モンゴルについての司馬遼太郎氏の随想。司馬さん自ら馬には詳しくないと書いており、メインはもちろん馬ではない。
胡服・匈奴というあたりについての話から始まり、途中からは司馬さんのガイドを務めたツェベクマさんのルーツの話が中心になっていく。ツェベクマさんを指導した高塚シゲ子さんの話も大変興味深い。
なぜモンゴルでは中国のことをキタイと呼ぶのか、ハンガリーを中国語で匈牙利と書く理由なども非常に興味深かった。
馬の本ではないのだが、終章の「帰ってくる話」の中に、ナーダムの話や、ベトナム戦争に送られた馬が(帰巣本能が無いはずなのに)モンゴルに帰ってきた話などが載っている。「帰ってくる」のは馬だけではないのだが、話の導入としての役割を馬が担っている。

草原の記 (新潮文庫)
史上空前の大帝国をつくりだしたモンゴル人は、いまも高燥な大草原に変わらぬ営みを続けている。少年の日、蒙古への不思議な情熱にとらわれた著者が、遥かな星霜を経て出会った一人のモンゴル女性。激動の20世紀の火焔を浴び、ロシア・満洲・中国と国籍を変...
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