QueueCardのCueCard〜ウインブルドン敗北記その1
CueCardは,言うまでもなく前年のキングジョージ6世チェイスを勝った名馬のことです。
さて。イギリスに来たからにはウィンブルドンに行かねばなりません。しかし,例によって行動が遅いNPは昨年のチケット抽選に応募し忘れました。というわけで,残る方法は2つ。試合前日のTicketmaster販売に挑むか,並ぶかです。となれば,並ぶしかありません。というよりも,「並ぶこと」,すなわちQueueingそれ自体がWimbledonの一部のようなのですね。並ばずしてなんとする。
というわけで,Earl'sCourt付近のホステルに泊まり,翌朝5時30分過ぎの初電でWimbledonに向かいます。
前日は2つの図書館で入館を断られたのち(しっかり要件を確認しなかった自分が悪い),ホステルで同室した中国人と双方の歴史認識について1時間30分にわたって語り合うという,なかなかにインターナショナルなことをしました。時間がこれだけ余ることを見越してこの日に在外投票を済ませなかったことが後々まで影響するのですが,それはまた別の話です。
なお,自分が乗り込んだのは1週目の水曜日,基本的には男女シングルス2回戦の初日(現実的には1回戦の事後処理+2回戦)でした。前日午前9時からTicketmasterでの残券販売が開始される訳ですが,自分の知り合いは見事センターコートのチケットをゲットしておりました。誘った側がチケットを持たず,誘われた側がセンターコートのチケットをゲットするという,なかなかに興味深い現象が起きております。なお,ここにいう「知り合い」は3名で,3名中2名がチケットにありついています。Ticketmasterでは2枚までチケットを買えるので,3名ともセンターコートのチケットをゲットしている算段です。友人からの「センターコートチケットゲットだぜ」連絡に対して,「おお,ジョコビッチが見られるね。おめでとう。俺は錦織を追いかけて並ぶぜ!俺はローランギャロスでジョコビッチ見たしな!(意訳)」と,若干涙目になりながら,他方で錦織を追いかけているのはまさにその通りなので嘘はない返事をしたのでした。なお,友人3名中2名はテニスに詳しくないので(もう1人は熱心に見ている。なお,私自身もにわかです),ジョコビッチを見られるとかそういう予想は全く立ってなかったし,だからこそセンターコートへむけてまっしぐらだったわけですね。
で,水曜の予定は火曜の夜に発表になります。中国人との激論(というほどでもない)を終えてスマホでチェックすると……錦織まさかの12番コート。1番でも2番でもないじゃないか。並ぶ意味がない。というか,12番に入るためにまた並ばないといけないのか……。そして,友人たちが観戦するセンターコートではジョコビッチの試合に加えてフェデラー対ウィリス(772位のおじさん)という,歴史的対決も組まれておりました。まさに涙目の涙があふれんばかりです。
とはいえ,せっかくここまできたのです。12番コートに入るならグラウンドチケットだけでいいとしても,とりあえず初電で行ってみることにします。
電車にはWimbledonに行くとおぼしき人がたくさん。でも,そんなに人はいません。そして,Southfieldsに到着。駅は完全にWimbledon仕様になっておりまして,ホームはコートを意識した装飾になっています。みなさん早く並ぶために先を急がれておりますが(但し,日本とは違って走る人はおらず,とにかく歩いている),こっちは呑気にホームの写真撮ったりしてました。
駅からQueueing会場までは人の動きがあるので迷いません。警備員もいるしね。
で,ちょっと歩いたら会場に入ります!!夢にまで見たWimbledoのQueueing会場!!まあ,正直言って言うほど盛り上がってた訳ではないんですが(午前6時ころだったからかもしれない),でもやっぱりここでボール遊びしてる人とかを見ると,「ああ,これが噂の」という気持ちになります。
そして,無事案内冊子とQueueCardをゲット!1714番でした。(実は並ぶまで知らなかったんですが)センター・No.1・No.2の当日券の枚数は500枚ずつとのことなので,実はこの時点で(センターはまあ無理としても)No.1もNo.2も確約されていたわけではなかったのです。もしこれでグラウンドチケットしかゲットできなかったら友人たちに「錦織は12番コートだからね。No.1とかNo.2は本当にその試合を見たい人が見るべきだよ」などと涙目を隠しながら講釈することにしていました。
