ダービーオーナーは社長失格? 関口房朗

競馬

2001年4月出版。
2000年のフサイチペガサスのケンタッキーダービー制覇~引退、フサイチゼノン騒動まで収録されている。

基本的には関口氏の自伝である。
題名にもでてきているフサイチペガサスの購入経緯、ケンタッキーダービーの状況、フサイチコンコルド購入に繋がった小林調教師との関係なども詳細に語られている。そのほか、もちろんフサイチゼノンの件、そもそも馬主になった経緯、オグリキャップやフジキセキとのニアミスなど、関口さんにしか語れないことが多数。競馬ファンとしては非常に興味深い話のオンパレードであった。
他方で、会社経営については、戦争中の疎開や設計への思い、起業などの流れは一代記として興味深い。もちろん関口氏目線で語られているので、相応に美化されていると思うが。そして、それゆえ、本を読んでいても従業員側の言い分がよく分からない(まあ本としてそんなところに需要はなかっただろうけど)。
関西精器工業 と労働組合のトラブルについては、愛知地方労働委員会の命令書は今もインターネット上で確認可能
メイテックではM社(どう考えても三菱重工だと思われる)に寝首をかかれたようだが、素人目には天下の三菱重工が解任動議に踏み切るというのはよほどの何かがあったのではないか、と思ってしまうところである。というか、株を40%しか持ってなかったのね。

色々と話題を振りまいた方で、少なくとも競馬ファンが遠巻きに見ている限りでは、競馬界にお金と話題を大量投入し、日本人オーナーによるケンタッキーダービー制覇という大偉業を成し遂げた、凄い人であり、その人の偉業が自伝として残っているのは非常に意義深い。(鶴巻智徳さんあるいはエーピーインディがらみの本ってないですよね?)
題名から明確に競馬に触れていることが分かるのはこの本とそれでも悲しき日本競馬の2冊。ほかにも関口氏の本は出ているのだけれど、果たして手を出すべきかどうか。そして、こんな人でも一般に生死不明の状態が続いて亡くなった情報が間接的にしか出てこないのだから、世の中分からないものだなあ。

ダービーオーナーは社長失格: フサイチ王国勝利の方程式
ダービーオーナーは社長失格: フサイチ王国勝利の方程式

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