,
なんて雰囲気では無い
船の鬼瓦。家のやつといい,ペナンの鬼瓦は面白い 外側には店が並び
蝋燭のようなものも売られてます
道ばたにあった祠
宗教不明



 そんなわけで,逃げるように観音寺から立ち去り,昨日朝食を食べた,宝福社脇の店まで向かいます。別にここじゃなくてもよかったんですが,ここまでミーゴレンを食べておらず,せっかくだから食べたいな,そういえば宝福社の向かいにあった屋台でミーゴレン売ってたな,そこで食べよう,という思考の流れです。あと,そのあたりにトライショーがいたのも分かってたしね。

 で,歩いていると,昨日もあるいたチュリア通りと大きな道の交差点へ。ここに歩行者用信号があるんですが,昨日から歩行者用信号が機能している姿をみてなかったんですね。で,ふとみると,一応押しボタンがありました。「どうせ動かないだろう」と思って押してみたところ……ちゃんと動きました。が,動くと思ってなかったのでせっかく歩行者用信号が青になったのに信号を無視してしまいました。ただでさえ渋滞する交差点なのに……すいませんでした。

 で,ミーゴレンの屋台に行って,「ミーゴレン」と発言。で,屋台脇にあった椅子にむかって進もうとすると,向かいの店を指さされました。ああ,あっちの店内で注文するのね,と思って,道を渡って店に入り,店員さんに「ミーゴレン」と発言すると,向かいの屋台を指さされました。どういうことだろう??と思って,もう一回向かいの屋台に向かおうと店を出たところで,トライショーのおっさんに声をかけられました。
 まあそこまで朝食にこだわりもないし,声をかけられたのもなにかの縁です。
 1時間30RMと言っており,値段も普通。てことで,おっちゃんが持ってた地図をパラパラやって,タイ寺院(ワット・チャヤマンカラーム←名前は覚えていないのでネットからコピペ。名前覚えてたら地図をパラパラやらずに口頭で説明できたんだけど)を示します。すると,「50RM」とのこと。
 正直,距離もあるので,100RMまでだったらOK出そうと思ってました。相場は知りません。コムタからジェティまでタクシーで15RMもとるなら,人力でタイ寺院まで往復で結構かかってもいいだろう,という発想です。

 てことで,50RM即決。トライショーでタイ寺院まで向かうことにしました。昨日立てた,「トライショーでタイ寺院とビルマ寺院」計画がこんなにあっさり実現するとは。ちょっと予想外。

 さて。トライショー。
 当たり前ですが,非常に地面に近い場所に腰掛けることになります。この角度で道を進むのは非常に新鮮。ただ,車の多い大通りを走ると,必然的に排気ガスを浴びることになります。まあ,そこまで排ガスも酷くなかったのですが,気になる人は気になるだろうな。
 交通ルール的には,どういう走り方をするのかは明確なルールはないようで,とりあえず右か左,どっちか端っこを走ればいいみたいです。で,曲がるときは手を出す。自動車はそれなりにトライショーを尊重して走っております。なので,大通りでトライショーがちんたら走っていても,別に問題なし。裏返すと,いくら左側通行の国とはいえ,こういう日本にない乗り物が走ってる国で車の運転はしたくないな……。

 ところで,トライショーに乗ってる間に,さっきの店でのできごとを振り返っていたところ,屋台のおっさんは「向かいの店に持っていくから向かいの店内で座って待ってろ」と言ったのではないか,と推測するに至りました。もしこの予想が当たっていると,向かいの店のおっちゃんは,ミーゴレン1食分無駄にしたことになります。うう,すまぬ。

ワット・チャヤマンカラーム

 そんなわけで,写真の撮影時間を見ると,およそ35分でタイ寺院到着。時間を有効に使うのであれば圧倒的にタクシーかバスを使う距離だろうし,実際ここまでトライショーで来る人は少なそうです。暑いしな。


なんだこのカタカナは…

たまたま外から見えた
  
いろいろ,観光客向けの施設があります。このあたりも旅行者街なんだろうな
今回の旅行では一切近づかなかったけど

到着


「泰佛寺」の「寺」が
若干傾いてますな

内側から



 そんなわけで,中に入っていくことにします。
 そとからも金色に塗られたパゴダが気になってましたが……とりあえずどこから攻めようか。おいしそうなものがたくさんあると迷いますね。

 とりあえず,外で目立っている龍に接近。去年バンコクでタイ寺院を1つ見ましたが,龍はあまり意識してなかったな……。龍って中国由来の生き物だと思ってたんですが,違うのだろうか。わりと年季の入った龍で,目玉が取れてたりしてました。
 そして……ショッキングなことに,せっかくカンボジア旅行前・旅行中に学んだ知識が完全に抜け落ちております。どれくらい抜け落ちていたかというと,向かって左側にいる蛇。これの名前を完全に忘れました。あれだけカンボジアで見てきたのに……一体何をやってるんだ。ナーガです。ナーガ。いやぁ,ほんといかんなあ。
 そして,ナーガと龍の間にいる仏像。足の指が3本で,見た目も鳥っぽいです。鳥人,というと笑い飯しか浮かんでこない今日この頃ですが,そんなアホなことを考えてるから御利益がないのでしょうな。この鳥人の後ろにいる門番みたいなのはバンコクでも見ました。タイ寺院と言えばこいつ,というイメージなんですが,いまいち名前とか役割とか歴史的背景とかを分かってないのでした。さらにほかにも仏像がありますが,これらも特に解説が無く,観光客にはよく分からず。

