ウメノパインテール
1 鳥米
梅宮大社をあとにして、次なる目的地は松尾大社です。ここは別にウメで有名というわけでもないのですが、南下するに当たって松尾大社駅に行くことになり、それだったら松尾大社に寄ってみよう、という流れであります。
てくてくと、桂川を渡って松尾大社へと接近します。このあたり、神社やお寺が多いだけあって町外れ的な空気感に満ちあふれておりまして、せめてドトールの1つでもあったら昼休憩をとりたいところですが、そういうサラリーマンのオアシスのようなお店はありません。もちろん、場の雰囲気を打ち砕くマクドナルドのようなお店もありません。てことで、目の前にあった鳥料理の鳥米さんに入りました。貧乏人なので、ここでは親子丼と鶏スープ。おそらく団体客対応もできるレベルの広いお店ですが、時間が遅かったこともあって私以外には2組くらいしか入っておりませんでした。
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松尾橋 |
橋から河川敷を見る |
松尾大社駅 |
正面には松尾大社の鳥居 |
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鳥米へ |
店内の様子 |
やってきました |
親子丼 |
鶏スープ |
案内 |
2 松尾大社へ
腹ごしらえを終えて、それでは松尾大社に入ります。
正直、ここに行くことは当日決めたので、どのような神社かは全く理解してませんでした。というか、電車に乗る前にサクッと参拝していこう、程度の頭しかありませんでした。そのため、時間が余ったら華厳寺なり地蔵院なりにも行ってみようかな、という甘い考えをも抱いていたのでした。
この考えがいかに甘いものであったかは、境内地図を見てすぐに理解しました。これは真面目に見て回ると1日かかるぞ。
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平成大鳥居 |
その横になにかあった |
鳥居
榊がぶら下がっているのは「脇勧請j」というらしい |
境内地図 |
パンフレット |
さてさて、この松尾大社、上に書いたとおり私は何も理解していなかったんですが、パンフレットによると、「当社は京都最古の神社」と宣言しています。自分の記憶が正しければ上賀茂神社も似たような宣言をしておりました。とりあえず京都の神社は「京都最古の神社である」と宣言するというルールがあるのかもしれません。
そして、この松尾大社も酒造の神を祀っているようです。ホームページの歴史・由緒によると、秦氏が調停に招かれて当地に来住した際、「首長は松尾山の神を一族の総氏神として仰ぎつつ、新しい文化をもってこの地方の開拓に従事した」ということのようであります。そして、この秦氏が得意としていたのが、酒造。その流れで、室町時代末期以降、当松尾大社が「日本第一酒造神」と仰がれているとのことです。自分の記憶では、先ほど参拝した梅宮大社も似たようなことを言っていたように思うんですが、まあ一番が何人いたっていいじゃない、の精神で参拝するのがいいのでしょうね。二番じゃダメなんですか?と問い詰められても、しらを切るしかありません。
そして、やはりありました「日本三大酒神神社」。なんでもかんでも「三大●●」をつくってしまうのであります。日本三大酒神神社は、梅宮大社、松尾大社、そして奈良の大神神社であります。さすがお酒は歴史が古いだけに、歴史のある神社が並びます。パッと検索した限りでは、誰がこの「日本三大酒神神社」を言い出したのかは分かりませんが、誰が言い出したのか分からないわりにはこの3つの神社の牙城を脅かす神社は出てきていないようでして、日本三大酒神神社はこの3つで決まり!という雰囲気が漂っております。
とはいえ。私は下戸ですから、日本三大酒神神社も日本三大毒飲料神社もたいした違いはありません。とりあえず、お参りをして、境内にある色々なものを眺めます。
たまたまなのかなにか理由があるのかは分かりませんが、神門があって独立した拝殿があって拝所〜本殿、という流れは梅宮大社と同じです。酔っ払った神様がきちんと家に帰れるようにとかそういう意図があるのでしょうか。
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川渡しの御船 |
楼門 |
ひな祭り中止!! |
入ります |
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拝殿 |
拝所 |
奉納された酒樽 |
樽うらない |
ちょっと遠目から拝所 |
古い神社だからか、様々な霊木などが祀られています。
そして、庭園コーナーへ。ニワカ庭園マニアとしては、こういう場所があったら行かざるを得ません。
