短編集。競馬に関係するのは表題作の『馬を売る女』のみ。
もとになったのは日経新聞への連載。
主人公が売っていたのは馬ではなく、馬に関する情報。都合よく毎週毎週本命馬の情報が流れてくるのか、毎週本命馬を出せる馬主グループというのはどんな人たちなのだろう、などと真面目に考えてはいけない。
松本清張氏がどういう経緯でこの作品を書くに至ったのかは不明だが、競馬情報というマニアックなネタに触れているのは凄い。時代的に、このころはこういう情報商材が溢れていたのだろうか。日経新聞にもそういう予想会社の広告とかは載っていたのかな。
新聞連載のためか、話は何回か展開するので、競馬に興味のない人あるいは競馬にしか興味がない人は序盤で力尽きような気がしなくもない。
この当時のOLの空気感などが伝わってくる作品で、競馬小説・サスペンス小説というよりは、女性を描いた作品という感じ。

馬を売る女 (松本清張プレミアム・ミステリー)
彼女の予想はよく当たる。何故なら――。 社長秘書の星野花江は、社内ではケチで通っている。社員に金を融通する以外にも、競馬の予想を流すという副業を持っていた。その情報の出所に、彼女の秘密があったのだが――。読み応えたっぷりの作品集登場!
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