競馬漂流記 では、また、世界のどこかの観客席で 高橋源一郎

競馬

Gallopへの連載を本にまとめたもの(優駿出典のものもある)。したがって、1本のコラムは長くない。。有名な作家だけに、さすが文章は上手いが、上手すぎてどこからが創作なのかが分からない部分も。

1990年代の競馬を知っている人が読むと、当時の空気感などがよみがえってくる。まだまだ海外の情報が多くない時代に海外の競馬場に赴き、そこでの経験や人とのふれあいを日本に紹介した貴重なエッセイである。

この時代にトルクメニスタンにアハルテケを見に行っていた、というのが凄い。アシュハバードの競馬は見に行きたい。

また、当時の配偶者である高橋直子氏の本(たとえば「注文の多い競馬場」)も読むと、岡部騎手の勝ったマカオダービーなどが2人の別々の目線から描かれているのが分かるので楽しい。

他方で、出典が週刊誌連載なので、この時代の競馬を知らない人への説明などは基本的にない。そのため、前提知識がないと読むのはちょっとキツい気もする。

競馬漂流記 では、また、世界のどこかの観客席で (集英社文庫)
世界中の競馬場で出会った、愛すべき馬と人々。ともに心躍る時を過ごし、レースが終われば、「では、また」と故郷へ戻っていく──競馬の悦びに溢れるエッセイの名著、文庫化。(解説/北上次郎)

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