エチウノズイリュウ

36 カレーうどん吉宗

 時間で区切るか場所で区切るか悩みましたが、場所で区切ることにしました。
 越の潟や海王丸は射水市に所在します。そこから万葉線に乗って、高岡市に入っていくことになります。
 富山県まわりの歴史には完全に疎いのですが、この高岡という場所、「高岡法科大学」という名前で見知っておりました。失礼ながら、東京・大阪のような大都市圏でもないのに、県庁所在地や政令指定都市以外の市に法科の大学ができるというのは尋常ではありません(医学や看護と違って儲からなさそう)。おそらく、なにか歴史的な経緯があるはず。……と思って高岡法科大学のWikipediaを見ていたら、特に藩校や大規模寺院由来というわけでも無く、純粋に実業家がつくったようで、大学設置は1989年とかなり最近です。そう、ライスシャワーミホノブルボン世代の大学なのです(ちなみに1989年のダービー馬はウィナーズサークル。言わずとしれた茨城県産馬で、イナリワンオグリキャップの活躍とともに地方の時代の到来だったのです?)。バブルで儲かってたんですね、とかまあ色々言えることはあるでしょうが、純粋に凄いですな。そういえば、福井では勝山に色々作った人もいますし、北陸の実業家はやることなすこと派手ですな。
 富山と福井は持ち家住宅率が高いことでも知られており(参考データ)、またこのデータによると、北陸3県は3県とも持ち家1住宅あたりの居住室の広さトップ5に顔を出しています。実業家さんたちがどでかい事業をやるのも、このあたりの気質や空気感と関係があるのかもしれません。

 閑話休題。
 高岡市の名物を適当に検索していたところ、カレーうどん吉宗さんというお店がヒットしました。こちとら下戸ですから、酒を飲まなくても嫌な顔をされず、しかも一人で入っても大丈夫そうな名物料理は大好きです。
 というわけで、万葉線市民病院前駅で降りて、吉宗へと向かいます。日曜日の夜ということで、そこまで混んではいませんでした。ごちそうさまでした。

万葉線車内 市民病院前駅 吉宗に到着! カレーうどん!

37 高岡とドラえもん

 吉宗をあとにして、1駅進んで志貴野中学校前駅から万葉線に乗ることにします。この志貴野中学校前駅、藤子不二雄ふるさとギャラリーの最寄り駅のようで、ドラえもんの絵が出ておりました。藤子不二雄ふるさとギャラリーには行きたかったのですが、月曜定休ということで今回はパス。またいつか行ける日が来るといいな。どこでもドアくれたら今すぐにでも行くんだけれど。

志貴野中学校前駅 万葉線車内 万葉線案内

 高岡駅構内にも、ドラえもんの痕跡があります。その名もドラえもんポスト。高岡銅器という、伝統産業の銅器でつくられたポストのようで、ここで郵便物を投函するとドラえもんの消印がつく、というサービスのようです。まあ、夜も遅く、官製葉書売ってる店もないのでポストを撮っておしまいです。
 個人的には、万葉線が高岡駅に乗り入れる際の線路の流れが好きでした。万葉線高岡駅も綺麗な駅で、お金を掛けているのがわかります

高岡駅 ドラえもんポスト 外から見た様子 ドラえもんトラム

38 瑞龍寺

 日が変わって月曜日。この日は瑞龍寺からスタートです。

 瑞龍寺は国宝寺院として知られておりますが、歴史は思いのほか浅く、加賀藩2代目前田利長を弔うために3代利常が建立したとのこと。つまり、戦国末期に僧兵軍団がわちゃわちゃして暴れ回っていた、というような黒歴史がありません。とはいえ、Wikipediaによると、「明治時代に入り加賀藩の庇護を受けられなくなり困窮し、部材を売るため解体され現在に至っている。」とあり、金策に苦しんでいた近代の黒歴史はあるようです。比較的新しい寺院だけに、檀家さんとかも少なかったのかな。とかく一向宗が強そうな北陸地域に、禅宗の寺院だし。
 まあ、前田家と一向宗の関係というのはよく分かってないので(織田時代に1000人斬りしたと言われる前田利家からの流れを考えると一向宗と友好的とは到底思えないのだが)、前田家が禅宗をどの程度支援し、一向宗の寺院をどのように扱っていたのかはなんとも分かりません。

 そんなわけで、瑞龍寺。月曜の朝ということで、参拝客は少ないです。

今回のお宿 到着! 送迎バスは令和をアピール 法堂の鬼瓦
前田さんの家紋が目立ちます
禅宗でおなじみ
不許葷酒入山門
前田利長の墓所案内
ここまで大々的に
墓所を宣伝するのは珍しい気が
瑞龍寺沿革 伽藍配置と人体
山門が股間のようです
総門
     


 伽藍配置と人体を掛け合わせた説明板がありました。やはり人間たるもの、急所が気になりますね。股間に相当するのが山門になります。
 この股間山門から一直線に仏殿〜法堂へと伸びていくわけですが、この3つの建築物が我らが日本国の宝として国宝指定されております。

