競馬場駅を「競馬場にアクセスすることを主目的に設置された駅、あるいは競馬場を”目印”にして設置された駅」(4頁)と定義して、競馬場駅を中心に競馬と鉄道の深い関係について述べた本。
正直、新書版なこともあり、単に競馬場と最寄り駅の紹介本だと思っていた(日本国内についても5章のような軽い内容が続くと思っていた)らそうではなく、新聞をはじめとして様々な資料にあたって競馬にまつわる鉄道の歴史を深掘りした本になっている。と同時に当時の広告の誤りの可能性などにも踏み込んだりもしている。
これならJRA馬事文化賞受賞もうなずける。アナウンサー業の傍ら調査・執筆したのは本当に凄い。
もちろん、駅だけでなく、明治天皇のお召し列車、路線そのものについて、鉄道会社間の競馬客獲得競争、鉄道会社の冠レースについてなど、様々な鉄道と競馬の関係の話が書かれている。
廃駅・廃線めぐりはそんなにやっていなかったが、廃競馬場めぐりとセットでやってみると面白そう。
また、その他のギャンブル業界の駅についても誰か調査してほしいな。
なお、競馬場駅の定義について駅が先に開業して競馬場があとからやってきたものと区別するためとしつつも、単なる競馬場の最寄り駅も競馬場駅と表記したしている(5頁にその旨明示されている)のは、やっぱり不親切。仁川と海外の駅の処理のために競馬場駅ではない駅を競馬場駅扱いして入れざるを得なかったのだと思うが、なにか別の単語を割り振るべきだったと思う。
競馬と鉄道 - あの“競馬場駅”は、こうしてできた (交通新聞社新書122)
2018年度JRA賞馬事文化賞 受賞作品! 日本の鉄道と近代競馬の深い絆を詳らかにした好著 鉄道と同じく近代に輸入され、発展を遂げてきた近代競馬。 じつは、鉄道と密接なつながりがある。当書は、競馬場へ行くために乗り降りする駅を”競馬場駅“と称し、 そのつながりの深さと面白さを、「競馬場駅」をキーワードに繙いてゆく。 な...
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