ところで,ここはイギリス。不定期に雨が降りますし,水はけもイマイチなので芝がぬかるんでいます。ぐちょぐちょの場所には並ぶ必要はないのですが,それ以外の場所も基本的に濡れており,ずっと立ち続けるか,座りたいのであれば何らかのシートは必須です。そういう,考えてみれば当たり前の話を事前に予測できないのがお馬鹿NPの馬鹿たるゆえんでして,他方で無駄に鞄に色々入れる(というか出すのを面倒くさがる)のもお馬鹿な奴の特徴。サッカー観戦用(雨天時の鞄避難用)に入れていたゴミ袋の存在を思い出し,これを敷くことにしました。
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Southfields駅 |
道案内 |
市街地を歩く |
こっちに入ると…… |
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Queueing会場!! |
並びに行きます |
注意書き |
皆さん並んでおられます |
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ボール遊びしている人々 |
まずはこれをゲット |
あとちょっと |
念願のQueueCard!! |
準備完了 |
最後尾を示す"Q"の旗 |
というわけで,あとはQueueCardを大事に持っておけば大丈夫。準備完了です。「列から長時間離れてはいけない」というルールはありますが,現実問題みなさん結構離れてました。自分もトイレと飲み物のためにちょっと離れることにします。本来ならコーヒー飲みたいところだけど,行列ができてたのでオレンジジュース。
そして,ゴミ袋だと座ることはできても寝ることはできないので,Independentの人が売ってるレジャーシートセット(ブランケットとシートの中間のようなやつ+袋+Independent+ポンチョor日焼け止めorサングラスで10ポンド)を買ってしまいました。でもまあこれで横になれるならいいや。
しばらく寝て体力を回復します。なんせホステルのベッドがいまいち(柔らかすぎた)だったのでよく寝られなかったのです。
いやあ,青空の下で寝るのは気持ちいいですね。まさかこれがあんなことになろうとは。
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コーヒーには長蛇の列 |
オレンジジュース
生搾りでした |
トイレ
そこそこ数がある |
並んでる皆様方 |
先頭が次の列へ
旗の後ろにぞろぞろと
ついて行ってる様子は
なんとなく
ハーメルンの笛吹き男を
思い起こしてしまいます |
Independentから買った袋とシート |
空を見上げる
天気がいいですね |
さて。7時頃,ふと周りを見回すと,列の先頭の方が動き始めておりました。おお,もう動くのか。そして,7時10分頃,「明日明後日のために並ぶ人はいないか」という案内がかかります。おそらくですが,明日以降のための列は黄色いQの旗のところにできているのだと思われます。
そして,7時30分,自分のいた列も動き始めました。そそくさとシートを袋に詰めて移動を開始します。
移動が始まった,といっても,また列は止まります。まだまだ先は長そうだ。こんなんならさっきの場所でもう少し寝かせてくれればよかったのに。
そして,8時5分頃,再度列が動きます。で,No.1コートとNo.2コートのリストバンドを配るおじさん登場。無事No.1コートのリストバンドゲット!リストバンドには0132の番号がついていましたが,1番から配っているわけではなく,これは別に132番目というわけではなさそうでした。この時点でどこまでNo.1コートのリストバンドに余裕があったかは不明ですが,そこまで残券が多かったわけではなさそう。このあと,他の人の会話を盗み聞きした限りでは,6時ちょっと過ぎに並んだ人がNo.1コートをゲットできなかったようなので,おそらく残券は少なかったものと思われます。また,これもこのあと他の人の持ってるQueueCardを盗み見した限りでは,センターコートの最後尾は507番のようでした。ということは,500番以内にならんだにもかかわらずセンターコートを取らなかったか,何らかの事情で列から離れたか何かでセンターコートをゲットし損ねた人がいるわけですね。Queue前線複雑怪奇なり。
まあ,なんにせよ,友人たちに涙目でグラウンドチケットがいかに価値があるかを語らずに済んだのはよかったです。
んで。8時30分ころ,QueueGardenを抜け,AELTCの門を越えます。ここでQueueCardに穴が開けられます。なお,列から離れていた人がここで番号を確認して列にもどる作業がおこなわれておりましたので,トイレ等のために列から離れている間に列が動き出して迷子になっても救済されるようです。
