Clear Ascot!!〜その2〜


 そんなわけで,レースです。
 この日のメインレースは,Clarence House Chase。G1です。そして,その前にWarfield Mares' Hurdle(G2)とHolloway's Hurdle(G3)が設定されております。1日3重賞やるという贅沢な日であります。
 どれも歴史は浅いので,アスコットが金に目がくらんで障害戦のグレードレースに手を出して,アスコットのネームバリューでレートがついた,というあたりなんじゃないかと邪推したくなりますが,このあたりの説明を探すだけの探索力がないので状況不明です。
 と思ってたら,まさかの日本語ページにヒントがあった。JAIRSの競馬場紹介によると,そもそもアスコットで障害戦をやるようになったのは1965年からなんですな。というか,そもそも論としてアスコット競馬場のことをまったく分かってなかった。もともとはロイヤルアスコット開催しかやっておらず,第二次大戦後に,それ以外のレースをおこなうようになったようです。そうか,キングジョージって歴史が浅かったんだな。こいつのせいでボクシングデーのキングジョージ6世チェイスとややこしくなったんだけど,新参者のくせになんとかならんのか。
 Ascotの英語版Wikipediaを読んでいると,アスコットの障害戦用の芝は1962年に閉鎖されたHurst Park Racecourseの芝を使った,との説明がありました。へぇ〜へぇ〜へぇ〜。このHurst Park Racecourse,まだ門の跡が残ってるようですし,数年前の猛暑でプレパレードリング跡が浮き上がってきた,という楽しいニュースもあったようなので,1回跡地を訪問してみたいな。

 アスコットの歴史はまたいずれ勉強するとして,とりあえず今日の1レースから。

 なお,たびたび参照させていただいているにげうまさんのブログに,この日のレース回顧が極めて簡潔かつわかりやすく書かれておりますので,はっきり言って基本的にはそちらをご覧いただければ十分でございます。以下は単なる旅行記の一部でございます。

 1レースは,3000mのハードル戦です。4歳限定ですね。
 勝ったGibralfaroはフランスでの3連勝からの転厩後,前走Kemptonからの連勝で,単勝1番人気に応えて5連勝。ですが,じつはこのあとは勝ち星に恵まれず。

12:40pm/THE ASCOT SUPPORTING OUR LOCAL COMMUNITY JUVENILE HURDLE RACE (CLASS 3)
Prize Money:10,000.00 Race Distance:1m 7f 152y Horse Age:4YO
1st2 Gibralfaro (IRE) Wayne Hutchinson McNeill Family 4m 1.5s 4/5   
2nd1 Connetable (FR) Nick Scholfield Paul Nicholls Chris Giles 1 3/4 Length 4m 1.87s (+0.37s) 9/4  
3rd5 Swincombe Toby (GB) Will Kennedy Nick Williams Yeo Racing Partnership 25 Lengths 4m 8.11s (+6.24s) 5/1   
4th4 Sea Serpent (FR) Joshua Moore Gary Moore Mr J. Hinds 42 Lengths 4m 18.66s (+10.55s) 33/1   
5th3 Jinsha Lake (IRE) Adam Wedge Evan Williams Losing Control Partnership 1 1/4 Length 4m 18.97s (+0.31s) 25/1  


 続いて2レース。
 レース名にもあるとおり,アマチュア騎手のレースです。
 とはいえ,イマイチこの「アマチュア騎手」ってのがよく分からないままでして,騎手免許的なものを持ってない騎手,ってことなのでしょうか?
 このレースは約3600mのチェイスです。成績表をみると,アマチュア戦は騎手名にMr/Missがつくんですね。

1:15pm/THE THAMES MATERIALS AMATEUR RIDERS' HANDICAP STEEPLE CHASE (CLASS 3)
Prize Money:£15,000.00 Race Distance:2m 2f 175y Horse Age:5YO+ Min Weight:10st 0lbs Rider Type:AMATEUR
1st5 Johnny Og (GB) Mr H. Hunt Martin Keighley T.Hanlon M.Boothright S.Hanlon N.Martin 4m 53.3s 14/1
2nd6 Cloudy Bob (IRE) Mr T. Greatrex Pat Murphy Men Of Stone 6 Lengths 4m 54.86s (+1.56s) 5/1
3rd8 Kings Cross (FR) Mr Tommie M. O'Brien Tony Carroll Mr A. W. Carroll 3/4 Length 4m 55.05s (+0.19s) 16/1
4th4 Elenika (FR) Miss L. M. Turner Venetia Williams Janet Bromet & Andrew Brooks 12 Lengths 4m 58.15s (+3.1s) 9/1
5th3 Fairy Rath (IRE) Mr Joshua Newman Nick Gifford Mrs C. L. Kyle 1 3/4 Length 4m 58.56s (+0.41s) 8/1
6th1 Mountain King (GB) Mr Sean Houlihan Philip Hobbs Mrs Diana L. Whateley 8 Lengths 5m 0.55s (+1.99s) 7/2
7th7 Capilla (IRE) Mr Conor Orr Evan Williams Mrs Janet Davies Nose 5m 0.55s 10/1
DNF9 Bold Bachelor (IRE) Miss G. Andrews Dr Richard Newland The Berrow Hill Partnership 5/2
DNF2 Brody Bleu (FR) Mr M. Legg Robert Walford Mr R. J. Brown 28/1