 が,現在進行形で補修作業中でした。この人の頑張りでナーガがよみがえるんですね。
 それにしても,タイ寺院っぽいカラフルなナーガです。アンコール遺跡のナーガは当然石そのままの色でしたので,ちょっと新鮮です。やっぱり緑色のイメージなんですかね。

日本語だ!
(「さ」と「を」の間違いはご愛敬)
外観
左がナーガで右が龍
龍。色あせてるのか,
もともとこんな色なのか
向かって左 向かって右
こっちは目玉がありますが,なんか安っぽい…

こいつも目玉がない
  
補修作業中であります

 さて,中に入ります。すると,目の前に横たわる仏像。これが世界で3番目に大きい涅槃仏とのことです。これ,今も3番目なんでしょうか。仏教理念的に大きければいいってもんなのかどうかは分かりませんが,大きい涅槃物なんて作ろうと思ったら作れるでしょうし(越前大仏的に),ギネス大好きな人当たりが大きいものを作ってそう。
 下らないことはさておき,この涅槃物は33mとのことです。この「33」という数字に仏教的な意味があるのかは分かりません。
 そういう下世話な話はさておくとして,昨年プノンクーレン(←この場所もすっと出てこなかった…もうやだ)で見た涅槃仏寺院とは異なり,仏殿の中に多くの仏像があります。これは気になります。てことで,少し仏像を見てみました。全般的に,日本の仏像のように細部の装飾にこだわってる感じはありません。台湾でも同じ感想を抱いたんですが,「仏像」そのもの自体には大きな意味を持たせていないのかもしれないな。
 なお,それぞれの仏像の前にはDonationBoxいわゆる募金箱というか賽銭箱があります。が,見たところ(いるのが観光客だらけだったってこともあるんでしょうけれど)1つ1つに丁寧にお賽銭を入れてる人はおらず,みなさん基本的には真ん中に1回だけという方針を立てているようでした。なので,写真をパチパチとりつつも,お賽銭に関しては皆さんの方針に従うことと致した次第です。
 なお,この賽銭箱には仏様の名前があり,あわせて「PROSPERITY AND LONG LIVE」との記載があります。てっきりこれがこの仏様の御利益かと思ってたら,全部の賽銭箱にこの文字がありました。なんでぇ。
 あと,今思ったんですが,日本だとこの手の仏像にお参りをする際にはご真言を唱えることが多いかと思います。正確には,ご真言を唱えることそれ自体は少ないですが,ご真言はこれですよという案内が出ている寺院は相当数あると思います,と書くべきか。まあこんなところで表現の正確性を求めても仕方ない。とにかく,日本で仏様にお参りする際にはご真言を唱える文化があります。が,ここの賽銭箱には仏様の名前と御利益だけ書かれていて,ご真言的なものは書かれてませんでした。また,あとに書きますが,この寺院内でこの旅行初めてお経を見ましたが,この涅槃仏の仏殿には経本はなく,また,お経を唱えている方もおられませんでした。

 そして,裏側には骨壺が壁一面に。このあたりは火葬文化なんでしょうか。あと,十二支の仏様が並んでいました。日本だと十二支の守り本尊ってなものが設定されていて,なぜか一部の干支は2年で1人だったりして世の不条理を感じさせてくれますが,ここでは各年1体。多分申年担当も大日如来ではないのではないかと思います。

 さらに,今度は曜日ごとの仏様も。なんかいろいろ守り仏を作りますなあ。十二支になじみのない欧米人向けだろうか。

 あと,今「龍婆多」ってなんだろうと思って検索してみたところ,たまたま八大龍王のWikipedia記事が目に入り,たまたまそれを読んでいたら,これってナーガが中国や日本に入ってくるにあたって人間の形になったんですね。仏教の世界は奥が深い……。

1枚におさまりきりません 韋駄菩薩とあります。多分日本でいう韋駄天 弥勒仏。金箔まみれになって,なんか成金オヤジみたいになってます
一応,公式には金箔を貼らないように注意が出ておりました
寄付者の名前とタイ王家 大勢至
勢至菩薩っていう仏様は
今回初めて知りました(不勉強)
善光寺にいるんですね
腰から下が長いように思う
多分12頭身くらいです
賽銭箱に名前無し 阿弥陀仏
これもやけに足が長い
観世音菩薩
手のまわりが金箔まみれです
薬師仏 地蔵王
薬師さんと顔が同じに見えます
名前不明 ちなみに,背後は全て
骨壺であります
涅槃物の背面は一面に絵が描かれております
多分釈迦の一生の絵だと思われます