ここからの待ちが精神的に疲れるんですが,まあこのあたりには企業ブースが出ています。でも,数は多くないし,企業側もあまり動きは活発ではありません。
印象的だったのは,係員がみなさん笑顔で並んでいる人に話しかけていたこと。こうやってWimbledonを盛り上げているわけですね。
なんでこんなに並んで待たされるかというと,セキュリティチェックがあるからです。基本的には空港と同じことをやります。そりゃあ並ぶわけだ。そして,さらに鞄を開けて中を見るのでさらに並びます。まあ,万が一のことがあったら大変ですからね。これと比べるとRoyalAscotとかはあんなに緩い警備でいいのだろうか。
セキュリティチェックを抜け,歩道橋を進むと……右手に見えるはWimbledonのテニスコート。いよいよ近づいてきました。
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多分翌日のための並び |
自分がいたのはK4でした |
再度並ぶ |
翌日のQueueも
整理されていました |
テントが移動されています |
ぬかるんだ場所は
こんな状態 |
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インタビューされてる人も |
グレイハウンドのための募金
ウインブルドンのグレイハウンドはダービーをやるような重要な場所のはず
アイルランドで久々にグレイハウンドを生観戦した直後だったのでちょっと募金しました |
翌日の列の先頭 |
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注意書き
BBQ禁止はつらいですね |
まだまだ並ぶ |
諸注意。セルフィースティック禁止なのが重要ですね |
No.1コートゲット!! |
QueueGardenを出ます |
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先へ進む |
ARLTCの門 |
穴が開けられました |
さらに進む |
さらに並ぶ |
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企業ブース |
記念撮影できます |
ナイフとフォークの
持ち込み禁止を案内する
おじさん |
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インタビュー |
セキュリティチェック |
セキュリティチェックを抜けると
歩道橋に到達します |
見えてきました!! |
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さてさて。そんなこんなで,いよいよ噂のGate3に到着。時間にして9時50分。結局,セキュリティチェックを越えるのに1時間待ち,ということですな。もうちょっとなんとかならんのかという感じですね。でもまあ,とにかく中に入れるのだからそれでよしとしなければなりませんな。
なお,あとで気付いたんですが,何気なく撮った注意書きがRefundに関する説明でした。このときは誰もこれに注目してなかったのに……。
なにはともあれ,無事にチケットを購入!!なんかリストバンドをもらってからずいぶんと時間がたったなあ。チケットなんてとっくに買ってた気分であります。
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Gate3へ |
注意書き |
ここでチケットを買う |
チケットを買うと,
リストバンドの先を切られます |
チケットゲット!! |
というわけで中に入ります。
ここまでのまとめ。1週目水曜限りです。
1 センターコートの前日売りはゲットできる可能性が相応に高い。知り合いは3名中2名が成功している。
2 Earl'sCourt初電(5時30分過ぎ)で乗り込むと,1600〜1700番台。No.1コートがぎりぎり。組み合わせによってはアウトだと思われる。
3 6時頃から翌日向け販売に並べば余裕でセンターコートのチケットをゲットできる
4 Queueing会場は言うほど盛り上がってない
5 とにかくセキュリティチェックで並ぶ。セルフィースティックや金属のナイフ・フォークは禁止。
6 中に入れるのは10時頃。4時間くらい並ぶ算段。
合計4時間並んだとはいえ,ここまでは想定の範囲内。ここまでは平和だった……。
ウィンブルドン敗北記その2/その3(博物館)
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