 このレースは早々に落馬した2番Brondy Bleuが1頭単走していたのがなんともかわいらしかった,という印象しか残っておりません。まあ,正確には,そんな印象も薄れてたわけだけど……。

パドック 1周目 Brody Bleu
Johnny Ogの独走態勢 Fairy Rath Johnny Og優勝 6着7着はハナ差
Brody Bleu Bold Bachelorは競走中止。足元を気にしている??
各馬帰ってきました Johnny Ogが優勝! 帰っていきます

 そして,ここからが重賞戦。このアスコット開催は,チェルトナムフェスティバルの1ヶ月半前という絶好の日程であるため,チェルトナムに向けたトライアル的側面が強くなります。メインのG1も扱いとしてはそんな感じですね。

 で,まずは牝馬の長距離ハードルG2戦です。圧倒的な人気に支持されたのは,Vroum Vroum Mag。もう馬名の響きが良すぎて一発で覚える名前です。10頭立てで1.6倍の人気。2番人気が8倍ですから,もう図抜けてます。馬券的には,この馬に大金を突っ込むか,穴を狙ってほかの馬を買うか,の2択です。そして,愚かな私は後者を選びました。はぁぁ。

1:50pm /THE OLBG.com MARES' HURDLE RACE (CLASS 1) (Registered as The Warfield Mares' Hurdle Race) (Grade 2)
Prize Money::£50,000.00 Race Distance: 2m 7f 118y Horse Age:4YO+ Horse Sex:FILLIES & MARES
1st4 Vroum Vroum Mag (FR) R. Walsh W. P. Mullins Mrs S. Ricci 6m 2.2s 4/6
2nd9 Jennies Jewel (IRE) I. J. McCarthy Jarlath Fahey Mr A.N.McIntyre 3 1/2 Lengths 6m 3.09s (+0.89s) 33/1
3rd5 Cannon Fodder (GB) Marc Goldstein Sheena West The Cheapskates 6 Lengths 6m 4.52s (+1.43s) 40/1
4th6 Dark Spirit (IRE) Adam Wedge Evan Williams Richard Abbott & Mario Stavrou 1 3/4 Length 6m 4.92s (+0.4s) 25/1
5th3 The Govaness (GB) Will Kennedy Dr Richard Newland Mr C. B. Brookes 2 Lengths 6m 5.43s (+0.51s) 7/1
6th2 Rons Dream (GB) Sean Bowen Peter Bowen Mrs Tania Stepney 6 Lengths 6m 7.04s (+1.61s) 16/1
7th7 Desert Queen (GB) Noel Fehily Harry Fry The Jago Family Partnership 1/2 Length 6m 7.14s (+0.1s) 13/2
8th8 Fairytale Theatre (IRE) Ryan Mahon Dan Skelton Mr Michael Fennessy 8 Lengths 6m 9.22s (+2.08s) 33/1
9th1 Aurore d'Estruval (FR) Barry Geraghty Rebecca Curtis Mr Carl Hinchy 15 Lengths 6m 13.01s (+3.79s) 15/2
DNF10 Molly's A Diva (GB) David Bass Kim Bailey Mr J. Perriss 40/1

 そんなわけで,結果は皆さんご承知のとおり。Vroum Vroum Magが人気に応えて圧勝であります。
 Vroum Vroum Magの活躍は皆さんご存じのとおりで,続くチェルトナムフェスティバルでメアーズハードル(G1)を制覇。さらに,サンダウンスクラッチ後のPunchestownのG1,Champion Hurdleも制覇。その後,FairyhouseでのHatton's Grace Hurdleで2着に敗れ連勝が止まるも,続くレパーズタウンのChristmasHurdle(G1)を制覇してG1を3勝する活躍を見せました。

1周目 おむすびのてっぺんへ てっぺんから 最終障害
最後は一人旅 各馬の帰還
各馬の帰還その2 王者の帰還 頑張って追いかけます
追いついた パドックに戻る Vroum Vroum Mag!!

