東北馬力七戸大会

 てことで,夜が明けて,いよいよ馬力大会当日であります。
 地方のイベントにありがちな,当日の進行がホームページを見てもさっぱり分からない困った状態ではありますが(終了予定時間の明示って旅行者には大事よね),とにかく8時開始ってことなので,8時ちょっと過ぎに乗り込みました。
 途中,GoogleMapでは普通の道なのに,舗装のない裏道を歩かされてちょっと困りました。私道に勝手に立ち入ったのではないかと不安になります。

 会場は,青森県家畜市場であります。牛の看板がお出迎え。入口には,おそらく疫病防止のための薬剤が設置されておりまして,車であればここを通ればいいのでしょうが,歩行者はどうしたらよいのでしょうか……。普段家畜市場に縁がないもので,「正しい家畜市場への入り方」が分からなくて困ります。まあ,車に乗ってる人はここに触れないだろうから歩行者も同じなんだろうけれど,申し訳程度にちょっとだけ靴底を濡らしておきました。このあと特に「七戸の家畜が全滅」みたいなニュースをみてないので問題なかったと信じます。

家畜市場 原発関係のお金が
出てるようです
消毒槽 市場案内 中はこんな感じ

 七戸では,年2回馬力大会が開かれます。東北の馬力大会情報はまとまったきちんとしたサイトがないので,例によってこちらの情報に頼りっきりです。というかですね,ほんとこの情報くらい誰かしっかり音頭取って流してもらえないもんですかね。たいして費用のかかる話でもなかろうに。

 会場は,畜産市場の奥にあります。8時過ぎに到達すると,すでに奥の方からアナウンスが聞こえてきていました。
 駐車場の奥の物販コーナーを抜けると,輓馬コースがありました。場所的にばんば以外に使い道のなさそうなスペースですが(さらにいえば障害は脇に草生えてるから固定だろうな),普段はここに牛とかをつないで競りでもしてるのかしらん。畜産市場知識がなさ過ぎて分からなすぎる。

 観客の皆様は手慣れたもので,それぞれ椅子を持ってきて自前の観戦席を作っておられました。
 これまで行ったことのある草輓馬は涌谷の馬力大会だけなのでどうしても涌谷との比較になりますが(あとは記憶に新しい帯広か),涌谷よりも地元色が強い印象。カメラ持ってふらふらしてる人は少ない(というか見かけなかった)。観戦席は基本的に入って左手(馬の進行方向右手)の土手上。ここにみなさん椅子を設置するので,混み合います。地元の皆様は慣れているので,基本的に椅子持参がデフォです。いい感じに観戦席が形成され,熱気を生んでおりました。

 そして,なにが驚きってですね。NPの横に座っておられた老齢のご夫婦が,まあ東京の田舎者には分からない,ザ・青森というような地元の言葉で会話されていたのですね。まあそれは当然青森なんだからいいんです。そこから突然出てくる「オルフェーヴル」という横文字ですよ。びっくり。いやもちろん馬の大会見に来てるんだからオルフェーヴルの名前が出ることはいいんですが,東北弁を話しておられたご夫婦から突然そんな言葉が出てきて衝撃を受けたのでした。

 さて,コースは,涌谷や帯広同様,大きなものと小さなものの2つの障害がある直線セパレートコース。横幅は広くなく,3コースです。障害は,2つめの障害は非常に大きいものですが,1つめの小さなものは低いです。
 この日の砂は乾いており,見た感じ重そうでした。

 レース開始前にルールの読み上げがあり,とりあえずメモした範囲では,騎手1名・助手1名。競技時間は5分とのことです。
 基本的に馬の顔の横でハミを持ってる人と,馬の後ろで鞭を振るう人の2人で構成されておりまして,素人にはどっちが騎手でどっちが助手か分かりません。とりあえず,1頭に対して2人体制でレースが繰り広げられるのでした。
 なお,当然各馬には名前がついているかとは思いますが,基本的に馬名ではなくオーナー名で呼ばれておりました。

 レース開始は8時25分頃。三流組7頭が,2コース×3レース+単独走というかたちで走ります。単独走は隣の馬の動きに左右されない反面,ソラを使ったり勝負根性が発揮できなかったりしそうで,有利なのか不利なのかよく分かりません。

毎回使っている案内板 出番を待つ馬 コース 外ヶ浜の大会案内が
配布されました
三流組のレース
負担重量が軽いのでそこまで時間はかかりません

 とりあえず,そりの軽い三流は特段アクシデントもなく終わりました。
 で,三流が終わったところで,「開会の挨拶しますか?」とアナウンスが流れました。いいですね,このてきとーな感じ。