 股間山門はこけら葺き、仏殿は鉛瓦葺き、法堂は銅板葺き、と3者3様であるのもポイントです。

 まずは山門から。

山門! 近づいていきます 仁王像 門の内部 内側から見た図

 続いて、仏殿。先ほどの人体図でいうと、おなかの上、胃とかそのあたりのイメージでしょうか。……と思って「禅宗七堂伽藍人体表相図」で検索してみたところ、苫小牧高専の紀要に到達しました。沖本正憲さんが書かれた論文で、これによると仏殿は「心」にあたるようです。このあと乗り込む法堂は胸とのことで、心と胸が分離しているんですね。
 この仏殿は鉛瓦葺きという非常に珍しい屋根。金沢城にも見られるので、前田家が好きなスタイルなのでしょう。籠城時に屋根の鉛を武器に転用できる、という目的があるというのがもっぱらの噂ですが、実際に転用された例があるわけでは無さそうなので、どこまで本当に意図されていたかは分からないようです。

山門をくぐったところからの眺め 仏殿 正面から 見上げる
斜めから 脇を固める仏像 脇から見た仏殿 屋根をアップで

 そして、法堂。唐破風があるお堂であります。
 法堂は銅板葺であります。

法堂 こけら板の志納のお願い こんな構造になるようです 法堂
法堂内部 天井には植物が描かれているようです 烏瑟娑摩明王
ジオラマ。瑞龍寺は高岡城から距離があるのは(歩いたから)分かるんですが、町外れに位置していたんですね

 法堂の参拝を終えると、このあとは回廊を回っていきます。
 大茶室からスタートです。茶室というと、千利休的な小さな入口を想定してしまいますが、ここは大茶室なので、普通にふすまから入ります。

玄関の様子 大茶室へ 大茶室
回廊側から大茶室 びんずるさん ここに竈
お茶のためかな?
回廊を進みます 延命地蔵尊 香積堂 韋駄天様
大庫裏
ここも「大」がつきます
大きな竈ですが、寺院の規模を考えるとこれでも小さいようにも思います 大庫裏前の回廊

 さらに回廊を進むと、現存していない浴室と東司です。禅寺においてこれらが重要であることはよく語られますが、ここまで大々的に取り上げられているのをみるのは永平寺以来な気もします。

さらに回廊を進む 突き当たりました 浴室跡 屋外の解説
内容は←と同じですが
英語が追加されてるので
こっちが新しいのでしょう
浴室跡から見る総門 浴室側から見る山門と回廊 逆側から見る山門
東司跡 みんな大好き
トイレと言ったら
烏蒭沙摩明王
法堂の明王様とは
字が違います
東司 回廊は続きます

 続いて、禅堂。京都東福寺、宇治萬福寺とならび、重要文化財指定されている禅堂の1つとなります。東福寺では以前座禅したことがあります。これが現時点で人生唯一の座禅体験です。こんな凄いところで座禅体験していたとは……。
 黄檗宗の影響がある、というのも面白いですね。黄檗宗がどういう宗教家は分かってませんが、あれって江戸時代の仏教ですよね。


39 瑞龍寺石廟

 瑞龍寺は前田利長を弔うためのお寺ですから、お墓があります。
 そして、それだけでなく、なんと織田信長と織田信忠のお墓まで並んでいます。前田利長の「長」の字は信長からきているのでなんとなく理解はできますが、とはいえ利長が建立した寺院では無く利常が建立した寺院ですから、利常がどういう思いから信長信忠を慰霊しようと考えたのか、興味深いところではあります。もう1つ並んでいる信長側室の正覚院さん。この方は前田利長の奥方様のお母さん、ということのようです。
 そして、ここでもう1つ興味深いのはお墓の形。石造りの覆屋の中に宝篋印塔が入っているという形式です。これは、越前式石廟という名称がついているようで、検索してみたところ、三井紀生さんが若越郷土研究に載せた「越前式石廟の形式と地方進出について」という論文がヒットしました。これは福井県郷土誌懇談会という団体が出しているようで、大変勉強になりますな。もちろん、斜め読みしただけだけど。

石廟へ 石廟の並び 解説
25年たって読みづらくなってます
建立者の名前は読みやすいのだけど
前田利長公の石廟 向かって右 裏面
他の石廟には
石仏は彫られていません
右と後ろ 向かって左 前田利家公 織田信長 正覚院 織田信忠

 そんなわけで、瑞龍寺をあとにします。
 ふと、出入り口脇に置かれてあるチラシを見たら、高志の国文学館で藤子不二雄A展をやっており、しかも前日には藤子不二雄Aさんが記念来館されていたとのことです。なんとなんと!知っていたら行ったのに。う〜ん。これは失敗した。

あらためて送迎バス
なかにはドラえもん
藤子不二雄A展のパンフレット

 まあ、過ぎてしまったことはしょうがないので、気を取り直して前田利長さんのお墓へと向かいます。

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