フランスのアメリカ~アメリカ賞当日記その3


 4レースはG2のPRIX HARLEY-DAVIDSON (PRIX CHARLES TIERCELIN)。 ハーレーダビッドソンはいいとして,Charles Tiercelinというのは,Societe d'encouragement a l'elevage du cheval francaisのSecretaryだった人とのことです。このレースは,G2戦ながら,フランス語に加えてスウェーデン語のWikipedia記事が設けられております。スウェーデン語の記事をみると,このレースの特徴として,Bold Eagle (2015), Ready Cash (2009), Ourasi (1984) そして Ideal du Gazeau (1978)が勝っていることが挙げられるとされています。Bold Eagleはこの日の勝ち馬,Ready Cashは昨日記念レースを見ましたし,Ourasiは馬像を見ました。新たに登場したIdeal du Gazeau ですが,ここでまさかの日本語Wikipedia記事登場です。例によって,日本人競馬好きすぎるだろ。この馬,フランスのWikipediaを見れば一目瞭然ですが,いったいいくつレースを勝てば気が済むのか,というレベルで世界各国のレースを勝ちまくった,まさにザ・名馬です。フランスにはファンサイトもあるようです。海外の競走馬のファンサイトはなかなか見ないので,この世代の馬のファンサイトがあるというのはなかなかに凄い。
 で,Ideal du Gazeauの評価を見ていると(Wikipediaベースですが),この馬はヴァンセンヌ競馬場のアメリカ賞,スウェーデンのElitloppet英語日本語もある!),そしてアメリカのInternational Trotの3つを制覇している点が高く評価されているようです。
 それにしても,トロットの世界は平地のサラブレッドよりも国際交流が盛んな空気感があります。これは非常に興味深い。だれかきちんとレース体系とか歴史とかまとめてくれないものでしょうか(他人任せ)。あと,エリトロップの各国語Wikipediaを見てると,スウェーデンは歴代勝ち馬それぞれにWikipediaの記事が設けられているようで,スウェーデンにおけるこのレースの格の高さがよく分かります。

15:07 C4 - PX.HARLEY-DAVIDSON(PX.CHARLES TIERCELIN) 120 000 Télécharger le PDF
Groupe II - Attelé - 2100m
Course Européenne
Départ à l'autostart
Pour 4 ans (C), hongres exclus, ayant gagné au moins 23.000.
Sont seules admises à driver les personnes ayant gagné au moins trente-cinq courses dont dix au trot attelé
(en étant titulaire d'une autorisation de monter à titre professionnel).
Rang Cheval S A Driver / Jockey Distance Temps Reduction km Allocation
1 7 TRADERS M 4 N. ROUSSEL 2,100 2'30"2 1'11"5 54 000
2 1 CAID GRIFF M 4 M. ABRIVARD 2,100 2'30"2 1'11"6 30 000
3 2 CHARLY DU NOYER M 4 Y. LEBOURGEOIS 2,100 2'30"3 1'11"6 16 800
4 8 CAHAL DES RIOULTS M 4 J.PH. MONCLIN 2,100 2'30"7 1'11"8 9 600
5 11 TALISKER HORSE F 4 A. GOCCIADORO 2,100 2'30"9 1'11"9 6 000
6 3 CALITA WOOD F 4 B. PITON 2,100 2'31"0 1'11"9 2 400
7 9 THEODOR GRIF M 4 M. SMORGON 2,100 2'31"3 1'12"1 1 200
DA 4 CAVALLERIA F 4 E. RAFFIN 2,100 0
DA 6 SUCRE M 4 B. GOOP 2,100 0
DA 12 TANTALIO M 4 G. GELORMINI 2,100 0
DA 5 TONY GIO M 4 M. BARONCINI 2,100 0
NP 10 FORTUNE BOKO M 4 O. KIHLSTROM 2,100 0


