日本ダービー殺人事件 西村京太郎

競馬

およそ30年ぶりくらいに読んだ。この間、西村氏も亡くなり、この本も図書館の相互貸出で借りざるをえないほど在庫も流通量も減っている。
Kindleで買えるとはいえ、これを書いている2025年5月22日時点で中古本が5000円を超えていてびっくり。

この本は数少ない私が犯人を覚えている西村本の1つである。なぜ記憶しているのかは自分でも分からない(「現金強奪計画: ダービーを狙え」は覚えていなかったので、競馬関係だからというわけではない)が、なにか印象に残るものがあったのだろう。

まだダービーに28頭出走する、枠連しかない時代の話。八百長をめぐり、馬主や新聞記者の思惑が入りまじる。西村氏らしいワクワク感のあるストーリー展開。

以下ネタバレ

なのだが、それでも、恨みがある人をダービーオーナーにし、思い入れのある馬をダービー馬にしないような犯行をするだろうか、というのはどうしても引っかかる。ダービーというのはそんなに軽いものだったのだろうか。これが皐月賞だというならまだ理解できたのだが(皐月賞殺人事件だと売れるわけはないんだけど)。

ネタバレおわり

昭和49年に書かれたようだが、ダテハクタカ事件からまだ2年。山岡事件からも10年たっていない。
ハイセイコー(タマキホープがダービー前にやけに酷使されているはこの馬の出走数の影響だろう)が登場したとはいえ、まだまだ競馬が黒かった時代の作品である。
西村氏があとがきで、警備員バイトの記憶として「内部の人間の間では、公然と、八百長話が交わされていたのを、今でもはっきりと覚えている」と書いていたのは忘れていた。事実関係は私には分からないが、凄い世界である。

なんにしても、競馬場バイトをしていた作家さんならではの本。

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