作者は小栗帽子の名前でも有名。エリモジョージの本だが、出版は2005年。エリモジョージが死んだ後の出ている。
はしがきからだと厩務員さんや大久保調教師のご家族と馬とのハートフルストーリーかと思ってしまうが、内容は関係者のインタビューをもとにエリモジョージの事跡を追いかけるオーソドックスな本。
生産者の出口氏、育成・馬主の山本氏・調教師の大久保正陽氏らにしっかりとしたインタビューがおこなわれているようで、引退後30年たってこれを書いたのが凄い。題名にもある襟裳の苦難の歴史もセットで語られており、神田明元えりも町議の話なども載っているのが特徴。えりも農場が襟裳の町の期待を背負って競走馬産業に取り組んでいたことが分かる。
存命で話ができそうな人物としては池添兼雄氏や松田幸春氏あたりの話が載っていると面白かったが、福永騎手との2人体制の話はあれど乗り替わり等についての突っ込んだ話はない。このあたりはちょっと残念。
とはいえ、エリモジョージというなかなか主役扱いされない馬の本であり、えりも町、オーナーの山本慎一氏(英女王からイギリスの馬を買っていかないでくれと言われたという噂話の真実)らの話も含めてとても面白く、貴重。だんだん存命の方が減っていっており、こういう本も難しいのだろうなあ。
逃げろ!自由のために: エリモジョージと襟裳の春
逃げろ!自由のために: エリモジョージと襟裳の春
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