ウインブルドン敗北記その2

 無事中に入りました。まず目に入ってくるのは,この日の試合予定,そしてトーナメント表です。はしごがあって邪魔といえば邪魔ですが,その分リアルタイムで動かしているのでしょうからそれはそれでよいですね。入ってすぐの場所にあるのは男女シングルスのみで,ダブルスや少年少女の部のトーナメント表はセンターコートの壁に掲示されておりました。車椅子のドローは発見できず。ダブルスのドロー脇には昨年の優勝者の掲示が,センターコートの搬入口には過去の少年少女の部の優勝者の名前が出ておりました。当然過去のシングルス・ダブルスの優勝者の名前の掲示もどこかにあるんだろうと予想するのですが,発見できず。ううむ,杉山の名前を見たかったのだが。もちろんウインブルドンのパンフレットには載ってます。

本日の予定 男女シングルスのドロー 男女混合ダブルス 少年少女の部
パンフレットより
この中に一人決勝に
進出してない人がいます
杉山の名前を見ると
嬉しくなりますね

 続いて,友人と合流する前に買い物を済ませておきます。あとで時間が余りまくることなんてこのとき知るはずがありません。とりあえず,ミーハー的にタオルやらシャツやらを買ってみました。高い。ウインブルドンはローランギャロに比べると土産物売り場の数は多くて助かります。他方,コーヒーを売る場所が少なすぎて並ぶのはなんとかならないのでしょうか。
 で,買うものを買ったので,場内をうろつきます。買い物をするのは博物館を見た後にすればよかったと後悔するのはしばらくしてからのことであります。馬鹿すぎますね。
 どの時点から雨が降り出したのかは正直記憶にないのですが,とりあえず写真を見てると10時45分頃には傘をさしてる人がいますね。この時間にもうぱらついてたのか。まあ,この国ではこの程度の雨日常茶飯事。気にしない。

土産物屋への道。まだ時間が早いのですいていました センターコート! FJ Perry オフィシャルサプライヤー ちらっと覗いたコート
お金持ちはこちらからセンターコートに入ります UmpireとRefereeの控え室
このあとRefereeさんから重大発表が…
使ったボールはここで
売られることになります
この日はほとんど
ボールが使われなかった…
この時間でも
傘さしてる人がいますね
やや雨が降ってたのか

 で,博物館へ。博物館部分だけ別ページに飛ばしてみることにします(こちら)。博物館で撮った写真はこうしてネットに載せないと二度と見ないからな。

 さてさて。博物館から出たところで,まだNo.1コートの試合開始まで時間があります。というわけで,日本の日比野選手が出場する17番コートへ。グラウンドコートの観客席の大きさとしては,ローランギャロのグラウンドコートとほぼ同じ,コートとの距離感で言えば車椅子テニスよりも近く感じられました。やはり日本人が出場するとあって日本人(ぽい)観客の割合が高いです。到着時には,レインカバーを外すための下準備がおこなわれておりました。
 で,いざ外すとなると,みな一斉に青いロープを背にカバーを引っ張って走り,さらにオレンジのロープを引いてぐるぐるとカバーをまとめます。早い早い。終わると観客から拍手。ミスると目立つからやる側も大変ですね。

準備中。実際にくるくるやってるところは動画撮ってたので写真無し 終わったところ
溝?か何かにカバーを
しまっている場面
きれいな芝 椅子を運ぶ 審判台の
発車準備完了
ポールとシングルスポールの設置中
審判台とネットを出しています ネットの設置完了
タオルもセット 試合を待ちます 選手入場