 第4レースはハードルのハンデG3戦。2マイルと3ハロン。17頭立てで,人気は思いっきり割れております。
 レースはRock The Kasbahが早めに抜け出し,最後は半馬身差まで詰められつつも振り切って勝利。初重賞制覇となりました。同馬はこのあとチェイスに行き,2年半後の2018年11月,チェルトナムのG3,BetVictor.com Handicap Chaseに勝利しております。そして,2019年にはグランドナショナルにも出走!若い頃にハードル戦を勝ったのを見た馬が,9歳になってグランドナショナルに出る,というのはなんとも感慨深いものであります。
 ちなみに,2着のBaron Alcoもこのあと長期間勝てずにおりましたが,2018年11月17日,チェルトナムにて,Rock The Kasbahが重賞を勝ったその次のレースBetVictor Gold Cup Handicap Chase(G3)を制して,初重賞制覇を成し遂げております。重賞でワンツーフィニッシュを決めた2頭が,2年半もたってから同じ日・同じ場所でそれぞれ重賞を勝つ,というなんとも縁深い2頭であります。日本だと,そもそも1日2重賞がほとんどないのでなかなか実現できない事象ですが,トウカイテイオーの引退式の日にシャコーグレイドが勝った,というストーリーが思い出されますね。

2:25pm /THE '40 YEARS OF KELTBRAY' HOLLOWAY'S HANDICAP HURDLE RACE (CLASS 1) (Grade 3)
Prize Money: £50,000.00 Race Distance:2m 3f 58y Horse Age:4YO+ Min Weight:10st 0lbs
1st4 Rock The Kasbah (IRE) Richard Johnson Philip Hobbs Mrs Diana L. Whateley 4m 53.9s 7/1
2nd11 Baron Alco (FR) Jamie Moore Gary Moore Mr John Stone 1/2 Length 4m 54.04s (+0.14s) 10/1
3rd2 Lil Rockerfeller (USA) Trevor Whelan Neil King Davies Smith Govier & Brown 3 Lengths 4m 54.81s (+0.77s) 10/1
4th10 Simply A Legend (GB) Tom Bellamy Alan King Mrs Peter Prowting 9 Lengths 4m 57.11s (+2.3s) 14/1
5th14 Theo's Charm (IRE) Tom Cannon Nick Gifford Mr Michael O'Shea 3/4 Length 4m 57.3s (+0.19s) 7/1
6th3 Kilcrea Vale (IRE) Jeremiah McGrath Nicky Henderson Mr A. D. Spence Short Head 4m 57.31s (+0.01s) 10/1
7th6 Zulu Oscar (GB) Noel Fehily Harry Fry Caroline Fry & Susie Dilhorne Head 4m 57.34s (+0.03s) 12/1
8th7 Unanimite (FR) David Noonan David Pipe Mr Simon Munir & Mr Isaac Souede 9 Lengths 4m 59.58s (+2.24s) 16/1
9th5 Value At Risk (GB) Ian Popham Dan Skelton Mr D. M. Huglin 1 1/4 Length 4m 59.88s (+0.3s) 8/1
10th8 Dubawi Island (FR) Liam Treadwell Venetia Williams Andrew Brooks & Julian Taylor 1 1/2 Length 5m 0.27s (+0.39s) 33/1
11th15 Sugar Baron (IRE) Nico de Boinville Nicky Henderson Mr Anthony Speelman 8 Lengths 5m 2.24s (+1.97s) 7/1
12th17 Minstrels Gallery (IRE) Leighton Aspell Lucy Wadham G. Pascoe & S. Brewer 1 1/2 Length 5m 2.6s (+0.36s) 33/1
13th12 Ebony Express (GB) Charlie Hammond Dr Richard Newland ValueRacingClub.co.uk 1 1/4 Length 5m 2.92s (+0.32s) 20/1
14th18 Mr Fitzroy (IRE) James Banks Jo Davis Mrs Patricia Brown 17 Lengths 5m 7.08s (+4.16s) 25/1
DNF9 Monsieur Gibraltar (FR) Nick Scholfield Paul Nicholls Mrs D. Thompson 16/1
DNF1 Theinval (FR) Freddie Mitchell Nicky Henderson Mr & Mrs Sandy Orr 25/1
DNF13 Royal Guardsman (IRE) Barry Geraghty Ali Stronge Camilla & Rosie Nock 25/1
NR16 Lightentertainment (IRE) Non Runner Chris Gordon The Not Over Big Partnership --

 で,いよいよメインレース。Clarence House Steeplechaseであります。5頭立てのG1。頭数を見るだけで嫌な予感がしますが,オッズを見るとその嫌な予感が倍増します。圧倒的な1番人気は,Un de Sceaux。昨シーズンのNovice戦線を勝ちまくり,満を持して迎えた今季初戦,レパーズタウンのPaddy Power "So Quick, So Easy iPhone App" Chase (G 1)(←日本じゃ考えられない名前のレースだ)で1/4の圧倒的人気からまさかの落馬,という参戦過程です。
 2番人気はSire de Grugy。こちらは過去にG1を5勝,前々走はSandownのTingle Creek Chase2勝目を挙げております。
 日の出の勢いのUn de Sceauxか,古豪Sire de Grugyか,というレースでありますね。