 そんなこんなのレースですが,勝ったTRADERSはこれが重賞3勝目。これを書いている2019年11月時点でなお現役バリバリ。2019年に入ってからは勝利はありませんが,元気に走っているようでなによりです。2019年11月時点で重賞14勝。うち,G1は2017年のPRIX EDMOND HENRY(2着は1レースを勝ったBilibili)と2018年のPRIX DE CORNULIER RMC(3着は1レースを勝ったBilibili)の2勝です。つまるところ,Bilibiliの上位互換な感じですね。
 2着のCAID GRIFFはザ・勝ちきれない馬という感じで,既に引退している(2019年は走っていない)ようですが,重賞では2~3着に10回も入っているのに,重賞勝ちは2014年のPRIX LOUIS CAUCHOISのみです。このレースも最後は写真判定まで行って負けたわけでして,なんというか,そういう馬ってのはトロットの世界にもいるんだな,という感じであります。
 3着のCHARLY DU NOYERはこのシーズン(2015年~2016年)に充実期歳を迎えたようで前年11月にイタリアミランでおこなわれた3歳G1のGran Premio Orsi Mangelli(Wikipedia記事はスウェーデン語しかない)を,さらにはヴァンセンヌのCRITERIUM DES 3 ANSを勝ってここに乗り込み,4月にG2のPRIX GASTON BRUNETを,5月にG1のCRITERIUM DES 4 ANSを勝っております。その後もG2を2勝しておりますが,2017年が最後の重賞勝利のようです。
 4着のCAHAL DES RIOULTSはG2のPRIX BEACHCOMBER HOTELS DINAROBIN(モーリシャスにあるホテルのようです)を勝っての参戦でしたが,このあと勝利なしで引退。
 6着のCALITA WOODは数え間違ってなければ2016年は17走するタフネスぶりで,G3のPRIX DU LOUVREを制しております。
 その他,失格になったCAVALLERIAはここまで重賞3勝してきたようで,このあと低迷期に入りますが2018年にG3のPRIX DU LANGUEDOCを制しています。また,これまた失格のTONY GIOは2019年11月現在現役のようで,本レースの後重賞を7勝する活躍を見せています。G1でも,今年(2019年)2月,トロット三冠の一角,GRAND PRIX DE PARIS(パリ大賞)で2着に入るという好走をみせております。まだまだ走るのかな?

 てな具合に,このレースは活躍馬が数多く出走していたようです。
 繰り返しますが,トロットのレース体系(特にG2以下)が分からないのでいまいちこのレースの位置づけも分からないんですが,とにもかくにもいいレースを見られたんではないでしょうか。

途中のオッズ
CHARLY DU NOYERが1番人気
TRADERSが2番人気
アメリカ賞のUp and Quickサポがゲーフラを掲げていると
ビジョンにゲーフラが写された,という図
スタート
最後の直線。3頭のデッドヒート ゴールを過ぎた 1と7が写真判定中 TALISKER HORSE 写真判定の結果が出ました
右に"provisoire"とあるので
未確定です
CHARLY DU NOYER
TRADERSの帰還 取り囲まれるTraders
インタビュー。ジョッキーの子かと思ったら,もしかしたら違うのかも知れない 表彰式の人だかり ワインは手渡されているが
特にハーレーをもらえる
訳ではなさそう
チアガールにも
インタビュー

 ところで。
 レースが終わって,各馬が戻ってくるときに後ろを走って行く馬がいます。
 これ,てっきり次のレースの出走馬かと思ってたんですが,よく見てみるとゼッケンの色が違います。別のレースの出走馬ですね。紛らわしいな……。

4レース終了後に後ろを走ってた馬たち 弾幕でアピール

 5レースはG3のPRIX RMC (PRIX JEAN RENE GOUGEON) 。Jean Rene Gougeonさんは,Wikipedia記事ができるようなレベルの著名な騎手です。もちろん,アメリカ賞,エリトロップ,インターナショナルトロットは複数回勝利。フランス三冠レースは計26勝という大盤振る舞い。とにかくすげー奴のようです。せめてG2にしなくて大丈夫なのか不安になりますが,もしかしたらもっと凄い奴がいるのかもしれません。
 勝ったAUBRION DU GERSはこの日が1月7日のPRIX HERSILIEに続く重賞2勝目。この馬は,2019年7月までは走っており,どうも2019年7月16日,ソムノのトレーニングセンターで調教中の事故により死亡したようです(ニュース記事)。残念無念としかいいようがない。同馬はこれまでに通算して重賞を32勝。意味が分かりません。G1は、フィンランドのKYMI GRAND PRIXとベルギーのWalloniaでおこなわれるGRAND PRIX DE WALLONIEの2勝。GRAND PRIX DE WALLONIEは2017年と2019年はかの有名なBold Eagleさんが勝っているのですが,どうも2018年は出走しなかったようです。なかなかにレース選択がうまいですな(フランスではG1に出ていないようなのだけれど,なにか理由があるのだろうか)。しっかり調べてないのだけれど,Bold Eagleとほとんど対戦してないっぽい。とはいえ,G2での対決では先着していたり(2017年のTrotting Mastersでの勝利が特筆されている。パッとみたところ,2019年7月のG2戦Prize of the Community of communes of Thiérache of the Centerでも先着),今年(2019年)のエリトロップには挑戦して決勝で2着になったようで,別に逃げ回っているわけではないのです。この馬のすごさは,2016年7月のPrix des Sables-D'Olonneで惨敗した後は2019年11月時点で3着を外していないところ。なんぼG2G3ばかりとはいえ,前が詰まったら一巻の終わりとしか思えないトロット戦でこれは凄い。
 それにしても,さっきからこれを書いていて,人生で一度はエリトロップを見に行きたくなってきたぞ。この行きたい気持ちを忘れないようにしなければならない。