 そして,このあたりで横のオルフェーヴルおばあさんに話しかけられました。
 どうも,昔はもっと馬も客も多かったらしく(これ以上客がいたら土手からあふれそうな気がするのだけれど,どうしてたのだろうか),3コースフルに使っていたとのことです。
 この日はトラクターも2台しかいなかったし,基本的に3コース使うことは想定してないっぽいですが。

挨拶
スタート方向を向いてますが,そんなところに来賓席あったっけか

 さて,つつがなく挨拶も終わって,続いて2歳戦。2歳はいっそう負担重量が軽く,スピードが速いです。のですが,馬が疲れてくると(人間もかもしれない),走る足並みが崩れてきて,美しさが欠けてきます。まあ,美しさを競う競技ではないのですが。
 そして,10時20分ころから3歳戦。当たり前ですが,2歳馬より馬ががっちりしております。
 そして,3歳戦には,前日帯広で1着をとってから参戦した馬がいる模様……。本州人の感覚だと,帯広→七戸ってかなり遠いんですが,なんかびっくりするような交通手段があるのでしょうか。苫小牧八戸間にフェリーがあるっぽいけど,これだろうか。フェリーに馬が乗ってたらかなりびっくりだな。それとも,「昨日」ってのは自分の聞き間違いかな?


 5歳戦は2頭。聞き間違いでなければ,重量200貫とのこと。現代に直すと750キロであるとGoogleさんが教えてくれました。750キロってことはもう帯広ばんえいの5歳以上のオープンクラスの基礎重量を超えておりまして,かなりハイレベルの争いになっているわけであります。
 なお,勝ちを確信した?1コースの馬は,最後の平地で騎手(なのか助手なのかは不明)がそりの上に乗って滑ってました。こういう自由さがよいですね。


 続いては,うってかわってポニー戦。涌谷もそうでしたが,ポニーは負担重量が軽いので,スピード戦になります。
 そして,やはりばんばであってもポニーはポニーであり,小さい姿で必死に頑張ってる感があるためか,戻る際の声援が大きい。


 そんなこんなで時刻は11時15分。オルフェーヴルおばあさんから,昼休みであると教えられたので,持ち場を離れて買い出しに出かけます。正確には,すでに一度持ち場を離れて朝食代わりの焼きそばを買ってたんですが。まあ基本的に取ってる行動は涌谷のときと同じってことです。

 お店はそこそこの数が出ており,しかも食べ物だけでなく馬具屋さんもいたりして,お祭り+市場といった雰囲気ですね。
 また,青森の6月といってもきれいに晴れた夏ですので,アイスクリーム屋さんがおります。そして,観客席まで売りに来てくれます。観客席で売ってるのは白いやつで,店にあったのはカラフルなやつでした。なお,アイスクリームというよりはシャーベットに近く,つまるところ,高知のアイスクリンを思い出す商品でした。

焼きそば350円 串もち100円 とんたん焼き500円 アイスクリーム。値段忘れた

スポンサーの広報コーナー

馬具屋さん

アイス売り

 ところで,パッと見たところトイレが見当たりませんでした。まあ市場に行けばいくらでもあるんでしょうけれど。てことで,立ちションしてる男性が散見されました。

 そんなわけで,元いた場所に戻ると,レースがおこなわれておりました。あれれ。昼休みじゃなかったのか。どおりでレースやってるようなアナウンスが聞こえてたわけだ。
 まあ,最後までいられるわけでもないし,馬名が分からないから何かに思い入れがあるわけでもないので,見落としたとしても大きな痛手ではない。
 でも,なんか騎手一人でそりの上に乗って走ってたりして,ある意味ハーネスレースみたいでした。もし解説があったとしたならば聞き逃したのはちょっと痛いな。
 なお,真の昼休みは12時15分頃からスタートでした。

よく分からないのですが,単独走がおこなわれておりました

 とまあ,そんなわけでして,このあとの時間(東北牧場で約束した見学時間)が迫っているので,これにて退散であります。
 おそらく1トンクラスを引くであろう決勝戦を見られなかったのは残念ではありますが,七戸の馬力大会を見られたのは非常にいい経験でした。

 最後にコースまわりの写真をば。

観戦席の様子
早めに着いた人はほぼ全員椅子持参
馬運車の中から観戦 ゴールの奥にも観戦席 そりはトラクターで運びます スターター兼カンパイ係
スタート地点 おもりをセットしております コース

 というわけで,七戸十和田駅(の先にあるレンタカー屋)へと向かうのでした。
 続く。

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