 ……と,もはや試合開始を待つだけといったところで,友人からメッセージが届き,一緒に飯を食おうと誘われました。こちとらメシなんかよりも試合を見たいのだけれど,まあ彼らをウインブルドンに誘ったのは僕であり,この国で白馬みたいに「基本的に適宜自由行動」なんてことはできないからな……。というわけで,なぜか試合開始直前になって席を立つという,既に着席された皆様に大迷惑な作業(しかも荷物が多くて危なっかしい)。なにやってんだか……。そして,この試合こそ雨と無関係に見られた試合であって,これを見逃したのは結果的には大失敗。
 昼食は,なぜか列がすいていたパッタイ(のイギリスバージョン)。パッタイというと,カオサンで食べたのがやっぱり記憶に残っていて,あれを基準に考えてしまうと,これがパッタイでいいのだろうか,とちょっと思う部分もあり(おいしいまずいの問題というよりも,もっとジャンキーな方がパッタイなのではないか,という問題。あと,これってこんなにぐちょっとしてたっけ?),とはいえイギリスのわけ分からん食事よりも味がしっかりしているのでおいしい。値段を気にしなければ,だけれど。


パッタイ

 で。センターコートに向かう友人たちに別れを告げ,No.1コートに入ります。これがまさに運命の分かれ道。

 よく知られたことですが(当然僕は当日知った),ウインブルドンでは当日並んだ人達に,コート脇の一番いい席があてがわれます。並んで努力した人に報いる,という面もあるのでしょうが,おそらくは当日並んだからには当日観戦するわけで,見た目(&選手のやる気)的にもコート脇の席が埋まっているというのは非常によろしい,という現実的な面が大きいのだろうと思います。
 私の席はGなので前から7列目。近い近い。おそらく1階から入れるコート脇のスペースが,当日並んで買った人なんだろうな。

 さて。そんなわけで,着席して試合を待ちます。
 だけんどもしかし。
 雨です。この国の雨なんてしばらくすれば止むだろ,と舐めてかかってたんですが(まあここに座ってた客も同じでしょう),これが止まない。どうなっておるのだ。こんなのイギリスではない。梅雨時の日本ではないですか。
 印象的だったのは,係員もしっかり傘をさしてるところですね。日本だとレインコートでいることが多いのではなかろうか。そういえば,日本人がよくイギリスで「イギリス人は傘をささない」というコメントをしておりますが,NPは日本でほとんど傘をささないので(ずぼらなだけです),非常に居心地がよいです。日本から折りたたみ傘持ち込んだけれど,部屋の中に放置されています。なお,今朝インディペンデンスにもらった(買った)ポンチョを着るかどうか迷いましたが,そこまで強い雨というわけでもないので鞄の中に封印しました。
 で。Referee室から悲しいご連絡。しばらく試合は始まらない,とのこと(時間もアナウンスされたけど,忘れた)。

カバーはかかったまま 係員も傘をさしてます 上部の予約・企業席は空席が目立ちます

 一度外に出ます。時間ができたので,とりあえずストロベリークリームを食べに行きます。Wimbledonといったらこれですね(これは事前に知ってた)。どれだけぼったくられるのかと戦々恐々としていたところ,2.5ポンドと良心的な価格でした。逆にびっくり。
 なお,ここをふらふらしてたら,別の知人にも声をかけられました(来てるのはFacebookの投稿で知ってた。が,僕はFacebookでは基本的に競馬ネタしか投稿しないので向こうが僕がいることを知ってた可能性はかなり低い)。いやはや,よくぞ僕を見つけて声をかけたもんだ。

試合が止まったので人が多い ストロベリークリーム 空。大きな雨雲,という
わけではないのですが,
かえってそれがよくなさそう
朝の青空が懐かしい
センターコートと並んで動いているのは
この練習コートだけです
サインゲットできるという
噂のあるアオランギパビリオン

 ぐるっと回り終えて,やることがなくなったので,もう一回第一コートに戻ってきました。そして,センターコートの試合を見るためにThe Hillへ。なんのために並んでNo1コートのチケットとったんですかね。