十二支の説明 仏像が並びます これは申年
サルは「申」ではなく「猿」に近い字ですね
また,台座に猿が描かれております
これは馬年
指の印が違いますね
涅槃仏の下にも大量の骨壺
火曜日は寝てます 金曜日は立ち上がる 犬。普通の番犬に見えますが… ありがとう浜村淳です 3体並んでます
両親と子ども?
足下から涅槃仏
この角度で撮られるのは
いい気分ではなかろうけど

例によって紋様があります
よく見ると1つ1つ仏さまで,
しかもその下に名前?があります
寄付を募ったんでしょうか
涅槃物の前にもたくさんの仏像 龍婆多

 そんなわけで,ようやくぐるっと一周し終えました。長かった。というか,見所多すぎです。
 せっかくなので,最後に蝋燭を奉納していくことにしました。一応広義の仏教徒だから文句はなかろう。

 ここの蝋燭は,蓮の花の形をしたカップに入っております。きれいですね。でも,これ再利用してるのでしょうか。大きい蝋燭が10RM,小さい方が2RM。ここまで無料で立ち入らせてもらってるので敬意を表して大きい方の蝋燭を購入(もっと大きいやつもあったような気もしますが,まあその辺は中庸を以て貴しとする日本人精神的な感じで)。名前を書いた紙を蓮に差し込む方式のようです。でも,この方式だと最後に名前を書いた紙が行き着く先はゴミ箱なんですが……。いいのかこれで。

ここで買う ここで紙に名前を書く 蝋燭をアップで ここで火をもらう 片付けてる人 ゴミ箱

 そんなわけで,ようやくメイン(本堂?)の涅槃仏参拝終了。続いて,周りにあるお堂を見て行くことにします。なんか,この旅始まって初めてここまでねっちり寺院参拝してる気がするな。それもこれもトライショーが待ってて最後は座ってればいいことが分かってる精神的余裕からだな。ただ,ここまで長時間おっちゃんを待たせてて(といってもまだ20分くらい)若干申し訳ない気分にもなっております。

 さて,いくつかお堂がありますが,日本の寺院のように伽藍に意味があったり,それぞれのお堂に名前がついてたりするのかは分かりません。解説を書いてない寺院側が悪いのです。
 このお堂は,中心に大きめの大仏(丈六仏より大きいように見えるので日本的表現だと大仏ってことでいいんかな)がいて左右に修行僧みたいな見た目の仏さんがいるという,三尊像スタイル。三尊像というには脇仏が離れすぎてる感も有り,脇の2仏がどういう役割なのかはなんとも。

お堂その1 左はハヌマーンっぽいようにも見えますが… 内部 アップで
天井
夜になるとカラフルになりそうな…
左目の目玉の左側が
黒いのは,白いシールが剥がれたのか
もともと黒いのか…
右側の仏様
こちらも左目の目玉の左側が黒いです
となると,やはり意図的に黒くしているのか

あと,耳がびろ〜んとしていて,しかも鍵穴みたいなものがあります
これ,なんだろう??

 次に進みます。
 先ほどは白を基調としたお堂でしたが,今度は黄色。
 靴を脱いで中に入ると,おじさんが掃除してました。お勤めご苦労様です。
 そして,ここにはお経の冊子がありました。どうも無料で持っていくことを前提とした,簡単なコピーです。それにしたって無料とは太っ腹ですね。あるいはタダで持っていこうとしたら掃除のおっちゃんに怒られる仕組みなのかな。持ってってないから不明です。

お堂その2
入口の上にレリーフが
左右の龍
頭でっかちです
掃除中 正面から
手前にはやけにたくさんの
仏像が備えられてます
花瓶を手にしております
これって日本では見ない
スタイルじゃないでしょうか
      
ここにはお経が置かれておりました。お経には詳しくないんですが,薬師経と観音経ってことでいいのかな?日本で出回ってるものと同じなんでしょうか
読経ではなく,マス目に記入したり上からなぞったりする,写経方式のようです。どこに納経するのでしょうか。

 そして,最後。ここは開放的なお堂であります。四方に顔のある仏像が真ん中に鎮座。「四面神」というみたいです。香炉に番号が書かれているので,おそらくこの順番に線香を供えていく方式だと思います。どこで線香買うのかも分からなかったので,とりあえず番号順にお参りだけしておきました。
 上にぶら下がっている提灯には,「吉祥如意」と書かれているので,吉祥天と関係があるのかな。などと,無理矢理自分の頭にある仏教用語を関係づけてみたりしましたが,まあよく分からんです。

お堂その3 4面に顔があり,
四隅から仏像に見守られてます
まずは正面 続いて右
後ろ 最後に左から 吉祥如意の提灯
反対側にあるのは奉納した人の名前かな?

 てことで,ここまで30分程度でワット・チャヤマンカラーム参拝終了。まわりの人が早くいなくなったので長居してたように錯覚してましたが,30分じゃ大して長居したわけではないな。
 ここでトライショーに戻ると,おっちゃんが反対側(ビルマ寺院)にも行けというので,ありがたくお言葉頂戴。いやまあなんと言われようが行くつもりだったけどさ。


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