サクラスターオーの本。作者は主戦の東信二騎手の配偶者。
主戦騎手の配偶者が書いている本なので、東騎手が関わっていない出生~デビューあたりは非常にあっさり。サクラの主戦小島太騎手から東騎手に乗り替わった経緯などにも突っ込むことはなく、騎乗依頼が来た際の様子など、あくまで作者が分かる範囲で書かれた作品となっている。
そのせいもあって、本の半分くらいであの有馬記念を迎える。
この本のメインパートは、有馬記念後、スターオーの最期へと向かう様子を、騎手の妻という少し遠いところから書いていることにある。
淡々と、闘病生活に入ったスターオーのことが書かれている中で唐突に、大きな文字で1ページ使った「サクラスターオー闘病日誌」という表が出てきて本全体がただならぬ雰囲気になる(74頁)。意図したのかは分からないが、この表のインパクトは大きかった。
やはり最期を迎えるシーンは辛い。その最期に至るまで手術を含めていくつもの決断があったこと、そのことに触れる平井調教師の言葉も重い。
スターオーのマッサージの様子や、脚に負担をかけないためにカイバが減らされる中、ニンジンをあげていた平井聖子さんの声にスターオーガ反応する場面などは読んでいてたまらなかった。
この本のもう1つの特徴は、多くの写真が収録されていること。中には白黒ながら遺骸の写真もある。よくぞこれを収録したと思う。
あくまでスターオーの主戦騎手の配偶者が書いたスターオーの本であり、サクラの本ではない。そのため、スターオーの最期に際して東騎手のオークス(4番人気のアインリーゼン)への配慮があったことは述べられるが、チヨノオーの話題はゼロ。変な感動ストーリーも無い。このあたりの割り切りもいい本だった。

ガラスの脚: 悲劇の名馬サクラスターオー (Humanics Essay Series)
ガラスの脚: 悲劇の名馬サクラスターオー (Humanics Essay Series)

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