テンション下がりまくりの
No.1コートコンコース
Suspended ビジョンの裏 裏からHillを見る センターコートを観戦

 センターコートの第1試合が終わったところで,The Hillをあとにして,第1コートに戻ります。雨はまだ降ってるけれど,ずいぶん弱まりました。これは期待できる。
 で,一応第1コートのテレビでもセンターコートのジョコビッチの試合を見られるので,今度はここから観戦します。はぁ。ほかの3人はこの試合を生観戦してるんだよな。もう完全に負け組,涙目です。

1997年6月23日オープン 自分が使った26番ゲート 1番コートから
センターコートの試合を観戦

 そして……カバーの撤収作業が始まります。場内の観客から歓声。
 いま改めて時計を見ると,午後5時に第1試合開始ですね……。午後1時予定だったのだから,4時間待ち続けた計算になります。
 というわけで,イギリスのコンタ選手vsプエルトリコのプイグ選手の試合からスタート。
 コンタ選手は練習からしてエンジンかかってなくて調子悪そうでしたが,地元の声援を受けて押し切りました。これが地元ウインブルドン初勝利。

ロープを外す しぼんでいく 持ち場へ
ロープを外す カバーを外す カバーを引っ張る
さらに畳む 着々と設営
棒が倒れる まずはこの試合 ぐるっと見回す。天気のせいか組み合わせのせいか,上部階はかなり空席が目立ちます
本日のオーダー 飲み物準備完了 ボールボーイ準備完了 審判団入場 選手入場 ここから昨日の続き
練習 試合再開 試合終了 プイグ選手が去る

 とまあ,ようやく一試合(といっても途中からなので10ゲームにも満たない)終わりました。とりあえず,ウインブルドン第1コートでテニスを観戦することができました。まあ,最低限のことはできた。
 で,ここでほかの試合,特に12番コートの様子をチェック。したところ……見事,錦織選手の試合はキャンセルになっておりました。ぐうぁぁぁぁ。もう何しに来たんだか状態です。人間,他人と比較しなければ幸せになれるとかなんとかいう話を聞いたような気がしますが,本当にまさにその通りで,自分がウインブルドンに誘った友人が3人もセンターコートで観戦しているという事態がなければここまで涙目にならなかったかもしれません。が,人間とは悲しく弱い生き物でして,どうしても境遇を比較してしまうのですよ……。

 んで。涙目を押さえつつ,第二試合。ディミトロフ選手vsシモン選手。シコラーは格上との試合を見ないと面白くないのではないかという疑念が払拭できないのではありますが,まあ気にしない。
 そして……試合が進むと,再度雨。

  
審判と何を話していたのか不明
撤収作業

 涙目に涙目を重ねながら,とりあえず外へ。センターコートは着々と試合を消化しております。フェデラーvsウィリスの世紀の一戦を終えて,予定になかった4試合目,ベンチッチvsピロンコバに突入。
 それをしばしThe Hillから眺めます。

 で,またしばらくすると雨がやんだので,第1コートへ。はぁやれやれ。
 ……で,カバーの除去作業中……またも雨。うぁぁぁぁん。

The Hillから見るセンターコート
友人たちは元気かなあ。元気だろうなあ
第1コート。試合再開か!? シモンが様子を見に来た
が,またも雨……

 ジョコビッチ&フェデラーという2大スターの試合が終わったので,The Hillからも人が減りました。ゆったり観戦できます。

 そして……19時35分頃,無情のアナウンス。本日の試合はセンターコート以外残り全てキャンセル。
 これにて,NPのWimbledon観戦は実質的に終了いたしました。

 そして,着々と試合がおこなわれるセンターコート。にわかすぎて知らなかったんですが,ベンチッチってヒンギスの弟子なんですね。20時過ぎ,この試合も終わりました。
 The Hillは閑散としております。そして……その様子を見れば分かるとおり,全試合キャンセルのアナウンス後,雨は見事にあがりました。