3:00pm /THE SODEXO CLARENCE HOUSE STEEPLE CHASE (CLASS 1) (Grade 1)
Prize Money:£125,000.00 Race Distance:2m 192y Horse Age:5YO+
1st4 Un de Sceaux (FR) R. Walsh W. P. Mullins E. O'Connell 4m 14.7s 1/2
2nd2 Sire de Grugy (FR) Jamie Moore Gary Moore The Preston Family & Friends Ltd 5 Lengths 4m 16.05s (+1.35s) 11/4
3rd3 Traffic Fluide (FR) Joshua Moore Gary Moore Galloping On The South Downs Partnership Short Head 4m 16.06s (+0.01s) 33/1
4th5 Vibrato Valtat (FR) Noel Fehily Paul Nicholls Axom XLIII 5 Lengths 4m 17.35s (+1.29s) 12/1
5th1 Simply Ned (IRE) Brian Harding Nicky Richards David & Nicky Robinson 1 3/4 Length 4m 17.79s (+0.44s) 20/1

 そして,結果はUn de Sceauxが完勝で,G1を4勝目。チェルトナムに弾みをつけました。
 もっとも,Un de Sceauxは,CheltenhamのQMCCそして,その次のSandownとも,Sprinter Sacreに敗れて2着。SprinterSacreの復活に花を添えるかたちとなっておりました。このシーズンはその後フランスオートゥイユのGrande Course de Haiesd'Auteuil(オートゥイユ大ハードル,と訳すらしい)でも敗北し(凱旋門賞への道ブログ様参照),不本意なシーズンとなりました。とはいえ,同年のTingle Creek Chaseを制して復活し,翌年はチェルトナムのRyanair Chaseを制覇。2018年にはこのClarenceHouse Steeplechaseを勝利し,このレースの後,これを書いている2019年春シーズンまでにG1を6勝。今のところG1を10勝するという活躍であります。
 Sire de Grugyはこののち復活ならず,Class2を1勝したのみで引退。
 3着Traffic FluideはこののちAintreeのG1で3着に入ったほかは大きな活躍は見せられず,4着Vibrato ValtatもClass1での勝ち星なし。
 5着Simply Nedはこの時点で9歳でしたが,こののち2018年まで走り続け,レパーズタウンの年末のPaddy's Rewards Club"Sugar Paddy" Chaseを2017年・18年に連覇するという活躍を見せました。10歳〜11歳にかけての連覇だからたいしたもんです。こんな馬をここで見ていたことにびっくりであります。

本馬場入場
1周目 2周目 最終障害へ 独走です
ゴール 帰ってきたUn de Sceaux 馬装を解きます 関係者と話すRuby 記念撮影 着順表示板が邪魔ですな
祝福を受けるUn de Sceaux
関係者のおそろいのマフラーがいいですね
こちらは2着のSire de Grugy Horses Away。帰って行くUn de Sceaux
パドックの様子 表彰式
おそろいのマフラーが印象的です
一仕事(G1を含む重賞2勝)を終えて帰って行くRuby

 ちなみに,個人的に印象的だったのは,こうしてG1を勝ったRuby Walshが荷物をひきずって帰って行ったところ(もっと正確に言うと,その姿を見ることができたこと)です。JRAだと調整ルームがあるからこんな姿見られないものな(出待ちとか考えたこともないけど)。Ascotなのでヘリではなく車で帰ったんでしょうかね?

 このあとはClass2のChase戦とClass3のNoviceのハードル戦。イギリスの冬なので暗くなるのが早いし,なによりAscotの障害は内回りを使うから貧乏人のいる場所からだと高低差がなくてレースが見づらくて仕方がない。まったく,本当に庶民には厳しい国です。


 そんなわけで,10年以上ぶりのAscot観戦終了。繰り返しますが,ここは貧乏人が障害戦を見る場所ではありません。これだからイギリスは困ります。
 とはいえ,障害のまったりとした雰囲気でAscotを堪能できたのはよかった。
 ちなみに,この時点ではRoyal Ascotにいくつもりも,Cheltenhamにいくつもりも全くなかったのでしたが,結局チェルトナムフェスティバルは木曜日だけ,RoyalAscotは初日だけ行くことになります(Vroum Vroum Magとはチェルトナムで再会します)。また,すでに書いたとおり,Ascotはその後もシャーガーC観戦にも行くことになります。果たして旅行記を書けるのは何年後になるのでしょうか。



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