第1回メイヂヒカリから第34回イナリワンまで、昭和(イナリワンのみ平成)の有馬記念をまとめたもの。昭和にしようという意気込みからか、初版だと190頁に誤植があり、イナリワンの有馬が「平成1年」でなく「昭和1年」となっている。
特に序盤はレースに対するスポーツ紙のまとめ記事。さらに、有名作家が書いた観戦記(優駿のものが多いがそれに限られない)がついたりする。
記事はどのような基準で選別されているか不明。それにしても、自由国民社はこんな本を出していたのか。
やはりレース後に書かれた評論、観戦記というのは面白い。グリーングラスが「3強」に加わったのはのちのことであるという話は何度か聞いていたが、確かにレース後は完全にTT一騎打ちの雰囲気である。
また、スピードシンボリの4歳時の同世代への酷評も面白い。あの時点でのちに有馬を2勝する馬になるとは誰も思ってなかっただろうしな。
記者の記事の中では、共同通信の岡田光一郎氏の毒が目立つ。どの程度当時の世論と一致しているのかは分からないが、50年以上経ってから読むとある程度毒があった方が面白い。
そして、なにより柴田錬三郎氏に競馬に誘われて教えられるままに有馬を的中させた遠藤周作氏が翌年秋野卓美氏に外れ予想を伝えて遁走する流れは面白い。いい時代である。

グランプリ夢の蹄跡: ドキュメント・ドリ-ム・レ-ス
グランプリ夢の蹄跡: ドキュメント・ドリ-ム・レ-ス
そういえば、村本さん、デュレンで有馬を勝ったときに横にいた北野オーナーに「1年遅れただけですね」とか言ってたようですが、この本によると勝てると思ってなかったようなコメントになってます。勝ったから強気になったのかな。
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