観戦 ちょくちょくヒンギスが映る 試合終了 The Hillの様子。人が減った

 そして,試合が進まないため,センターコートではまだまだ試合がおこなわれます。ブシャールvsリバリコバ。なんだと。まだ試合が始まるなら第1コートでもまだ試合できるではないか。もう,天気の馬鹿馬鹿馬鹿。
 この試合が始まる前に,友人3名のうちテニスにそこまで興味のない2名とは合流。だべって暇を潰してました。そして,もう1人は最後の第5試合もセンターコートで観戦。まあ,ここで友人からチケット貰えば僕もセンターコートに入れたんだけれどね。最後の試合になると人もかなり減ったため,観戦していた友人は前方座席で観戦できたようです。このへんはやっぱり緩いみたいですね。つまり彼はウインブルドンのセンターコートでジョコビッチやフェデラーらの試合を含む計5試合を観戦し,最後はかなり前方座席に入ることもできた,というわけです。いやあ,日頃の行いって大事ですな……。
 そういえば,雨に泣かされた事例として日本人の心に染みついているのが伊達vsグラフ戦ではないかと思うのですが(アラフォー以上だけの話だろうけど),Sportivaの記事魚拓)を見ていると,この試合は7時30分すぎに始まったんですね。当時はセンターコートに屋根がなかったはずなので(なお,私はにわかすぎてセンターコートに屋根があると知ったのは最近のことです),あったらまたいろいろな意味で歴史が変わっていたのかもしれません。というわけで,雨に泣かされた仲間として(格が100万倍違うけど)伊達さんに今更親近感を覚えたのでした。

さらばウインブルドン センターコート以外すっかすか

 最後は友人たちと合流して,Wimbledon駅まで歩き,駅近くのインディアンレストランへ(友人3名の内2名はインド人)。
 今回この国でインディアンレストランに行くのは初めて(正確には10年以上前に同好会メンバーと行って以来)でありまして(なんせレストランと名のつく場所は高いので原則として立ち入らない),メニューを見て驚かされます。日本ではインド料理屋というと,ネパールだかバングラデシュだかパキスタンだか(そういえば,インドとパキスタンの仲の悪さはインド人と話すとよく分かる)の人がやっていて,チキンカレー・バターカレー等の中から1つないし複数選ぶ方式です。が,ここではメニューは非常に複雑。おそらくリアルにインド人が経営していて,インドの各地方の料理(日本人的には全部カレー)が並べられております。いやあ,これはわけわからん。日本で言うと,うどん屋に讃岐うどんと稲庭うどんと伊勢うどんが並んでるイメージだな。インド料理は奥が深い。


 そんなわけで,ウインブルドン観戦は大惨敗に終わりました。チケットの返金の話は全く知らず,インフォメーションで聞いたら半額返してもらえるとのことでした。これはこれから作業しなければならない。最初にチケットブース撮ったリファンドの説明によると,半額返金されるのは試合時間が1〜2時間だった場合のようですね。まあ,時間的にそんなもんか(※追記参照)。
 でもまあ,この日ろくすっぽ試合が進まなかったために,第5シードの錦織選手が翌日センターコートでプレーすることになるという,日本人としては嬉しいニュースもありました(そのせいでヴィーナスが愚痴って物議をかもしたりも(これ))。
 日頃の行いが悪いのは自分のせいですし,センターコートに狙いを定めていい結果を生んだ友人と,並びたい錦織見たいいいコートにも入りたいとあっちこっちに兎を追って爆死した自分とではもうやってることも心構えも違いすぎる。まあ,またWimbledonに来たい,という人生の目標ができたことをよしとしておくとします。

 追記。Wimbledonによると,No.1コートはプレイ時間1時間未満だったようで,100%リファンドのようです(魚拓)。観戦時間1時間未満だったのか。まあ,時間的にそんなもんか(あえて上の1〜2時間部分を残す)。なお,同ページの最後に, "This is the first rain refund at The Championships since the middle Saturday of 2007. "(強調筆者)とありました。どれだけ日頃の行いが悪いのでしょうか僕は。

ウインブルドン敗北記その1その3(博物館)


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