なんと、かの有名な重森三玲氏が作庭した庭、しかも、彼の絶作だとのこと。たまたま立ち寄った庭園がこんな凄いものだとは。
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庭園の解説 |
有料ゾーン入口 |
↓の神使の庭を越えて曲水の庭へ |
その前に、亀と鯉コーナー。
3 曲水の庭
まずは曲水の庭です。
奈良・平安期の曲水式庭園を意識してつくられた庭園だとのこと。平安期というと、平泉や平等院の浄土式庭園を思い浮かべてしまいますが、曲水式庭園という名称は正直なところ初めて目にしました。
なんというか、石石しているのは(言われれば)重森氏の作庭だな、と思うのですが(←ニワカの必死の抵抗)、石だけで曲水をつくりあげるというのはかなり印象的。非常に面白い庭だと思った次第です。
4 即興の庭
上に上がると、即興の庭。その名の通り、当初は作庭予定でなかった空間に即興的に作り上げたとのこと。
作庭者が重森氏ということで、「さすが重森氏。即興でこのような石組みをつくってしまうとは素晴らしい」と言うのは簡単なんですが、それはまあ1番人気のパドックを見て「さすがこの馬はいい馬だ」と言うのと似たレベルのことであります。
何が言いたいかというと、「よく分からんけどいい庭だ」ということであります。
5 上古の庭
続いて、上古の庭。古代祭祀の場である磐座を模してつくられたとのこと。無知な私が適当に検索したところ、重森氏は貴船神社などでも磐座をイメージした作庭をしているようです。にわかすぎて、重森氏と磐座の関係についてはまったく知りませんが、とりあえず今の私に言えるのは、「よく分からんけどいい庭だ」ということであります。
いやまあ、こう、立派な石がどどどんと立ち並ぶ様はやはりインパクトがあり、なにか特別なものを感じさせられるような気がするんですが、芸能人格付けチェックの生け花のように、素人が適当に配置したものとでなにか区別をつけられるかというと、まったく自信がありゃしません。
磐座を模してつくられた庭の上には松尾山の登拝口がありました。神聖な山なので、許可なく登ることは許されておりません。
6 摂社・滝御前
山の麓には摂社がある、というのはここ京都でも変わりません。こちらには三宮社と四大神社。なんか色々詰め込みました、という名前でいいですね。
そして、されに滝御前。その名の通り、滝がご神体なのでしょうかね??ここの天狗岩、てっきり右上に天狗の鼻が伸びているのだと認識していたのですが、案内の丸の付け方を見るに、正面を向いている構図なのかな?……と思って不安になってネットを見てみたら、どうも左を向いている構図のようです。なるほど!自分が鼻だと思っていた岩の右上に確かに天狗のお顔がありますね。
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四大神社と三宮社 |
滝御前と天狗 |
鳥居 |
滝。確かに左を向いている天狗が見えます |
7 神泉
神泉と名のついた社へ。亀が口から水を出してました。なんかあまり美しい絵にはなりませんね。
8 蓬莱の庭
3つめの庭は蓬莱の庭です。鎌倉時代に広まった蓬莱思想と現代の作庭技術が合わさり、池は全体で羽を広げた鶴の形をしているお庭がつくられたようです。まあ、細かいことは私には分からないのですが、「唯一の親子合作の庭」と言われるとそれだけで凄く見えてくるから分かってない人間というのは扱いが楽でいいですね。
そして、もちろん観光地ではないので「池を上から見下ろせる場所」というのは存在しません。空間的な視野を自分で持たねばならないのであります。
ただ、ここまで豪勢に石を使った庭、しかも石以外はほとんど使っていない庭というのは自分的には初めてかもしれない。石しか使っていないのに池の曲線と石の組み方で様々な雰囲気を作り出すのだから、凄いですね。ここまで贅沢な庭を造れるだけの力があったってんだから、松尾大社は凄い。酒造会社が寄進しまくったのでしょうか。
というわけで、松尾大社の庭は素晴らしい。
9 お酒の資料館
既にみてきたとおり、松尾大社は日本三大酒神神社の1つです。そして、そのためか、ここには酒の資料館というものが併設されております。観光客はここでお酒の造り方を学びつつ、お酒を買うなり京漬物を買うなりする、というルートをたどるのではないでしょうか。
下戸な私からしたら、毒の作り方を詳細に説明されても困ってしまうのですが、まあ生暖かく写真だけ撮ってスルーしたいところであります。
そんなわけで、松尾大社駅から旅立ちます。
続いては城南宮です。
ウメノタイシャ/ウメノジョウナン
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