15:35 C5 - PRICE RMC (PRICE JEAN RENE GOUGEON) 105 000
Group III - Hitch - 2100m European Race Start at the autostart
For whole horses and geldings of 6, 7 and 8 years old (A, V and U), having won at least 80,000, but not 360,000.
Rank No. Horse S AT Driver / Jockey Distance Time Km reduction Allocation
1 11 AUBRION DU GERS H 6 JM BAZIRE 2,100 2'29 "4 1'11 "2 47,250
2 9 VIKING VA BENE M 6 O. KIHLSTROM 2,100 2'29 "5 1'11 "2 26,250
3 6 DANTE BOKO H 6 L. KOLGJINI 2,100 2'29 "7 1'11 "3 14,700
4 7 ALPHA SALTOR M 6 Mr ABRIVARD 2,100 2'29 "8 1'11 "4 8,400
5 3 QUITE AN AVENGER H 7 Mr FORSS 2,100 2'30 "1 1'11 "5 5,250
6 16 INCREASED WORKLOAD M 7 B. GOOP 2,100 2'30 "5 1'11 "7 2,100
7 10 DREAM MAGIC BE M 7 P. VERCRUYSSE 2,100 2'30 "5 1'11 "7 1,050
8 5 VAISMAN M 7 F. ANNE 2,100 2'30 "6 1'11 "7 0
9 2 URGOS M 8 G. GELORMINI 2,100 2'30 "7 1'11 "8 0
0 4 UMBERTO OF NACRE H 8 F. NIVARD 2,100 0
0 8 PERKINS GRIF M 7 R. ANDREGHETTI 2,100 0
0 12 APPRENTICE SORCIER M 6 P. LEVESQUE 2,100 0
0 13 RUE DU BAC (ITY) M 6 P. GUBELLINI 2,100 0
0 14 VESSEL H 7 V. VIEL 2,100 0
DA 1 QUICK FIX H 7 A. KOLGJINI 2,100 0
NP 15 UDO'S OILER H 8 D. LOCQUENEUX 2,100 0

 第5レースの本馬場入場がおこなわれている最中も,アメリカ賞に向けて場内は盛り上がります。
 この”KALIMUCHO”とついたバンド,こんな馬いたっけな,とおもっていたら,KALIMUCHOというのはバンドの名前のようです。

アメリカ賞まで1時間を切りました バンドがやってきた
賑やかですね
Timokoおじさんと合流 正式な?楽団もいます

 で,5レースがおこなわれます。
 ふと見ると,勝って帰ってきたAUBRION OF THE GERSのチップ確認してますね。このタイミングで馬が違ってることが判明したら一体どうなるんだろうか。というか,普通馬装のタイミングとかでチェックするんじゃないんですかね?

スタート 1コーナー 最後の直線
AUBRION DU GERSが勝利 着順表示(未確定) 2着のVIKING VA BENE 3着DANTE BOKO 5着のQUITE AN AVENGER
4着DREAM MAGIC BE 勝馬凱旋 よく見たら,ここで
チップの確認してるな
記念撮影
真ん中の子はアメリカ賞に出る
Up And Quickのタオマフ
してますね
このBazire騎手は
Up and Quickで
アメリカ賞に挑みます
Aubrion du Gers 騎手凱旋 記念撮影

 さて。いよいよ本日のメインレース,アメリカ賞です!!

1~3レースアメリカ賞!


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